前向きに Jazz!

日々進化し続けるJazzとともに歩んできた終わりのない旅

Sort bysax (第2期)

Category: sax (第2期)  

David Ambrosio / Gone

  David Ambrosio (b)
  Loren Stillman (as)
  Russ Meissner (ds)

  Recorded at Tedesco Studio’s, in Paramus, NJ, on December 18, 2012
  FSNT440 (FRESH SOUND NEW TALENT) 2014

  1. The Proof is in the Pudding
  2. Verse
  3. Let it Go
  4. Matters of Fact
                     5. Gone
                     6. Brahmin
                     7. Her Love was Like Kryptonite

ベーシスト David Ambrosio のリーダー作ながら、アルトサックス奏者 Loren Stillman(B1980)目当てのゲットだったこともあり、カテゴリ ”sax” の記事
とします。
リーダーの David Ambrosio は、NYをベースに活動してきたキャリアも豊富なベーシストだが、ビッグネームとの共演が比較的少なめで、地味な印象もある
せいか、キャリアの割には知名度が低く、アンダーレイテッドされるタイプと言えるのかもしれない。
当ブログでは、参加作 “Vinnie Sperraza / Peak Inn” で記事歴があるが、やはり他の過去作などを見ても、同じように、力があっても知名度が伴わないと
いったマイナーな匂いのある共演者とのつき合いが多いようにも思うのだが、その辺は、当方としてはあまり関係ないことで、むしろそういった地味な活動は、
売る、売れないといった世界とは距離を置いたところでの音づくりのイメージにもつながり、アーティストとしての好感度は高い。
もっとも、好感度が高くても、それが音楽としての結果につながらなければ、意味はないのだが.......................。

さて、内容の方だが、リーダーのAmbrosioを差し置いて、Stillman曲4、Ambrosio曲2、Meissner曲1とStillmanのオリジナルが半分以上を占めており、
その辺からも、本作の方向性みたいなものが感じられるような気がする。

目当てのStillmanだが、それなりにキャリアもあるので、ベテラン的イメージも持ってしまうが、若くしてシーンにデビューしているので、まだ35歳という
ことで、この世界では、若手と言っていい歳だ。
元々、Konitzの影も感じられた彼のアルトは、現在のコンテンポラリー・アルトサックス・シーンでは、少数派とも言っていいスタイル。フルトーンでハード
に攻めるよりも、熱くなり過ぎることもなく、あくまでクールに、思索的にソフトトーンでのヒネリの入った語り口が持ち味。
参加作ではあるのだが、本作でも彼を中心に据えた形をもって、彼のアルトは、いつもの彼よりは一見ストレートぎみとも見えるのだが、微妙に複雑に絡む
リズムの中でソフトトーンでの語り口には、やはり微妙にトゲも感じられる辛口テイストのものとなっている。
一見ふつうのストレートだから、いつでも打てると思っていたら、その微妙に変化してくるクセ球に、気がついてみればゲームも終盤になるというのに、完全
に抑えられてしまったという感じだ。
そんなことで、ヘンな例えになったが、まさに地味ながらそんな感じで、繰り返すほどに味の出てくる一枚だ。
そういう意味では、地味系のリーダーの持ち味もよく発揮された一枚とも言えるのかも。
本作を聴いて、やはり同じように地味系ベーシストのリーダー作にStillmanが参加した一枚 “Arthur Kell / Jester” を思い出した。

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JAZZ-sax 72
David Ambrosio
Loren Stillman

Category: sax (第2期)  

Joe Manis / The Golden Mean

  Joe Manis (ts, bcl)
  George Colligan (Hammond B3 organ, Fender rhodes)
  Lillie Manis (viola)
  Kevin Congleton (ds)

  Recorded September, 2014
  SCCD 33120 (SteepleChase) 2015

  1. Threee four for Three
  2. Black Hole Sun
  3. Shorter Story
                     4. Broadway
                     5. Paw-Paw
                     6. Goldfinger
                     7. It Don’t Mean a Thing
                     8. Ellery’s Song Flute

2009年にアルバム"Evidence"でデビュー以来、リーダー3作目となる本作は、前SteepleChase作 “North by Northwest(2013)” のメンバーに
Lillie Manis (viola) が加わっており、私的には George Colligan のオルガンでの参加も魅力となっている。

前作では、Coltraneを通過してきたテナー奏者といった程度の印象だったその2年前と比べると、プレイにも自信とともに力強さも感じられ、音楽も
全体の印象として、小細工なしの全球直球勝負、ハードに押すストレートなJazzといった一枚に仕上がっている。
ほとんどオルガンで勝負している Colligan も、元々こういった展開は得意でもあり、左手のベースラインが生み出す強烈なドライヴ感をベースに
ゴリゴリと攻めるハードプレイは、Colliganらしさがよく出ている。

そんな中で、M6”Goldfinger” に他曲との違和感が、また曲の中でもテーマ部に対してアドリヴパートのハードブロウに違和感が残る。
007シリーズでも大ヒットして世界的にもポピュラーとなっているこういった曲は、リスナーそれぞれが自分の中に固まったイメージを持ってしまっており、
演る方としては、それだけにハードルが高くなってしまい、多くのリスナーを納得させるのも至難の技になってしまう。
この1曲が入ったことにより、アルバム全体の印象が変わってしまったのは残念だ。もちろん、当然のことながら、逆にこれがいいと感じる人もいるのだろうが、
様々な受け取りがあるというのが正常な姿ではあるが...........。

まあ、私的には、そんなちょっとしたつまずきもあった本作だが、トータルに見れば現代の正統派テナー奏者として魅力ある存在になってきたJoe Manisに
満足できる一枚だった。
そんな Manis の力量を考えれば、知名度がもう少しUPしてもいいんじゃないかとも思うのだが、その辺は、彼がオレゴンを拠点とした活動をしているといった
ことも大きく関係しているように思う。先を行くミュージシャンとの出会い、そして他流試合により、自身から引き出されたものから何かが変わってゆくといった
ことも、特に期待できる時期だけに、そのタイミングを逃してほしくないとも思うのだが、まあ、家庭の事情やら何やら、いろいろとしがらみもあるのでしょう。

