前向きに Jazz!

日々進化し続けるJazzとともに歩んできた終わりのない旅

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Category: organ (第2期)  

Out of Line / Jared Gold

Out of Line

Jared Gold (org)
Chris Cheek (ts)
Dave Stryker (g)
Mark Ferber (ds)
Recorded February 6, 2009 at Acoustic Recording Brooklyn.
PR8067 (posi-tone)

若手オルガニスト Jared Gold のリーダー作となる本作には、彼がプロとして初期の頃、
サイド参加作のリーダーでもあるベテランギタリスト Dave Stryker がサイド参加してい
る。Jared は、プロとしてデビュー間もない頃、おそらくこの先輩格 Dave からいろいろ
学んだのではないだろうか。

こうして Jared を聴いてみると、彼の楽器であるオルガンにおいては、比較的大きめの枠
でとらえるならば、Larry Goldiings, Sam Yahel, Gary Versace, Pat Bianchiあたりが同
じ方向を向いた同業者として浮かんでくるのだが、モーダル臭のあるクールな部分も見せつ
つも、根っこのところで彼らよりアーシー、ブルージーといったJimmy Smith からずっと
続く従来型のオルガンらしいホットな響きをかすかに残す Jared のオルガンは、この点で
Joey DeFrancescoあたりのDNAも紛れ込んでいるのかとも思わせるものがあり、現時点で
感性面で若干の違いをみることができる。
しかしながら、このあたりの感性の質は、若い(?)Jaredにとっては、接するミュージシャン、
本人の考え方などによっても大きく変化するところでもあり、現時点で今後の進化の予測は
つけにくい。また、共演者の人選には、その辺の考え方も強く表れてくるところなので注意
深く見守りたいとも思っている。本作と同年録音のPat Bianchiの "Back Home"(別頁あり)
でBianchiは、新進気鋭のGilad Hekselman(g)を起用しているが、これに対し本作でのGold
はDave Stryker(g)、そしてまもなくリリース予定の新作"All Wrapped Up"での王道路線を
思わせるメンバーなど、この辺の違いが、現在のオルガンの質にもそのまま表れているのは
納得するところである。

さて、本作ですが、一聴して、オルガン入りのこういった編成のものは、前時代的なオルガ
ンのイメージを引きずったものも多く見受けられるのですが、まず内容的にストレートにJazz
に取り組んでおり、印象としてもオルガン入りのサウンドとしては、現時点でのJazzのメイン
ストリームとも言える内容で、今の空気感も感じられ好感が持てます。
Jaredのオルガンは、技術面でもフレージングなどの感性面でもしっかりしたものがあり、多
くの面で水準以上のものを持っていることは感じられるのだが、逆に際立った長所、短所もな
くボンヤリ聴いているといつのまにか終わってしまい、印象に残らないというようなところが
あり、強いて言えばこのガツンと来るような強烈な個性に欠けるといったあたりが本作時点で
の弱点であろうか。ただでさえオルガン奏者の数は少なく、ましてこういったレベルにある
オルガン奏者も少ないだけに、うまく育ってくれることを願いたい。

ベテランらしくうまさとともに渋さも見せるStrykerも好演しており、また以前ギタリスト
Jonathan Kreisbergトリオのライブで生体験したMark Ferberはその堅実なドラミングが
印象的だったが、本作においても同様、しっかり支えるプレイを見せているのは好印象であ
る。Chris Cheekも持ち前のオールラウンダーぶりを発揮し好演。
これが今現在のJazz Organのメインストリームと言っていいスタイルであろう。
しかしながら、若いJaredには、この王道路線から一歩飛び出すチャレンジもしてほしいとい
うのが私の願いでもある。

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Jared Gold

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Category: Gallery > Matchbox  

Matchbox Art Gallery-7

 
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Gallery-Matchbox-7

Category: organ (第2期)  

The Art of the Jazz Organ Trio / TRI-OCITY

The Art of the Jazz Organ Trio

Dave Corbus (g)
Pat Bianchi (Hammond B3 Organ)
Todd Reid (ds)
Recorded July 6-7, 2002 at Greywood Recording Studios Denver CO
SMCD 80017-2 (Synergy Music)

