前向きに Jazz!

日々進化し続けるJazzとともに歩んできた終わりのない旅

Sort byguitar (第2期)

Category: guitar (第2期)  

John Abercrombie / Wait Till You See Her

WaitTillYou-1.jpg WaitTillYou-2.jpg

John Abercrombie (guitar)
Mark Feldman (violin)
Thomas Morgan (double-bass)
Joey Baron (drums)

Recorded December 2008 Avatar Studios, New York (Eng.:James Farber)
ECM 2102 (2009)

01. Sad Song
02. Line-Up
03. Wait Till You See Her
04. Trio
05. I've Overlooked Before
06. Anniversary Waltz
07. Out of Towner
08. Chic of Araby           
All music by John Abercrombie except Wait Till You See Her by Richard Rogers/Lorenz Hart

一枚じゃあ、おさまりがつかなくなっちまった.................もう一枚いっときます。

Abercrombieにとっては、今世紀初めのMark Feldmanとの出会いから始まったこのクァルテットですが、本作では、それまでのMarc Johnsonの
ベースに替わり若手のThomas Morganになっての4作目となる。
内容も、アルバムタイトル曲の "Wait Till You See Her" を除いて全てAbercrombieのオリジナル、そのコンセプトに共鳴し、4人の静寂な中にも
緊密で緊張感が持続しながらのインタープレイが繰り広げられる。

極めて現代的でクールな装いながらも温もりある歌心を忘れてないAbercrombieの柔らかくセンシティブなギター・ワークが緩やかな流れを創り
だしている。それに寄り添うように流れに淡い彩りを添えていくFeldmanのヴァイオリンもそれに輪をかけたように極めてセンシティブでもあり、
Morganも加わり3者3様の弦の響きが、絡みあい創り出された音世界は独自の世界観をつくりだしている。
このフォーマットでの活動も長く、新しい一つの形を創った感もあるが、ベースがMarc Johnsonから若手のThomas Morganに替わり、新しい変化
のきざしも見えるのだが........................

今回、こんなことになっちまい、他に Copland とのデュオ曲 “Blue in Green” も聴いたのだが、何とも沁みる泣きの一曲となっちまった。
こういうデリカシーに富んだ語り口のできるギタリストも、もうなかなか出てこないんじゃないかなあ................................さらば、アバ爺!

その他の John Abercrombie(1944.12.16〜2017.8.22) 関連作は → こちらから

JAZZ-guittar 185
John Abercrombie
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Category: guitar (第2期)  

John Abercrombie / The Third Quartet

ThirdQ-1.jpg ThirdQ-2.jpg

John Abercrombie (eg, ag)
Marc Feldman (violin)
Marc Johnson (b)
Joey Baron (ds)

Recorded June 2006 at Avatar Studios, New York
Engineer:James A. Farber
ECM 1993 (2007)

01. Banshee
02. Number 9
03. Vingt Six
04. Wishing Six
05. Bred
06. Tres
07. Round Trip
08. Epilogue
09. Elvin
10. Fine

ちょっと危なっかしいところもあり、だいじょぶかなあなどと度々思うところもあったこの頃、やっぱり逝ってしまった。
ここは、何か聴かにゃあ、おさまりがつかんだろうなあ...........ということで、振り返りつつ一枚。

ECMにおいて'02年の "Cat'n' Mouse" から始まったこのメンバーでの作品も間に "Class Trip"('04年)を挟んで本作が3作目となり、次作の
"Wait Till You See Her"('09年)では、ベースがMarc Johnsonから若手のThomas Morganに代わるという本シリーズである。

Orneette Colemanの M07"Round Trip", Bill Evansの M08"Epilogue" 以外は全てAbercrombieのオリジナルとなる全10曲という内容となって
おり、音楽の基本的方向性は、初作から変わっておらず、一貫した姿勢で通してきている感もあるのだが、音楽は初作を "動" とするならば、しだいに
"静" の要素を強めてきているとの印象もある。しかし、音楽は、表面上の "静" とは反し、やはり回を重ねた成果であろうか、阿吽の呼吸もあり、より
緊密な絡みもある、静かな中にも緊張感が持続するものとなっている。
空間を漂うAbercrombieのギターとFeldmanのヴァイオリンが寄り添いながら、そして時に絡み合いながら紡ぎ出す世界は、小さなジャンルという
枠にとらわれない彼ら独自の新しい世界を創り出してきており、地道に積み上げてきたこの成果は評価すべきではないだろうか。

60超えの当時、なお旺盛な創り出す心を維持するどころか推進させている感もある Abercrombie がうれしい、.....................そして惜しい。

その他の John Abercrombie(1944.12.16〜2017.8.22) 関連作は → こちらから

JAZZ-guitar 184
John Abercrombie
Category: guitar (第2期)  

Gene Segal / Matter

  Gene Segal (g)
  Jon Irabagon (ts)
  Sam Sadigursky (cl, bc)
  Sean Conly (b)
  Jameo Brown (ds)

  Recorded December 3, 2014
  SCCD33121 (SteepleChase) 2015

  1. Faint Memories of Home
  2. Ordinary Matter
  3. Mood
                      4. Vortex
                      5. Patiently
                      6. Waiting
                      7. Strange Matter
                      8. Morph
                      9. Sun King

ロシア出身、幼少期に米国移住というギタリスト Gene Segal の2015年作。
前作 “Mental Image” とは、同じメンバーながら Irabagon は、asからtsに、そしてtsとcl系を担当していた Sadigursky は、cl系に専念するといった
楽器担当に変更がある。

g と cl のテーマから始まる冒頭曲、中東を思わせるようなライン、そして一瞬だが、あのジャンゴ・ラインハルトを思い出させるような響きも交えての
Segal のギターソロがなかなか良い。いきなり本作中の魅力の一曲が飛び出してしまった感じだが、コンテンポラリー系ギタリストの中心として
Metheny やら Rosenwinkel あたりを通過してきたといった感性のギタリストに関心が集まる中、こういったそれ系とは、異質の個性ある感性は、
貴重な存在だ。
シングルトーンで押しまくるだけのギタリストではない。コードプレイも多用しつつ、時には浮遊感ある表現、そして時にはエフェクトも加えてワイルドに攻める
M8 “Morph” など、加えて曲調もバラエティに富むなど、多彩なものがある。一瞬だが、Scofield を感じる響きには、通り過ぎてきた過去もイメージされる。
細かくチェックしていけば、もちろんそれなりの個性も感じられる多くのコンテンポラリーギタリストだが、一歩引いて大きな目で見れば、大同小異と
いう感じもなくはないという中で、そんな大きなメインの流れとは、どこか異質という感性は、生まれという血の部分も関係しているかは、わからないが、
やっぱり魅力だ。個性派として、大事にキープしておきたい存在だ。うまく伸びていってほしいね。

