前向きに Jazz!

日々進化し続けるJazzとともに歩んできた終わりのない旅

Sort byguitar (第2期)

Category: guitar (第2期)  

Luigi Masciari / The G-Session

  Luigi Masciari (g)
  Aaron Parks (Rhodes, p)
  Roberto Giaquinto (ds)
  Oona Rea (voice-6)

  Recorded 7/12/2015 at Studio G-Brooklyn U.S.A.
  TSK018 (TOSKY) 2016

  1. Mr. Jay
  2. Vox
  3. Seven Dollars
  4. Music Man
                      5. Boogie Blue
                      6. Echoes
                      7. Don’t Touch My Chords

プロ10年程のキャリアのあるイタリアのギタリスト Luigi Masciari は、これまで機会に恵まれず、聴いたことはなかったのだが、彼の最新盤にて、
Aaron Parks が、珍しくFender Rhodesで参加との情報もあり、そのあたりのチェックも兼ねて、ちょうど良い機会、手を出してみた。
本作情報は、だいぶ前から得ていたのだが、CDでの早期入手はしずらいという状況もあり、DL買いで試してみた。

内容は、メンバーとの共作1曲(M6)を除いて、全てMasciariのオリジナル、そのvoiceの絡む共作曲を除いて、基本はトリオによる非4ビート主体の
コンテンポラリーテイストのものとなっている。

NYコンテンポラリーシーンの多くのトップレベルのギタリストとの共演もこなしてきている Aaron Parks を迎えての作ということで、それなりの
期待もあったのだが、一聴してみれば、内容的には、可もなし不可もなしといったちょっと微妙な初期印象。
こういったものだと良くも悪くもなく、ひっかかるところが無いので、そのまま通り過ぎていってしまうような内容には、それが素直な感想であり、
書く材料が見つからないということで、記事として取り上げるのは、避けることも多いのだが、先に基本データなど、書き込んでしまっていたこと
もあり、まあ、このまま一応書きとめておきます。

そんな初期印象だったのも、やはりちょっとは、期待もしていた Masciari のギターにあるのか? 決してヘタでマズいギターではない。かといって
特別にハイテクタイプでもなく、速いフレーズなどでは、ほんとに微妙なところだが、ひっかかりを感じるところもあり、スッキリとさせてくれない
など、ハイテクぞろいの今の時代にあって、技術面では、極平均レベルとの印象。そこは、あくまで技術面なのでそれでもいい。肝心なのは、感性面
だが、ここでも、自分の好みに合わず、特に嫌うといったところも無いのだが、結局そのあたりの、はっきりしないところが、前述の「可もなし不可
もなし」といった印象につながったようだ。ちょっとでもいいので、ハッとするような際立った部分でもあれば、だいぶ印象も変わるのだが...........。
エフェクト多用、浮遊感ある表現..........など、感性としては、典型的コンテンポラリー系と言えるタイプで、曲とともにフレージングなど、受け手の
感性によっては、逆に受け取ることもあるだろうといった極微妙なところだが、私的には、わずかに平凡な感じもあり、どこか既聴感あるフレーズが
続くところが、このギタリストのイメージを決めてしまったようだ。

ベースレス編成で、そこを Rhodes やバスドラでカバーするといった考えもあったと思うが、重低音でラインも刻むオルガンなどと違って、ボトム
の軽さもあるなど、その辺、サウンド面での物足りなさに、十分機能してないとの印象も...........

Rhodesを使う Parks にも関心はあったのだが、何だか普通の人になってしまっている。これも、いまいちテンションの上がらない原因だ。
好意的に解釈すれば、自身の際立った部分を引き出すのも、相手しだいという部分も多分にあるというのがこの世界、良い化学反応に向かうため
の触媒が機能しなかったということなのかもしれない。

自分の感性の反応に素直に従えば、やっぱり「可もなし不可もなし」、全てが微妙とか、わずかにといった曖昧なことばになってしまい、突出したと
ころが見つけ出せない。良くも悪くもないということで、その曖昧さにやはり星3つか。

Jazz-guitar 178
Luigi Masciari

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Category: guitar (第2期)  

Alessio Menconi Trio / Plays Ellington and Strayhorn

  Alessio Menconi (g)
  Alberto Gurrisi (org)
  Alessandro Minetto (ds)