TRI-OCITYは、ギターのDave Corbus(B1960)をリーダーとするグループ。
集中的なPat Bianchi追尾態勢の中から、掘り起こした過去盤である。
ちょっと引いてしまうほど仰々しいタイトルだが、それに反してジャケットがチープでアート
してないところが、余計な部分に費用もかけられないというような、本作リリース当時の彼ら
の状況、事情も垣間見えるようである。

購入のターゲットであるPat Bianchi(B1976)26才時の初期作ということで、期待感というよ
りは、デビュー当時の彼がどんな感性の持ち主で、どんなプレイをしていたのかという点で
非常に興味のあるところです。

一人のMusicianを知ろうとする時、最新の今現在を知ることを基本と考えてますが、過去に
さかのぼり、過去から現在に至るまで、その感性の変遷の流れを知ることにより現在もより
知ることができます。特に前向きな音創りの姿勢を持ち、時とともに変化の激しいMusician
の場合は、一時期の作品だけでは、本質が見えてきません。大きな時の流れの中で変化の流
れを掴むことも必要でしょう。

彼のリーダーアルバムとしては、最新作 "Back Home"(別頁あり)の記事でもちょっと書いて
いたのですが、やはりこの初期作を聴くと決して濃くはありませんが、彼の先輩格である
Joey DeFrancescoの影を感じ取ることができます。そしてかすかに感じていた Jimmy
Smithの影は、やはりSmith直系のDeFrancescoを介してのものという推論に確信が持てまし
た。こうしてBianchiの初期作から最近のものまでを聴いてみると、その感性の変遷の様子も
見えてきます。デビュー当時、DeFrancescoから多くを吸収した彼は、自ずとSmith の遺伝
子も入ったことにより初期には、DeFrancescoとSmithの影が感じられたが、本質的な部分
でSmithよりもLarry Young寄りの感性を持つ彼は、その後、徐々に独自性が芽生え、現在に
至るというような大まかな流れが見えてきます。
こういった彼の初期から現在までの感性の変化を知ると、その彼が持っている新しいものを求
める部分をより加速させ、organ sceneに新しい風を吹き込んでほしいなどと過度な期待も持
ってしまいますが、現時点(2011年)では、感性面で近い Sam Yahel や Gary Versace の強
力なライバルといった感じでしょうか。

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Tri-Ocity

Category: sax (第2期)  

Like a Magic Kiss / Bad Touch

Bad Touch

Loren Stillman (as)
Gary Versace (org)
Nate Radley (g)
Ted Poor (ds)
Recorded at Yonas Media East, NYC on February 10-11, 2008
自主制作 (Bad Touch Music)

グループ "Bad Touch" は、以前このブログでも記事歴のあるLoren Stillman(B1980)のア
ルバム "Winter Fruits"(別頁あり)と全く同メンバーとなっており、録音も同年、わずかに
本作の方が4ヶ月ほど早かったようだ。
Gary Versaceがオルガニストとして参加しているのも購入のきっかけともなっているが、
こういったフリー、アブストラクトな展開も予想される中でオルガンが起用されることも
珍しく、またVersaceとしても普段とは全く違う状況の中で彼がどういったプレイを見せて
くれるのか、興味のあったところです。
本作の楽曲は、StillmanとPoorの手によるものとなっている。Ted Poor(ds)は、このブロ
グでもBen Monderのバンドでもおなじみだが、その他NYの先鋭的ミュージシャンとの活動
も多く、ダイナミックでシャープな切れ味を持つ若手ドラマーとして有望な存在である。

Bad Touchの中心的存在となっているLoren Stillmanは、2004年の「ダウンビート」誌
ライジング・スターにも選出された若手アルトの逸材。
10代後半でD. LiebmanやL. Konitzの指導を受けたと言われる彼は、フルトーンで吹きまく
るというタイプではなく、クール、ダーク、アブストラクトで思索的な質感を持ったアルト
奏者と言っていいだろう。
またプレイヤーとしてだけでなくコンポーザーとしての能力ある彼は本作でもその持ち味を
十分発揮し、精緻に創り込まれた中に自由度の高い部分が巧みにバランスよくブレンドされ
ているという構成からは、コンポーズ能力の高さを感じとることができる。
アルト奏者としては、わずかに線が細いというような印象も受け、繊細さの裏返しともとれ
るが、まだ若い彼が今後大きく伸びるためには、このあたりが今後の課題とも思える。
彼の長所であるデリカシーも一方で力強さ、大胆さという相反する部分があってこそ、より
生きるというものであろう。