Irabagon と Sadigursky も良好だが、本作では、cl系に専念したSadigurskyの存在感が目立つ。
Conly - Brown のリズムセクションも良し、今後もリリースがあるかは、わからないが、次作も聴いてみたくなるユニットだ。

JAZZ-guitar 183
Gene Segal
Category: guitar (第2期)  

Nigel Price / Hit The Road

  Nigel Price (g)
  Pete Whitaker (org)
  Matt Home (ds)
  Vasilis Xenopoulos (ts - 9)

  Recorded in London in February of 2013.
  33JAZZ241 (2014)

  1. Hit The Road
  2. Up Jumped Spring
  3. Chelsea Bridge
  4. Lover Man
                      5. Dreamsville
                      6. Go!
                      7. Detour Ahead
                      8. Bizzy Bee
                      9. Hot Seat (Chas’s Chair)

Nigel Priceは、英国の British Jazz Awards でベスト・ギタリストに選出されていたことなどもあり、名前だけは記憶していたのだが、おそらく今、自分
が求めている方向性のギタリストではないとの推測もあり聴いたことはなかった。が、未聴のオルガニストが入っていたこともあり、2人同時にチェック
もでき、知るには、ちょうど良い機会ということで手を出してみた。
毎度のことだが、この知らない人の音を聴くというパターンが、楽しみとなっている。なので、何が飛び出すかわからないという期待感が薄れるということ
もあり、試聴しての購入はしない。博打買いを原則としている。ハズレも多いが、それを含めての楽しみと考えている。

Price のオリジナルは4曲、他の曲目の状況などから予想していた通りのストレートに押しまくる見事なほどの王道系ギターだ。
このパターンだと、何か新しい発見という点では、期待薄になってしまうのはやむを得ないのだが、あとはいかにノリ良く、気持ち良く楽しませてくれるの
かといったあたりがポイントになる。
Price のギターは、ベストギタリスト選出歴もあるだけに、なかなか巧みだ。細かなピッキングも寸分の狂いもない。バラード系の曲になってもダレないし、
ブルージーに良く歌っている。元をたどれば Wes あたりにたどりつくといった感性なのかな、間に挟んでくるオクターブもそんな感じだし。
かつて、自分も通ってきた道だが、巡り巡って今、自分が求めている方向は違うものになってしまい、積極的にこの伝統に回帰するということもないのだが、
それは決して伝統を軽視しているというわけでもなく、表面には出てこなくても奥の方にしまい込んでいるような感覚は自覚しているし、さらに前の時代に
のめり込んでいたブルースの感覚はすっかり奥の奥まで染み込んじまって、何をもってしても洗い落とすことは不可という感じだ。
この染みついた特にブルースの感覚が、後のいろいろなJazzとの出会いの中で、当初は、白人系ミュージシャンの感性に拒否反応を出したりの悪さを
はたらくことになるのだが、逆に白人系ミュージシャンの音に関心を持ち始めると、その奥に潜んでいるブルースの感覚が邪魔になり、排除しようとする
心の葛藤があったりと、まあ厄介な代物だ。振り返ってみればJazzに入ってからの10年、15年は、そんな葛藤の繰り返しだったように思う。
まあ、その辺は話が長くなってしまうので、やめときますが、かつてよく聴いていた王道のJazzも、今は自分が求める方向性もだいぶ変わってしまい、聴く
機会も極端に減ってしまっては、いるのだが、それでも聴くことはあるし、強く反応するものもある。ただ、この反応するもの、しないものの違いは何なの
か、自分でもことばでは、うまく説明できないような部分だ。
本作の内容も、あまり書ける要素が無いといった内容ということもあり、話をヘンな方に引っ張ってしまったが、Price のギターは、技術面では何の不満も
無いのだが、音楽には反応できなかった。今回初となるオルガンの Pete Whitaker も同じような印象を持った。ただ、Whitaker については、あくまで
ギタリスト Nigel Price の音楽の中でのプレイなので、これが彼本来の感性であるのかはわからない。
本作も、仮に20年前、30年前に出会ったとしたら、その受取も全く違ったものだったと思うが、自分の感性も多くの新種の感性との出会いから、時の流れ
とともに変化してきており、それが生きるということだろう。

本作も、今現在の自分の求める方向性とは違うが、そこを離れてフラットな目で見れば、Jazzの王道を行くギター・オルガントリオとしては、上質の一枚に
なっているのではないだろうか。

JAZZ-guitar 182
Nigel Price

Category: guitar (第2期)  

Jacopo Ferrazza / Rebirth

  Jacopo Ferrazza (b)
  Stefano Carbonelli (g)
  Valerlo Vantaggio (ds)

  Recorded and mixed in Cavalicco (UD) on 4,5,6 April 2016 at Artesuono Recording Studio
  CAMJ3318-2 (CamJazz) 2017

  1. Indigo Generation
  2. Blind Painter
  3. Living The Bridge
  4. After Wien
                       5. Notturno
                       6. Pirandello Madness
                       7. Lovers in the Gravity
                       8. Il Teatro Del Rami
                       9. Rebirth        
                       All music composed by Jacopo Ferrazza except track 6(by Stefano Carbonelli)

イタリア出身の若手ベーシスト Jacopo Ferrazza(B1989)のリーダー作だが、2016年デビュー作”Ravens Like Desks”で記事歴のある同じイタリア
の物理学の博士号を持つという異色のギタリスト Stefano Carbonelli(B1991)の参加もあり、その後の彼の状況も知りたく手を出してみた。
ということでカテゴリー “guitar” の記事としておきます。

そのデビュー作では、それほど強く感じなかったクラシックのテイスト(感性面というよりも技術面で)が、Carbonelli のギターからは感じられる。
基礎としてクラシックギターをみっちりやってきた過去も伺え、私的にJazzを不味くする要素としてクラシックやフォーク、カントリーの匂いを好み外と
している当方には負の要素にもなるのだが、年令的には録音時で25才という若さ、この辺は、今後のいろいろな出会いや活動を通して変化していくのだろう。
このぐらいの年令のギタリストには、こちらも完成度などは求めていない。基本に魅力ある感性を持っていることは、もちろんだが、要は強い前進意欲と
その先に可能性がどれだけ感じられるかといったあたり。
デビュー作では、この世界では少数派のFender ストラトを使って多少のラフさも気にしないのびのびしたプレイもしていたが、本作では、曲によりアコギ
も使い、アルペジオもあったりのしっとりした場面もあったりと、音楽のテイストは、イメージしていたものとは、だいぶ違うものになっているのだが、
このあたりは、本人の意志というよりは、参加作でもあり、リーダーの音楽に合わせたということなのかもしれない。
そんな感じで、音楽としては、自分がJazzに求めるテイストとは、ちょっと違った世界観もあるもので、いまいちテンションも上がらないのだが、フラット
な目で見るならば、めまぐるしい流れの変化の中で、リーダーの Ferrazza のベースそして Vantaggio のドラムスの多彩なワザも飛び出し、なかなか
高品質の音楽となっているのではないだろうか。
が、道楽でつき合ってる自分としては、己の好みこそがすべての判断基準になってしまうのは、いたしかたない。
やはり、参加作ではなく、自身作のその音楽の中であらためて聴いてみたいギタリストと感じた。本作は参考作と考えておくことにしよう。

ラストのタイトル曲 M9”Rebirth” のエンディングでは、クレジットにないピアノも入るが、音大ではベースとともにピアノも専攻していたというリーダー
Ferrazza がやっているのか?