  Recorded 2016
  ABJZ155 (ABEAT) 2016

  1. Upper Manhattan Medical Goup
  2. Lush Life
  3. It Don’t Mean a Thing
  4. Sophisticate Lady
                      5. Isehan
                      6. Day Dream
                      7. Things Ain’t What They Used to Be
                      8. Chelsea Brldge
                      9. Caravan

イタリアのギタリスト Alessio Menconi(B1970)の新作。
Menconi との出会いは、2010年作の “Adventure Trio”、ピアノが本業の Luca Mannutza のオルガン、そして Aldo Romano のドラムスという本作と
同じギター・オルガントリオというものだったが、程々のコンテンポラリーテイストを感じさせるギターで強い先進性はなく、強い印象としては残っていなか
ったのだが、本作は、それから6年経過していることと、未聴のオルガニスト Alberto Gurrisi の参加もあり、手を出してみた。

本作は、タイトルの通り、D.Ellington曲4、 B.Strayhorn曲5という内容になっており、そういったこともあるのか、一聴してみれば、ストレートに4ビート
主体で料理している。その点では、前述の2010年作以上にオーソドックスで王道テイストも漂うのだが、Menconi のギターは、伝統を感じさせつつ、常に今
の空気感を放っており、古さ、一種の辛気くささみたいなものはない。張りつめた緊張感やら引き込まれるような吸引力といったものは希薄だが、あまり甘い
音は、使わず金属質のシャープな音使いやフレージングのセンスなど、あまり考えることもなく無になって楽しめる仕上がりになっている。普段、コンテンポ
ラリー系を好む自分にも気持ちよく耳に入ってくる音だ。Menconi のアルバムは、本作を含めて2作しか聴いてはいないのだが、本作は Ellington, Strayhorn
作をプレイするというコンセプトもあり、形としてはこうなっているとも考えられ、本来、もっとコンテンポラリー寄りの感性をしているのかもしれない。
その辺は、また他作でちょっと確認してみたい。

そんな Menconi の音楽の質感もあり、Alberto Gurrisi のオルガンにも、あのとにかくブルージーな味付けをしないとみたいな前世紀の典型的なオルガン臭と
いうものは無く、スッキリ、クールにまとめているのだが、アシストに徹し、抑えたプレイからは、本来の彼の姿が読み取れないところもある。
これが、本来の姿なのかもしれないが、もう少し主張すべきところは主張し、逆にリーダー Menconi を刺激する存在であれば、本作の魅力も増したとも思え
る。情報なく経歴、年令などわからないが、若手であるならば、なおさら、こういった限られたチャンスを生かすべく、積極的な姿勢を出してもらいたい。

決して、時代の先を行くといったタイプの感性ではないが、Menconiのギターには、伝統に程よく今の時代の空気感もプラスするセンス、歌心とともに、それ
を支える確かなテクニックも備わり、今現在のメインストリームを行くギター・オルガントリオ作としては、良質の一枚に仕上がっている。

           

JAZZ-guitar 177
Alessio Menconi

Category: guitar (第2期)  

Gene Ess / Absurdist Theater

  Gene Ess (g, synth, compositions)
  Thana Alexa (voice, lyrics)
  Manuel Valera (p, key)
  Yasushi Nakamura (ab, eb)
  Clarence Penn (ds)

  Recorded March 5 & 6, 2016 at Bunker Studio, Brooklyn, NYC
  SIMP 160901 (2016)

  1. Out of the Ashes
  2. Circe’s Compassion
  3. Jade Stones
                          4. Kunai
                          5. Torii (The Gate)
                          6. Forkball (for Ornette)
                          7. Dejala Que Pase
                          8. Upward and Onward!