さて、本作の内容だが、メンバーが順次ソロを展開し、他はバッキングにといった一般的な
展開ではなく、メインのソロイスト以外のメンバーがかなり自由にソロイストに絡んでゆく
といった展開になっており、そのやりとりが緊張感を生み出し、そこからまた新たなものが
という流れが基本となっているが、全体の構成はStillmanの頭の中で精緻な計算があったの
だろう。そんな中でアグレッシヴに煽るPoorのドラミングは、何かを生み出すきっかけを創
り出しており、好結果に大いに貢献しているようだ。

Versaceは、Stillmanのダーク、ミステリアスな浮遊感あるアルトに呼応するかのようにデリ
カシーに富んだオルガンプレイを見せており、普段の彼には見る事ができないという点で非
常に興味深い本作である。ただこういった展開が十分に板についていないと思えるところも
あり、Versace本人そしてオルガンの可能性を拡げるためにも、こういったプロジェクトに
は、今後も積極的に参加していってもらいたいものである。

JAZZ-sax 29

Category: 未分類  

楽天ブログのTB機能停止に思う

楽天ブログのTB機能がなくなるというような話は、それとなく耳に入っていたのですが、
私は、単純に今後楽天ブログではTB機能が使えなくなってしまうのか、という程度に思っ
ていたのですが、どうも過去のTBまで一切を削除されてしまうということを知り驚いてい
る。それもユーザーとの意見交換など話し合いも一切無く一方的にということになると、
驚きを通り越してあきれかえっている。

ブログにとってTB機能は、ブロガー同士がコミュニケーションをとる上で重要なツールで
あり、ブロガーにとっては、今後のことばかりでなく、現在まで蓄積されたTBは、単に
過去のものとして用済みというものではなく、未来に向かってずっと利用されていくとい
う、そのブロガーのみならず、そこに関わる多くのブロガーで形成されるコミュニティー
全員の言わば財産とも言うべきものであろう。長年に渡り多くのブロガーが苦労して築い
てきたつながり、そして今後もその蓄積されたTBによって広がっていくであろう輪を、
一方的に消し去ってしまうという行為が許されるのだろうか。
もし過去のTBは残し、今後のTB機能のみ停止するというのは、システムのしくみとして
難しいのであれば、蓄積された過去TBの重要度を考えれば、できないこととも思うのだ
が、ブログ利用者にとって、この部分は非常に重い部分でもあるのだ。
そしてこのTB機能停止については、送信機能は残し、あくまで受付機能でということらし
いが、受信機能を持たないブロガーからの送信TBを受けたブロガーは、返信TBもできない
一方通行では、コミュニケーションが成立たないだろうし、それに今回の処置は元々スパム
対策との説明をしているようですが、迷惑受付機能は停止しても迷惑送信機能は残すという
のも何とも考えていることがよくわからない。

今までブログの運営をしてきた楽天が、そんなブログの基本的とも言えるTB機能の重要さ
を知らぬはずもないと思うのだが、ブログ運営を開始するにあたり、いったい楽天はどう
いうポリシーを持って事にあたってきたのかとも思ってしまうのである。いや、こんな身
勝手で理不尽なことを平気でやってしまう会社に、そんなりっぱなポリシーなどあるはず
もなく、あるとすれば楽天市場に繋げるための売上げアップのための道具という程度の認
識しか頭になかったのではとも思えてしまうのだ。
自社の利潤追求しか頭にない会社が、結局は、ユーザー無視の反感を買う事を平気でやって
しまい、自社の大きなマイナスイメージを作ってしまう。なんとも間の抜けた話だ。

今回の件は、楽天ブログユーザーにとっては、居るに居られないということで、突然の強制
退去を命じられたようなものでしょう。当然のことながら、今まで長年ブログを利用してい
ただいた、やむなく引越をしなければならないお客さんに、せめて引越しに都合の良いツー
ルを用意して、お送りするというのが筋だと思うのだが、それも一切無いわけで、結局、全
て置いて出ていってくれと言っているようなものでしょう。何とも理不尽極まりない話であ
る。

こんな状況を見ていると、東北楽天イーグルスも所詮、名前を売るための道具としか考えて
いなかったのかなどとも思えてしまうのだが、野球に理解の無い会社の元で厳しい状況にあ
る被災地の方々の希望の星となりがんばっている選手達のことを考えると何か納得できない、
スッキリしないものも残るのだが、そう思われてもしょうがない状況だろう。
本体のトップは、こういった状況を理解しているのだろうか?

