前向きに Jazz!

日々進化し続けるJazzとともに歩んできた終わりのない旅

Sort bysax (第2期)

Category: sax (第2期)  

Ellery Eskelin Trio Willisau Live

 WillisauLive-2.jpg

Ellery Eskelin (ts)
Gary Versace (Hammond B3 organ)
Gerry Hemingway (ds)

Recorded live at the Jazz Festival Willisau, Switzerland August 28, 2015.
hatOLOGY 741 (2016)

1. On (or about) ...
 My Melancholy Baby
 Blue and Sentimental
 East of the Sun
2. We See
3. I Don’t Stand a Ghost of a Chance with You

アバンギャルド、フリーシーンを主戦場として活動をしてきたテナー奏者 Ellery Eskelin ですが、近年コンテンポラリー系のオルガニスト Gary Versace を
加えたトリオでの活動もしており、それはフりー系エリアで活動するオルガン奏者が非常に稀だったこともあり、2011年の初作となる “Trio New York” から
ずっと、その経過観察をしながら追ってきているのだが、スタイルとしては、Eskelin のいつものオリジナル曲をメインとしたフリースタイルではなく、
スタンダードナンバーを題材として4ビート主体でリズムもきっちりとった中でのインプロということで、彼の活動の中でも特別のものと考えているのかも
しれない。
前にも書いたような気もするが、それは、彼の母親がJazzオルガニストだったこともあり、子供の頃から母親のオルガンを通してJazzのスタンダードナンバー
を耳にする機会も度々あったことも想像されるが、おそらくそんな彼の生い立ちも関係しているのではと思われる。
本作は、そんなこのトリオの3作目になるが、dsが Gerald Cleaver からフリーでは、おなじみのベテラン Gerry Hemingway に代わってのスイスにおける
Jazzフェスでのライブとなっており、これまでの2作の自主制作に変わり、Hat Hut Recordsからのメジャーリリースとなっている。

過去2作では、スタンダード中心で、本作もその基本路線に変わりはないのだが、冒頭メドレーの1曲目のみ彼ら3者の共作となっており、これが27分を超える
長尺の本作の目玉とも言っていい内容となっている。
過去2作同様に Eskelin のいつものスタイルとなっているフリーという形はとらず、伝統の匂いも強く感じられるオーソドックスな展開ではあるのだが、
十数分に及ぶ Eskelin のソロは、自由にそして縦横無尽に圧巻のブロウを見せる。 Eskelin の創り出す流れに繊細にフレキシブルに対応する Versace と
Hemingway も好調だ。
Versace のオルガンも音色の選択やら音量のコントロールなどデリカシーに富んだタッチを聴いていると、一昔前のオルガンと言えば、黒っぽい、ブルージー、
ジャージー....................などと決めつけられた見方をされた楽器の時代も、やっと過ぎ、少しは正常な方向に向かいつつあるのかとも思えるのだが、
他楽器同様に変に決めつけた見方をされることもなく、あらゆる方向にその可能性を追える楽器としての地位を確立してもらいたいものである。
オルガン好きとしては、普段は、別世界にいるVersaceが、こうしてフリー系の手練れ2人に挟まれてというシチュエーションは、それだけでも一大関心事と
なるのだが、形としてはオーソドックスながら他プロジェクトでは得られないような何かを感じ取ったであろうことは、間違いない。その何かを今後のオルガン
界にもぜひ生かしてほしいものである。

ここ数年のこのトリオの状況を振り返れば、もしかしたら本作はライブということも関係したかもしれないが、やや Eskelin のワンマン性が増したようにも
感じられるのだが、形としては、3者同格とまではいかなくても、互いの自由で緊密なやりとりとその刺激から、新たな刺激と展開にといった形が出てくれば、
もっと可能性という広がりも見えてくるようにも思えるのだが....................、そういう意味では、このトリオとしての活動も5年程、そろそろけじめをつける
時期にさしかかっているようにも思える。

            

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JAZZ-sax 77
Ellery Eskelin

Category: sax (第2期)  

Toine Thys / Grizzly

 Grizzly-2.jpg

Toine Thys (ts, ss, bcl)
Arno Krijger (Hammond organ)
Antoine Pierre (ds)

Recorded by Max Blesin in Rebecq, April 2014.
IGL260 (IGROO) 2015

01. Don’t Fly L.A.N.S.A.
02. El Cacique
03. Disoriented
04. The Fakir and the Lotus
05. Midnight Sun
06. Afro Electro (Used to be)
07. Grizzly
08. The White Diamond
09. Fitzcarrado
10. Twin Lotus        All songs written by Toine Thys

ベルギーのサックス奏者 Toine Thys(B1972)のリーダー作ながらオランダのオルガニスト Arno Krijger(B1972)参加の最新作という魅力もあって
ゲットの一枚。全て Toine の手による全10曲という内容。

一通り聴いてみて、今回が初となる Toine の印象、まさにアルバムタイトルとなっている Grizzly を思わせる厳ついジャケ写からゴリゴリとハードな音が
飛び出すかとイメージしていたが、素直でクセのないプレイぶりは、意外だった。
感性としては、今の空気感も常に漂わせる典型的コンテンポラリー系と言えるが、先端の方に位置して尖ったものもちらつかせるといったようなタイプで
はなさそうだ。クセがないので口あたりが良く、ライト、マイルドなテイストで聴きやすいと受け取るのか、はたまた物足りないと受け取るのか微妙な位置
にいるsax奏者だ。
はっきり見えてこないので、繰り返したが、やっぱりはっきりしない。そのクセなくライトという部分が弱いと感じる部分もあるし、洗練感につながるセンス
とも受け取れたり..............音楽そのものは、もう少し何かヒネリがあってもと思うぐらいわかりやすいものなのだが、何かわかりにくい、読めない男だった。
こういうのもめずらしい。