Jazz-sax 71
Joe Manis

Category: sax (第2期)  

Greg Osby / 9 levels

  Greg Osby (as, ss)
  Sara Serpa (voice)
  Adam Birnbaum (p)
  Nir Felder (g)
  Joseph Lepore (b)
  Hamir Atwai (ds)

  INCM 001CD (Inner Circle Music) 2008

  1. Principle
                      2. Torerance
                      3. Humility
                      4. Truth
                      5. Less Tension Please
                      6. Resilience
                      7. Two of One
                      8. Innocence
                      9. Optimism          All compositions by Greg Osby except Track 5 & 7

しばらく前、 Nir Felderのライブ があったこともあり、彼参加作ということで久しぶりに引っぱり出して聴いていたら、Osbyワールドにハマってしまい、ダラ
ダラと繰り返しては、聴いていたという本作。
全9曲中7曲がOsbyの手によるもの、自らのレーベル(Inner Circle Music)を立ち上げて1発目のアルバムが自身作ということで、本人の強い思いも感じら
れる作品となっている。
心地良い voice も入ったりして、ながらでサラっと聴いてしまうと、そのまま流れていってしまうようなテイストもある音楽だが、ふと耳にとまった気になる部分
を繰り返したりすると、聴くたびに気になる部分が増えていき、気がついたら、すっかり深みにハマってしまい、抜き差しならない状態にといったような作品だ。

ややダークでクールにコントロールの利いたOsbyのプレイは、都会的でもあり、センスがほとばしる。良い時、そうでない時とちょっとムラっ気も感じられる
Felderのギターも妖しげな気をふりまき、持ち味を出し快調。地味ながら好プレイが光る Birnbaum のピアノ。楽器ライクな使われ方で本作のカラー創出に
大きく貢献した Sara Serpa のヴォイス。それらをベースでしっかり支える Lepore と Atwai のコンビ..........と個々のソロ、プレイは、もちろんなのだが、
やはり、それら個を生かし全体をトータルなサウンドとして、緻密に創り上げたOsbyの手腕が光る一枚、そういう捉え方をしている。

そんな丁寧かつ緻密な計算のもとに創り上げられた、そしてある意味、余分な刺激となる部分は、ある程度、フィルターを通してコントロールされた、そういった
部分でのセンスに溢れたと感じるのだが、反面、刺激は刺激として尖ったままのものも聴いてみたいというのが、私的感性の求めるところでもあるのだが..........

JAZZ-sax 70
Greg Osby

Category: sax (第2期)  

Rich Perry / Organique

  Rich Perry (ts)
  Gary Versace (Hammond B-3 organ)
  Jeff Hirshfield (ds)

  Recorded February 2014
  SCCD 31805 (SteepleChase) 2015

  1. Toys
  2. I Didn’t Know What Time It Was
  3. Afternoon in Paris
  4. Without a Song
                     5. Thad’s Pad
                     6. Dance of the Infidels

オルガニスト Sam Yahel(B1971) と同じく、久しくオルガニストとしてのリーダー作が途絶えているという Gary Versace(B1968) だが、王道系テナー
Rich Perry のリーダー作参加ということで、私が求める本来の彼の形ではないのだが、少しでも今の状態を知りたいということでゲット。
全6曲、おなじみのジャズメン曲を中心に Perry のオリジナルはない、他作でもスタンダード中心にいい味を出す彼らしい、いつもと変わらぬスタイルだ。

リーダーが王道系テナーということで Versace のオルガンにも、彼本来のコンテンポラリー系オルガニストとして、そこに先進感みたいなものは、本作には
求めていない。4ビート中心のよく歌うPerry のJazzの中で、どれだけ楽しめる今のJazz Organを聴かせてくれるのかといったところ。

イメージは、予想していた通りの音楽、フルバンド出身という過去を持つPerryのテナーは、キャリア豊富な確かな技術を下地として余裕とリラックスの中、実に
よく歌い、心地良いスウィング感を振りまいている。今、自分が求めている世界ではないが、ここはヤボなことは言いっこ無し、無になって楽しむ、そういう
Jazzだ。この種のテナーも、かつてはよく聴いていたこともあり、どっぷり浸かっていた時代もあったのだが、久しくごぶさたしていたこともあり、新鮮に耳に
入ってくる。王道系とは、いっても、そこは今を生きるテナーマンということで、そのプレイには絶えず、今の空気感を漂わせており、古い、辛気くさいといった
ような印象は無く、これが今のメインストリームを行く、スタンダード な音と言ってよいのだろうか。

そんな王道を行くJazzの中で、Versaceもバッキングにソロに、実に安定したプレイを見せている。デビュー当時には、音出しに安定を欠くといったようなこと
も、わずかに感じるようなこともあったが、こうした少々のことではブレない、どっしりした安定感あるオルガンを聴くにつけ、それだけ成長してきているという
ことなんだね。
元来、メロディメイキングにも長けた Versace だけに、いずれもソロは、アイデアとともに均整のとれたものとなっており、Perryの音楽の質もあり、
自身それを楽しむといった余裕もあるのか、本作では、楽しめるJazzとして、手堅い1枚に仕上がっている。

ということで本作は、あくまで参加作ということで、これはこれで良いのだが、久しく出してない、オルガニストとしてのリーダー作、そこでは、自分の色、
そして方向性を全面的に出し、コンテンポラリー系オルガニストとして、進化した姿をぜひ見せてもらいたい。それが彼の本来のシゴトであり、そこで
結果を出してこそ評価されるというものだろう。
こういったコンテンポラリー系オルガンの流れのど真ん中にいた Versace, Yahel, Goldings......などにあまり新作リリースがなく、活気に乏しいという
状況は、オルガン界全体の停滞感にもつながり、芳しい状況ではないのだが、彼らの奮起とともに、流れを変える新種の感性の出現にも期待したい。

