前向きに Jazz!

日々進化し続けるJazzとともに歩んできた終わりのない旅

Category: piano (第3期)  

Historicity / Vijay Iyer Trio



Vijay Iyer (p)
Stephan Crump (b)
Marcus Gilmore (ds)
Recorded November 3, 2008 and March 31, 2009 ACT9489(ACT MUSIC)

1.Historicity
2.Somewhere
3.Galang
4.Helix
5.Smoke Stack
6.Big Brother
7.Dogon A.D.
8.Mystic Brew
9.Trident: 2010
10. Segment for Sentiment #2

Vijay Iyer(B1971)は、インド系移民を両親に持ち、名門エール大学にて物理と数学を専
攻したという異色の経歴を持つピアニスト兼コンポーザー。内容は、彼のオリジナル4曲
を含む全10曲。
本作は、VijayにとってメジャーなACTレーベルからの第一弾となるのだが、私の持つ
Vijayのイメージとこのレーベルのそのメジャーなカラーに多少の違和感を感じる。

Vijayのピアノと出会ったのは、数年前なのだが、未だに視界が開けてこない部分もあり、
ブログの記事とするのは、次の機会にでもと、繰り返し避けてきたのだが、そんなことを
しているうちに、どんどん存在感を増し、もはや避けては通れないという存在になってし
まいました。
ダークな匂いに吸い寄せられるという癖を持つ私にとっては、まさにその部分において、
お誂え向きのピアニストと言えるのですが、他のピアニストにおいても言えるように、も
ちろんその感性の全ての部分を全面的に受け入れられるというわけでもなく、反発する部
分も当然持っているのですが、彼のピアノは、他のピアニストにはない、強い反応を私に
もたらしてくれるのです。そういう意味では、私にとっては、非常に貴重な感性の持ち主
と言えます。
私は、ミュージシャンの判断において独自性という部分に重きを置いています。先人の創
り出した成果の上で楽しくやっているだけのものでは楽しくなれませんし、ましてのめり
込める音楽てもありません。そこに自らが創り出そうという姿勢があって初めて音に言わ
ば魂が入り生きた音楽となり、自分の感性が反応するものとなります。この独自性という
部分において、彼のピアノは、非常に高いレベルにあると私的には受取っているのですが、
その独自性の内容もしくは質といったらいいのでしょうか、その辺に関しては、今、私の
感性が求めている指向と必ずしも一致しない部分もあり、その辺が前述した全面的に受け
入れられないと言ったところなのでしょう。

理系出身ということが特に関係しているわけでもないでしょうが、曲構成あるいは彼の場合
は曲設計という表現ががぴったりかもしれませんが、構成する基本軸が何方向にも走り立体
感を感じるようなイメージになっているものが多く、またリズムを重視する彼の音楽は、変
拍子を多用しつつカメレオンのように自在に表情を変化させたり、あるいは反復するリズム
を基調としつつそこからさらに複雑な構造を生み出すといった展開など、その起伏に富んだ
多彩な音楽性は彼が限られたピアニストであることを十分感じさせるものでしょう。
また、これは彼がその部分をことさら押し出そうとしているわけでもないのですが、自然発
生的に出て来る、インドにルーツを持つという彼の独特なメロディーセンスは、彼の複雑な
曲構成にさらに微妙な陰影を加え、曲という立体により深みを与えているようでもある。

名手Roy Haynesの孫にあたるというドラムスのMarcus Gilmoreは、Vijay とはRudresh
Mahanthappa(as)の入ったQuartetで、数年前から一緒にやってますが、2008年にKevin
Hays(p)トリオのメンバーとしての彼の生を見る機会がありましたが、その時は本作のプレ
イとは全く違い、生での印象は非常に薄かったのですが、共演者によって全く質の違うプ
レイが引き出されるというのがJazzという音楽であることをつくづく感じます。その生で
見た彼と比べると本作では、別人の彼がいます。
Andrew Hillの影響大と言われるVijay ですが、本作にもHillが60年代にBlue Noteに残した
アルバム・タイトル曲 "Smoke Stack"が入っており、そのアルバムでdsを担当していたの
は、何と本作のds担当Marcus Gilmoreの祖父にあたるRoy Haynesであったというのも、
単なる偶然とは思えないものがあります。Vijayが、好んで彼を起用する理由なのかもしれ
ません。


Vijay Iyer Trio:about "Historicity"


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Vijay Iyer
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Vijay Iyer(P)Stephan Crump(B)Marcus Gilmore(Ds)Rec. November 3, 2008 & March 31, 2009, NY (ACT 9489)マーカス・ギルモア買い。先日聴いた「Joe Martin/Not By Chance」でも叩いていたけれど、最近はレコ...

 

Comments

Edit
こちらからもTBさせていただきます。

インド人は計算方法が全く違うと聞いているのですが、本作はまさにそんな感じの数学的な音楽でしたね。
その複雑さがなんともカッコよかったです。
しかもトリオとして一糸乱れずにやっているのだからこんなに凄いことはなくて、特に普段とは全く違う一面を見せながらガンガン攻めまくっているギルモアには、ヴィジェイ以上に驚かされました。
Editお世話様でした。
naryさん 

TBありがとうございました。
Roy Haynesは大好きなドラマーでしたが、じいさんと同じように
Marcusにもお世話になりそうです。
インドはヤバイです。目が離せません。
また、よろしく。
Editもやもや晴れず
J Woksさん、今晩は!

Vijayのこのアルバム、J Worksさんのこの記事が掲載された少し前に購入したのですが、「視界が開けずに」 モヤモヤしている間に先を越されてしまいました。  その後も悪戦苦闘したのですが、視界不良のまま断念しました。 その代わりにこの場所をお借りして(失礼します)コメントすると、

多方面で評価されているVijayだが、このアルバムからは明確な意図が伝わって来なかった。 ツルツルの球面体のように取っ掛かりがないのだ。 Anderw Hillを感じさせる所もあったが鋭さが不足している。
そんな感じなので、暫く他の作品を見守ることにしよう。

以上です。
EditRe: もやもや晴れず
tam.raさん おはようございます

Vijay 聴かれましたか。
私的には、Mahanthappaと絡んだVijayの方が好きです。
トリオでの"Historicity"は、理屈ではなく、感覚的に釈然としないものが残り、
今後もたぶんお気に入り盤とはならないような気がします。
釈然としない部分が何なのか、もう少し時間が経ってみないとわかりません。
このレーベルのACTもVijayのカラーとは、合わないように感じます。
ACTのVijay、何か違う感じで、この後ACTより出たソロには、手がでません。
私としては、今現在、全面的に受け入れられないというピアニストですが、
モヤモヤ晴れずと思わせてくれるピアニストともほとんどいない中、
惹かれる部分があることは確かで、今後もしばらく追っかけてみることになるでしょう。

なかなか師匠も行動が速い!
そのフットワーク、私も見習いたい!
Open Looseが聴きたい!

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