そんな印象もあるリーダーで、強い個性あるいはインパクトといった面でちょっと物足りなさも残るのだが、同時に洗練感といったものも感じられ、アルバ
ム全体として見れば、不思議と1つの方向性に統一された、まとまりも感じられるものとなっている。
その辺は、オルガンの Arno Krijger の存在が利いていると思う。
ハデな太刀回りは、ないが随所にセンスを感じるオルガニストだ。Jazzでは少数派のベースラインにフットペダルを多用するため、左手のコードの響きも加
わり個性となっている。
さらに繰り返したが、本作のカラーも、つまるところこの Krijger の存在が大きく作用したとの結論に至った。この編成で Krijger にかかる比重は大きい。
バッキングから Toine が休んでる時間帯と全ての部分に関わるシゴトぶりは、脇役というより主役だ。

               

               "All or Nothing at All" by Toine Thys Trio Live in Paris area / February 2012 
                Toine Thys (soprano sax)
                Arno Krijger (Hammond organ)
                Joost van Schaik (drums)

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Jazz-sax 76
Toine Thys

Category: sax (第2期)  

Jason Robinson / The Two Faces of Janus

  Jason Robinson (ts, ss, a-fl)
  Liberty Ellman (g)
  Drew Gress (b)
  George Schuller (ds)
  Marty Ehrich (as, b-cl - 1, 2, 4, 5, 9)
  Rudresh Mahanthappa (as - 2, 5, 7)

  Recorded on December 11 and 2009 at Acoustic Recording, Brooklyn, NY.
  RUNE311 (Cuneiform) 2010

  01. Return to Pacasmayo
                     02. The Two Faces of Janus
                     03. The Elders
                     04. Huaca De La Luna
                     05. Tides of Consciousness Fading
                     06. Cerberus Relgning
                     07. Persephone
                     08. Paper Tiger
                     09. Huaca Del So
                     10.The Twelfth Labor

Jason Robinsonをリーダーとする基本のギター入りクァルテットに、曲により Marty Ehrich と Rudresh Mahanthappa が入るという本作。
ちょっと前の作だが、ギターの Liberty Ellman の参加も魅力で手を出してみた。

Jason Robinsonは、今回初めてで、何の情報も持っていないのだが、これがなかなか良い。
小細工に走らず、ハードに攻めるだけでなく柔軟な太刀回りもいける感性はなかなかの魅力。テナーだけでなく、他の楽器についても片手間感はなく、
マルチにいけるというのも表現に幅を持たせるという点でプラスに作用してるし、そこに積極性が感じられるのも好感が持てる。
これだけの曲者揃いのメンバーを従えて先頭を切るには、やはり実力者でないととは思っていたが...........納得である。

注目していたEllmanのギターだが、やはり良かった。本作ゲットの甲斐があったというものだ。
独自のもの、はっきりした個性を持っているといったあたりが、よりポイントが高くなるところでもあるのだが、危うい緊張感を振りまくような感性が
魅力だ。張りつめた空気感を引き寄せて場の空気感を独特な世界にするその感性は天性のものなのか。
本作でも3人の管が入れ替わり立ち替わり入る中での、Ellmanの役どころは、重い。

コンテンポラリーからアヴァンギャルド、フリーといったあたりを垣根を超えて行ったり来たりするような感性が、新鮮かつ心地良くもある一枚だ。

JAZZ-sax 75
Jason Robinson

Category: sax (第2期)  

Big Satan / Souls. Savedhear

 BigSatan-2.jpg

Tim Berne (as)
Marc Ducret (g)
Tom Rainey (ds)
Recorded June 9-10 2004
THI 57151.2 (Thirsty Ear)

01. Ce sont les noms des mots
02. Hostility suite
03. Geez
04. Rampe
05. Emportez-moi
06. Deadpan
07. Mr. subliminal
08. Property Shark
09. Plantain surgery

年の初めに、年初の宣言通り、前向きに攻めるためにも、そして正月気分を吹き飛ばすためにも、甘い音は避け、厳しい音を選択してみた。これを聴くのも
数年ぶりか。

Tim Berneを中心とするグループBig Satan名義の本作ですが、彼らのいつものスタイルともなっているベースレス編成。もちろんMarc Ducretの参加も魅
力となっている。
内容は、Berne曲3、Ducret曲3、Rainey曲1、Berne-D. Torn曲1、他1の全9曲。
記事歴のある本作の前年録音となるスタジオライブ盤 "The Sublime and. Sciencefrictionlive / Tim Berne"(別頁あり)からキー・ボードのCraig Taborn
が抜け、ベースレスのトリオ編成というシンプルなものとなっているが、内容としては、前作の流れに沿ったつくりとなっており、前作のライブに対して、
そのスタジオ録音版といった位置ずけと考えてもよいのかもしれない。

トリオになって前作にも増して空間の自由度が高くなった中で、3者の絡みもフリーキーなハイテンションをキープしつつ、その混沌とした流れは、一見、
無秩序のようでもあるのだが、前作同様、自由でありながらも、そこに緻密な計算も存在するかのような高いレベルでのコンビネーションを見せており、
瞬時の以心伝心を可能にする3者の呼吸は、我々常人の理解をはるか超えたところにあるようだ。

Ducretも尋常でないキレを発揮しており、この常に高いレベルでパフォーマンスの質を維持しているDucretの音創りの姿勢には、常々感心するものがある。
リスクを恐れず創ることに攻めの姿勢を維持できることこそ何よりもアーティストに最も必要な資質であろう。
トリオというミニマルな編成ながら、彼らの創り出す音像は分厚くヘヴィーだ。
攻めの2016年とするにふさわしい一枚、ガツンときた。

JAZZ-sax 74
Tim Berne

Category: sax (第2期)  

Jonathan Orland / Small Talk

  Jonathan Orland (as)
  Nelson Veras (g)
  Yoni Zelnik (b)
  Donald Kontomanou (ds)

  PJU016 (Paris Jazz Underground) 2015 自主制作

  01. Day Dream
  02. Look Inside
  03. The Seaman
  04. Reysele
                     05. Booth Kid
                     06. Be There
                     07. Falling Grace
                     08. Halva
                     09. Trio for Joe
                     10.Played Twice
                     11. Adule Games
                     12. For Heaven’s Sake