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JAZZ-sax 69
Rich Perry

Category: sax (第2期)  

Rudresh Mahanthappa & Steve Lehman / Dual Identities

 DualIden-2.jpgDualIden-3.jpg

Rudresh Mahanthappa (as)
Steve Lehman (as)
Liberty Ellman (g)
Matt Brewer (b)
Damion Reid (ds)

Recorded on March 6, 2009 at The Braga Jazz Festival
CF172CD (clean feed) 2010

01. The General
02. Foster Brothers
03. SMS
04. Post-Modern Pharaohs
05. Extensions of Extensions of
06. Katcu
07. Circus
08. Reasonance Ballad]
09. RudreshM
10.1010
11. Dual Identities

リリース当時、買い逃し、その後の流通状況もあり、購入のタイミングにも恵まれないなどで、気にはなっていたが、そのままになっていた本作、Liberty Ellman
が参加していることもあり、私的には、どうしても聴いておかなければならない1枚ということで、あらためて調べてみたら、どうも廃盤になっているらしい。
ということで、これまで蓄積されたノウハウをフルに活用し、いろいろあたるなどしていたら、運良く入手することができた。

そんなことで、やっと出会えた甲斐もあり、中味の方は、なかなか凄いことになっている。
Mahanthappa曲4 と Lehman曲5 に2人の共作曲1、それに Ellman曲1を加えて全11曲というつくりになっているが、濃い。
超攻撃的なアルトが、2人絡み、かつライブということで、まさに殺気が乱れ飛ぶ凄まじい現場になっている。
押しつぶしたような音圧の高さを感じるMahanthappaのアルトがうねりまくる。音の外見上の印象とは違い、芯はピュアで、もしかしたらそんな風に受け取る
のも自分だけかもしれないが、何か神々しいものさえ漂う。昔、Coltraneのテナーに一時期感じたあの感覚だ。
Lehmanは昔、Mahanthappaのアルトに衝撃を受け、自身のアルト奏者としての形成に大きく影響したらしい。そんなこともあるのか本作でのLehmanには、
他作とは、ちょっと違ったものが感じられ、2人のアルトは、あたかも心のレベルまで同化してるかのように、判別しがたいものもあるのだが、だからこそのこの
音楽のクォリティでもあるのだろう。それでも、わずかに太さがあるのがMahanthappaか。

そんなことで、双頭バンドの2人ばかりにスポットを当ててしまいがちだが、間に挟まれながらも、2人がベストショットを出せる環境づくりと、2人にさらなる
イマジネーションのきっかけを煽るようなソロで、Ellmanのシゴトぶりも光る。
バッキングにソロに、妖しいというより怪しい、その音使いが、2人のリーダーの発する音にプラスの効果をもたらし、実に良くフィットしているのである。
冷静沈着な2トップへのアシスト、微妙に含む汚れ感、そして秘めた破壊力、キマリだ。
Mahanthappaは、Rez Abbasi や David Fiuczynski など、ギタリストとの絡みはあるが、私的には、感性面で本作でのEllmanに最もフィット感を感じて
いる。また、以前とは、違った形も見せ始めている今の Abbasiにも期待させられるものがあり、今後、共演があるのか、その辺も気になるところだ。

Matt BrewerそしてDamion Reidも共に良し、私的には、やはり避けて通れない必聴の1枚だった。

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JAZZ-sax 68



Category: sax (第2期)  

Jon De Lucia Group / Face no Face

  Jon De Lucia (as, ss)
  Nir Felder (g)
  Leo Genovese (p)
  Garth Stevenson (b)
  Ziv Ravitz (ds, bells)
  Sumie Kaneko (koto & shamisen - track 5 only)

  JM 506-001 (Jonji Music) 2006

  1. The Glass Bead Game
  2. Emptiness
                     3. Really
                     4. Amir, The Brain Kid
                     5. Edo Komoriuta
                     6. Yugen
                     7. The Open Eye
                     8. I Wish I Knew

先日、Nir Felder のライブがあったこともあり、特に予習というわけでもないが、ちょっと耳ならしに彼の関連作などをいくつか聴いていたので、ついでに
1枚、記事としておきます。
本作も購入当時は、Nir Felder参加が購入のきっかけとなっているのだが、そのFelder以外は購入時点では、全員知らない面々、しかも若手らしいという
ことで、こういうパターンは、知らない感性との出会いを求める自分にとっては、何が飛び出すかわからないワクワク感もあり、望むパターンということで、
けっこうな期待感とともにゲットしたのを記憶している。その後ピアノのLeo Genoveseは、Esperanza Spalding関連作で、ドラムスのZiv Ravitzは、
生で聴く機会もあり、いずれも将来性ある才能との印象を持っている。

さて、このリーダーとなっている Jon De Lucia、英語圏ではないような名前とともに、曲名に日本をイメージさせるようなものが混入していたり、楽器編成
にも和の楽器がクレジットされていたりということで、購入時点では、そのキワモノ的イメージへの多少の不安もありましたが、聴いてみればコンテンポラリー
系のサックス奏者として極めて真っ当な音を出してます。しかも個性もしっかり備わってます。
Greg Osbyに指事した過去があるようで、なるほどそんな匂いも漂わせています。
FelderもOsbyとは共演も多いということで、本作へのFelder参加もそのOsbyつながりということで実現したんでしょうか?、あるいはこれがきっかけで
Osbyとつながったのか?、まあそんなところでしょう、たぶん。
特にアルトでは、速いフレーズを多用するという奏者も多く、その辺が、速射性に優れたアルトの一つの魅力とも言えますが、このLuciaは、そういったタイプ
ではなさそうです。決して極端ではないが、ややダーク寄りの屈折感と妖しさある感性は、なかなかいい塩梅、共演者としてNir Felderを選択しているのも
うなずけます。表舞台には、Jon De Luciaというな名は、ほとんど上がってきませんが、一般受けしないんでしょうね、たぶん。もったいないことです。
アルゼンチンのピアニストLeo Genoveseの生きのいいプレイも光る。

