前向きに Jazz!

日々進化し続けるJazzとともに歩んできた終わりのない旅

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Category: trumpet  

Cuong Vu Trio Meets Pat Metheny

 CuongVuPM-2.jpg CuongVuPM-3.jpg

Cuong Vu (tp)
Stomu Takeishi (b)
Ted Poor (ds)
Pat Metheny (g)

Rcorded February 4-6, 2015, at Avatar Studios, New York, NY
7559-79466-8 (NONESUCH) 2016

1. Acid Kiss
2. Not Crazy (Just Giddy Upping)
3. Seeds of Doubt
4. Tiny Little Pieces
5. Telescope
6. Let’s Get Back
7. Tune Blues     All music composed by Cuong Vu except “Telescope” by Pat Metheny and “Tune Blues” by Andrew D’angelo.

ベトナム出身のトランペッター Cuong Vu(B1969)の NONESUCHレーベル移籍初作。
長年続く自身のトリオに、かつて参加グループのボスだった Pat Metheny(B1954) が逆に参加しての一作。
かつて、この同じメンバーのトリオにやはり同じフォーマットでギタリストにBill Friesellが参加した “It’s Mostly Residual(2005)” を思い出す。

振り返ってみれば、かつてPMGに参加していた頃の Vu は、グループの一員として大抜擢してくれたボスの手前、そしてあくまでPMGの音楽の中で
自身を抑えていたとの感もあり、PMG以降の活動では、解き放たれたようにNYアンダーグラウンド系、フリー寄りのミュージシャンなどとの、それまでとは
違う世界での活動を積極的にこなしてきており、その音楽も怪しくもダークな世界観を秘めたものとの印象もあり、この辺が彼本来の感性ではないだろうか。
本作での興味は、そんな Vu とは異質のテクスチャーを持ったMethenyが混入し、音楽はどんな化学反応を見せるのかといったあたり。

これまでのこのトリオ関連の Vu 作では、不穏な空気を振りまきながら唸り、忍び寄る武石のebとダイナミズムに溢れたPoorのdsとが創り出す空間を
切り裂くように飛び交うVuのtp、これがこのトリオの基本のサウンドイメージであった。

さて本作、幾分、尖ったカドがとれて、アタリがよくなったといった印象もある音楽の質感。かつてのボス、Methenyに歩み寄った結果か、はたまたMetheny
もプロデュースに関わっているといった状況からなのか、いずれにしても、私的に Vu の最も魅力と感じている部分でもある先鋭性がやや薄まったと思えるのは、
ある程度予測はしていたが、まったく望まぬ方向だった。
本作の購入者は、おそらくほとんどがMetheny目当てじゃないだろうか、そういう意味では、Methenyらしいプレイもたっぷり出て、それなりに満足の
一枚ということになるのかもしれない。自分でも、漠然と聴いていると、ことさら取り上げるほどの問題もなく、まずまずの内容の一枚とも受け取れるのだが、
それでもどこか、物足りないものが残るのも事実だ。もちろんそんな受け取りをしない人も多いのかもしれないが............まあ、つまるところ単に好みの問題
ということになるのか。
度々書いてきたことだが、共演者との対話の中から、その互いの刺激により新たなsomethingを生み出そうとする即興性の強いJazzにおいては、
共演者の持つ意味は大きく、残念だが、本プロジェクトでは、私的に望む方向に化学反応は進まなかったと受け取っている。
アルバム名義人であるCuong Vu寄りに考えるならば、持っている感性の質から、どこか屈折したものを秘めたような感性の質を持ったギタリスト
例えばLiberty EllmanやらRez Abbasiのようなタイプであったなら、より魅力的な音世界の広がりもイメージできるのだが、それはもちろんMethenyから
見ても同じようなことが言えるのかもしれないが.............。
このトリオのカラーに大きく関わっている武石務のベースの響きとMethenyのギターの響きには、そこに同じ弦の響きでも、相乗効果により、より魅力ある
音世界の出現がイメージしずらいのだ。
ボーダーのスウェツトとスニーカーそして青い空が似合うMethenyには、陽のギターをイメージしてしまう。これはこれでそれが活きる世界が別にあると思う。
当初、個性として受け取っていたMethenyのギターも、それは多分にプレイ面での彼独特のクセによるところもあり、近年では個性というよりも、クセとして
気になる部分とも感じている。微妙なところだが、気になりはじめると、その小さな部分が大きくなってしまう。理屈では割り切れない感性の世界ということか。
こういった受け取りをするのは私だけなのだろうか?
Pat MethenyというギタリストがJazzギターの世界に残してきたものは大きく、Jazzギター史に刻まれるべき足跡を残しているという点で私的には、もちろん
高く評価もしているのだが、ただ道楽目線でということになると、評価よりも好みが優先してしまうのは仕方ないことか、悪しからず。