未分類-6
Category: guitar (第2期)  

Panoramic / Steve Cardenas


  1.Visa
  2.Sights
  3.Isso E Para Dizer
  4.Just Like I Pictured It
  5.Walkup
  6.Oriel
  7.Introspection
  8.D. Marie
  9.Salsita


Steve Cardenas (g)
Tony Malaby (ts)
Larry Grenadier (b)
Kenny Wollesen (ds)
Recorded November 26 and 27, 2002 at Avatar Recording Studios, NYC
FSNT 171CD

Paul MotianのバンドでのRosenwinkelとのツイン・ギター他、進歩的ミュージシャンとの
交流も多いSteve Cardenas、本作ではTony Malaby (ts)が参加ということで購入のきっか
けともなりました。メンバーでは、おなじみLarry Grenadier (b)は説明の必要もないですが、
Kenny Wollesen (ds)は、当ブログでは、Sex Mob(別頁あり)などでおなじみですね。
内容は、Cardenasのオリジナル7曲、Parker曲1、Monk曲1の全9曲。

一聴して、典型的なコンテンポラリー系と言ってよさそうな感性のギタリストです。ラテン、
ボサノバ調など収録曲の曲調もあるかもしれませんが明るくカラッとしたイメージで、本作
録音時点での印象としては、メセニーあたりが頭に浮かんできます。エフェクターなどの使
い方も近いものがあり、音の質も似てます。そういう曲がないので、はっきり言えませんが、
テクニックで押し切る、弾きまくるというようなタイプではなさそうです。とは言え、技術
的にはしっかりしたものを持っておりあくまで、抑制ある、節度あるといった中での理知的
表現が持ち味のようです。こんな書き方をすると、ハメを外すこともないおもしろくない優
等生みたいな印象になってしまいますが、決してそんなことはありません。モダニズム溢れ
る、現代NYの空気感を持ったコンテンポラリー系ギタリストとして評価できると思います。

この盤購入時の期待としては、Tony Malabyの感性に引っ張られてCardenasのギターもち
ょっと良からぬ方向へという期待もあったのですが、それに反し内容の方は、やはりアルバ
ム名義人のCardenas、しっかりした人のようで、彼の感性、スタイルが前面に出たものとな
っています。そんな中にあってMalabyも至って真っ当なプレイに終始するという展開になっ
ており、彼の尖った部分に期待して本作を聴くと肩すかしを食らってしまいます。
しかしながら、こういったノーマルな展開においても、その余力を十分に残した余裕の中で
の無理のない実に自然な歌心と旨味のあるプレイで単に尖った人ではないことを十分に感じ
させるものがあるとともに、Cardenas のコンセプトに沿ったアルバム創りに大いに貢献し
ているのではないでしょうか。
でもやっぱり明るく爽やかな顔よりダークで怪しい顔のMalabyの方が、私には相性がいいよ
うで。

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Steve Cardenas

Category: trumpet  

La Dolce Vita / Tommaso-Rava Quartet

La Dolce Vita

Enrico Rava (tp, flh)
Stefano Bollani (p)
Giovanni Tommaso (b)
Roberto Gatto (ds)
Recorded in Rome on 11, 12 November 1999 at Sonic Recording Studio
CAN 5008 (Cam Jazz)

ギャング映画のスクリーンを思わせるようなモノトーンのジャケット、どの顔も闇の世界で
生きていることをイメージさせるようで、とてもイイ人達には見えませんが、彼らが演って
いるのは、映画に因んだ曲ということで、このジャケットにも、なるほどです。