本作でのNir Felder、シーンにデビューして間もない頃ということもあるのか、勢いがあります。多少の荒さはものともしない個性の強いプレイぶりが、若さと
ともに可能性を感じさせる。この頃の尖ったラフさもあるギターワークを聴いていると、今現在の彼のプレイも多少丸くなったとの印象も持ちますが、それは
洗練された、あるいは進化したことによる結果なのか、その辺はまだちょっと判断しかねてます。
いずれにしても、自分の色が出やすいリーダー作が、一般ウケの悪かったデビュー作しかなく、参加作だけでは彼のギターを知る材料としては物足りないことも
あり、次のリーダー作が、待ち遠しいところでもある。

ということで、判断材料も少ない今現在の彼を知る上で、またとないチャンスでもあり無理もある状況でしたが、Nir Felder Trio ライブ 行ってきました。
メンバーは、Nir Felder(g) Orlando Le Fleming(b) Jimmy Macbride(ds)。
結論から言ってしまえば、目の前の現在の彼のギターには、共感できない部分が多々あったが、同時に今後の変化しだいで大きな可能性も感じられたという
のが率直な感想です。ある程度予想はしてましたが、らしいです。
嵐のようなフレーズがのべつ幕無し持続するという展開があまりにも多く、まだ耳慣れしてない最初の1〜2曲は、スゲーっ、てな感じで見てましたが、これが
全編これとなると、その単調な展開に正直飽きる。これは、極端ではないにしろ、現在のコンポラ系の他のギタリストにも少なからず見られる傾向で、時代の
流れとも言えるのかもしれないが、緩急の使い分けを、表現に取り入れることができれば、音楽もより豊かなものになるとも思える。緩があって急が生きる、
急があって緩が生きるというものだろう。いくら160kの球でも、そればかりで押したら、目も慣れて速さも感じなくなり打たれてしまう。世の中、他の多くの
ことにも共通してることだが、この出し入れをいかにコントロールできるかが、シゴトのクォリティに関わってくる。
音楽の質感としては、どこか西海岸も感じさせるカラっと明るめのテイストで、その辺は昨年リリースのデビュー盤にも通じるようなものもあるのだが、音楽
の方向性は、グループとしてトータルなサウンドで勝負といった感じでもなく、それはトリオという編成がそうさせたと見ることもできるが、常にFelderが先頭
に立って引っ張るワンマン性の強いものと感じた。

高いポテンシャルも感じるNir Felder、おそらく自身もこの現状を良しとは思っていないはず、私的にも、これを模索そして過程のものとして受け止めたい。
ここを突き抜けた先に、いったい何が出てくるのか、そんな期待も持たされる生でもあった。
自分の好みに大きく関わるという感性面では、参加作で時に見られる妖しい質感を感じるような場面はなく、明るいとまではいかなくとも、そこそこ明るい
イケイケのプレイぶり、全くの私的好みで言えば、アーティストとしては、ダークなアウトローであってほしいなどと思っていたのだが、実際の彼は、育ちの
良さとアタリの柔らかさも感じられるとてもイイ人、それはそれでいいんだけれど、ちょっとアーティストとしてのイメージ壊れたかなぁw
私的には、あまり時代の流れを意識した活動であってほしくないとも考えている。それを意識し過ぎれば、結局はそこを超えた突出したものは生まれない。
今回のLive、Nir Felderの今現在の状況には満足できないものもあったが、近年、生の体験をしてきた Kreisberg, Moreno, Lund, Hekselman.......
.............など、近いエリアで活動する若手のコンポラ系ギタリストの中でも、もしかしたら大きな成果を残すかもしれないという、こと可能性という点では
最も強いものを感じたのだが、そんなポテンシャルも感じられる才能だけに、可能性のまま終わらせないためにも、まずは思うがままに突っ走ってほしい
ものだ。

JAZZ-sax 67
Nir Felder


Category: sax (第2期)  

Dayna Stephens / A Week Ago Today

  Dayna Stephens (ts)
  Andre Sumelius (ds)
  George Kontrafouris (org)
  Teemu Viinikainen (eg)
  Mikko Innanen (sax - 4)

  PCD110 (PROPHONE) 2011

  1. Paterson Falls
  2. The Ritual and The Blues
  3. Our World
                     4. The Wong Song
                     5. Pacific Coast Highway
                     6. Dah-Dot-Dah
                     7. Village Nights
                     8. A Week Ago Today

本作はアルバム名義人がはっきりしない。プロデュースはドラムス担当のフィンランドのAndre Sumeliusでもあり、彼ら2人の双頭名義といったものなの
かもしれないが、一応パーソネル先頭に表記してあるDayna Stephens(B1978)にしておきます。
内容はStephens曲7、Kontrafouris曲1、Sumelius曲1の全8曲。

ということで、バックを全て欧州系ミュージシャンが務めているが、ゲストのMikko Innanenを除き全て未聴の面々。未知の感性との出会いを求める私と
しては、こういうパターンは望むところでもあり、購入の強い動機ともなっている。特にStephensのバックということで、コンポラ系も予想されるギリ
シャのピアニスト兼オルガニスト George Kontrafouris(B1967)やギターの Teemu Viinikainenなどは、関心の向くところである。
Sumelius がブレーク前といった時期のStephensと共に米国で活動したことがきっっかけで、Sumeliusの声かけでフィンランドのPROPHONEレーベル
でのレコーディングとなったようだ。2011年である。