その他の Cuong Vu 関連記事は → こちらから

JAZZ-trumpet 10



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Category: trumpet  

Eric Le Lann / I Remember Chet

  Eric Le Lann (tp)
  Nelson Veras (g)
  Gildas Bocle (b)

  Recorded at 51Studio in August & September 2012.
  BEE 057 (Bee Jazz) 2013

  01. For Minors Only
  02. If I Should Care
  03. The More I See You
  04. I am a Fool to Want You
                     05. Summertime
                     06. The Touch of Your Lips
                     07. Milestones
                     08. Zingaro
                     09. Love for Sale
                     10. Angel Eyes
                     11. Backtime

キャリア豊富なフランスのトランペッター Eric Le Lann(B1957)が、Chetに捧げた一枚。
Chet 縁のナンバーを中心に彼が好んだドラムレストリオという編成となっているが、私的にはストレートなテイストも予想される音楽と、このミニマルな編成
の中でのNelson Verasのギターをぜひ聴いてみたいとの思いでゲット。

ドラムレスで、デリカシー溢れる Veras のギターをバックに Le Lann のペットがより鮮明に浮かびあがる。Le Lannも、これを狙ってのこの編成なのだろう。
古いも新しいもない、今後も続いていくであろう王道のJazzだ。
オリジナルは、ラストの1曲のみで、Chet縁の曲を中心とした内容。
緊張感を保ちつつリラックスした中という、理想的なコンディションで、歌うことに集中した Le Lann のペットが紡ぎだすビターなフレーズが沁みる。

さて、Nelson Veras(B1977) だが、しばらく前にフランスの若手アルトサックス奏者の作 “Jonathan Orland/Small Talk” で初めて彼のギターを聴き、
それとは違い、ストレート、オーソドックスな音楽も予想される中での彼を聴いてみたいとの思いもあっての入手した本作でもあったが、音楽の質が変わった
状況の中にあっても、彼のギターは、奏法を含めて基本変わらないとの印象を持った。
前述の盤で感じたように、やはり巧いギタリストだ。ピックを使わず五指で弾く奏法もJazzの世界では少数派で、その繊細なタッチから弾き出されるギター
には独自性も感じられる。
その辺の印象も前述作と変わらないが、同様に自分の求めるテクスチャーでないこともあらためて確認した。
彼のギターはイメージ的には、言ってみれば、流れで表現する、音の集合体で表現するといった感じ。凝縮された一音ではなく、その集まりである集合体で
訴えかけてくるイメージだ。
この辺は、どちらが良いとか悪いとかではなく、もう好みの世界だろう。私的には、マシンガンよりも狙いすました一発で、しとめる、そんなイメージを求めて
しまう。

              

JAZZ-trumpet 9
Eric Le Lann

Category: trumpet  

Taylor Haskins / Recombination



Taylor Haskins (tp, melodica-12, g-1, 2, Korg Mono Poly Bass-1, 3, 7, 9, Laptop comp.-2, 4, 5, 7, 9)
Ben Monder (g)
Henry Hey (p-2, 6, 8, 12, Rhodes-3, 4, 7, 10, 12, Virus Ti-3, 5, 7, 10, Laptop comp.-4, 5, 9, 10)
Todo Sickafoose (ab-2, 4, 5, 6, 8, 11, 12, eb-10)
Nate Smith (ds)
Samuel Torres (shakers, maracas-3, woodblocks, caxixi-4, kalimba-9)

Recorded February 26 & 27th 2009 at 58 N6th Street Media Labs Brooklyn, NY.
19/8 1017 (CHRYSALIS MUSIC) 2009

01. Morning Chorale
02. Here is the Big Sky
03. Clouds from Below Us
04. Upward Mobility
05. The Shifting Twilight
06. A Lazy Afternoon
07. Lurking Shadows
08. Passing Through
09. Riverstone
10. Mobius
11. Alberto Balsalm
12. Forgotten Memory of Something True