今回初めてとなるフランスの若手アルトサックス奏者の新作、一度聴いてみたかったブラジル出身のギタリストNelson Verasが参加していたこともあり、
ちょうど良い機会ということで手を出してみた。
バークリー出身で Garzone や Osby らに師事といった経歴もある Orland のアルトは、典型的コンテンポラリー系の感性、第一印象としてクールな面も
あるのだが、それよりはどちらかというと、抑えぎみながらもエモーショナルなブロウで、いろんなものをバランスよく感じさせるタイプといった印象。
それだけに個性派というタイプではなく、わかりやすいプレイは、多少のもの足りなさもといったところ。
どちらかというと、好き嫌いがはっきり分かれてしまうような個性派が好みで、本作にもある程度の尖った作風も期待していた自分としては、ちょっとイメージ
が違ったかなというところもあるのだが、それなりのの実力者であることはまちがいないようである。
年齢的にも場数を踏むごとに、いろんな色を身につけて個性に磨きがかかっていくのだろう。そんなことを十分に感じさせてくれる有望な新鋭アルト奏者との
印象を持った。

さて、これまたお初となる Nelson Veras(B1977) だが、ギターらしいギターを弾くギタリストだ。
ブラジル出身ということで、おそらく生ギターの奏法を基本にきっちり叩き込んできたのだろう。ピックを使っていないと思われる五指をフルに使って弾き
だされるギターは、高速フレーズも難なくこなしてしまうスピード感、シャープさとともに、そんな中でもラフにならずに細部まで神経のゆきとどいた繊細な
ものも感じさせる。かなりのハイレベルを感じる技術面だが、感性面でも、ブラジルルーツのプリミティブな部分をわずかに残しつつ現代Jazzのモダンな
ところまで広くカバーする感性には、確かな独自性も備わっているとの印象も持つ。
感性、技術面ともに申し分ないものを感じさせる Veras だが、聴き手としては、後は自分の求める音世界と彼の創り出す音世界との相性、好みといったところ
なのだろう。
今回、初めて聴いた Nelson Veras だが、高い能力持ったギタリストとは感じつつ、私的には自分の求める質とは若干のズレがあることも感じ取った。
ビックを使わないと思われる奏法から、繊細な反面、ここ一番で欲しい強いアタック感に若干の不満も残ったが、いずれにしても本参加作1枚のみで、判断
できるほど簡単なギタリストとも思えず、ちょっと本作とは経路の違った他作も聴いてみたい。

             

JAZZ-sax 73
Jonathan Orland

Category: sax (第2期)  

David Ambrosio / Gone

  David Ambrosio (b)
  Loren Stillman (as)
  Russ Meissner (ds)

  Recorded at Tedesco Studio’s, in Paramus, NJ, on December 18, 2012
  FSNT440 (FRESH SOUND NEW TALENT) 2014

  1. The Proof is in the Pudding
  2. Verse
  3. Let it Go
  4. Matters of Fact
                     5. Gone
                     6. Brahmin
                     7. Her Love was Like Kryptonite

ベーシスト David Ambrosio のリーダー作ながら、アルトサックス奏者 Loren Stillman(B1980)目当てのゲットだったこともあり、カテゴリ ”sax” の記事
とします。
リーダーの David Ambrosio は、NYをベースに活動してきたキャリアも豊富なベーシストだが、ビッグネームとの共演が比較的少なめで、地味な印象もある
せいか、キャリアの割には知名度が低く、アンダーレイテッドされるタイプと言えるのかもしれない。
当ブログでは、参加作 “Vinnie Sperraza / Peak Inn” で記事歴があるが、やはり他の過去作などを見ても、同じように、力があっても知名度が伴わないと
いったマイナーな匂いのある共演者とのつき合いが多いようにも思うのだが、その辺は、当方としてはあまり関係ないことで、むしろそういった地味な活動は、
売る、売れないといった世界とは距離を置いたところでの音づくりのイメージにもつながり、アーティストとしての好感度は高い。
もっとも、好感度が高くても、それが音楽としての結果につながらなければ、意味はないのだが.......................。

さて、内容の方だが、リーダーのAmbrosioを差し置いて、Stillman曲4、Ambrosio曲2、Meissner曲1とStillmanのオリジナルが半分以上を占めており、
その辺からも、本作の方向性みたいなものが感じられるような気がする。

目当てのStillmanだが、それなりにキャリアもあるので、ベテラン的イメージも持ってしまうが、若くしてシーンにデビューしているので、まだ35歳という
ことで、この世界では、若手と言っていい歳だ。
元々、Konitzの影も感じられた彼のアルトは、現在のコンテンポラリー・アルトサックス・シーンでは、少数派とも言っていいスタイル。フルトーンでハード
に攻めるよりも、熱くなり過ぎることもなく、あくまでクールに、思索的にソフトトーンでのヒネリの入った語り口が持ち味。
参加作ではあるのだが、本作でも彼を中心に据えた形をもって、彼のアルトは、いつもの彼よりは一見ストレートぎみとも見えるのだが、微妙に複雑に絡む
リズムの中でソフトトーンでの語り口には、やはり微妙にトゲも感じられる辛口テイストのものとなっている。
一見ふつうのストレートだから、いつでも打てると思っていたら、その微妙に変化してくるクセ球に、気がついてみればゲームも終盤になるというのに、完全
に抑えられてしまったという感じだ。
そんなことで、ヘンな例えになったが、まさに地味ながらそんな感じで、繰り返すほどに味の出てくる一枚だ。
そういう意味では、地味系のリーダーの持ち味もよく発揮された一枚とも言えるのかも。
本作を聴いて、やはり同じように地味系ベーシストのリーダー作にStillmanが参加した一枚 “Arthur Kell / Jester” を思い出した。

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JAZZ-sax 72
David Ambrosio
Loren Stillman

Category: sax (第2期)  

Joe Manis / The Golden Mean

  Joe Manis (ts, bcl)
  George Colligan (Hammond B3 organ, Fender rhodes)
  Lillie Manis (viola)
  Kevin Congleton (ds)

  Recorded September, 2014
  SCCD 33120 (SteepleChase) 2015

  1. Threee four for Three
  2. Black Hole Sun
  3. Shorter Story
                     4. Broadway
                     5. Paw-Paw
                     6. Goldfinger
                     7. It Don’t Mean a Thing
                     8. Ellery’s Song Flute