これは、一時期Stefano Bollaniを集中して聴いていた時、その頃仕入れた盤です。
音楽に関しては、熱しやすく冷めにくいという自分の癖がありますが、なぜかBollaniに関し
ては、あまり長続きしませんでした。毎度のことですが、気になるMusicianに出会うと集中
的にそればっかりになってしまい、その全てを聴かないとおさまらないという性癖を抱える
私は、集中的にため込んだBollaniの盤もほこりにまみれた寂しい状態になっているのですが、
不思議とこの盤は、ほんとにたまにですが、聴いていました。考えるに、その惹き付けられ
る要素は何かと...........映画音楽に漂う独特の哀愁なのかもしれません。そこに吸い寄せられ
てしまうようです。
映画音楽とは言っても、彼らのオリジナルも入っているという本作は、よくある企画ものに
あるようなeasyでベタなものとは全く違い、映画を題材としてそこからインスピレーション
を得て、彼らが創り出したJazzの心に溢れた音楽と言えるものではないでしょうか。
Ravaの哀愁漂うtp, flhが染みます。それを煽り、もり立てるBollaniのピアノがまたイイ仕事
をしてます。
特に冒頭の2曲がお気に入りだ。世界残酷物語のテーマ「More」における、Bollaniのなめるよ
うなピアノタッチ、久しぶりに聴いた本作ですが、Bollaniのピアノが心地良く入り込んできま
した。
またしばらくBollaniの日々、あるかも.........................などと気の多い私は考えています。

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Tommaso-Rava Quartet

Category: organ (第2期)  

Back Home / Pat Bianchi

Back Home
  1.Fifth House
  2.Midnight Mood
  3.Litha
  4.Back Home
  5.Blues Connotation
  6.Portrait of Jenny
  7.Just in Time
  8.Hammer Head
  9.Fifth House


Group A)Pat Bianchi (Hammond C3)
     Terell Stafford (tp)
     Wayne Escoffery (ts)
     Ralph Peterson (ds)

Group B)Pat Bianchi (Hammond C3)
     Gilad Hekselman (g)
     Carmen Intorre (ds)
Recorded at Systems Two Studios in Brooklyn, New York on October 18, 2009

気になるMusicianに出会うと、最新盤は勿論、過去にさかのぼり、その全てを聴いてみな
いと治まらないという悪い虫が目覚めてしまいました。その間、他は全くノーガードにな
ってしまうという一極集中型というか単一指向型というか、その悪しき性癖を繰り返し今
に至っているというのが私なのですが、今回もその当たり前のように表れる悪癖にブレー
キをかけようとする脳の命令を無視して足の方はもう勝手にアクセルペダルを踏みちぎれ
んばかりに目一杯踏み込んでしまいました。そう、前回も登場したPat Bianchi(B1976)で
す。まず最新の彼をチェックしてみようということで、彼がリーダーとしては、最新の本
作を入手しました。
まず、曲目を見て期待感が一気に跳ね上がりました。Bianchi自身のアルバムタイトル曲
以外のものが、Coltrane曲、Zawinul曲、Shorter曲、Corea曲、そして注目すべきは
O.Coleman曲が入っているなど、一般的にorganにイメージされてしまう前時代的なもの
ではない真っ正面からJazzに取り組んだことが想像されるものであること、そして私的注
目のguitaristであるGilad Hekselmanが参加していること、期待感も一気にピークになろ
うと言うものです。

本作ではライナーを先輩格で交流もあるorganistのJoey Defrancesco(B1971)が担当して
ますが、Bianchiは、彼も認める存在ということなのでしょう。前回の記事でBianchiには
御大Smithの影響が見られるというようなことを書きましたが、もしかしたら初期段階で
DeFrancescoから多くを吸収したBianchiですから、Smithから直接というよりもSmith直
系のDeFrancescoを通してということなのかもしれません。その辺は今後 Biandhi の過去
盤を洗い出し検証することにより明らかになってくるでしょう。しかしながら、このかす
かなSmith の匂いも、あくまで初期段階ということで、現在のBianchiには、その影はほと
んど感じなくなっており、それは、しっかりした独自性が確立されてきたことの証でもあ
るでしょう。このDeFrancescoについては、年齢的にはBianchiと5才しか離れていません
が、彼は早熟の天才少年として10代でプロデビューしており、Bianchiにとっては、年齢差
以上に長年のキャリアを持つ大先輩という存在だったのではないのでしょうか。

冒頭1曲目のColtrane曲 "Fifth House" で、これは間違いないと確信が持てました。
モーダルにスピードにのったオルガンが突っ走ります。その容赦なく攻めまくるorganに
は、その昔Larry Youngに出会った時のような感覚も蘇ります。
今世紀に入り10年も過ぎてしまいましたが、やっと21世紀のメインストリートを進むに
ふさわしいorganistが出てきたというような更なる期待感も膨らみます。
Bianchiのソロに続くHekselmanのスピード感に溢れたキレキレのguitarもやたらカッコ
いいのです。そして最後に再び持って来て、またこれで締めているこの曲は、本作を象徴
するような1曲と言ってもいいかもしれません。