ビッグバンドでの活動や映画音楽、コマーシャルなど幅広い分野でキャリア豊富なTaylor Haskinsですが、自身の小編成コンボによる活動などでは本作にも
参加しているギターのBen Monderとは共演も多く、Monderは、Haskinsの音楽の良き理解者と言える存在なのかもしれない。

本作、各種エレクトロニクスやエフェクト、プログラミングなど多用されてはいるものの、サラッと聴いていると耳馴染みも良く聴きやすいといったことも
あり、イージーリスニング的な印象も受けてしまうようなところもあるのだが、繰り返せば、音楽はかなり創り込まれ隅々までHaskinsの意思の通った緻密
なつくりを見せている。
Nate Smithのタイトなドラミングによる推進力がつくり出す流れの中で音楽は、エレクトロニクスを駆使した各種楽器の多彩な音が絡み合い独特の世界が
広がる。そんな中でMonderもアンサンブルのワンピースとしてそこにに溶け込むプレイに徹しており、多くのソロはとらないのだが、全体のサウンドメイ
キングへの貢献度は、高いものも感じられる。時折見せるクリアトーンでのソロもやはりモンダーと思えるものもある。
エフェクトを通したtp以外にも他楽器により多才ぶりを発揮しているHaskinsだが、こうして一通り聴いてみると、一トランペッターというよりも、やはり
コンポーズ面で勝負するタイプといった印象を受ける。
こういった創り込まれた音楽は、丁々発止のインプロのやりとりのようなスリル感といったものを求めてしまうともの足りなくも感ずるが、そもそも
本作において、Haskinsの目指す美は、そういっったものとは異質のものなのだろう。
適材適所にメンバーを配し、緻密に計算されて創られた世界は、一種のアンビエント感とともに構成美も感じられる。


             
             Taylor Haskins, tpt
             Ben Monder, gtr
             Ben Street, bass
             Jeff Hirshfield, drums

JAZZ-trumpet 8
Taylor Haskins


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Ryan Kisor / The Sidewinder

  Ryan Kisor (tp)
  Sam Yahel (org)
  Peter Bernstein (g)
  Willie Jones III (ds)

  Recorded at Chung King Studio, New York, August 10, 2002.
  VACM-1221 (VIDEOARTS MUSIC) 2003

  1. Candy
  2. Panic Attack
  3. Ceora
                    4. The Sidewinder
                    5. Battle Cry
                    6. Speed Ball
                    7. The Dream
                    8. Like Someone in Love
                    9. Mr. Kenyata

先日来のYahel関連作の集中聴きの中で聴いた一枚、ついでに記事としておきます。
90年のモンク・コンペにおいて、わずか17才で優勝した Ryan Kisor(B1973)の自身のオリジナル3曲の他、リー・モーガンゆかりの6曲を含めたモーガ
ン・トリビュート・アルバム。私的には、当時追っていたSam Yahelの参加もありでゲットしたもの。

こういった日本主導で企画されたような盤は、ジャケットを含めて全体に"日本企画臭"といったらいいような独特の雰囲気が鼻について、あまり手を出すこ
とも無いのだが...............................。

ビッグバンドでの豊富な経験とハイレベルの技術を備えたKisorは、自らが新しい世界を切り拓いてゆくタイプではないといったミュージシャンとしての
コンセプト面のこともあり、デビュー当時の注目度も徐々に落ちてきた感もありますが、こうしてあらためて聴いてみると、実に巧さを感じるトランペッ
ターである。
モーガン・トリビュート・アルバムとして単にハードバップの焼き直しでもなく、オルガン−ギター・トリオをバックにワン・ホーンにした編成など、それ
なりに時代の新しい感覚も取り入れようとした姿勢も見られるのだが、やはり決まった形を守るKisorらしく、音楽はカチッとした従来の形に沿ったものと
なっている。そんな展開の中でBernstein、Yahelもそれぞれの持ち味を発揮し音楽はそれなりのまとまりと魅力を備えたものとはなっているのだが、
この定型の枠の中で、やや窮屈そうに振る舞うYahelの感性も感じられる。

このKisorをリーダーとしてYahelがピアノで参加したグループは、2004年頃だったと思うが、生でも聴いており、同様にこのKisorグループの枠の中に
収まりきれなくなってきているYahelが感じられた。


            
            Ryan Kisor, trumpet, performing Lee Morgan's "Mr. Kenyatta"
            with Peter Bernstein, guitar, Sam Yahel, organ, and Willie Jones III on drums.