沖縄育ちでバークリー卒、現在はNYを拠点として活動する日本人ジャズギタリスト Gene Ess の新作。全曲自身の手によるオリジナル。

Gene Ess に関しては、10年程前からのボーカルを入れてないものに関しては比較的好印象を持っていたのだが、こうして Thana Alexa のボーカルを
入れてからの音楽を聴くのは、今回初めて。
一通り聴いてみれば、Thana Alexa のボーカルというよりは、ほとんどスキャットを多用したボイスという感じで、もちろん歌詞が入るものもあるのだが、
楽器と同じような位置づけで考えてよい扱いだ。
Thana のボイスは、高音域が印象的で伸びも良く、技術面でもハイレベルを感じさせるものもあり、本作のカラーを決定ずけているとも思える露出の
多さなど、Thanaを1トップに据えての形との印象。他のメンバーに関しても腕達者揃いで、楽曲そのものの魅力も含め、音楽としては、よくまとまって
いるとも感じるのだが、久しぶりで期待もあったこの Gene Ess の音楽は、私的好みからは、ちょっと外れた方向にいってしまった感もある。
そんな風に感じるのも、この高音域を駆使して爽やか感もある Thana Alexa のスキャットを生かした音楽のあり方とその質感。この辺は、音楽の良し
悪しというよりも、もう全くの好みの世界。この質感が、些細な事ではあるのだが、昔、フローラ・プリムが入っていた頃の “Return to Forever” をわず
かにイメージさせられてしまう部分があるのが、気になってしまった。こういう事は、一度気になり出したら、最後までつきまとってしまい、何だか、あの
ジャケットの大海原を飛ぶカモメまて゜目に浮かんできてしまう。
トータルに見れば、哀愁溢れるラインの曲や、心地良い4ビートにのっての鮮やかなギターソロ、あるいは、ハードな盛り上がりを見せる曲.........等々、
けっして、前述の負のイメージのカラー1色で染まっているわけでもなく、バラエティーある内容なのだが、それだけ “Return to Forever” のあの
サウンドが肌に合わなかったということなのだろう。そんな極部分的なイメージが、アルバム全体のイメージまで左右してしまうというのは、何とも
運の悪いアルバムともいえるのだが、聴いた人が悪かったということで諦めてもらうしかない。

そんなちょっとしたトラブルは、あったものの、フラットな目で見れば、それなりに見所もあり、今後に期待させられるところもあったのだが、特に Gene
Ess のギター、Thana Alexa のVocal には、光るものがあった。

リーダーの Gene Ess について、本作では、ギタリストとして先頭に立ち引っ張るという感じでもなく、コンポジション重視といった印象もあり、 あくまで
Thana をメインに据えての形をとっているため、彼女の感性が音楽全体のイメージを決めてしまっているといった印象もあるのだが、それだけに Gene の
コンポジションとともに Thana の個性の強さも伝わってくる。
ただ、そんな中でも、時折、入れてくる Gene のギターソロは、他のブルックリン系ギタリストとは、また一味違った魅力を放っており、やはりこの辺は、
血の部分も関係しているのだろうか、繊細で鮮やかなギターから放たれるラインには、熟成された音を感じる。
唯一のギタートリオ編成での M6 “Forkball” などを聴いていると、全編こんな調子でやってくれたら、どれほど魅力の盤になっていたことかと思ってしまう。
それだけ魅力も秘めたギタリストということでもあり、できれば次回は、ぜひ本作とは、違う形でお目にかかりたいものだが、その辺は Thana Alexa にも
同じような印象を持ち、現在の Vocalシーンでは、少数派とも言えるスタイルには、未知の可能性といったものも感じられ、次のステップでは、自身名義の
アルバムで、自身のやりたいようにやった音楽の中で聴いてみたいと思わせるものもある。

キューバ出身のピアニスト Manuel Valera については、これまでにも何度か聴いてはいるが、やはりどうも肌に合わない。なかなかのテクニシャンだが、
音楽からまずテクニシャンと感じてしまうのは、そこに何か足りないものがあるからといった漠然とした感覚を持っている。技術は、言わば音楽をつくるため
の道具、それをどう使うかというソフトの部分こそが全ての源であり、自分の好みを分ける基準もその部分のウェイトが極めて大きい。本作がアルバムとして
いまいち満足できないのも、このあたりの私的好みが多少関係したのかもしれない。

JAZZ-guitar 176
Gene Ess

Category: guitar (第2期)  

Tisziji Munoz / Love Always (Spirit of The Ancient Masters)

  Tisziji Munoz (g,synth)
  Dave Liebman (ts-7)
  Pharoah Sanders (ts-8)
  Ravi Coltrane (ts-9)
  Paul Shaffer (key-1,4)
  Bernie Senensky (p-2,3,5,6.7,8,10)
  Dennis Irwin (b-1)
  Rasto Harris (b-1)
  Don Pate (b-2,3,4,6,7,8,10)
  Cecil McBee (b-7)
  Guillermo Cantu (ds-1)
  Bob Moses (ds-2,3,6,10)
                      Rashied Ali (ds-4,7,8)
                      Adam Nussbaum (cymbals-1)