本作はメンバーにより2通りのユニットが組まれており、それぞれgroupAが4曲、groupB
が5曲という構成になっている。groupAの方は、2管が入り現代版ハードバップといった趣
きになっているが、こちらも今の感覚に溢れた魅力あるものになっており、全員がモーダル
に攻める様は爽快感すらある。が、organの入ったこういう傾向の流れは、この後イタリア
の方でも見られているという状況もありますが、この形式は、どんなにいいプレイをしても、
聴く私にとっては、新鮮味という点でどうしても不満が残ります。形へのこだわりを捨てた
ところで勝負してほしい、その中から独自の形を創り出してほしいというのが私の願いでも
あります。

ホーンが入ることにより主役はホーンにという展開になってしまうので、私的にはgroupBの
方が好みですが、内容的にもHekselmanとのコンビの方がより新しい感覚に溢れ、何かやら
かしてくれそうな期待感を持たせてくれます。目の離せない存在に成長してきた
Hekselman、できればこの可能性も感じる強力コンビで、ぜひまたお願いしたいものです。

前回記事の "Eeast Coast Roots" から、ほぼ4年半の時が過ぎた本作になるわけですが、こ
うして聴いてみると、そのさらに進化した姿は、小細工なしのJazzのど真ん中、しかも感性
面では先進性も備えた新主流派といったところ、彼の音創りの姿勢が変わらなければ今後は
完全フォロー態勢で臨まなければならないでしょう。レーダー照準に入り完全追尾態勢完了
です。
なかなかおもしろい展開にはなってきましたが、考えてみれば何十年と、こんな猪突猛進型
の無謀とも思える開拓を繰り返してきたわけですが.......................ふと立ち止まって考えて
みれば、やっぱり、やれやれです。

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Pat Bianchi

Category: organ (第2期)  

East Coast Roots / Pat Bianchi

East Coast Roots

Pat Bianchi (org)
Mark Whitfield (g)
Byron Landham (ds)
Recorded on May 7, 2005 by Scott Griess at Mile High Music
JM1022(JAZZED MEDIA)

Pat Bianchi(B1976)は、バークリー出身の若手白人オルガニスト。
このブログでも "Looking Back / Dan Schwindt"(別頁あり)にて記事歴がありますが、本
作は、同年これより4ヶ月ほど後のライブ録音で記事としては、これが初めてのリーダーア
ルバムとなります。
本作のメンバーからもBianchiのオルガンの原点となるものが見えてくるような気がします。
Mark Whitfield (g)からは、御大Jimmy Smith、そしてByron Landham (ds)からは、
Joey Defrancescoの影が見えてきますが、このDefrancescoはまたJimmy Smith直系とい
うオルガニストでもあります。
そんなわけで、DefrancescoにもBianchiにもこのJimmy Smithの影を色濃く感じるわけで
すが、その辺がBianchiに関し、その存在はだいぶ前から知っていたにもかかわらず、あま
り積極的に聴こうとしなかった理由でしょうか。
もちろん、それはJimmy Smithを軽視しているわけではありません。過去に散々聴いてお
り、彼がJazz Organ Sceneに一つのスタイルを創り出し、多くのフォロワーを生み出して
いることなどを考えれば、やはりイノヴェイターとして評価すべき存在であることも、十分
理解しているのですが、このSmithの時代があまりにも長く続いてしまい、Organ Sceneも
停滞感があり、冬の時代といってもいいような時を長く過ごしてきました。organ界も前に
進まなければなりません。私としても、ここ10年ほどSmithの影響下から抜け出し、全く新
しいOrganの世界を創り出してくれるような革命家の出現を期待してきたのですが、Organ
界は絶対数が少なく、慢性的に人材不足の感があり、歯がゆい思いをしています。でもいつ
か出会うと信じてます。
前置きが長くなってしまいましたが、このBianchiも年齢的にはまだ若手もいいとこですか
ら、いずれSmithの影響下から飛び出して、独自のスタイルを創り出してほしいというよう
な期待をこのBianchiには、持っていたのですが、私にとって2作目となる本作を聴いて、こ
れまで私の抱いていた彼のイメージもだいぶ修正しなければならないというのが本作を聴い
ての率直な感想です。やはり、イメージだけではなく、実際に聴いてみないことには始まら
ないこと、反省とともに痛感したしだいです。