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Ryan Kisor



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Cuong Vu / It's Mostly Residual

 Its Mostly Residual



  01. It's Mostly Residual
  02. Expressions of a Neurotic Impulse
  03. Patchwork
  04. Brittle Like Twigs
  05. Chitter Chatter
  06. Blur


Cuong Vu (tp)
Stomu Takeishi (b)
Ted Poor (ds)
Recruited Guest - Bill Frisell (g)
Recorded January 2005
intx-1007 (intoxicate)

本作は、ベトナム出身のトランペッター Cuong Vu(B1969)の自身名義通算5作目、Pat
Metheny グループ以降の初めての作となり、全曲、彼のオリジナルという内容、彼のトリオ
にゲストとしてBill Frisellを迎えての意欲作となっている。
そのFrisellが、近年多いキレイ系ではなく、エフェクトを効かせた歪むプレイを見せているの
も本作の魅力となっているが、それを引き出したのも歪んだtpで仕掛けるCuong Vuによると
ころも大いにあるのだろう。
独特のうなりを見せる武石のエレベが不穏な空気を振りまき、それをバックに絡むトランペッ
トとギターが作る鋭角的なサウンドは、歪みとともにどこか危うさもある空間を創り出してい
る。集団即興演奏といった展開で全員が暴走するようなシーンも見られるが、通して聴けば、
スケール大きな創り込まれた一貫した物語性も感じられ、そこにVuのコンポーザーとしての
確かなセンスも感じられる作品となっているのではないだろうか。

その他のCuong Vu関連作は → こちらから


(雑感)

Brad Mehldauの新作(とは言え2008年録音も含まれる)となる "Ode"は、聴き手の受け取り方
の違いも顕著に表れおもしろいものがある。
そもそも人の感性の違いというものは、驚くほどのものがあり、この受け取り方の違いという
のも、正常な形ということだろう。これが皆同じような反応しかみせなかったら、ちょっと怖
いものがある。私のような変わり者は、他人の嫌いなものが好きで、好きなものが嫌いという
こともよくあり、人の感性の違いというものを日々実感している。
このブログも、マイナーを1つの売りとしているところもあるので、他で記事としているもの
は、著しく記事化の意欲を失うこともあり、実際聴いていてもあまり記事としないことが多く
その辺が、あまりお友達が増えない原因ともなっているのだろう(笑)。
ただ、これは、単なる変わり者だからということばかりでなく、マイナーな世界に興味を引か
れるおもしろいものが多く存在すると感じることも多く、そこに真実があると感じることも
多々あったことも事実である。

ちなみに、Mehldauは、過去そこそこ聴いてきたピアニストなのだが、彼のビアノに神を感じ
たことはなく、だから私にとっては、神の終わりではなく、元々神ではなかったという存在で
ある。これは彼の評価というよりも私の感性が理屈抜きに自動的に反応する好みの問題であり
私の感性との相性がよろしくないということなのだろう。なのでやはり、そこそこのつき合い
にしか発展しなかったし、おそらく今後も彼を追いかけるような事態にはならないと予測して
いる。
"Keith Jarrett年金トリオ"、確かに言い得て妙だ。そう言えば何度も厚生年金ホールで彼らを
目撃してきた。その昔、Keithに初めて出会った時は、ただならぬものを感じ、神としてずっ
と追いかけてきたものだったが、今あのトリオに、寂しいことだが当時の輝きを見い出すこと
はできない。あらゆるリスクに勝る新しい美の創造への意欲、優れたアーティストとしての資
質だと私の基準では考える。安定を選んだことを責めることはできないが、私の中では、もは
や神として存在することは許されなくなった。音創りの姿勢は、最終的に音になった時、驚く
ほど正直にそこに表れるものである。前を向いた音か否か、ひたすら楽しみを求める道楽にお
いては、そこにこだわらないと道楽にならない。
まあ、もっとも何を楽しみとするか、その基準が違えば、求めるものも全く違ってしまうが、
人それぞれ人生いろいろである。  

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Cuong Vu

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Cuong Vu 4-tet / Leaps of Faith

