前向きに Jazz!

日々進化し続けるJazzとともに歩んできた終わりのない旅

Category: sax (第2期)  

Ellery Eskelin / Trio New York


Trio New York   Ellery Eskelin (ts)
   Gary Versace (Hammond B3 organ)
   Gerald Cleaver (ds)

   Recorded by Jon Rosenberg at System Two Studios in Brooklyn, NY on February 10th, 2011.
   (Prime Source Recordings CD 6010)

   01. Memories of You
   02. Off Minor
   03. Witchcraft
                       04. Lover Come Back to Me
                       05. How Deep is the Ocean

初めて本作の存在を知った時、期待感が非常に高まったものでした。というのも、特に世紀末あたりからは、私の求めるOrganが、それまで半世紀もの間続い
ていたSmith型のものではなく、それに代わる次代のOrganの感性ということで、特に他楽器の分野と比べ絶対数も少なく人材の少ないOrgan界にあっては、
こういった先鋭的感性も備えたメンバーあるいはフリーも予想される中でのOrgan起用もめずらしく、まさに待ち望んでいた新しい形だったからです。こうい
った分野に手を出しているOrganistとしては、過去、John MedeskiやフィンランドのSeppo Kantonenあるいは本作のVersaceのLoren Stillmanとのプロジェ
クト............など、ごく限られたものしかありません。しかも本作は、怪物EskelinとのSax−Organトリオというというガチの絡みも予想されるフォーマット
ということで自然、期待も高まってしまいます。

さて、内容ですが、Monk曲の他、ジャズ・スタンダードといった曲が並び、全5曲すべて15分前後の長尺となっていますが、Eskelinの母親はBobbie Leeと
いう名のOrganistだったこともあり、彼は Organというものには、特別の思いを抱いていたようで、本作もその母に捧げるとのクレジットが入っていました。
まあ、そんなこともあってのVersace起用かと、純粋に新しい音楽を求めてのOrganあるいはVersaceではなかったのかとの不安要素も出てきましたが、いず
れにしてもこういったメンバーでのOrganは、歴史的にも稀なことでもあり、まずは素直に期待を持って聴いてみることにしよう。

一聴してみると、母に捧げるといった意味もあったのか、いつものEskelin(B1959)より全体的におとなしめであったり、どフリーではなく一定の秩序も感じ
つつ、音楽としては温もりもある質感に仕上がっています。
とは言ってもそこはEskelin、かなり自由度の高い動きです。題材としてスタンダードなどを使いつつも、それはインプロを展開していくためのキッカケとい
った意味合いで使われており、中にはオルガニストとしての母親がレパートリーとしていたものもあるようですが、曲自体にそれほどの意味はないのではと
思われ、原曲に縛られない、かなり自由な展開を見せている。一曲の中での、リズムの動きもありつつ、Eskelinの奔放なブロウからは、大らかさとともに、
貫禄すら漂ってきますが、この伝統と先鋭が混然一体となり絶妙な平衡感覚を持った音楽としているのは、彼の感性のバランスそのものなのでしょう。
この点において、本作でのEskelinからは、タイプは違いますが、Archie Shepp、Tony Malabyなどを思い出してしまいます。日本では知名度も低く、正当
な評価も受けていないと思えるEskelinですが、まさにこういった不遇の存在にスポットを当てるというのが当ブログのコンセプトでもあり、機会を見て他作
もUPしましょう。参加作では "Liberte Surveillee / Daniel Humair"(別頁あり)の記事歴がありますので参考まで。

さて、Versaceですが、過去にあまり共演したことのないタイプのEskelinが相手ということもあり、これまでVersaceのオルガンのほとんどを聴いてきている
私もあまり聴いたことのない隠れていた部分も表れ、非常に興味深いものがあります。今世紀に入りまもなくのオルガニスト・デビューから実に多くの異種
プロジェクトへの参加により特にコンテンポラリー・オルガン・シーンでは、欠かせない存在になってきた感がありますが、さらに先鋭性のあるエリアでの
試みとなると、人材の少ないOrgan界にあっては、前例も少なく、結果如何にかかわらず、まずそこに意味の持てる本作であると思います。
内容の方も、奔放に振る舞うEskelinの刺激もあり、Versaceもこれまでの経験から体得したあらゆる技を駆使しての可能性と向き合った表現も感じられ、全
体の温もりも感じられる音楽とは対称的にプレイ自体は、緊張感に満ちた中でのものと感じられるのである。ドローバーなどのコントロールによる多彩な表
現も相手が奔放に技を繰り出すEskelinだからこそなのだろう。
若手コンテンポラリー系共演者では、普段あまり見せないオーソドックスな4ビートの展開も、伝統も巧みに織り交ぜてくる本作でのEskelinにより、かつて
VersaceのOrganからは、あまり聴けなかったレベルのドライヴ感ある左手のベースラインが生まれていると感じるのである。4ビートで語られることもあまり
無いこのEskelinとの共演で、その部分が強く感じられるのもまた興味深いところである。
このEskelinとの共演は、Versaceにとって大きな収穫になったであろうことは十分想像でき、今後の変換の大きなきっかけになるとも思うのだが、すべて
は自身の前に進みたいという気持ち、その考え方しだいということであろうか。

こういったフィールドでの経験も豊富なCleaverのフレキシブルな対応力も見事なものがあり、奔放に展開する流れの中での支えとともに絶妙なプッシュは、
Eskelin , Versaceから多くのものを引き出しているのではないだろうか。自由に動く展開の中で彼の果たしている役割も大きなものがある。

伝統と現代感覚とを備えた誠に魅力的 SaxーOrganトリオである。
また、新しいOrganの世界が生まれるきっかけにも成りうる作という点でも意味ある1枚ではないだろうか。


               

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Ellery Eskelin
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