前向きに Jazz!

日々進化し続けるJazzとともに歩んできた終わりのない旅

Category: organ (第2期)  

Sam Yahel Trio Live

Sam Yahel (Hammond B3 organ, p)
Matt Penman (b)
Jorge Rossy (ds)

先日、Sam Yahel(B1971) Trio のライブがあった。サイド参加としては以前、体験済みだが自身リーダーでのオルガントリオとしては、今回初めてでもあ
り、これは期待しないわけにはいかない。
さて、このHammond B3という楽器は、その特殊性もあり、過去の経験から今回ツァーのライブ会場によっては用意できないということも十分予想できた
ので、Yahelのコンボオルガンではなく、あくまでHammond B3を聴くのが目的だった私としては、事前に名器Hammond B3を弾くことをうたっていた
武蔵野スイングホールを迷わず選択した。
たぶん、今回ツァーにおいて、Hammond B3常設店として有名な京都の "le club jazz" 以外ではピアノ・トリオだったのではないでしょうか?

オルガニスト Yahelの場合は、自らがベースを担当することもあり、ベーシストは使わないというのが常だったのですが、Matt Penmanを連れてきたの
もピアノ・トリオとしてのプレイもしなければならないというそんな事情があったのでしょう。
ただ、そういった事情で急遽実現したこのベーシスト入りのオルガン・トリオという編成ではありましたが、私的には前々から思っていたところもあり、
滅多に無い注目のライブになったことは言うまでもない。

Jazzにおいて、一般的にオルガニストにとっては、自身でベースラインもこなして一丁前といった考えがあるようで、ピアニストが片手間にオルガンに手を
出すような場合を除き、ほぼそれを専門職としているオルガニストの場合は、ベーシスト抜きの編成でバンドを組むのが常である。
しかしながら、このオルガニストにとって左手でベースラインを刻むことの負担は大きく、音楽に及ぼす影響もそれなりにあるものと考えている。この左手
の負担をなくすために足を使うベース用のフットペダルというものも、もちろんあるのだが、小技もききにくく、かなりの熟練者でも単調になりがちであり、
ほとんどの場合フットペダルは、補助的あるいはアクセントといった使い方、また全く使わないという人も多い。現在ではこのフットペダルをフル活用して
いるオルガニストは、ドイツのBarbara Dennerlein をはじめとして、非常に少ない。ジャズオルガニストのほとんどは、粘りのあるベースラインを求めて
左手を使っているというのが現状である。
こういった状況に、結果重視で、中には MMW の John Medeski のようにベーシストを使ってトリオを組むオルガニストもいるのだが、極めて少数派だ。
この辺は、以前から思っていたことでもあり、通常編成のようにベーシストを使えば、オルガニストの左手は解放され、コードワークなど新たな使い方に
より音の厚みが増すなどの効果他、そして新たに加わったベーシストとのやりとりから生まれるかもしれないsomethingなど、音楽を劇的に変える可能性
も秘めている。もちろんそれは全てのオルガニストに当てはまるものでもなく、自分でベースラインを刻むことにより、より高いパフォーマンスが可能に
なる、あるいは維持できるといったオルガニストも多いだろう。
要は、最終的に音になった時の結果、そこを求めるならば、ベースの考え方は、オルガニストそれぞれもっと自由な考え方をして良いのでは
ないだろうか。
今回のライブに特別な思いをもって臨むのは、そんな理由からなのである。

さて、ライブの方ですが、音楽は、あくまでYahel主導でベース、ドラムスはそれを支えるといった形を基本としていた中ではあったがPenmanの強いベー
ス、Rossyのコントロールの利いたドラミングは、音楽の質を高めることに大いに貢献していたのはまちがいないのだが、おそらくYahelがオルガン・コン
ボとしての自身の音楽を考えた上で強い意志をもってベース入り編成としたものでもないということで、彼の音楽、オルガンプレイに劇的な変化は見られな
い。Penmanのベースが加わったことで、そのやりとりから何かが生まれるかもといった部分でも、期待したほどの効果は生まれていなかった。
しかしである、彼らにとってもこの編成での経験はまだそんなに無いはず、手探り状態といったところもあっただろう。Yahel自身、ベースから解放された
左手を有効に生かしきれていない、そしてベーシストが入ったメリットを十分、音楽に生かせてないとも感じられた。それでも左手が負担から解放された
ことにより、いつになく右手からつくり出されるラインには、キレとアイデアが感じられハッとするような場面も度々あった。負担の軽くなった左手は、
めまぐるしいドローバーのコントロールでの多彩な音の使い分けにより、音楽の表情をより繊細に描き出していたように思う。
このPenmanの強靭なベースラインが入ったことでこれまでのYahelのオルガン・コンボとしての音楽の表情とは違う何かが生まれそうな気配も感じられた
のも確かだ。

今回のとりあえずのそうなってしまった感もある編成では、結果としてそこに劇的成果は見られなかったのだが、このベーシストを入れ、それを前向きに
音楽に生かしていこうという強い意志をもってするならば、従来のJazz Organの音楽を劇的に変化させ、そこに進化につながる可能性も見た思いがする。
今回ジャパンツァーのための一時的な編成だったのかもしれないが、そこに気づき、積極的にベーシストを活用し新しいJazz Organの流れを創り出してく
れることを期待したい。
そして一言付け加えるなら、Yahelはピアニストとしては、もちろん一流、しかしオルガニストとしては彼の考え方にもよるが、シーンの流れを変えられる
可能性を持った存在、やはりこちらで生きていくべき才能だろう。

それにしてもアナログ感もあるB3の響きは、やはり格別なものがあった。シルキータッチの微弱な音から強いアタック音、そしてロータリースピーカーに
よるうウネリ、ドローバーを自在に操り多彩に音の表情を変え、舐めるように鍵盤を這わせわせながら繰り出すYahelのラインは、悶絶ものだ。
左手の負担が減った分、ことのほか右手のラインは、デリケートに機能していた。先にあるものが見たい!

見やすい、音良し、おまけに安い、3拍子揃った大満足のライブでした。

Swing Hall-1 Swing Hall-2 Swing Hall-3

Sam Yahel 関連記事は → こちらから

JAZZ-organ 144 amazon quick link
Sam Yahel
スポンサーサイト

Newer EntryJesse Van Ruller / Circles

Older EntryMatchbox Art Gallery-33

 

Comments

Edit
いいライブを見れたみたいですね。
羨ましいです。
サムちゃんのベース入りオルガンアルバム、
いつか聴けるかもしれませんね。
楽しみです。
EditRe: タイトルなし
いんやぁ〜えがった!
近年、CDではYahelのオルガンが、あまり聴けなかっただけに
満足度大でした。
こういうツァーも大阪、京都あたりまでは、よく行くんですが
それより先に行かないのは何とも残念ですね。

Nir Felder、Steve Cardenasとちょっと気になるところが
ぞくぞくと出てきますね!
2月は要注意月間です。

かき醤油味付けのり、ちょっと試してみたい!

Leave a comment







1
2
4
5
6
8
9
11
12
13
14
15
16
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
> < 06