JAZZ-guitar 181
Jacopo Ferrazza

Category: guitar (第2期)  

Gene Segal / Mental Images

  Gene Segal (g)
  Jon Irabagon (as)
  Sam Sadigursky (ts, ss, cl, bc)
  Sean Conly (b)
  Jameo Brown (ds)

  Recorded September 3, 2013
  SCCD33114 (SteepleChase) 2014

  1. Healing Feeling
  2. Allegory of The Cave
  3. Minds Eye
                      4. Irratinal Drives
                      5. The Bearded Lady
                      6. Trapeze Act
                      7. The Ringmaster
                      8. Elephants

先日、ロシア出身、幼少期に米国移住というギタリスト Gene Segal の新作 “Spiral” を記事としたこともあり、ちょっと前の作だが、ちょっと違った
テイストのギターだった印象もあったので、あらためて聴き直してみた。

本作当時は未聴のギタリストとして初めて聴いた Gene Segal だったが、John Irabagon 参加もあり、おおよそ自分が求める方向のコンテンポラリ
ー系奏者であろうといった予想もあり、手を出した本作だった。
全8曲 Segal のオリジナル、非4ビート主体の内容となっている。

新作では、Brian Charette のオルガンを入れて、奥に秘めたブルースフィーリングものぞかせたり、ファンキーなタッチも見せていた Segal だが、
本作では、コンテンポラリーの本道寄りのテイストを見せており、前述の彼の新作にも、そんな方向性の中で Brian Charette のオルガンがクロス
して、いったいどんな形になるのかといったあたりに期待感もあったのだが、オルガン入りで、素直にファンク路線寄りの結果に、内容的には、決して
まずくはないものの、オルガンを入れればこういう形という、その普通過ぎる回答にやや不満も感じていた。

そんなこともあり、あらためて聴いた本作だが、私的には、やはり、こちらの Segal の方が好みだ。新作でのファンキーに攻める Segal よりも、このやや
ダークな空気を振りまきながら、コンテンポラリーの本道寄りを行くこの方向性の先に可能性というほど、はっきりしたものでもないが、より選択肢が
広がっているようにも思える。うまい言葉が見つからないが、何か変化していける余地といったものが感じられるのだ。
繊細できめ細やかなというタイプではない、むしろそれとは逆のラフで荒々しさも時々感じさせるといったあたりが、Segal の持ち味でもあり個性と
いうことになるのだろうか。そして、やはりその辺は、ロシア出身という血の部分が多分に関係しているのか、微妙に米国系のギタリストとは、違うもの
も感じられ、その辺が、我々リスナーにとっては、新鮮に受け取れる要素としてプラスに作用しているといったこともあるのかもしれない。
若手コンポラ系に多い Metheny やら Rosenwinkel あたりを通過してきたといった感性でもないし.......................もっともこの男、情報不足もあり、
はっきりわからないのだが、見た目は、ややオッサンも入り、もしかしたら、そのあたりを通過してきたという年令でもないのかもしれないが...............?

本作ではアルトを担当している Irabagon がなかなか良い。特にベースソロから入り、ややフリーっぽい流れになっていくM4”Irratinal Drives”
あたりでは、存在感を増してくる。こういう展開の中で、より活きる感性だね。
サックスにクラリネット系とマルチに操る Sam Sadigursky のテナーも安定している。本作中唯一のストレートに4ビートで展開するM7
”The Ringmaster”では、Segalの手による楽曲の良さもあり、魅力のブローが聴ける。

と、あらためてチェックしてみた本作だったが、全曲Segalのオリジナル、個性派とも言って良い独自性も感じられるギタリストとしての感性と
コンポーズ面でのセンスもあらためて確認できた。

             
             Gene Segal (guitar, composition)
             Jon Irabagon (sax)
             Daniel Fabricatore (bass)
             Jeff Davis (drums)

JAZZ-guitar 180
Gene Segal


Category: guitar (第2期)  

Gene Segal / Spiral

  Gene Segal (g)
  Brian Charette (Hammond B3 organ)
  Bruce Cox (ds)

  Recorded December 2015 & May 2016
  SCCD33132 (SteepleChase) 2017

  01. Spiral
  02. Creeper
  03. Two Sides to Every Story
  04. Us
  05. Dharma
                      06. Hidden Place
                      07. Sunken Treasure
                      08. Into Night
                      09. Blues Out
                      10. Soulstice

ロシア出身、幼少期に米国移住というギタリスト Gene Segal の新作。
Segal については、Jon Irabagon 絡みのものを聴いてはいたのだが、今回は特に Brian Charette のオルガン参加とともに、 Segal にとっては、初
めてとなるこのフォーマットでどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、ちょっと気になる一枚だった。

Segal については、Scofieldに通じるようなラフなテイストとともに、ブルーな感覚といっても、ロシア生まれといった血の部分も関係しているのか、米
国系ギタリストのそれとは、微妙な違いも感じていたが、今回、 Charette のオルガンを入れたことで、そのあたりの持ち味が、より表に出てくる形となる
のか、興味深いところ、内容の方は M6 “Hidden Place” を除いて全て Segal の手によるもの。

なるほど、Segal のギターは、管を入れずオルガンを加えたトリオ編成としたことで、以前聴いたものより、ブルージー、ファンキーに攻めている感もあり、
本作に彼が求めたテイストもこれなのかと思う。
ブルージーといっても、昔ながらのベタな語り口ではなく、あくまで今を生きるギタリストの感性での表現なので、納得できるところだ。そして、やはり
本作も聴いていると Scofield の顔が浮かんでくるような場面もあった。 M4 “Us” での軽いタッチのノリで、ちょっとメロウな歌わせ方などに、その影を
感じる部分もあり、本作には無いが、おそらく Ballad系のものをやったら、そのあたりの歌い方のクセも、もっと出てくるのではと思える。
全体にラフでザックリしたテイストが印象の Segal のギターで、そこが持ち味であり個性とも言えるのだが、私的好みで勝手なことを言わせてもらえば、
ここに少しのモダン、インテリジェントな感覚もプラスされれば、音楽はより魅力的になるとも思える。そういう意味では、Irabagon 絡みで聴いた作の
ようにコンポラテイスト溢れる音楽の方向性の中でより光を放ち、また可能性も感じる。

