前向きに Jazz!

日々進化し続けるJazzとともに歩んできた終わりのない旅

Category: organ (第2期)  

Young - Powell - Vespestad / Anthem

 Anthem-2.jpg

01. Time Changes
02. Wayward
03. Body of Memory
04. Advance with Caution
05. So in Love
06. Anthem(...for Our Troubled Kind)
07. Aqual
08. Elegy
09. When Time is All

Jacob Young (g)
Roy Powell (Hammond B3 organ)
Jarlle Vespestad (ds)
Recorded May 2010 at Pettersens Kolonial, Honefoss Norway.
PVY Records 2011

我が国では、全くのピアニストとして認識されているRoy Powelは、国内市場でも過去リ
リースされた数枚のアルバムによりピアニストとしての能力は、知られているところです
が、当初からその他のキーボードそして近年ではオルガンも扱っているという情報は、得
ていましたので、私としては、オルガニストとしての彼を知りたいという思いを持ち続け
ていました。
普段はピアニストとしての活動をメインとしているRoy Powellは、
"Joel Harrison / Holy Abyss"(別頁あり)、"Roy Powell / Napoli"(別頁あり)にて記事
歴があり、この "Holy Abyss" では、その先進性あるピアノが強く印象に残ったのですが、
オルガンの方は、環境づくりに使われるのみでソロは無く、何とかこういった先進感もあ
る感性の持ち主のオルガンも聴いてみたいと捜していたのですが、見っけました。
しかも、ギターを担当するのがJacob Youngでトリオ編成、Powellのオルガンをチェッ
クするには、おあつらえ向きのフォーマットになっています。
内容は、Powell曲4、Young曲3、3者共作曲1そしてCole Porterの"So in Love"の全9曲。

Jacob Young(B1970)は、ノルウェー出身のギタリストだが、母親がノルウェー人、父
親がアメリカ人という出自、そしてアメリカへの留学によりJim Hall、
John Abercrombieに師事しているなどもあり、そのギターからは、米国的要素もかなり
感じられる。ECMにアルバムを残しており、我が国では、まさにECMのイメージの強い
ギタリストとして認識されている感のあるYoungだが、基本は、ソフトで温かみもあるオ
ーソドックスなといった感性の持ち主ではないだろうか。
昨今の若手ギタリストに多い、正確無比なピッキングで高速フレーズも難なくこなすとい
ったテクニカルな面を前面に押し出してくるといったタイプでもなく、歌心をもって丹念
にフレーズを紡いでくるプレイぶりには好感が持てるところである。
オルガンとの絡みでは、米国留学から戻ってまもない頃の初リーダー作 "This is You"
(1995)にてLarry Goldingsと共演暦がある。

さて、お目当てのRoy Powellですが、彼は英国出身だが、現在はノルウェー在住というこ
とで、本作も特にリーダーは無いようで、ノルウェー・コネクションでできたグループの
ようである。ドラムスのJarlle Vespestadも旧知の仲である。
通常、ピアノを本業としている者がオルガンをやる場合は、やはり左手の粘りあるベース
ラインは、一朝一夕にできるものではなく、別にベース奏者も加えることも多いのだが、
ここでのPowellは、本職のオルガニスト同様、自らがベースを担当しており、そのプレイ
ぶりにも片手間感はなく、オルガニストになりきっている。
元々ピアニストとしても、テクニシャンを感じさせるものがあり、また当初から各種キー
ボードも扱ってきた彼にとっては、ハモンドも自分の楽器であるのだろう。
しかし、所詮、技術は手段であり目的とするところではなく、肝心なのは、その技術をも
って、いかなる感性を見せてくれるのか、そこにつきるのである。
予想していた通り、彼のオルガンには、前世紀に一世を風靡したSmith型の流れは見られ
なく、その点では、21世紀の今現在私が求めるオルガンのエリアに入るものなのだが、
上述のアルバム "Holy Abyss" でのピアノで見せてくれた先進性に溢れた感性ではないと
いうのがちょっと残念でもあるのだが、一歩引いて冷静に本作を見るならば、今の感覚も
備えた欧州産ギター・オルガントリオとしてまずまずの内容といってもいいのだろう。
ただPowellに関しては、本来持っている感性の違った部分を出していないと思えるのであ
り、結局、その辺は共演者によるところも大きいのだろうか。
本作でのYoungは、ノーマル過ぎるくらいノーマルである。それがPowellの普通でない部
分を封じ込めてしまったのではないだろうか。もし、Powell本人が最初からここを目指し
てきたのであれば、いかんともしがたいことではあるのだが.......
外野の私としては、折角のイイ部分を出し切れていないこと、もったいないと感じてしま
うのである。
そしてJazzにおいては、共演者の存在は大きい。スイッチがONになるのもOFFになるの
も共演者が大きく関わる、それがJazzなのである。
私が、彼を評価しているのも、その先進性ある感性、その部分であり、彼自身にとっても
それこそがMusicianとしての最大の武器になりうると考える。

他の2人には申し訳ないが、本作購入の目的であるRoy Powell中心に考えさせてもらうな
らば、本作でのPowellには、秘めたる高能力を感じられる部分もあり、彼自身としては、
その良い部分を引き出せる感性の質を持った共演者を選んでほしい。
共演者との対話の中から、その互いの刺激により新たなsomethingを生み出そうとする
Jazzにおいては、その共演者の持つ意味は極めて大きく、それがために彼の最も可能性を
感じる部分が隠れたままになっているとするならば、非常に残念なことであろう。



Young - Powell - Vespestad  Røyken Jazzklubb 15.jan 2011

JAZZ-organ 105 
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