Leaps of Faith

  01. Body and Soul
  02. All the Things You are
  03. My Funny Valentine
  04. Leaps of Faith
  05. Child-Like
  06. Something
  07. I Shall Never Come Back
  08. My Opening Farewell


Cuong Vu (tp)
Stomu Takeishi (eb)
Luke Bergman (eb)
Ted Poor (ds)
Recorded April 14-16, 2010
ORIGIN 82585 (Origin Records) 2011

Cuong Vu(クォン・ヴーB1969)は、ベトナム出身、6才で米国はシアトルに移住、その後
New England音楽院を出て、彼が世に知られるようになったのは、Pat Methenyのグルー
プへの参加が大きく関わっている。
このブログでは、Pianist & ComposerのMyra Melfordのグループ "Be Bread"の
"The Image of Your Body"(別頁あり)にて重要な役回りをしており、記事歴がありますが、
先進性あるコンセプトを持ったミュージシャンとの交流も多く、移住してきたこの米国で
重要な立ち位置にいるミュージシャンになりつつあるのではないだろうか。

さて、本作は、ピアノやギターの入らないツイン・ベースという変則編成のtp Quartetと
いうことで、この編成の中でVuがいったいどんな動きを見せるのかというあたりが一番の
関心事でもありましたが、一聴してみると、ツインベースというよりも一つは通常ベース
の役回り、多分武石の方だと思われますが、メタリックでソリッドに時折、不穏な響きも
交え緊張感を醸し出しており、もう一つは、どちらかというとギターのような使い方を交
え、ベーシックな環境と効果といった使い方により、2台のベースがスペイシーな音の空間
を創り出しているといった感じでしょうか。Vuのtpは、時にはその空間を漂い、縦横に飛
び交い、そして突き抜け、エレクトロニクスによるエフェクトも駆使した全体のサウンドは、
スケール感を感じる広がりのあるものとなっている。過激、不穏といった部分に耳が行きが
ちだが、時折見せる叙情性あるよく歌うプレイも、かなりの上手さを感じるトランペッター
である。血の部分を色濃く出してくるミュージシャンも多いが、6才からの米国暮らしとい
うこともあるのか、また、そこを売りにしてくるといった姿勢もなく、聴く側としても、根
っこのところでの微妙な差異は感じるものの、ことさらアジアを意識して聴く必要もない世
界スタンダードのコンテンポラリー感に溢れたJazzと言えるだろう。

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Cuong Vu

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La Dolce Vita / Tommaso-Rava Quartet

La Dolce Vita

Enrico Rava (tp, flh)
Stefano Bollani (p)
Giovanni Tommaso (b)
Roberto Gatto (ds)
Recorded in Rome on 11, 12 November 1999 at Sonic Recording Studio
CAN 5008 (Cam Jazz)

ギャング映画のスクリーンを思わせるようなモノトーンのジャケット、どの顔も闇の世界で
生きていることをイメージさせるようで、とてもイイ人達には見えませんが、彼らが演って
いるのは、映画に因んだ曲ということで、このジャケットにも、なるほどです。

これは、一時期Stefano Bollaniを集中して聴いていた時、その頃仕入れた盤です。
音楽に関しては、熱しやすく冷めにくいという自分の癖がありますが、なぜかBollaniに関し
ては、あまり長続きしませんでした。毎度のことですが、気になるMusicianに出会うと集中
的にそればっかりになってしまい、その全てを聴かないとおさまらないという性癖を抱える
私は、集中的にため込んだBollaniの盤もほこりにまみれた寂しい状態になっているのですが、
不思議とこの盤は、ほんとにたまにですが、聴いていました。考えるに、その惹き付けられ
る要素は何かと...........映画音楽に漂う独特の哀愁なのかもしれません。そこに吸い寄せられ
てしまうようです。
映画音楽とは言っても、彼らのオリジナルも入っているという本作は、よくある企画ものに
あるようなeasyでベタなものとは全く違い、映画を題材としてそこからインスピレーション
を得て、彼らが創り出したJazzの心に溢れた音楽と言えるものではないでしょうか。
Ravaの哀愁漂うtp, flhが染みます。それを煽り、もり立てるBollaniのピアノがまたイイ仕事
をしてます。
特に冒頭の2曲がお気に入りだ。世界残酷物語のテーマ「More」における、Bollaniのなめるよ
うなピアノタッチ、久しぶりに聴いた本作ですが、Bollaniのピアノが心地良く入り込んできま
した。
またしばらくBollaniの日々、あるかも.........................などと気の多い私は考えています。