2009年にアルバム"Evidence"でデビュー以来、リーダー3作目となる本作は、前SteepleChase作 “North by Northwest(2013)” のメンバーに
Lillie Manis (viola) が加わっており、私的には George Colligan のオルガンでの参加も魅力となっている。

前作では、Coltraneを通過してきたテナー奏者といった程度の印象だったその2年前と比べると、プレイにも自信とともに力強さも感じられ、音楽も
全体の印象として、小細工なしの全球直球勝負、ハードに押すストレートなJazzといった一枚に仕上がっている。
ほとんどオルガンで勝負している Colligan も、元々こういった展開は得意でもあり、左手のベースラインが生み出す強烈なドライヴ感をベースに
ゴリゴリと攻めるハードプレイは、Colliganらしさがよく出ている。

そんな中で、M6”Goldfinger” に他曲との違和感が、また曲の中でもテーマ部に対してアドリヴパートのハードブロウに違和感が残る。
007シリーズでも大ヒットして世界的にもポピュラーとなっているこういった曲は、リスナーそれぞれが自分の中に固まったイメージを持ってしまっており、
演る方としては、それだけにハードルが高くなってしまい、多くのリスナーを納得させるのも至難の技になってしまう。
この1曲が入ったことにより、アルバム全体の印象が変わってしまったのは残念だ。もちろん、当然のことながら、逆にこれがいいと感じる人もいるのだろうが、
様々な受け取りがあるというのが正常な姿ではあるが...........。

まあ、私的には、そんなちょっとしたつまずきもあった本作だが、トータルに見れば現代の正統派テナー奏者として魅力ある存在になってきたJoe Manisに
満足できる一枚だった。
そんな Manis の力量を考えれば、知名度がもう少しUPしてもいいんじゃないかとも思うのだが、その辺は、彼がオレゴンを拠点とした活動をしているといった
ことも大きく関係しているように思う。先を行くミュージシャンとの出会い、そして他流試合により、自身から引き出されたものから何かが変わってゆくといった
ことも、特に期待できる時期だけに、そのタイミングを逃してほしくないとも思うのだが、まあ、家庭の事情やら何やら、いろいろとしがらみもあるのでしょう。

Jazz-sax 71
Joe Manis

Category: sax (第2期)  

Greg Osby / 9 levels

  Greg Osby (as, ss)
  Sara Serpa (voice)
  Adam Birnbaum (p)
  Nir Felder (g)
  Joseph Lepore (b)
  Hamir Atwai (ds)

  INCM 001CD (Inner Circle Music) 2008

  1. Principle
                      2. Torerance
                      3. Humility
                      4. Truth
                      5. Less Tension Please
                      6. Resilience
                      7. Two of One
                      8. Innocence
                      9. Optimism          All compositions by Greg Osby except Track 5 & 7

しばらく前、 Nir Felderのライブ があったこともあり、彼参加作ということで久しぶりに引っぱり出して聴いていたら、Osbyワールドにハマってしまい、ダラ
ダラと繰り返しては、聴いていたという本作。
全9曲中7曲がOsbyの手によるもの、自らのレーベル(Inner Circle Music)を立ち上げて1発目のアルバムが自身作ということで、本人の強い思いも感じら
れる作品となっている。
心地良い voice も入ったりして、ながらでサラっと聴いてしまうと、そのまま流れていってしまうようなテイストもある音楽だが、ふと耳にとまった気になる部分
を繰り返したりすると、聴くたびに気になる部分が増えていき、気がついたら、すっかり深みにハマってしまい、抜き差しならない状態にといったような作品だ。

ややダークでクールにコントロールの利いたOsbyのプレイは、都会的でもあり、センスがほとばしる。良い時、そうでない時とちょっとムラっ気も感じられる
Felderのギターも妖しげな気をふりまき、持ち味を出し快調。地味ながら好プレイが光る Birnbaum のピアノ。楽器ライクな使われ方で本作のカラー創出に
大きく貢献した Sara Serpa のヴォイス。それらをベースでしっかり支える Lepore と Atwai のコンビ..........と個々のソロ、プレイは、もちろんなのだが、
やはり、それら個を生かし全体をトータルなサウンドとして、緻密に創り上げたOsbyの手腕が光る一枚、そういう捉え方をしている。

そんな丁寧かつ緻密な計算のもとに創り上げられた、そしてある意味、余分な刺激となる部分は、ある程度、フィルターを通してコントロールされた、そういった
部分でのセンスに溢れたと感じるのだが、反面、刺激は刺激として尖ったままのものも聴いてみたいというのが、私的感性の求めるところでもあるのだが..........

JAZZ-sax 70
Greg Osby

Category: sax (第2期)  

Rich Perry / Organique

  Rich Perry (ts)
  Gary Versace (Hammond B-3 organ)
  Jeff Hirshfield (ds)

  Recorded February 2014
  SCCD 31805 (SteepleChase) 2015

  1. Toys
  2. I Didn’t Know What Time It Was
  3. Afternoon in Paris
  4. Without a Song
                     5. Thad’s Pad
                     6. Dance of the Infidels

オルガニスト Sam Yahel(B1971) と同じく、久しくオルガニストとしてのリーダー作が途絶えているという Gary Versace(B1968) だが、王道系テナー
Rich Perry のリーダー作参加ということで、私が求める本来の彼の形ではないのだが、少しでも今の状態を知りたいということでゲット。
全6曲、おなじみのジャズメン曲を中心に Perry のオリジナルはない、他作でもスタンダード中心にいい味を出す彼らしい、いつもと変わらぬスタイルだ。

リーダーが王道系テナーということで Versace のオルガンにも、彼本来のコンテンポラリー系オルガニストとして、そこに先進感みたいなものは、本作には
求めていない。4ビート中心のよく歌うPerry のJazzの中で、どれだけ楽しめる今のJazz Organを聴かせてくれるのかといったところ。