内容は、Bobby Hutcherson, John Coltrane, Jimmy Heath, Bill Evans.........などによる、
従来Organistが、ほとんど取り上げることのなかった全8曲です。
この辺にも従来のorganのイメージには、縛られたくないというような彼の意思が表れてい
るように思います。
オーソドックスなオルガン-ギター・トリオという編成、Jimmy Smithをアイドルとしてい
たであろう痕跡も感じます。Smithを1つのステップとしながらも、ここで展開されている
音楽は、明らかにBianchi独自のものが芽生え始めている音であり、そこは素直に評価して
あげたいとも思うのです。
よく歌い、そして繰り出すフレーズのラインにもセンスを感じます。この辺は、メロディー
メーカーとしてのセンス溢れるGary Versaceあたりにも通じるものがあります。
年齢的には現在30代半ばということで、まだまだ伸びる可能性もありますが、その辺は
Bianchi本人の音創りの姿勢も大きく関係してくるところでしょう。現段階では、革命家に
なるという感性ではないものの新主流派というエリアで爆発できる可能性は持っていると
思います。決してメインストリームの中でとどまって終わってほしくない、ぜひ、大きく
伸びてほしいという思いです。
いずれにしても、遅まきながら最新盤とともに過去盤掘り起こしにより、彼の全てをチェッ
クしてみたいと思っています。望む展開です。


Pat Bianchi(org) Steve Kovalcheck(g) Jim White(ds) Recorded live August 2008
2008年のBianchiからは、さらに進化が見られます。


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Pat Bianchi

Category: sax (第2期)  

The Beautiful Enabler / Mauger(Rudresh Mahanthappa)

Beautiful Enabler-1



  1.Acuppa
  2.Bearings
  3.Flac
  4.Intone
  5.The Beautiful Enabler
  6.I'll See You When I Get There
  7.Meddle Music

Rudresh Mahanthappa (as)
Mark Dresser (b)
Gerry Hemingway (ds)
Recorded at Acoustic Recording by Michael Brorby on December 17, 2006 
CF114CD(clean feed)

Rudresh Mahanthappa(B1971)を中心としたグループMauger名義による本作は、既に
記事とした2010年作の "Tasty ! / MSG"(別頁あり) とは同年の録音、時期としては本作
の方がわずかに後ということで、メンバーも変わっての2度目のサックストリオ作という
ことになる。
内容はMahanthappa曲2、Dresser曲2、Hemingway曲2、3者共作曲1の全7曲。

Anthony Braxtonとの活動などでもおなじみの両ベテランMark Dresser(b)と
Gerry Hemingway(ds)とを迎えたオールスタートリオとも言える強力なメンバーを迎え
た本作では、普段Mahanthappaの音に感じるインド色はあまりなく、極めてストレート
なJazzといった印象である。
本作を通してまず感じるのは、全7曲全て違ったイメージが表れ、あらためて彼のその多
彩な感性を確認できたことである。それは生まれはイタリア、血はインド、育ちはコロラ
ド、教育はボストンやシカゴでというように多文化をルーツに持っているとも言えるような
彼の生い立ちとも多少関係しているのであろうか。
もちろん本作でのバラエティーに富んだ音楽は、Mahanthappaのワンマンショーによる
ものではなく3人のメンバーの感性のぶつかり合いと同調とを経た知の結晶とも言えるも
のであり、その有機的に密に絡み合いながらのインタープレイにより集団的創造物である
本作ができる過程こそが本作の一番の見せ場ともなっており、この終始張りつめた緊張感
の中で、一部のスキをも見せず、凄みとともに殺気みなぎるこのアルトには、ただならぬ
ものを感じる。

Mahanthappaに関しては、下記記事(別頁あり)もありますのでご参考まで。
1.Codebook / Rudresh Mahanthappa
2.Apti / Rudresh Mahanthappa's Indo-Pak coalition

Beautiful Enabler-2

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Mauger



Category: Gallery > Matchbox  

Matchbox Art Gallery-6

  
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Gallery-Matchbox-6

Category: organ (第2期)  