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Tommaso-Rava Quartet

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Line for Lyons / Stan Getz & Chet Baker

Line for Lyons

Stan Getz (ts)
Chet Baker (tp, voc)
Jim McNeely (p)
George Mraz(b)
Victor Lewis (ds)
Recorded Live in concert at Sodra Teatern, Stockholm, Sweden,
February 18th, 1983 by the Swedish Broadcasting Corp. 
Sonet 899

1. Introduction
2. Just Friends
3. Stella by Starlight
4. Airegin
5. My Funny Valentine
6. Milestones
7. Dear Old Stockholm
8. Line for Lyons 

Getz のレギュラーコンボに Chetがゲスト出演する形で行われたストックホルムでの
ライブである本作は、Chet をターゲットとしての購入。
一枚のCDを、あまり通し聴きしない私が、よくお世話になったのが T5 "My funny
Valentine"と T7 "Dear Old Stockholm" 。特に後者の方は、Chet 関連のアルバムの
中でも、とりわけお世話になった1曲と言えるかもしれない。最初のテーマ部分のみ
Getz が担当し、後は最後までChet という展開のこの曲だが、まずスタートのこの
Getz にヤラれる。
本盤では、自らChetの引き立て役にまわったかのような男気を見せる(?)Getzは、短い
テーマをただストレートにブロウするだけで、これから始まるこの曲に、これだけ魅力的
なイメージを抱かせてしまう。やはり何かを持っている。ほんのちょっとした間の取り方、
唱わせ方というあたりのことなのだが、これがGetzなのであろう。
それに応えるかのように、おもむろに入ってくるChet のペットもまたイイ。心の深奥まで
染み込んでくるようなペットの響きは、彼の人生そのもののように、そこには、いろんな
ものが隠れているかのようである。Chet晩年における絶品のBallad。

追記)この盤に関しては、楽屋裏でのGetzとChetの険悪なムードなど、いらぬ情報も耳に
   入ってきておりますが、Jazz道楽者としては、より楽しく、心地良く聴ければ、勝手
   な解釈、思い込みも、大いに結構と考えております。また、Musicianは、ステージ上
   では別人になり、以外と素になるものです。記事中の「?」は、私が勝手にそう解釈
   したものですが、そう思い込んだ方が、この曲もさらにドラマチックに盛り上がると
   いうものです。全て丸く収まり、それで良いのです。良い方に解釈する、これができ
   れば世の中、丸くなるのです。



JAZZ-trumpet 3

Category: trumpet  

Now as Then / Project O

Now as Then-1

Now as Then-2

Ingrid Jensen (tp, fh)
Gary Versace (org)
Jon Wikan (ds)
Steve Wilson (as, afl) tracks 1,4,6
Seamus Blake (ts) tracks 2,3,5,7
Christine Jensen (as.ss) tracks 1,7,8
Recorded May 14th & 15th, 2002 at Charlestown Road Studios, Clinton, New Jersey
(Justin Time)

カナダ、バンクーバー出身の女性トランペッター Ingrid Jensen (B1966)を中心とした
Project 0名義の本作には、主要メンバーとしてオルガンのGary Versaceが参加しており、
その辺も購入のきっかけとなっている。

内容は、I. Jensen - J. Wikan共作曲2、Wikan曲1、Versace曲1、S. Blake曲1、C. Jensen
曲1、スタンダード曲2 の全8曲という内容。

バークリー卒業後、マリア・シュナイダー・オーケストラ、ミンガス・ビッグ・バンド、女性
ビッグ・バンドDIVA などの在籍経験もあるJensen は、1995年、ENJAからの初リーダー作
"Vernal Fields" の、カナダ版グラミー賞にあたるジュノー賞受賞を皮切りに、ボストン・グ
ローブ詩から "最優秀新人賞" 、全米屈指のトランペット・コンテスト"カーマイン・クルーソ
ー・ソロ・コンペティション" 優勝と輝かしい経歴を持つ彼女は、現在、世界のJazzシーンで
活躍する数少ない女性トランペッターの一人でもある。
彼女のしっかりしたテクニックに裏打ちされたトランペットは、あくまでひんやりとしたテイ
ストとモーダルな響きを醸し出し、その現代的な感性が魅力となっている。
グループ全体のサウンドとしても、Shorter在籍時のMiles のバンドを思わせるようなものが
あり、やはりクールに締めている。