イメージは、予想していた通りの音楽、フルバンド出身という過去を持つPerryのテナーは、キャリア豊富な確かな技術を下地として余裕とリラックスの中、実に
よく歌い、心地良いスウィング感を振りまいている。今、自分が求めている世界ではないが、ここはヤボなことは言いっこ無し、無になって楽しむ、そういう
Jazzだ。この種のテナーも、かつてはよく聴いていたこともあり、どっぷり浸かっていた時代もあったのだが、久しくごぶさたしていたこともあり、新鮮に耳に
入ってくる。王道系とは、いっても、そこは今を生きるテナーマンということで、そのプレイには絶えず、今の空気感を漂わせており、古い、辛気くさいといった
ような印象は無く、これが今のメインストリームを行く、スタンダード な音と言ってよいのだろうか。

そんな王道を行くJazzの中で、Versaceもバッキングにソロに、実に安定したプレイを見せている。デビュー当時には、音出しに安定を欠くといったようなこと
も、わずかに感じるようなこともあったが、こうした少々のことではブレない、どっしりした安定感あるオルガンを聴くにつけ、それだけ成長してきているという
ことなんだね。
元来、メロディメイキングにも長けた Versace だけに、いずれもソロは、アイデアとともに均整のとれたものとなっており、Perryの音楽の質もあり、
自身それを楽しむといった余裕もあるのか、本作では、楽しめるJazzとして、手堅い1枚に仕上がっている。

ということで本作は、あくまで参加作ということで、これはこれで良いのだが、久しく出してない、オルガニストとしてのリーダー作、そこでは、自分の色、
そして方向性を全面的に出し、コンテンポラリー系オルガニストとして、進化した姿をぜひ見せてもらいたい。それが彼の本来のシゴトであり、そこで
結果を出してこそ評価されるというものだろう。
こういったコンテンポラリー系オルガンの流れのど真ん中にいた Versace, Yahel, Goldings......などにあまり新作リリースがなく、活気に乏しいという
状況は、オルガン界全体の停滞感にもつながり、芳しい状況ではないのだが、彼らの奮起とともに、流れを変える新種の感性の出現にも期待したい。

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JAZZ-sax 69
Rich Perry

Category: sax (第2期)  

Rudresh Mahanthappa & Steve Lehman / Dual Identities

 DualIden-2.jpgDualIden-3.jpg

Rudresh Mahanthappa (as)
Steve Lehman (as)
Liberty Ellman (g)
Matt Brewer (b)
Damion Reid (ds)

Recorded on March 6, 2009 at The Braga Jazz Festival
CF172CD (clean feed) 2010

01. The General
02. Foster Brothers
03. SMS
04. Post-Modern Pharaohs
05. Extensions of Extensions of
06. Katcu
07. Circus
08. Reasonance Ballad]
09. RudreshM
10.1010
11. Dual Identities

リリース当時、買い逃し、その後の流通状況もあり、購入のタイミングにも恵まれないなどで、気にはなっていたが、そのままになっていた本作、Liberty Ellman
が参加していることもあり、私的には、どうしても聴いておかなければならない1枚ということで、あらためて調べてみたら、どうも廃盤になっているらしい。
ということで、これまで蓄積されたノウハウをフルに活用し、いろいろあたるなどしていたら、運良く入手することができた。

そんなことで、やっと出会えた甲斐もあり、中味の方は、なかなか凄いことになっている。
Mahanthappa曲4 と Lehman曲5 に2人の共作曲1、それに Ellman曲1を加えて全11曲というつくりになっているが、濃い。
超攻撃的なアルトが、2人絡み、かつライブということで、まさに殺気が乱れ飛ぶ凄まじい現場になっている。
押しつぶしたような音圧の高さを感じるMahanthappaのアルトがうねりまくる。音の外見上の印象とは違い、芯はピュアで、もしかしたらそんな風に受け取る
のも自分だけかもしれないが、何か神々しいものさえ漂う。昔、Coltraneのテナーに一時期感じたあの感覚だ。
Lehmanは昔、Mahanthappaのアルトに衝撃を受け、自身のアルト奏者としての形成に大きく影響したらしい。そんなこともあるのか本作でのLehmanには、
他作とは、ちょっと違ったものが感じられ、2人のアルトは、あたかも心のレベルまで同化してるかのように、判別しがたいものもあるのだが、だからこそのこの
音楽のクォリティでもあるのだろう。それでも、わずかに太さがあるのがMahanthappaか。

そんなことで、双頭バンドの2人ばかりにスポットを当ててしまいがちだが、間に挟まれながらも、2人がベストショットを出せる環境づくりと、2人にさらなる
イマジネーションのきっかけを煽るようなソロで、Ellmanのシゴトぶりも光る。
バッキングにソロに、妖しいというより怪しい、その音使いが、2人のリーダーの発する音にプラスの効果をもたらし、実に良くフィットしているのである。
冷静沈着な2トップへのアシスト、微妙に含む汚れ感、そして秘めた破壊力、キマリだ。
Mahanthappaは、Rez Abbasi や David Fiuczynski など、ギタリストとの絡みはあるが、私的には、感性面で本作でのEllmanに最もフィット感を感じて
いる。また、以前とは、違った形も見せ始めている今の Abbasiにも期待させられるものがあり、今後、共演があるのか、その辺も気になるところだ。

Matt BrewerそしてDamion Reidも共に良し、私的には、やはり避けて通れない必聴の1枚だった。

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JAZZ-sax 68



Category: sax (第2期)  

Jon De Lucia Group / Face no Face

  Jon De Lucia (as, ss)
  Nir Felder (g)
  Leo Genovese (p)
  Garth Stevenson (b)
  Ziv Ravitz (ds, bells)
  Sumie Kaneko (koto & shamisen - track 5 only)

  JM 506-001 (Jonji Music) 2006

  1. The Glass Bead Game
  2. Emptiness
                     3. Really
                     4. Amir, The Brain Kid
                     5. Edo Komoriuta
                     6. Yugen
                     7. The Open Eye
                     8. I Wish I Knew

先日、Nir Felder のライブがあったこともあり、特に予習というわけでもないが、ちょっと耳ならしに彼の関連作などをいくつか聴いていたので、ついでに
1枚、記事としておきます。
本作も購入当時は、Nir Felder参加が購入のきっかけとなっているのだが、そのFelder以外は購入時点では、全員知らない面々、しかも若手らしいという
ことで、こういうパターンは、知らない感性との出会いを求める自分にとっては、何が飛び出すかわからないワクワク感もあり、望むパターンということで、
けっこうな期待感とともにゲットしたのを記憶している。その後ピアノのLeo Genoveseは、Esperanza Spalding関連作で、ドラムスのZiv Ravitzは、
生で聴く機会もあり、いずれも将来性ある才能との印象を持っている。