一聴して、内容は今のメインストリートを行く、尖った部分も特になく無になって気持ち良く聴けるといった音楽に仕上がっている。
Stephensのテナーは、ミディアム、スローと終始安定したプレイで若手ながらベテランの雰囲気さえ感じるのだが、私的イメージでは、本作においてそれ
ぞれの曲の道筋、カラーを指し示すといった感じもあり、曲のハイライトといった部分ではKontrafourisのオルガンやらViinikainenのギターに見せ場を
つくるといった印象もある。
それだけに、私的には初顔合わせとなり関心もあったKontrafourisやViinikainenが目立った展開も多いのは、それはそれで良いのだが、ガツンと攻めの
プレイをするStephensにも出会いたかったのである。

ということでバックを固める面々のプレイも良く、楽しめる内容となっている。
まず、ほとんどエフェクト処理をしないでアコースティックに近いナチュラルトーンが印象的なTeemu Viinikainenのギターが良い。北欧圏のギタリスト
と思われるが、その端正、シンプルな響きはクールになり過ぎることもなく適度な温度感とともによく歌っている。技術面でもしっかりしたものが感じられ、
この透明感もある感性の質は、やはり米国では生まれないタイプだろう。
そしてオルガンのGeorge Kontrafouris、ピアノが本職でオルガンは、どうせ片手間だろうなどと甘く見ていたのだが、これがどうして予想していた以上
のクォリティだ。クールに走り過ぎることもなく、適度にジャジーさも入り、バッキング時に時折感じられる濁り成分の音使いがダーティーなテイストも
感じられるなど本作でのStephensの音楽の質にもフィットしており、その辺もこのKontrafourisのセンスなのだろう。
現在コンテンポラリー系の第一線でやっている他のオルガニストと比べても遜色ないポテンシャルも感じられ、これまで耳にする機会がなかったのが不思議
なぐらいだが、年令的にはLarry Goldingsなどと同年代でもあり、これまでの音楽環境によっては、現在の状況も全く違ったものになっていたのではない
だろうか。
常々言ってることだが、即興性も強いJazzにおいては共演者の刺激によって自らの感性が開発される部分も大きい、そういった環境を自ら求めていく前向
きな姿勢は進化には不可欠である。

JAZZ-sax 66

Category: sax (第2期)  

Archie Shepp / Blue Ballads

  Archie Shepp (ts, ss, voc)
  John Hicks (p)
  George Mraz (b)
  Idris Muhammad (ds)

  Recorded at ClintonStudio "A" on November 24 & 25, 1995 in N.Y.
  TKCV-79307 (Venus)

  1. Little Girl Blue
  2. More Than You Know
  3. Blue in Green
                     4. Blue and Sentimental
                     5. Cry Me a River
                     6. If I Should Lose You
                     7. Alone Together

Archie Sheppは現在、頻繁に聴くことはない、しかし定期的に聴かなければおさまりがつかないという長年に渡り細く長くつき合っているという数少ない
ミュージシャンである。いろいろな音との出会い、そして時の流れとともに、自分の好みや感性も変化してきているのだが、その変化のリズムやスピード
がそのミュージシャンと合わないと、自然そこから気持ちは離れていく。そういう意味ではSheppとは、お互い変化しても、どこか感性の通ずる部分が
あるのかもしれないが、その辺、自分てもよくわからないのである。まあ、腐れ縁というやつなのかもしれない。

さて余計なことはそのぐらいにして、Sheppの90年代後半からのVenusにおけるBallad4部作の第1弾となったのが本作である。
例によってSheppのイメージにそぐわないVenusの勘違いなジャケットで、Impulse時代からの長年のSheppファンとしては納得できないものもあるのだが、
内容の方は、そんなレーベルの商売上の方針にも染まることもなくSheppは、きっちり自分の色を出しており、流されないハートの強さも見せているのは、
うれしいところである。

とかく後期Sheppには、かつての覇気が薄れたとか、その代表的なものとしてこのVenusのレーベルイメージも手伝って、本レーベルの4部作も批判の的に
なることも多いのだが、そんな不必要なイメージに惑わされることなく素直にプレイに向き合えば、しっかり応えてくれる内容だ。
実際この近辺の他作と比べてもこのVenusにおけるSheppのプレイは、充実したものとなっており、特に本作の次作にあたる "True Ballads" は、
Tenor Ballad として誠に魅力的なプレイが集中しており、私的には後期Sheppを代表する一枚と考えている。

60年代、血気盛んな若かりし頃のSheppは、伝統を破壊するかのような激しさを見せていたが、いつしかその壊してきたものの重さに気ずき、その壊して
きたものをあたかも再創造しているかのようにも見え、特に後期に印象的なBalladプレイのゆっくりとした流れの中、一音一音噛み締めるかのようなブレイ
の中にそれが感じられるのだ。
Sheppの昔のイメージから今をユルいと見る向きも多いのだが、攻めの姿勢の結果としての変化であり、そのゆったりした流れの中に潜む激しさ、凄みは
変わることなく維持している。
変化することを恐れることなく突っ走ってきた一人のテナーマン、その変化をしっかり受け止めたいと思っている。

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JAZZ-sax 65
Archie Shepp

Category: sax (第2期)  

Dayna Stephens / New Day - The Emeryville Sessions Vol.3

  Dayna Stephens (ts)
  Joe Cohn (g - 1, 3, 5, 6, 9)
  Sam Dickey (g - 2, 4, 7, 8)
  Joe Bagg (org - 1, 3, 5, 6, 9))
  Wil Blades (org - 2, 4, 7, 8))
  Akira Tana (ds)

  Recorded September 17, 2007 and October 18, 2011, CA
  VEGA00003 (VEGA MUSIC)

  1. Grapes
                     2. Wil's Way
                     3. Blue in Green
                     4. New Day
                     5. Sugar
                     6. The 101
                     7. Bugues Life
                     8. Green Dolphin Street
                     9. You Stepped Out of a Dream