Charette のオルガンは、Segal の音楽に合わせ、ブルージーな味も出してはいるのだが、あくまで抑制をきかせたクールなタッチを維持しており、本作
では、まとめ役として機能しているように思える。ここで Charette までイケイケになってしまったら、本作も単なるファンキーなギター・オルガントリオ作
になっていたことだろう。近年の Charette の自身作、参加作などでは、私的好みで見るなら、一作ごとに評価がUp-Downし、安定しないところもあった
のだが、もともと持っていた、いいものが、やっと開花してきた感もあり、これまでコンテンポラリーオルガンシーンの中心にいた Goldings, Yahel,
Versace..........などのオルガニストとしての活動が極めて鈍い状況を考えると、オルガニストとしてのアルバムリリースもコンスタントに、積極的な姿勢も
見えるこの Charette は、楽しみな存在になってきた感もあり、どちらかと言うとアウトサイダー的傾向のあるギタリストよりも、基本正統派ながら、新感
覚も持ち合わせているといったギタリストとのコラボの中から、より魅力ある音楽のイメージもできるのだが........................。

そんなことで、どちらもそれなりに魅力も感じているギタリストでありオルガニストでもあるのだが、一方が出ようとする、もう一方は抑えようとするという
あたりの動きが、トータルに見ればパワーロスにもつながっているといったヘンな感覚もあり、感性の質という点では決して相性が悪いとも思えない
ご両人だが、噛み合わせが、微妙にうまくいかなかったかな?

             

JAZZ-guitar 179
Gene Segal

Category: guitar (第2期)  

Luigi Masciari / The G-Session

  Luigi Masciari (g)
  Aaron Parks (Rhodes, p)
  Roberto Giaquinto (ds)
  Oona Rea (voice-6)

  Recorded 7/12/2015 at Studio G-Brooklyn U.S.A.
  TSK018 (TOSKY) 2016

  1. Mr. Jay
  2. Vox
  3. Seven Dollars
  4. Music Man
                      5. Boogie Blue
                      6. Echoes
                      7. Don’t Touch My Chords

プロ10年程のキャリアのあるイタリアのギタリスト Luigi Masciari は、これまで機会に恵まれず、聴いたことはなかったのだが、彼の最新盤にて、
Aaron Parks が、珍しくFender Rhodesで参加との情報もあり、そのあたりのチェックも兼ねて、ちょうど良い機会、手を出してみた。
本作情報は、だいぶ前から得ていたのだが、CDでの早期入手はしずらいという状況もあり、DL買いで試してみた。

内容は、メンバーとの共作1曲(M6)を除いて、全てMasciariのオリジナル、そのvoiceの絡む共作曲を除いて、基本はトリオによる非4ビート主体の
コンテンポラリーテイストのものとなっている。

NYコンテンポラリーシーンの多くのトップレベルのギタリストとの共演もこなしてきている Aaron Parks を迎えての作ということで、それなりの
期待もあったのだが、一聴してみれば、内容的には、可もなし不可もなしといったちょっと微妙な初期印象。
こういったものだと良くも悪くもなく、ひっかかるところが無いので、そのまま通り過ぎていってしまうような内容には、それが素直な感想であり、
書く材料が見つからないということで、記事として取り上げるのは、避けることも多いのだが、先に基本データなど、書き込んでしまっていたこと
もあり、まあ、このまま一応書きとめておきます。

そんな初期印象だったのも、やはりちょっとは、期待もしていた Masciari のギターにあるのか? 決してヘタでマズいギターではない。かといって
特別にハイテクタイプでもなく、速いフレーズなどでは、ほんとに微妙なところだが、ひっかかりを感じるところもあり、スッキリとさせてくれない
など、ハイテクぞろいの今の時代にあって、技術面では、極平均レベルとの印象。そこは、あくまで技術面なのでそれでもいい。肝心なのは、感性面
だが、ここでも、自分の好みに合わず、特に嫌うといったところも無いのだが、結局そのあたりの、はっきりしないところが、前述の「可もなし不可
もなし」といった印象につながったようだ。ちょっとでもいいので、ハッとするような際立った部分でもあれば、だいぶ印象も変わるのだが...........。
エフェクト多用、浮遊感ある表現..........など、感性としては、典型的コンテンポラリー系と言えるタイプで、曲とともにフレージングなど、受け手の
感性によっては、逆に受け取ることもあるだろうといった極微妙なところだが、私的には、わずかに平凡な感じもあり、どこか既聴感あるフレーズが
続くところが、このギタリストのイメージを決めてしまったようだ。

ベースレス編成で、そこを Rhodes やバスドラでカバーするといった考えもあったと思うが、重低音でラインも刻むオルガンなどと違って、ボトム
の軽さもあるなど、その辺、サウンド面での物足りなさに、十分機能してないとの印象も...........

Rhodesを使う Parks にも関心はあったのだが、何だか普通の人になってしまっている。これも、いまいちテンションの上がらない原因だ。
好意的に解釈すれば、自身の際立った部分を引き出すのも、相手しだいという部分も多分にあるというのがこの世界、良い化学反応に向かうため
の触媒が機能しなかったということなのかもしれない。

自分の感性の反応に素直に従えば、やっぱり「可もなし不可もなし」、全てが微妙とか、わずかにといった曖昧なことばになってしまい、突出したと
ころが見つけ出せない。良くも悪くもないということで、その曖昧さにやはり星3つか。

Jazz-guitar 178
Luigi Masciari

Category: guitar (第2期)  

Alessio Menconi Trio / Plays Ellington and Strayhorn

  Alessio Menconi (g)
  Alberto Gurrisi (org)
  Alessandro Minetto (ds)

  Recorded 2016
  ABJZ155 (ABEAT) 2016

  1. Upper Manhattan Medical Goup
  2. Lush Life
  3. It Don’t Mean a Thing
  4. Sophisticate Lady
                      5. Isehan
                      6. Day Dream
                      7. Things Ain’t What They Used to Be
                      8. Chelsea Brldge
                      9. Caravan