さて、このリーダーとなっている Jon De Lucia、英語圏ではないような名前とともに、曲名に日本をイメージさせるようなものが混入していたり、楽器編成
にも和の楽器がクレジットされていたりということで、購入時点では、そのキワモノ的イメージへの多少の不安もありましたが、聴いてみればコンテンポラリー
系のサックス奏者として極めて真っ当な音を出してます。しかも個性もしっかり備わってます。
Greg Osbyに指事した過去があるようで、なるほどそんな匂いも漂わせています。
FelderもOsbyとは共演も多いということで、本作へのFelder参加もそのOsbyつながりということで実現したんでしょうか?、あるいはこれがきっかけで
Osbyとつながったのか?、まあそんなところでしょう、たぶん。
特にアルトでは、速いフレーズを多用するという奏者も多く、その辺が、速射性に優れたアルトの一つの魅力とも言えますが、このLuciaは、そういったタイプ
ではなさそうです。決して極端ではないが、ややダーク寄りの屈折感と妖しさある感性は、なかなかいい塩梅、共演者としてNir Felderを選択しているのも
うなずけます。表舞台には、Jon De Luciaというな名は、ほとんど上がってきませんが、一般受けしないんでしょうね、たぶん。もったいないことです。
アルゼンチンのピアニストLeo Genoveseの生きのいいプレイも光る。

本作でのNir Felder、シーンにデビューして間もない頃ということもあるのか、勢いがあります。多少の荒さはものともしない個性の強いプレイぶりが、若さと
ともに可能性を感じさせる。この頃の尖ったラフさもあるギターワークを聴いていると、今現在の彼のプレイも多少丸くなったとの印象も持ちますが、それは
洗練された、あるいは進化したことによる結果なのか、その辺はまだちょっと判断しかねてます。
いずれにしても、自分の色が出やすいリーダー作が、一般ウケの悪かったデビュー作しかなく、参加作だけでは彼のギターを知る材料としては物足りないことも
あり、次のリーダー作が、待ち遠しいところでもある。

ということで、判断材料も少ない今現在の彼を知る上で、またとないチャンスでもあり無理もある状況でしたが、Nir Felder Trio ライブ 行ってきました。
メンバーは、Nir Felder(g) Orlando Le Fleming(b) Jimmy Macbride(ds)。
結論から言ってしまえば、目の前の現在の彼のギターには、共感できない部分が多々あったが、同時に今後の変化しだいで大きな可能性も感じられたという
のが率直な感想です。ある程度予想はしてましたが、らしいです。
嵐のようなフレーズがのべつ幕無し持続するという展開があまりにも多く、まだ耳慣れしてない最初の1〜2曲は、スゲーっ、てな感じで見てましたが、これが
全編これとなると、その単調な展開に正直飽きる。これは、極端ではないにしろ、現在のコンポラ系の他のギタリストにも少なからず見られる傾向で、時代の
流れとも言えるのかもしれないが、緩急の使い分けを、表現に取り入れることができれば、音楽もより豊かなものになるとも思える。緩があって急が生きる、
急があって緩が生きるというものだろう。いくら160kの球でも、そればかりで押したら、目も慣れて速さも感じなくなり打たれてしまう。世の中、他の多くの
ことにも共通してることだが、この出し入れをいかにコントロールできるかが、シゴトのクォリティに関わってくる。
音楽の質感としては、どこか西海岸も感じさせるカラっと明るめのテイストで、その辺は昨年リリースのデビュー盤にも通じるようなものもあるのだが、音楽
の方向性は、グループとしてトータルなサウンドで勝負といった感じでもなく、それはトリオという編成がそうさせたと見ることもできるが、常にFelderが先頭
に立って引っ張るワンマン性の強いものと感じた。

高いポテンシャルも感じるNir Felder、おそらく自身もこの現状を良しとは思っていないはず、私的にも、これを模索そして過程のものとして受け止めたい。
ここを突き抜けた先に、いったい何が出てくるのか、そんな期待も持たされる生でもあった。
自分の好みに大きく関わるという感性面では、参加作で時に見られる妖しい質感を感じるような場面はなく、明るいとまではいかなくとも、そこそこ明るい
イケイケのプレイぶり、全くの私的好みで言えば、アーティストとしては、ダークなアウトローであってほしいなどと思っていたのだが、実際の彼は、育ちの
良さとアタリの柔らかさも感じられるとてもイイ人、それはそれでいいんだけれど、ちょっとアーティストとしてのイメージ壊れたかなぁw
私的には、あまり時代の流れを意識した活動であってほしくないとも考えている。それを意識し過ぎれば、結局はそこを超えた突出したものは生まれない。
今回のLive、Nir Felderの今現在の状況には満足できないものもあったが、近年、生の体験をしてきた Kreisberg, Moreno, Lund, Hekselman.......
.............など、近いエリアで活動する若手のコンポラ系ギタリストの中でも、もしかしたら大きな成果を残すかもしれないという、こと可能性という点では
最も強いものを感じたのだが、そんなポテンシャルも感じられる才能だけに、可能性のまま終わらせないためにも、まずは思うがままに突っ走ってほしい
ものだ。

JAZZ-sax 67
Nir Felder


Category: sax (第2期)  

Dayna Stephens / A Week Ago Today

  Dayna Stephens (ts)
  Andre Sumelius (ds)
  George Kontrafouris (org)
  Teemu Viinikainen (eg)
  Mikko Innanen (sax - 4)

  PCD110 (PROPHONE) 2011

  1. Paterson Falls
  2. The Ritual and The Blues
  3. Our World
                     4. The Wong Song
                     5. Pacific Coast Highway
                     6. Dah-Dot-Dah
                     7. Village Nights
                     8. A Week Ago Today