テナー奏者 Dayna Stephens(B1978)の作には、オルガン絡みのものがいくつかある。ピアニスト Gerald Claytonが参加した"I'll Take My Chances"
でもClaytonがめずらしく一部でオルガンを弾いたりしており、Stephens自身、オルガンとの相性の良さも感じているところもあるのだろうか。
本作は、低知名度ながら好きなオルガニスト Joe Bgg参加が魅力だった盤。前にも書いたような気もするがBaggはこれまで、旬の存在とも言えるような
ミュージシャンとの共演が少なく、それがために力はあるが低知名度といった現在の状況につながっているようにも思う。なので、ブレイク前といった時期
の録音とは言え、 Dayna Stephensという今現在の若手テナー注目株とも言える存在との共演といった状況はめずらしく、その点でも私的注目盤となって
いた。

内容は、レーベル関係者私邸でのセッションを記録したものらしく、リラックスした中でストレートにプレイしたといった印象のものがほとんど。
そういった状況そして時期的なものもあるのか、Stephensのプレイは、今現在の彼と比べてしまうとややもの足りないものもあり、普通の人といった
印象も持つ。その辺は、この参加ギタリストのコンセプト、カラーといったところも多分に関係しているようにも思え、目指す音楽の方向性の違いから、
それが全体として前に進むことそして創り出すことへの覇気にやや欠けたといった悪い方が出てしまっているようにも思える。
先進性あるコンセプトを持ったギタリストが入ることにより、音楽もだいぶ変わるとも思えるが、状況から彼ら自身、リラックスの中で楽しむといった質の
音楽になっているのだろうか。Stephensのプレイは、しなやかさもあり決して悪いというものでもないのだが、たとえこの時期のそういった状況のプレイ
ではあっても先につながる何か光るものがといったものも正直期待していただけに、Stephensの力量を考えるとその点ちょっともの足りないものが残る。

さて、本作のバックを務めるドラムスのAkira Tanaは通してだが、録音日の関係でオルガンとギターのコンビに2パターンあり、Joe Baggのオルガンは
もちろんだが、若手オルガニスト Wil Blades が参加ししているのも興味をひく。
Baggのオルガンは、いつも通り安定した巧さを見せている。前述の通り、Baggは旬の存在との共演に恵まれていない、それがためにいいオルガニストで
あることはわかっているのだが、共演者から引き出されるという部分でその潜んでいる能力を図りかねていたところもあり、その意味でこのStephens
との共演には期待していたものもあったのだが、本作でのStephensは、Baggから新たなものを引き出す刺激にはなっていないのが残念だった。
そんな状況ながら、終始、一定の高い質を保ったプレイをするJoe Baggというオルガニストの性格みたいなものも見えるような気がするが、常に安定して
平均点をクリアーするようなプレイを私的には望んでいるわけではなく、たまには自身の最高到達点を超えるようなドデカイ一発、そこに挑む姿勢を見せて
ほしい。そのためにも刺激剤となる共演者との出会いは不可欠だ。

Wil Blades は、まずまずのプレイはしているが、本作時点ではまだ図りかねるといったところ、若手コンテンポラリー系オルガニストとして、今後どう
変化していくのか、見守りたい。

JAZZ-sax 64

Category: sax (第2期)  

Gorka Benitez / Gasteiz

  Gorka Benitez (ts, fl)
  David Xirgu (ds)
  Ben Monder (g)

  Recorded at Vitoria-Gasteiz Jazz Festival, July 16, 2012
  FSNT441 (Fresh Sound) 2014

  1. A Marte Otra Vez
  2. El Duelo
  3. Pan Duro
  4. Una Y Mil Veces
                     5. Falsa Calma
                     6. Goazen (Vamos)
                     7. Idoia
                     8. Silbable

Gorka Benitez(B1966)はスペインのsax奏者、これまでにもギターのBen Monder(B1962)とは度々共演があるが、本作ではジャズフェスでのライブ、
そしてベースレスのサックス-ギタートリオとやや変則的な編成の中でどんな音楽をやっているのか楽しみなところである。

Gorkaのtsには、全編に渡ってというわけでもないのだが、米国系のテナー奏者とは明らかに違う、スペインという土地の匂いやら哀愁といったものが
曲により色濃く感じられる。そういったNYコンテンポラリーとは異質の言わば土の香りのする音楽は、彼の個性でもあり魅力ともなっているのだが、
それだけにそれはそのまま好みの分かれるところとなるのかもしれない。
私的には、かなり自由にゴリゴリ押したり、かと思うと哀愁漂う素朴感もある美メロが出てくるなど、剛柔使い分けるGogkaのテナーそしてより土着性が
出るフルート、なかなかおもしろい存在だと感じている。

Monderは、Gorkaを前面に立て、裏方に回るといった展開を基本としているのだが、こういった編成なのでコードプレイやベースレスをカバーするべく
低音部を使ってのラインなど終始あわただしい動きを見せており、しかもGorkaのソロがない時は、ドラムスとのデュオということで、本作の音楽に
おいては、そのベーシックな環境づくりという点でMonderの果たしている役割は大きいものがある。
そんなことで、近年の他作では、あまり聴けないスタイルのMonderに接することができたという点で意味のある一枚でもあった。

dsのDavid Xirguは、長年Gorkaとは活動を共にすることも多いのだが、この3人というミニマルな編成の中で、他の2人にもう少し刺激を与えられる存在で
あったなら音楽もだいぶ違ったものになっていたような気がしないでもない。

JAZZ-sax 63
Gorka Benitez

Category: sax (第2期)  

Meilana Gillard / Day One

  Meilana Gillard (ts, b-cl. fl)
  Nir Felder (g)
  Sam Brash (el-p)
  Marcos Varela (b)
  Tyshawn Sorey (ds)

  INCM CD 007 (Inner Circle Music) 2008

  1. Day One
  2. Semisweet
                     3. Identity
                     4. A Spirit Remembered
                     5. Blessful Illusion
                     6. Red Sky
                     7. Sounds Like Yes
                     8. Then Came The Sun