イタリアのギタリスト Alessio Menconi(B1970)の新作。
Menconi との出会いは、2010年作の “Adventure Trio”、ピアノが本業の Luca Mannutza のオルガン、そして Aldo Romano のドラムスという本作と
同じギター・オルガントリオというものだったが、程々のコンテンポラリーテイストを感じさせるギターで強い先進性はなく、強い印象としては残っていなか
ったのだが、本作は、それから6年経過していることと、未聴のオルガニスト Alberto Gurrisi の参加もあり、手を出してみた。

本作は、タイトルの通り、D.Ellington曲4、 B.Strayhorn曲5という内容になっており、そういったこともあるのか、一聴してみれば、ストレートに4ビート
主体で料理している。その点では、前述の2010年作以上にオーソドックスで王道テイストも漂うのだが、Menconi のギターは、伝統を感じさせつつ、常に今
の空気感を放っており、古さ、一種の辛気くささみたいなものはない。張りつめた緊張感やら引き込まれるような吸引力といったものは希薄だが、あまり甘い
音は、使わず金属質のシャープな音使いやフレージングのセンスなど、あまり考えることもなく無になって楽しめる仕上がりになっている。普段、コンテンポ
ラリー系を好む自分にも気持ちよく耳に入ってくる音だ。Menconi のアルバムは、本作を含めて2作しか聴いてはいないのだが、本作は Ellington, Strayhorn
作をプレイするというコンセプトもあり、形としてはこうなっているとも考えられ、本来、もっとコンテンポラリー寄りの感性をしているのかもしれない。
その辺は、また他作でちょっと確認してみたい。

そんな Menconi の音楽の質感もあり、Alberto Gurrisi のオルガンにも、あのとにかくブルージーな味付けをしないとみたいな前世紀の典型的なオルガン臭と
いうものは無く、スッキリ、クールにまとめているのだが、アシストに徹し、抑えたプレイからは、本来の彼の姿が読み取れないところもある。
これが、本来の姿なのかもしれないが、もう少し主張すべきところは主張し、逆にリーダー Menconi を刺激する存在であれば、本作の魅力も増したとも思え
る。情報なく経歴、年令などわからないが、若手であるならば、なおさら、こういった限られたチャンスを生かすべく、積極的な姿勢を出してもらいたい。

決して、時代の先を行くといったタイプの感性ではないが、Menconiのギターには、伝統に程よく今の時代の空気感もプラスするセンス、歌心とともに、それ
を支える確かなテクニックも備わり、今現在のメインストリームを行くギター・オルガントリオ作としては、良質の一枚に仕上がっている。

           

JAZZ-guitar 177
Alessio Menconi

Category: guitar (第2期)  

Gene Ess / Absurdist Theater

  Gene Ess (g, synth, compositions)
  Thana Alexa (voice, lyrics)
  Manuel Valera (p, key)
  Yasushi Nakamura (ab, eb)
  Clarence Penn (ds)

  Recorded March 5 & 6, 2016 at Bunker Studio, Brooklyn, NYC
  SIMP 160901 (2016)

  1. Out of the Ashes
  2. Circe’s Compassion
  3. Jade Stones
                          4. Kunai
                          5. Torii (The Gate)
                          6. Forkball (for Ornette)
                          7. Dejala Que Pase
                          8. Upward and Onward!

沖縄育ちでバークリー卒、現在はNYを拠点として活動する日本人ジャズギタリスト Gene Ess の新作。全曲自身の手によるオリジナル。

Gene Ess に関しては、10年程前からのボーカルを入れてないものに関しては比較的好印象を持っていたのだが、こうして Thana Alexa のボーカルを
入れてからの音楽を聴くのは、今回初めて。
一通り聴いてみれば、Thana Alexa のボーカルというよりは、ほとんどスキャットを多用したボイスという感じで、もちろん歌詞が入るものもあるのだが、
楽器と同じような位置づけで考えてよい扱いだ。
Thana のボイスは、高音域が印象的で伸びも良く、技術面でもハイレベルを感じさせるものもあり、本作のカラーを決定ずけているとも思える露出の
多さなど、Thanaを1トップに据えての形との印象。他のメンバーに関しても腕達者揃いで、楽曲そのものの魅力も含め、音楽としては、よくまとまって
いるとも感じるのだが、久しぶりで期待もあったこの Gene Ess の音楽は、私的好みからは、ちょっと外れた方向にいってしまった感もある。
そんな風に感じるのも、この高音域を駆使して爽やか感もある Thana Alexa のスキャットを生かした音楽のあり方とその質感。この辺は、音楽の良し
悪しというよりも、もう全くの好みの世界。この質感が、些細な事ではあるのだが、昔、フローラ・プリムが入っていた頃の “Return to Forever” をわず
かにイメージさせられてしまう部分があるのが、気になってしまった。こういう事は、一度気になり出したら、最後までつきまとってしまい、何だか、あの
ジャケットの大海原を飛ぶカモメまて゜目に浮かんできてしまう。
トータルに見れば、哀愁溢れるラインの曲や、心地良い4ビートにのっての鮮やかなギターソロ、あるいは、ハードな盛り上がりを見せる曲.........等々、
けっして、前述の負のイメージのカラー1色で染まっているわけでもなく、バラエティーある内容なのだが、それだけ “Return to Forever” のあの
サウンドが肌に合わなかったということなのだろう。そんな極部分的なイメージが、アルバム全体のイメージまで左右してしまうというのは、何とも
運の悪いアルバムともいえるのだが、聴いた人が悪かったということで諦めてもらうしかない。

そんなちょっとしたトラブルは、あったものの、フラットな目で見れば、それなりに見所もあり、今後に期待させられるところもあったのだが、特に Gene
Ess のギター、Thana Alexa のVocal には、光るものがあった。

リーダーの Gene Ess について、本作では、ギタリストとして先頭に立ち引っ張るという感じでもなく、コンポジション重視といった印象もあり、 あくまで
Thana をメインに据えての形をとっているため、彼女の感性が音楽全体のイメージを決めてしまっているといった印象もあるのだが、それだけに Gene の
コンポジションとともに Thana の個性の強さも伝わってくる。
ただ、そんな中でも、時折、入れてくる Gene のギターソロは、他のブルックリン系ギタリストとは、また一味違った魅力を放っており、やはりこの辺は、
血の部分も関係しているのだろうか、繊細で鮮やかなギターから放たれるラインには、熟成された音を感じる。
唯一のギタートリオ編成での M6 “Forkball” などを聴いていると、全編こんな調子でやってくれたら、どれほど魅力の盤になっていたことかと思ってしまう。
それだけ魅力も秘めたギタリストということでもあり、できれば次回は、ぜひ本作とは、違う形でお目にかかりたいものだが、その辺は Thana Alexa にも
同じような印象を持ち、現在の Vocalシーンでは、少数派とも言えるスタイルには、未知の可能性といったものも感じられ、次のステップでは、自身名義の
アルバムで、自身のやりたいようにやった音楽の中で聴いてみたいと思わせるものもある。

