前向きに Jazz!

日々進化し続けるJazzとともに歩んできた終わりのない旅

Category: guitar (第2期)  

Liberty Ellman / Tactiles

  Liberty Ellman (g)
  Mark Shim (ts)
  Greg Osby (as - 3, 7, 8)
  Stephan Crump (b)
  Eric Harland (ds)

  Recorded Orange Music Sound Studio, West Orange, NJ April 30, May 1 and May 9, 2003
  PI08 (PI Recordings)

  1. Excavation
  2. Clean is Rich
                     3. Temporary Aid
                     4. Helios
                     5. Rare Birds
                     6. Body Art
                     7. How Many Texts
                     8. Ultraviolet
                     9. Post Approval

活動年数に比してリーダー作が少なく、好みのギタリストではあるのだが、情報不足もあり、いまいち今現在の彼の状況がつかめないといったフリー寄りの
個性派ギタリスト Liberty Ellman(B1971)ですが、先日聴いた Myra Melfordの新作 “Snowy Egret” での Ellmanが良かったこともあり、しばらく
ご無沙汰していた本作を引っぱり出して、あらためて聴いてみた。
本作は “Orthodoxy(1998)” に続く2作目となるもの。自分が知ってる限りでは、この後2006年の “Ophiuchus Butterfly” を加えて3作しかない。
なので、リーダー作としては、もう9年も新作を出していないという、謎のギタリストでもあるのだが、そんなところがまた余計に気になるところなのかも
しれない。私的には、他にHenry Threadgill 作への参加などでも知ってはいるが、そろそろ自分の色を全面的に出したリーダー作をぜひ出してもらいたい
という才能だ。

楽曲は、全てEllmanの手による全9曲という内容。
こうして、あらためてじっくり聴いてみると、購入当時の印象とはだいぶ自分の受け取る印象も変わっていることに我ながら驚く。本作と出会ってからの
約10年間、特に時代とシンクロしたコンテンポラリー系のギタリストとの数多く出会いがあり、時代の流れとともに、その流れの様を見てきたことになるのだが、
そうした多くのコンポラ系ギタリストも、一人一人見るならば、それぞれの個性やらスタイルなどの違いはあるものの、大枠でとらえるならば、そこにおぼろげ
ながら共通のことばらしきものもあり、特にKurt Rosenwinkel以降のそこから派生したと思われる流れは、今現在のコンポラ系と言われるギターの中心となっ
て、流れをつくり出す、大きな力ともなっているのだが、Ellmanのギターには、彼らに共通するような言ってみれば”流行ことば”の類いのものは感じられず、
そういった感性の質的な面では、多くのコンポラ系ギタリストとは一線を画す異質な感性と受け取ることができる。今、こうしてあらためて彼の音に接すると、
この10年程の間にその “流行ことば” に慣れてしまった耳には新鮮かつ魅力的に聴こえてくるのである。これほどの受け取りは当時の感覚では無かった。
なので放置した期間も長かった。そのダークで妥協のない無機質感が美しくも心地良いものとして受け取れるのである。感性が病んだ結果か(笑)、はたまた進化
した結果か、いずれにしても受け取る感覚が変化していることは確か。変化を求めて聴いてきたわけだから、その点では、喜んでいいのだろう。
まあ、理屈はともかく、その無表情に血の通わない音を繰り出してくるシゴトぶりがカッコいい。この様をあたかも「機械的、人間味が無い」として嫌った時期も
昔はあったような気もするが、その部分をコントロールしているのは、あくまで彼のある意味ホットな心の部分、機械が出している音と歴然として違うのはその
部分。今は、そんな受け取りをしている。

勝手に決めつけてしまうのも良くないが、これまでの彼の活動状況から、一般に言うところのコンテンポラリー系といった枠には収まりきれず、かといって
Marc Ducretのような完全フリーも多くこなすというタイプでもなく、その中間の微妙なあたりが彼にとってのシゴト場となっていることが多いように思う。
本作も形の上では、フリーの要素は無いものの、感性面では、彼のギターからはフリー系奏者のそれに近い響きを聴き取ることができ、その辺が本作の大きな
魅力ともなっており、いずれのメンバーのプレイのクォリティは高く、それらが有機的に絡み、全体としての好結果につながっている。
媚びることを一切拒否したかのような無表情でカッティングエッジ感あるラインを紡ぎ出すEllmanのギター、間に挟んでくるコードの響きも超クール。
そしてHarlandの絶妙の間でのプッシュ、M3 “Temporary Aid” のバラードで見せるOsbyのゆらめくような妖しい美................などなど聴きどころは満載だ。

しばらく前の記事、”Ananda Gari / T-Duality” で典型的なコンテンポラリー系ギタリストとしての感性を持った Rez Abbasi が、フリー寄りのメンバー
の中に入り、覚醒したかのようなプレイを見せており、また、しばらく前にポーランドの Maciek Grzywacz やポルトガルの Mario Delgado のプレイの
一部の曲で同じような感覚を味わい、心ひかれたこともあったが、あらためて思うのは、このコンポラ系の中心からは、やや外れたエリアのギタリストの感性が
非常に新鮮に耳に入ってくるという状況は、それだけ普段、耳にすることも多いコンポラ系ギタリストにある種のマンネリ感あるいは、近い将来、何か成果を
出すほどの可能性といった点で、物足りなさを感じていることの裏返しともとれるのかもしれない。そういった状況を考えれば、この微妙なエリアを私的要注意
スポットとして、今後、監視体制の強化をしなければならないようだ。

JAZZ-guitar 145
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