Meilana Gillard は、81年英国ロンドン生まれだが、かなり若いうちに米国オハイオ州に移り住んでいるようで、その後、地元のOSU(オハイオ州立大)で
学んでいる。2003年ニューヨークに移ったあとニュースクール大学にてジャズプログラム専攻(2005年)、そこではSeamus Blake, George Garzone,
Tim Priceなどと共に学んだようだ。
といった経歴はともかくとして、要は実際、演っている音楽、そこなのである。
本作もGreg Osby作などで妖しげな光を放っていたものの、当時はほとんど無名といったNir Felderやらフリー系の各種プロジェクトで気になる存在だった
Tyshawn Soreyなどの参加が後押しとなりゲットしたもの。

音楽の方は、Meillanaの感性、好みといったところもあるのか、全体として、小難しく考え過ぎたようなところもなく、今の空気感を振りまきつつストレ
ートアヘッドでわかりやすいものとなっているところに好感が持てる内容ともなっている。
入れ込み過ぎて、なんだかわけのわからぬものになってしまわないで良かった気もするが、反面、若手のデビュー盤として創り出すことへの旺盛な意欲と
それに伴う張りつめた緊張感といったものがもっと欲しかったような気がしないでもない。

Meilanaのテナーは、概ね良好だがそれ以上の強い説得力が伝わってこないといった印象を受ける。本作録音時点でやっと20代後半にといったあたり、
キャリアを考えれば、まだまだこれから、その素直な感性に個性という魅力を付けていってほしい。
そんな若手の中でNir Felderが、いつになくのびのびとしたプレイをしている。冒頭のアルバムタイトル曲で、最初にソロをとるNirのギター、こういった
個性に溢れたプレイを聴いているとやはり限られた存在といった印象を強く持つ。今年リリースされたデビュー作では、気負いもあったのか、本来の力が
出ていないようにも感じていたが、逸材であることに違いはなく、後はそれを自身で開花させるという部分でその才能と運があるかといったことなのかも
しれない。

JAZZ-sax 62
Meilana Gillard

Category: sax (第2期)  

Jerome Sabbagh / The Turn

The Turn  Jerome Sabbagh (ts)
  Ben Monder (g)
  Joe Martin (b)
  Ted Poor (ds)

  Recorded by James Farber at Sear Sound, New York City, live to two track analog tape, June 6, 2013
  SSC1385 (Sunnyside) 2014

  1. The Turn
  2. Long Gone
  3. Banshee
                      4. Ascent
                      5. The Rodeo
                      6. Cult
                      7. Once Around The Park
                      8. Electric Sun         
                      All music by Jerome Sabaaagh except "Once Around The Park" by Paul Motian

これまでにFSNT や BEE JAZZなどに渋辛な作を残してきているフランスのサックス奏者 Jerome(ジェローム・サバ)のSunnyside移籍初作。
メンバーもこれまで活動を共にすることも多かったおなじみの面々。
内容は、師匠とも言えるMotianのM7 "Once Around The Park" を除き全て Sabbagh のオリジナルとなる全8曲。

初っ端からいきなり怪しい何かの登場でも思わせるような不穏な音で始まるアルバムタイトル曲、テーマからアドリブへ、Poorの小気味良いプッシュに
反応するようにゴリゴリ感の無い木質の柔らかさもあるトーンでしなやかにフレーズをつないでいくSabbaghのテナー、続くMonderのディストーション
の利いたギターがキレ、音楽の表情は一変するといった展開だが、いやはや、冒頭に配置してきたこの曲で不意をつかれて一本とられてしまった格好だ。
スローな展開では、リリカルにそして繊細な面も見せるSabbaghのテナーに、一瞬、遠い昔に聴いたGetzを思い出した。
この人、キャッチーな曲づくりのセンスも感じるが、M3 "Banshee" などは、M1と並んで本作の核とも言えるような曲になっている。期を逃さず、的確
な煽りを見せ、強い推進力となっているPoorのドラミングに乗っかるように、ブロウするSabbaghのテナーには、柔らかいのだが、その奥には鋭角的な
感性が見え隠れし、今現在というよりは少し先のものも感じられる。続くMonderも激しく爆発している。

このMonderは、アルバムによりそして共演者により、良い悪いというよりは、おもしろい時おもしろくない時といった方が適切かもしれないが、その差
がはっきり出るタイプと私的には受け取っているが、本作などは、彼の良さがよく出た方の一枚と言えるのではないだろうか。良い時のMonderはやはり
スゴい。M5 "The Rodeo" あたりの軽いノリのバッキングもいい味を出しているなど、リーダー作、参加作を含めて近作では、私的好みの一枚となった。

また、これまでMonderとは活動を共にすることも多いTed Poorのシャープなドラミングも見逃せない内容。

JAZZ-sax 61
Jerome Sabbagh

Category: sax (第2期)  

Archie Shepp / Black Ballads

  Archie Shepp (ts, as)
  Horace Parlan (p)
  Wayne Dockery (b)
  Steve McRaven (ds)

  Recorded at Studio 44, Monster, Holland on January 13. 1992.
  (Timeless Records)

  01. Do You Know What It Means to Miss New Orleans ?
  02. I Know about the Life
                    03. Georgia on My Mind
                    04. Embraceable You
                    05. Smoke Gets in Your Eyes
                    06. How Deep is the Ocean
                    07. Lush Life
                    08. Deja Vu
                    09. Angel Eyes
                    10. All too Soon
                    11. Ain't Misbehavin'

Venusで4作のBallad中心のアルバムを出すちょっと前の時期になる本作ですが、ピアノはVenus盤のJohn Hicksではなく、それまでSheppとは行動を共に
することも多かったHorace Parlanが担当している。
この2人のピアニスト、感性面で通じるものもあり、ハデさが無く、坦々としたプレイが 黒い哀感を漂わせるSheppのBalladプレイには欠かせない存在と
なっており、Sheppが好んで彼らを起用していたのもわかるような気がする。