キューバ出身のピアニスト Manuel Valera については、これまでにも何度か聴いてはいるが、やはりどうも肌に合わない。なかなかのテクニシャンだが、
音楽からまずテクニシャンと感じてしまうのは、そこに何か足りないものがあるからといった漠然とした感覚を持っている。技術は、言わば音楽をつくるため
の道具、それをどう使うかというソフトの部分こそが全ての源であり、自分の好みを分ける基準もその部分のウェイトが極めて大きい。本作がアルバムとして
いまいち満足できないのも、このあたりの私的好みが多少関係したのかもしれない。

JAZZ-guitar 176
Gene Ess

Category: guitar (第2期)  

Tisziji Munoz / Love Always (Spirit of The Ancient Masters)

  Tisziji Munoz (g,synth)
  Dave Liebman (ts-7)
  Pharoah Sanders (ts-8)
  Ravi Coltrane (ts-9)
  Paul Shaffer (key-1,4)
  Bernie Senensky (p-2,3,5,6.7,8,10)
  Dennis Irwin (b-1)
  Rasto Harris (b-1)
  Don Pate (b-2,3,4,6,7,8,10)
  Cecil McBee (b-7)
  Guillermo Cantu (ds-1)
  Bob Moses (ds-2,3,6,10)
                      Rashied Ali (ds-4,7,8)
                      Adam Nussbaum (cymbals-1)

                      Recorded January 29,1982 〜 December 9, 2000
                      COCB-53596 (2006)

                      01. Song for All Children
                      02. Seven Steps to Heaven
                      03. All Blues
                      04. Blessings
                      05. Summer of ‘42
                      06. Breaking The Wheel of Life and Death
                      07. Happy Sadness
                      08. Purification by Fire
                      09. Offering of Love
                      10. Love is When You Let It Be

昨年、John Medeski 集中聴きということで、その関連作を記事とした中で、Medeski とは、蜜な関係もあるギタリスト Tisziji Munoz(B1946 ティシー
ジ・ムニョス)の作をいくつか記事としたが、そんな流れもあり、Medeski 接触以前の Munoz もあらためて聴いてみたくなり、久しぶりに引っぱり出してみた。
年の初めにふさわしい重みもある一枚だ。

70年代に Pharoah Sanders のグループに参加していたことがあったが、その後、消息がつかめない時期があったり、名前を使わず名字(Munoz)だけで
の活動などで、何かとなぞの多いギタリストだった Tisziji Munoz ですが、本作は、Munoz が自ら設立した 「Anami Music」なるレーベルに自主制作と
して残した、一般にはほとんど入手困難だった多くの音源の中から選曲し、アルバムとしたもので、先鋭的ギタリストでもある Jim Orourke(B1969)自らが
立ち上げたレーベル「社会人」の第一弾としてリリースされたもので、Orourke も大きく関わっている。

元々、自主制作としてマイナーな存在だった音源ながら、Pharoah Sanders、Dave Liebman、Cecil McBee、Bob Moses、そして後期Coltraneを
支えたRashied Ali 等々、そうそうたるメンバーが名を連ねており、一般には知名度も低かった Munoz だが、一目置かれる存在であったこともうかがえる。

幼少時の左手首神経損傷の事故もあり、コードプレイが不可というハンデの中から編み出されたシングルトーンによるプレイスタイルは、プエルトリコ系と
いった血の部分、そして他のギタリストをほとんど聴くことなく過ごしてきたといったことも関係しているのか、他のギタリストでは、あまり類を見ない独特の
感性を見せており、そのラインからは、Sax奏者のそれがイメージされる。この辺は Coltrane の存在も関係しているのか。
本作の全10曲も、過去の多くのレコーディングから、ピックアップされたものだけに、濃いものが揃っている。
雑多な要素が入り交じり、ギターの音は歪み、プレイは激しく、時には攻撃的とすら感じるのだが、そんな表面上のヨゴレ成分も含んだテイストとは相反し、
音楽には何かピュアなものとともに、目の前が拓けて来るような一種の清々しさも感じられるのは、ことばでは説明不可の部分だ。

その他の Tisziji Munoz 関連作は → こちらから

JAZZ-guitar 175
Tisziji Munoz

Category: guitar (第2期)  

Phil Robson / The Cutt Off Point

 CutOffP-2.jpg

Phil Robson (g)
Ross Stanley (Hammond org)
Gene Calderazzo (ds)

Recorded at Eastcote Studio, Llondon, on the 30th September, 2014.
WR4672 (Whirlwind) 2015

1. Thief
2. Second Thoughts
3. Dimd and The Blue Men 4. Vintage Vista
5. Astral
6. The Cutt Off Point
7. Berlin
8. Ming The Merciless

Mark Turner を迎えての作、その他で名前だけは記憶していた英国のギタリスト Phil Robson(B1970)ですが、聴くのは今回初めて。
オルガンのRoss Stanley(B1982) は、以前、元イエスの Steve Howe のJazzアルバム “Travelling” に参加した時の記事歴はあるのだが、オルガニスト
としての印象に残るようなプレイは、ほとんど記憶していない。
また、メンバーの仮面を付けたジャケットがMMW(Medeski Martin & Wood)をイメージしてしまい、パロディーとしてならともかく、そのパクリ感も
あるジャケ写に、初対面の印象は極めて悪い。

外身から判断すれば、音楽の方もMMWを意識して、Jazzの本道を外れたようなところで勝負しているのかと思いきや、至極真っ当な音を出しているのに
はおどろいた。感性としては、コンテンポラリー系、アルバムタイトル曲 M6のちょっとだけ冒険したようなもの、あるいはファンク調などもあるが、基本、
ストレートな展開のものが多くを占めている。

内容は、D.Liebman曲のM3を除き、全て Robson のオリジナルとなっているが、ギターの Robson をはじめオルガンの Stanley、ドラムスのCalderazzo
にしても巧い。平均レベル以上の感性とそれを支える技を備えており、特にオルガンの Stanley は、前述作の20代半ば当時の状況を考えると、全く別人
と言ってもいいようなコンポラ系オルガニストとしての姿には、驚いてしまう。変われば変わるものだ。本作録音時の32才という年令を考えれば、まだまだ
発展途上、しかもまだその初期段階ということで、今後のいい出会いの中から、自身の感性を少しでも前に進めていってもらいたいものだ。英国で、こんな
若手オルガニストが、育っていたのを確認できたことは、収穫だった。