際物的存在として見られる傾向のあるorganという楽器が、こういったフォーマットでかつ
ストレートなJAZZという展開の中で起用されるのも、まだまだめずらしいという現況ではある
が、この直球勝負の展開にも違和感無く入り込んでいける対応力を持ったVersaceというオル
ガニストもまた貴重な存在と言えるのではないだろうか。このグループとしての基本カラーを
クールに統一してしているのも彼のorganが大きく貢献している。

録音時33才というSeamus Blakeの参加も興味深いところである。


Ingrid Jensen at 55 bar Apri 22, 2008 "Foxy Trot"
Ingrid Jensen(tp), Lage Lund(g), Kris Davis(ep), Matt Clohesy(b), Jon Wikan(ds)


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Ingrid Jensen

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Live from The Moonlight / Chet Baker Trio



Chet Baker (tp, voc)
Michel Graillier (p)
Massimo Moriconi(b)
Recorded Live:MACERATA. Moonlight Club, November 24, 1985 
PHILOLOGY W 10/11-2

Disc1) 1. Polka Dots and Moonbeams
    2. Night Bird
    3. Estate
    4. Polka Dots and Moonbeams(Rehearsal)
    5. Arbor Way(Third set)
Disc2) 6. Dee's Dilemma
    7. How Deep is the Ocean
    8. My Foolish Heart
    9. My Funny Valentine
    10. Broken Wing(Third set)
    11. Funk in Deep Freeze(Third set)
 
特別な存在として見守り続けてきたアーティスト Keith に別れを告げてしまった私は、まだ
ちょっぴりその後遺症が残っているようです。そんな時、いつも決まって手が伸びるのが
Chet です。Chet Bakerは、やはり私にとっては、特別な存在と言えるのかもしれない。
しかし、それは私の音楽史の中で、その方向性を決定づけるようなきっかけとなったという
ような意味合いのものではなく、いつの時代にも、何かの時にふと思い出したようにその音
に触れたくなるような数少ないmusicianということで、いつもは表に出てこないのですが、
どこか近くにいつも居てくれるというような存在と言えるかもしれません。

LPからCDへと時代が変わりしばらくした頃、LPを中心にそれまで所有していた貴重なものを
含めた多くの音源を処分整理したことがありましたが、本盤は、なぜか不思議と愛着があり
Chet のアルバムとしては、残したアルバムです。

イタリア PHILOLOGY レーベルから2枚組ライブ盤としてリリースされた本盤は、リハーサル
の様子やChetがマイク状態を確認するためコンコンとマイクを叩く細かい音まで入るなど現場
の生々しい様子が収められているという Chetファンには、たまらない内容となっています
が、現在は廃盤となり再発の予定もない幻のアルバムとなっているようです。

内容も愛着があり残したというだけあり、私にとっては愛聴盤として生涯つき合い続けるで
あろう好内容です。
Chetが好んだドラムレストリオという編成になってますが、この時期のChetにしては、メン
タル面でも前向きななものが感じられ、アグレッシブな姿勢も見せてくれるなど、いつになく
好調とみました。trumpeter Chet Bakerのすばらしさも再認識させられるなど非常に充実し
た内容となっています。もちろんBallad "My Foolish Heart" で聴かせてくれるvocalも泣き
です。もっとも、特に晩年のChetは、不調の時でもそのLazyな雰囲気が逆に魅力になってし
まうというまれな存在で、そのプレイに滲み出る人生の悲哀は、彼の音に陰影と深みを与え、
たまらなく惹き付けられるものがあります。
Graillierのピアノも好調でドライヴ感溢れるソロも聴かせてくれます。ピアノがピンと張った
金属のワイヤーをハンマーで叩いて音を出す楽器であることを実感させられるような生々しい
録音も本盤の魅力となっています。
本盤はLiveということもあり、全て10分を超える長尺曲で占められるなど、85年当時の貴重
なChetの生の記録として再発されずに、眠ったままというのはChetファンにとっては、大き
な損失と言えるでしょう。

久しぶりに耳にするChetの音は、理屈抜きにカッコいい、泣かせるぜ!

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