強い個性というよりアクが強いと言ったほうがピッタリのSheppで、それだけに好き嫌いのはっきり分かれるタイプとも言えるのだが、本作も全編にわたり
濃厚なShepp節のオンパレード、好みでない人にとっては近寄らない方がよいという盤になっている。
但し、同じBalladとして比較すると、この後のVenus盤の方がSheppの状態は良いと私的には受け取っている。

アクの強さで敵も多いSheppだが、この先も嫌われることを恐れることなく、その強烈な我で最後まで押し通してほしい。

その他のArchie Shepp関連作は → こちらから

JAZZ-sax 60
Archie Shepp/Black Ballads

Category: sax (第2期)  

Archie Shepp - Chet Baker 5 / In Memory Of

In Memory of  Archie Shepp (ts, voc)
  Chet Baker (tp, voc)
  Horace Parlan (p)
  Herman Wright (b)
  Clifford Jarvis (ds)

  1. Dedicated to Bessie Smith's Blues
  2. My Foolish Heart
  3. Confiemation
  4. When Lights are Low
  5. How Deep is the Ocean
                     6. Old Devil Moon
                     7. My Ideal

1-3) Recorded March 13th, 1988 during the 21 st German Jazz Festival at Kongressalle, Frankfurt, West Germany.
4-7) Recorded March 14th, 1988 at New Morning, Paris, France. Studio PEE WEE
CDLR 45006 (Sound-Service)

Archie Shepp(B1937) と Chet Baker(B1929)、どちらも好きなミュージシャンだが、感性面でこれほど合わないと思えた2人だっただけに、
過去、同じ流れの中でこの2人のCDを聴いたことも無かったというぐらいの2人である。なのでこのアルバムに出会った当時は、結構な驚きだったと
記憶している。

そんなわけで、合わない2人がやってるのだからいいわけがないと思ったものだが、単独で聴けばどちらも好きな2人なので、全く期待しないながらも、
とりあえず聴いておこうといった極めて消極的なゲットだった本作である。

SheppのテナーとChetのトランペット、2人の感性が放出するテクスチャーは全く異質である。そして本作では2人ともに同曲ではないがボーカルパート
があり、これがまた対極同士の違いを違いを見せる。どす黒いブルース感と土の匂いも漂うShepp、そして中性的でクールな白人臭いっぱいのChetと
両者ともに相手の感性の質に合わせようといったそぶりは微塵もなく、いつも通りの両者なのだが、全体として聴けば、特に不快な違和感といったような
ものもなく、何となく馴染んでしまっていると思えるのがふしぎなほどである。

久しぶりに聴いたSheppとChet、録音日を見ればChet最晩年の音になるんですね。共にある時期から欧州へと活動拠点を移した2人、それぞれ漂わせる
異質の哀愁が重なり妙に染みる。

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In Memory Of


Category: sax (第2期)  

Archie Shepp / True Blue

True Blue  Archie Shepp (ts)
  John Hicks (p)
  George Mruz (b)
  Billy Drummond (ds)
  
  Recorded at Clinton Studio "A" in N.Y. on September 13, 1998.
  TKCV-35067 (Venus Records) 1999

  1. Lonnie's Lament
  2. Everything We Say Goodbye
  3. Time After Time
                     4. All or Nothing at All
                     5. But Beautiful
                     6. Que Reste- t-il
                     7. Blue Train
                     8. A Little Surprise for The Lady
                     9. I Want to Talk about You

Venusからの "Blue Ballads", "True Ballads"(別頁あり) に続く3作目となる本作は、Sheppの師とも言える存在のColtrane縁の曲が半分以上を占め、
前2作が Ballad中心だったのに対し、ミディアムが半分ほど入る内容となっている。

さて、このVenusというレーベルに関しては、あまりいい話を聞いたことがなく、真っ当なJazzファンからはウケの悪いレーベルというような残念なイメー
ジが定着してしまっている。確かにアーティストのイメージが素直に伝わらないような残念なジャケット、方向に疑問を感じるような音楽創りのコンセプト、
そんな商業ベースに乗って評価を落としていった面々も数多い。
しかしだ、アーティストたるもの、自身がしっかりした、ゆるぎない音創りの姿勢を持っていれば、そんな周りのペースなど関係ないものだ。それで音楽が
レベルダウンして評価を落とすのであれば、それはアーティストとしての資質に元々問題があるということだろう。レーベルに全ての問題があるというのは、
ちょっと違うような気もする。

さて、そんないらん話をしたのもこのShepp、そんな周りの状況など全く関係のないプレイを見せている。周りに影響されて自身を見失うようなヤワな男で
はない。実際、このVenusでの数作を聴くと、賛否渦巻くこのシリーズではありますが、Sheppのメンタル面での状態も良く、この近辺の他作と比べても、
覇気も感じられ、後期Sheppを代表する作品群と感じられ、私的にもお気に入りとなっています。
ただ、歪んだイメージでArchie Sheppというミュージシャンを真っすぐ伝えていないと思えるジャケットが残念です。このミュージシャンの真意が伝わら
ない歪んだイメージを一般に植え付けてしまった罪は極めて大きい。特にこれからの若いJazzファンには、これでSheppが誤解のもとに受け取られたところ
も多分にあるのではないでしょうか。
救いは、そういった周りの方向性に疑問も感じる商業的意図をものともせず、己に忠実でピュアなプレイを見せるSheppでしょうか。坦々としたプレイで
それに寄り添うHicksのピアノもいいシゴトをしている。

ベストは、M7"Blue Train"での、出だしから泣く子もダマる圧倒的な凄みを発散するテナー。Shepp以外の何者でもない、この圧倒的個性にやられる。

その他のArchie Shepp関連記事は → こちらから

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Archie Shepp

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