Many Places / Gary Versace

Many Places

Gary Versace (org)
Dick Oatts (as, ts, ss)
Matt Wilson (ds)
Recorded April 2005 SCCD 31589(SteepleChase)

内容は、Versace曲5、スタンダード曲他4の全9曲。
多くのビッグバンドでの活動経験豊富なデスモンド~コニッツ派の流れを汲む、ベテランの
Dick Oattsをフロントにしてのオルガン-サックス・トリオ。

今回のVersaceの相手Dick Oatsは、今の空気感を漂わせるsax奏者ではありますが、基本は
メインストリーム寄りの感性を持った経験豊富なベテランということで、全体のサウンドも
比較的オーソドックスで落ち着いたものとなっている。イメージとしては、このブログでも
紹介済みの本作の翌年録音になるギターのVic Jurisを相手にした "Reminiscence" (別頁あり)
あたりと近いものがあるが、そこでVersaceが見せてくれたノリの良さは、本作ではちょっと
希薄かという印象を受ける。その辺は、共演者の持つ感性そして相性が大きく関係している
ところなのでしょう。
本来Versaceのノリの良さは、特筆すべきものがあり、ベテランを相手にしたオーソドックス
な展開では、そのメロディーメーカーとしてのセンスも手伝って、粋なフレーズを連発させ、
楽しませてくれるのだが................、まあ、"Reminiscence" での彼があまりにも好調だった
ということで、それと比べてしまうのも酷かもしれない。
しかしながら、Versaceは、こういったオーソドックスなメインストリーマーの中で楽しく
ノリのいいプレイをめざすよりりも、先進性あるコンセプトを持った共演者との中で、創造
の意欲溢れた音楽の中に身を置くべきorganistであってもらいたいというのが私の願いでも
ある。

Gary Versaceに関しては、このブログでは、リーダー作以外にも多数関連記事がありますが、
ここに表記しきれませんので、必要な方はお手数ながら検索 "Gary Versace" よりお入りくだ
さい。

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Gary Versace

Category: sax (第2期)  

Pas De Dense / Daniel Humair, Tony Malaby, Bruno Chevillon

Pas De Dense-1 Pas De Dense-2

Tony Malaby (saxophones)
Bruno Chevillon (contrebasse)
Daniel Humair (percussions) 
ZZT 100404 (ZigZag) 2010

Tony Malby参加のサックストリオということで、私としては避けて通ることの許されない
という1枚。
Daniel Humair(b1938)とBruno Chevillonは、このブログでは
"Liberte Surveillee / Daniel Humair"(別頁あり)でもおなじみの2人。その盤では
Ellery Eskelin(ts), Marc Ducret(g) らとともに、稀に見るスリリングなパフォーマンスを
見せてくれたが、今回は現在NY Underground Sceneのファーストコールテナーとも言う
べきTonyMalabyを引きずり込んで、どんな展開になるのか期待も高まります。

全編自由度の高い12曲ということで、曲名も "Sequence HCM 1~12" と、そのフリーな
内容をイメージさせるようなものとなっている。後からとりあえず付けたということなので
あろう。
誰かが誰かのバックにまわるというのではなく、3者均等の絡みで進行していくが、そこに
は互いのアイデアに耳を傾け感じ取ろうとする集中とそれに伴う緊張感が張りつめた空間を
生み出しており、聴く側にとってもいい意味での緊張感を強いられるアルバムとなっている。
トーン、音色、無音、フレージング、リズム、相互作用、密度、ボリューム、パルス..........
あらゆる要素を駆使しての3者の絡みは、音楽としてのストーリー性をも感じるような流れも
見せており、その相互交換の密度の高さをうかがわせる。

録音時72才というHumair、ドラミング自体も刺激に満ちたものだが、この年にして、この
強烈な前進意欲を維持していること、これも大変な才能に思える。攻めのベースラインから
刺激のパルスを発信するChevillon、そしてフルートのような音まで出してしまう多彩なトー
ン、循環呼吸によるロングトーン..................など、あらゆるテクニックを駆使し縦横無尽な
展開を見せるMalabyのブロウ、久しぶりにその緊張感で、聴いた後に心地良い精神の披露感
を覚えるアルバムだ。

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Daniel Humair

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