ギターの Robson は、年令的には中堅からそろそろベテランの域へといったところだが、若いフレッシュな感性を維持しているようだし、ストレートな展開
でのフレーズの刻み方などを聴いていると Pat Martino を思い出すようなところもあり、音数を多く使うタイプだね。
曲により、クリヤートーン、エフェクト処理といろいろ使い分けてのプレイにも、典型的なコンテンポラリー系ギタリストの感性が見える。

アルバム全体の印象として、個性という部分にも大きく関わってくるところだとは思うが、全ての面で平均点をクリヤーしたレベルで、質の高さも感じさせ
る彼らのプレイだが、たとえ弱点はあっても、どこかに突出したストロングポイントでもあれば、それが個性として音楽もより魅力を増すとも思え、その辺
は、今後の課題として残るが、まずまずの好内容に満足できるものだった。

ただ、この内容で、こんなMMWもどきの面をかぶったジャケットにする必要がどこにあるのか、彼らの音楽のイメージが、歪められてしまうと思えるのが
極めて残念。

             
             The Phil Robson Organ Trio. Performing at The Crypt with Gene Calderazzo on Drums,
             Ross Stanley on Hammond Organ and Phil Robson on Guitar. 01.08.14


追記
年末恒例となっている「今年出会った極私的この1枚」のコーナーですが、残念ながら、今年は該当作なしということにしたいと思います。
楽しめた盤ということでは、けっこうヒットしたものはあったんですが、ノリノリで楽しめるというだけでは、本コーナーに選出する意味がなく、
そこに+α、つまりその出会いにより自分の指向の流れが多少なりとも変わり、その後の感性、好みの方向性に変化が生じたというような出会い、
何よりもそこを求めての活動でもあるので、そこまでの出会いが今年は無かったということで、いたしかたありません。
こういった出会いも、漫然とやっていても、あるはずもなく、求める当方としても積極的な動きも必要になりますが、来年は「流れを変える盤」
との出会いから、まだ見ぬ、あらたな世界をぜひ覗いてみたい。期待しましょう。
ということで、本年も、ご訪問いただきありがとうございました。どうぞ良いお年をお迎えください。

JAZZ-guitar 174
Phil Robson
Category: guitar (第2期)  

Rale Micic / 3

  Rale Micic (g)
  Scott Colley (b)
  Gregory Hutchinson (ds)

  Recorded February 23, 2009, NY
  CTA008 (CTA Records) 2010

  01. Dealin’
  02. The World Doesn’t End
  03. I Love You
  04. Serbology
  05. Pannonia
                      06. Naive Art
                      07. Three of aKind
                      08. Thirty Three
                      09. Night Has a Thousand Eyes
                      10. Gybanitza

セルビア出身のギタリスト Rale Micic(レイル・ミシック B1975)の2010年作、入手当時は、未聴のギタリストながら強力なサポートメンバーを
迎えてのギタートリオ作ということで、かなり期待しての入手だったように記憶している。
そんな期待が大きかったこともあり、その反動ということもあったのか、感性面で微妙に反応するところや、引っ掛かるところもあったのだが、その
地味めのサウンドにリピートを繰り返すには至らず、倉庫暮らしの扱いを余儀なくされていたという盤である。
先日、聴いた Micic の新作 “Night Music” において、そのネックにもなっていた「地味」という部分に関して、逆にそこが好印象につながっていた
こともあり、要再チェックということで、久しぶりに表舞台に引っぱり出してみた。

初っ端の冒頭1曲目、ソロに入ってからの Micic の感性にやられた。米国系ミュージシャンには、あまり見られないどこか素朴、憂いを含んだような
響きは、独自性もあり惹き付られるものがある。今現在の自分の感性には、どストライク! 当時、聴いた時は、いったい何を聴いとんじゃと、後悔する
ことしきりである。ミスった!
他曲についても、セルビア出身というあたりも多分に関係していると思われる、この独自性ある感性がアルバム通して一貫して、感じられ、統一感も
ある上質の一枚に仕上がっている。Micicのギターには、先日、聴いた新作同様、強い先進性はないものの、程よく漂わせる今の空気感と虚飾の無い
抑えたプレイには、繊細な感性がうかがえる。
地味というよりもハデな太刀回りを嫌うとでもいったらいいのか、そんなプレイだけに、1回サラっと聴いただけでは、見逃すこともあるのかもしれ
ない。何度かリピートしているうちに、少しずつ視界が開けてくるという感じで、それだけに人並み以上の繊細な感性と言えるのかもしれない。
技術面では並ながら感性面では、好相性という評価。普段から技術はあくまで手段、肝心なのは感性などと言っておきながら、その大事な感性面で
見過ごしてしまったのは、我ながら何とも情けない。初めての出会いで、この感性を受け止められなかったことは、痛恨のミスだが、こうして良い再会
ができたことは、何よりである。

陽の当たらない不遇の盤、能力に見合った正当な評価を受けていない不遇のミュージシャンにスポットを当ててやりたいという当ブログの方針にも
誠にふさわしい盤でありながら、初見で見落としていたという、あってはならないミスを犯し、長きに渡る暗い倉庫暮らしを強いてしまったという罪は
重い。反省!
しかし、言い訳でもないが、そこにはもう一つの理由も考えられる。こうした自分とJazzとの関わりも、常に出会ったことのない新しい感性との出会い
を求める中で、自分の感性の変化を求める活動でもある。そんな中で自分の感性の変化から、受取り方やら好みも変化してきており、5年、10年前と
今現在の感性とは、明らかに違う。かつて反応しなかった音に反応したり、逆に反応した音に反応しなくなったりといったことがおこり、これは、新しい
ものを求める者にとっては、正常な変化であり、これがないと、この活動自体が意味の無いものになってしまう。
かつて夢中になった音と再会しても、懐かしいという感情はあっても、昔と同じように夢中にはなれないものだ。自分も変化してきてるし、夢中になった
ものに、いつまでもしがみついていたら前には進めない、Jazzとは、常に細胞分裂を続けることで生を維持している生き物だ(あくまで私的価値観であ
り他を否定するものではない)。
そんなことで、本作と出会った5〜6年前には、反応しなかったが、その後の自分の感性やら好みの変化により反応が変わったとの見方もできるのだ。
言い訳がましくなってしまったが、特にその時代の音、あるいはさらにその先の音を追うタイプのミュージシャンそしてリスナーは、変化(進化)を求める
ものであり、時代の流れとともに生きるJazzも、最も輝きを放つその時代時代の瞬間、その旬の時に受け止めてやりたいという思いでいるのだが.........