本作はアルバム名義人がはっきりしない。プロデュースはドラムス担当のフィンランドのAndre Sumeliusでもあり、彼ら2人の双頭名義といったものなの
かもしれないが、一応パーソネル先頭に表記してあるDayna Stephens(B1978)にしておきます。
内容はStephens曲7、Kontrafouris曲1、Sumelius曲1の全8曲。

ということで、バックを全て欧州系ミュージシャンが務めているが、ゲストのMikko Innanenを除き全て未聴の面々。未知の感性との出会いを求める私と
しては、こういうパターンは望むところでもあり、購入の強い動機ともなっている。特にStephensのバックということで、コンポラ系も予想されるギリ
シャのピアニスト兼オルガニスト George Kontrafouris(B1967)やギターの Teemu Viinikainenなどは、関心の向くところである。
Sumelius がブレーク前といった時期のStephensと共に米国で活動したことがきっっかけで、Sumeliusの声かけでフィンランドのPROPHONEレーベル
でのレコーディングとなったようだ。2011年である。

一聴して、内容は今のメインストリートを行く、尖った部分も特になく無になって気持ち良く聴けるといった音楽に仕上がっている。
Stephensのテナーは、ミディアム、スローと終始安定したプレイで若手ながらベテランの雰囲気さえ感じるのだが、私的イメージでは、本作においてそれ
ぞれの曲の道筋、カラーを指し示すといった感じもあり、曲のハイライトといった部分ではKontrafourisのオルガンやらViinikainenのギターに見せ場を
つくるといった印象もある。
それだけに、私的には初顔合わせとなり関心もあったKontrafourisやViinikainenが目立った展開も多いのは、それはそれで良いのだが、ガツンと攻めの
プレイをするStephensにも出会いたかったのである。

ということでバックを固める面々のプレイも良く、楽しめる内容となっている。
まず、ほとんどエフェクト処理をしないでアコースティックに近いナチュラルトーンが印象的なTeemu Viinikainenのギターが良い。北欧圏のギタリスト
と思われるが、その端正、シンプルな響きはクールになり過ぎることもなく適度な温度感とともによく歌っている。技術面でもしっかりしたものが感じられ、
この透明感もある感性の質は、やはり米国では生まれないタイプだろう。
そしてオルガンのGeorge Kontrafouris、ピアノが本職でオルガンは、どうせ片手間だろうなどと甘く見ていたのだが、これがどうして予想していた以上
のクォリティだ。クールに走り過ぎることもなく、適度にジャジーさも入り、バッキング時に時折感じられる濁り成分の音使いがダーティーなテイストも
感じられるなど本作でのStephensの音楽の質にもフィットしており、その辺もこのKontrafourisのセンスなのだろう。
現在コンテンポラリー系の第一線でやっている他のオルガニストと比べても遜色ないポテンシャルも感じられ、これまで耳にする機会がなかったのが不思議
なぐらいだが、年令的にはLarry Goldingsなどと同年代でもあり、これまでの音楽環境によっては、現在の状況も全く違ったものになっていたのではない
だろうか。
常々言ってることだが、即興性も強いJazzにおいては共演者の刺激によって自らの感性が開発される部分も大きい、そういった環境を自ら求めていく前向
きな姿勢は進化には不可欠である。

JAZZ-sax 66

Category: sax (第2期)  

Archie Shepp / Blue Ballads

  Archie Shepp (ts, ss, voc)
  John Hicks (p)
  George Mraz (b)
  Idris Muhammad (ds)

  Recorded at ClintonStudio "A" on November 24 & 25, 1995 in N.Y.
  TKCV-79307 (Venus)

  1. Little Girl Blue
  2. More Than You Know
  3. Blue in Green
                     4. Blue and Sentimental
                     5. Cry Me a River
                     6. If I Should Lose You
                     7. Alone Together

Archie Sheppは現在、頻繁に聴くことはない、しかし定期的に聴かなければおさまりがつかないという長年に渡り細く長くつき合っているという数少ない
ミュージシャンである。いろいろな音との出会い、そして時の流れとともに、自分の好みや感性も変化してきているのだが、その変化のリズムやスピード
がそのミュージシャンと合わないと、自然そこから気持ちは離れていく。そういう意味ではSheppとは、お互い変化しても、どこか感性の通ずる部分が
あるのかもしれないが、その辺、自分てもよくわからないのである。まあ、腐れ縁というやつなのかもしれない。

さて余計なことはそのぐらいにして、Sheppの90年代後半からのVenusにおけるBallad4部作の第1弾となったのが本作である。
例によってSheppのイメージにそぐわないVenusの勘違いなジャケットで、Impulse時代からの長年のSheppファンとしては納得できないものもあるのだが、
内容の方は、そんなレーベルの商売上の方針にも染まることもなくSheppは、きっちり自分の色を出しており、流されないハートの強さも見せているのは、
うれしいところである。

とかく後期Sheppには、かつての覇気が薄れたとか、その代表的なものとしてこのVenusのレーベルイメージも手伝って、本レーベルの4部作も批判の的に
なることも多いのだが、そんな不必要なイメージに惑わされることなく素直にプレイに向き合えば、しっかり応えてくれる内容だ。
実際この近辺の他作と比べてもこのVenusにおけるSheppのプレイは、充実したものとなっており、特に本作の次作にあたる "True Ballads" は、
Tenor Ballad として誠に魅力的なプレイが集中しており、私的には後期Sheppを代表する一枚と考えている。

60年代、血気盛んな若かりし頃のSheppは、伝統を破壊するかのような激しさを見せていたが、いつしかその壊してきたものの重さに気ずき、その壊して
きたものをあたかも再創造しているかのようにも見え、特に後期に印象的なBalladプレイのゆっくりとした流れの中、一音一音噛み締めるかのようなブレイ
の中にそれが感じられるのだ。
Sheppの昔のイメージから今をユルいと見る向きも多いのだが、攻めの姿勢の結果としての変化であり、そのゆったりした流れの中に潜む激しさ、凄みは
変わることなく維持している。
変化することを恐れることなく突っ走ってきた一人のテナーマン、その変化をしっかり受け止めたいと思っている。

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JAZZ-sax 65
Archie Shepp

Category: sax (第2期)  