             
             Rale Micic - guitar, Mimi Jones - bass, Greg Hutchinson - drums
             live at Cornelia Street Cafe, New York January 14, 2009

JAZZ-guitar 173
Rale Micic

Category: guitar (第2期)  

Rale Micic / Night Music

  Rale Micic (g)
  Danny Grissett (p)
  Corcoran Holt (b)
  Jonathan Blake (ds)

  WCS086 (Whaling City Sound) 2016

  01. Hotel Insomnia
  02. Jano
  03. Melody in a Mist
  04. Late Call
                       05. Blue
                       06. Nocturne
                       07. Night Music
                       08. Nocturne (reprise)
                       09. Afterparty
                       10. Sunrise
                       11. Color of the Sun

セルビア出身のギタリスト Rale Micic(レイル・ミシック B1975)は、過去にも購入歴はあり、地味、堅実といった印象もあったせいか、強いインパクト
の記憶としては残っていないのだが、私的好み外のギタリストとして、悪い印象を持ったというわけでもなく、単に印象が薄かったといったことである。
彼の米国での活動も2000年代前半ぐらいからだったと思うので、かれこれ10数年経っているわけだが、その割に大きなスポットが当たることもなく、
知名度がいまいちという状況も、そのハデさのない堅実なプレイといったあたりが多分に影響しているのかもしれない。

本作は、私的には、ちょうど Micic とは似たような印象もあり、地味ながら、それなりに惹かれるところもあり、過去には2度、生でも聴いてきたという
ピアニスト Danny Grissett の参加とともにJonathan Blake の参加が音楽に良いイメージができたので手を出してみた。

本作も一聴して、やはりキラビやかな光沢感のない裏通りでも思い出すようなマイナー感が漂う。そういう意味では、内容と全く関係ないとも思えるような
ジャケットのアートワークも多い昨今、内容をうまくイメージしたジャケットになっているのかな。
このマイナー感というのは、イコール音楽の魅力に欠けるということではない。二流、マイナー、B級.............といった中に見出す好印象に、何か特別の
ものを感じることがある。この辺は、ことばで説明するのは、むずかしい。己の感性が、直感的、瞬時に受け取る感覚なので..............そもそも、ことばで
表現することの不可の領域があるからこその音楽であり、そういうものだと思っている。
Micic の持つ今を感じさせる空気感は、コンテンポラリー系と言ってよいものだ。ただ、先端の方で先進性ある空気を振りまくといったタイプではなく、
あくまで中庸を行くということで、あの新しい音創りの現場独特の張りつめた空気感みたいなものは、音楽にはなく、安心して身を任していられる音楽
といった感じだろうか。通常、こういったケースで、私的感覚では、魅力に欠けるといった受け取りをすることも多いのだが、そういった方向には、ならす゜
何か惹かれるものも感ずるのは、全ては、このギタリストの持つ感性によるところなのだろう。
ハイテクの力技で押しまくるタイプでもない彼だけに、そこにストロングポイントがあるのは、大きい。
昨今は、逆に感性面の魅力に欠けるが、ハイテクで惑わすというギタリストも多いという中、これが正常な形と言えるのかもしれない。

自分の好みかもしれないが、マイナー系の曲調のものにより魅力が出る感性と感じる。Grissett の端正なピアノも相性が良い。
M4 “Late Call” 、ちょい速めの4ビートの中でのMicicのギター、スムーズな運びのフィンガリングが実に気持ちが良い。

地味ながらなかなかの好盤というのが率直な感想だが、その虚飾、ハッタリのない「地味」という部分に好印象を持つ。

JAZZ-guitar 172
Rale Micic

Category: guitar (第2期)  

Tisziji Munoz & John Medeski / Beauty as Beauty

Beauty as B  Tisziji Munoz (g)
  John ‘Lam-Sobo’ Medeski (p)
  Bob ‘Ra-Kalam’ Moses (ds)
  David Finck (b)
  Airto Moreira (perc & vocal)

  Recorded at Applehead Studios August 12, 2008
  AM024 (Anami Music) 2008

  01. Motherhood
  02. Only If You Love
  03. GratItude
                      04. Impermanen
                      05. Blessings
                      06. Crisis of Attachment
                      07. Happy Sadnes
                      08. It’s Done
                      09. Ways of Love
                      10. Wounds of Love
                      11. Thank You!       All compositions by Tisziji Munoz

相変わらずの Medeski 集中聴きの中で聴いた一枚。
アルバムタイトルから、イメージできるように、 全てオリジナルの Tisziji Munos(B1946) としては、珍しいBallad集。
5人編成だが、雰囲気としては、Munoz のギター と Medeski のピアノによるデュオといった感じで、2人のプレイにスポットをあてた仕上がりに
なっている。 Airto Moreira のボーカルというよりボイスは、ラスト曲にちょっと入っているだけなので、ほぼインストのアルバムと考えてよい。

Coltrane の影も強く感じられる Munoz でもあったので、当時は、Coltrane のあの “Ballads” を意識したものなのかといった思いの中での入手
でもあったのだが、結果的には、ギタリスト Tisziji Munoz の私的評価に迷いが出た一枚でもあった。

あくまで私的なことではあるのだが、ミュージシャン、特にギタリストの場合、速い展開よりもスローな “Ballad” においてその力量が出やすといったこと
もあり。その判断材料とすることも多いのだが、その点では、本作などは格好の材料と言えるのかもしれない。
前にも書いたが、Munoz は、事故による左手首神経損傷の過去があり、実際のところ、それがどの程度、プレイに影響しているかはわからないのだが、
何らかのハンデがあるのはまちがいないようである。
部外者である自分が、本作のプレイに、その辺の影響がどの程度出ているのかは、全く知る由もないのだが、あの彼の形ともなっている勢いあるハードな
プレイの中で見せるクォリティが感じられないのである。
減衰音の楽器であるギターで、しかも彼のようにシングルトーンのみで Ballad をこなすというのは、非常にハードルが高い。スローな展開では、
速い展開より以上に、微妙な歌いまわしなどで、アラが出やすく、Munoz が本来持っている感性が素直に100%出てないんじゃないかとも思える部分
もある。まあ、この辺は推測でしかないのだが、Munoz 自身もわかっていた状況だと思うが、それでもあえてこれを演ったというところに、何かBalladに
対するMunoz の特別な思いもあったのかとも思える(まったくの勝手な解釈だが)。そこを感じられたということでの意味ある一枚だったということ
にしておこう。
ただ、Medeski のピアノに一貫して感じられるピュアで端正な響きだが、Munoz のギターそして音楽には、イージーと受け取ってしまっていいのか、
あるいは、それがピュアであるがための結果なのか、何度繰り返しても判断に迷う感覚が残る...................。

JAZZ-guitar 171
Tisziji Munoz

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