Dayna Stephens / New Day - The Emeryville Sessions Vol.3

  Dayna Stephens (ts)
  Joe Cohn (g - 1, 3, 5, 6, 9)
  Sam Dickey (g - 2, 4, 7, 8)
  Joe Bagg (org - 1, 3, 5, 6, 9))
  Wil Blades (org - 2, 4, 7, 8))
  Akira Tana (ds)

  Recorded September 17, 2007 and October 18, 2011, CA
  VEGA00003 (VEGA MUSIC)

  1. Grapes
                     2. Wil's Way
                     3. Blue in Green
                     4. New Day
                     5. Sugar
                     6. The 101
                     7. Bugues Life
                     8. Green Dolphin Street
                     9. You Stepped Out of a Dream

テナー奏者 Dayna Stephens(B1978)の作には、オルガン絡みのものがいくつかある。ピアニスト Gerald Claytonが参加した"I'll Take My Chances"
でもClaytonがめずらしく一部でオルガンを弾いたりしており、Stephens自身、オルガンとの相性の良さも感じているところもあるのだろうか。
本作は、低知名度ながら好きなオルガニスト Joe Bgg参加が魅力だった盤。前にも書いたような気もするがBaggはこれまで、旬の存在とも言えるような
ミュージシャンとの共演が少なく、それがために力はあるが低知名度といった現在の状況につながっているようにも思う。なので、ブレイク前といった時期
の録音とは言え、 Dayna Stephensという今現在の若手テナー注目株とも言える存在との共演といった状況はめずらしく、その点でも私的注目盤となって
いた。

内容は、レーベル関係者私邸でのセッションを記録したものらしく、リラックスした中でストレートにプレイしたといった印象のものがほとんど。
そういった状況そして時期的なものもあるのか、Stephensのプレイは、今現在の彼と比べてしまうとややもの足りないものもあり、普通の人といった
印象も持つ。その辺は、この参加ギタリストのコンセプト、カラーといったところも多分に関係しているようにも思え、目指す音楽の方向性の違いから、
それが全体として前に進むことそして創り出すことへの覇気にやや欠けたといった悪い方が出てしまっているようにも思える。
先進性あるコンセプトを持ったギタリストが入ることにより、音楽もだいぶ変わるとも思えるが、状況から彼ら自身、リラックスの中で楽しむといった質の
音楽になっているのだろうか。Stephensのプレイは、しなやかさもあり決して悪いというものでもないのだが、たとえこの時期のそういった状況のプレイ
ではあっても先につながる何か光るものがといったものも正直期待していただけに、Stephensの力量を考えるとその点ちょっともの足りないものが残る。

さて、本作のバックを務めるドラムスのAkira Tanaは通してだが、録音日の関係でオルガンとギターのコンビに2パターンあり、Joe Baggのオルガンは
もちろんだが、若手オルガニスト Wil Blades が参加ししているのも興味をひく。
Baggのオルガンは、いつも通り安定した巧さを見せている。前述の通り、Baggは旬の存在との共演に恵まれていない、それがためにいいオルガニストで
あることはわかっているのだが、共演者から引き出されるという部分でその潜んでいる能力を図りかねていたところもあり、その意味でこのStephens
との共演には期待していたものもあったのだが、本作でのStephensは、Baggから新たなものを引き出す刺激にはなっていないのが残念だった。
そんな状況ながら、終始、一定の高い質を保ったプレイをするJoe Baggというオルガニストの性格みたいなものも見えるような気がするが、常に安定して
平均点をクリアーするようなプレイを私的には望んでいるわけではなく、たまには自身の最高到達点を超えるようなドデカイ一発、そこに挑む姿勢を見せて
ほしい。そのためにも刺激剤となる共演者との出会いは不可欠だ。

Wil Blades は、まずまずのプレイはしているが、本作時点ではまだ図りかねるといったところ、若手コンテンポラリー系オルガニストとして、今後どう
変化していくのか、見守りたい。

JAZZ-sax 64

Category: sax (第2期)  

Gorka Benitez / Gasteiz

  Gorka Benitez (ts, fl)
  David Xirgu (ds)
  Ben Monder (g)

  Recorded at Vitoria-Gasteiz Jazz Festival, July 16, 2012
  FSNT441 (Fresh Sound) 2014

  1. A Marte Otra Vez
  2. El Duelo
  3. Pan Duro
  4. Una Y Mil Veces
                     5. Falsa Calma
                     6. Goazen (Vamos)
                     7. Idoia
                     8. Silbable

Gorka Benitez(B1966)はスペインのsax奏者、これまでにもギターのBen Monder(B1962)とは度々共演があるが、本作ではジャズフェスでのライブ、
そしてベースレスのサックス-ギタートリオとやや変則的な編成の中でどんな音楽をやっているのか楽しみなところである。

Gorkaのtsには、全編に渡ってというわけでもないのだが、米国系のテナー奏者とは明らかに違う、スペインという土地の匂いやら哀愁といったものが
曲により色濃く感じられる。そういったNYコンテンポラリーとは異質の言わば土の香りのする音楽は、彼の個性でもあり魅力ともなっているのだが、
それだけにそれはそのまま好みの分かれるところとなるのかもしれない。
私的には、かなり自由にゴリゴリ押したり、かと思うと哀愁漂う素朴感もある美メロが出てくるなど、剛柔使い分けるGogkaのテナーそしてより土着性が
出るフルート、なかなかおもしろい存在だと感じている。

Monderは、Gorkaを前面に立て、裏方に回るといった展開を基本としているのだが、こういった編成なのでコードプレイやベースレスをカバーするべく
低音部を使ってのラインなど終始あわただしい動きを見せており、しかもGorkaのソロがない時は、ドラムスとのデュオということで、本作の音楽に
おいては、そのベーシックな環境づくりという点でMonderの果たしている役割は大きいものがある。
そんなことで、近年の他作では、あまり聴けないスタイルのMonderに接することができたという点で意味のある一枚でもあった。

dsのDavid Xirguは、長年Gorkaとは活動を共にすることも多いのだが、この3人というミニマルな編成の中で、他の2人にもう少し刺激を与えられる存在で
あったなら音楽もだいぶ違ったものになっていたような気がしないでもない。

JAZZ-sax 63
Gorka Benitez

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