                      Recorded January 29,1982 〜 December 9, 2000
                      COCB-53596 (2006)

                      01. Song for All Children
                      02. Seven Steps to Heaven
                      03. All Blues
                      04. Blessings
                      05. Summer of ‘42
                      06. Breaking The Wheel of Life and Death
                      07. Happy Sadness
                      08. Purification by Fire
                      09. Offering of Love
                      10. Love is When You Let It Be

昨年、John Medeski 集中聴きということで、その関連作を記事とした中で、Medeski とは、蜜な関係もあるギタリスト Tisziji Munoz(B1946 ティシー
ジ・ムニョス)の作をいくつか記事としたが、そんな流れもあり、Medeski 接触以前の Munoz もあらためて聴いてみたくなり、久しぶりに引っぱり出してみた。
年の初めにふさわしい重みもある一枚だ。

70年代に Pharoah Sanders のグループに参加していたことがあったが、その後、消息がつかめない時期があったり、名前を使わず名字(Munoz)だけで
の活動などで、何かとなぞの多いギタリストだった Tisziji Munoz ですが、本作は、Munoz が自ら設立した 「Anami Music」なるレーベルに自主制作と
して残した、一般にはほとんど入手困難だった多くの音源の中から選曲し、アルバムとしたもので、先鋭的ギタリストでもある Jim Orourke(B1969)自らが
立ち上げたレーベル「社会人」の第一弾としてリリースされたもので、Orourke も大きく関わっている。

元々、自主制作としてマイナーな存在だった音源ながら、Pharoah Sanders、Dave Liebman、Cecil McBee、Bob Moses、そして後期Coltraneを
支えたRashied Ali 等々、そうそうたるメンバーが名を連ねており、一般には知名度も低かった Munoz だが、一目置かれる存在であったこともうかがえる。

幼少時の左手首神経損傷の事故もあり、コードプレイが不可というハンデの中から編み出されたシングルトーンによるプレイスタイルは、プエルトリコ系と
いった血の部分、そして他のギタリストをほとんど聴くことなく過ごしてきたといったことも関係しているのか、他のギタリストでは、あまり類を見ない独特の
感性を見せており、そのラインからは、Sax奏者のそれがイメージされる。この辺は Coltrane の存在も関係しているのか。
本作の全10曲も、過去の多くのレコーディングから、ピックアップされたものだけに、濃いものが揃っている。
雑多な要素が入り交じり、ギターの音は歪み、プレイは激しく、時には攻撃的とすら感じるのだが、そんな表面上のヨゴレ成分も含んだテイストとは相反し、
音楽には何かピュアなものとともに、目の前が拓けて来るような一種の清々しさも感じられるのは、ことばでは説明不可の部分だ。

その他の Tisziji Munoz 関連作は → こちらから

JAZZ-guitar 175
Tisziji Munoz

Category: guitar (第2期)  

Phil Robson / The Cutt Off Point

 CutOffP-2.jpg

Phil Robson (g)
Ross Stanley (Hammond org)
Gene Calderazzo (ds)

Recorded at Eastcote Studio, Llondon, on the 30th September, 2014.
WR4672 (Whirlwind) 2015

1. Thief
2. Second Thoughts
3. Dimd and The Blue Men 4. Vintage Vista
5. Astral
6. The Cutt Off Point
7. Berlin
8. Ming The Merciless

Mark Turner を迎えての作、その他で名前だけは記憶していた英国のギタリスト Phil Robson(B1970)ですが、聴くのは今回初めて。
オルガンのRoss Stanley(B1982) は、以前、元イエスの Steve Howe のJazzアルバム “Travelling” に参加した時の記事歴はあるのだが、オルガニスト
としての印象に残るようなプレイは、ほとんど記憶していない。
また、メンバーの仮面を付けたジャケットがMMW(Medeski Martin & Wood)をイメージしてしまい、パロディーとしてならともかく、そのパクリ感も
あるジャケ写に、初対面の印象は極めて悪い。

外身から判断すれば、音楽の方もMMWを意識して、Jazzの本道を外れたようなところで勝負しているのかと思いきや、至極真っ当な音を出しているのに
はおどろいた。感性としては、コンテンポラリー系、アルバムタイトル曲 M6のちょっとだけ冒険したようなもの、あるいはファンク調などもあるが、基本、
ストレートな展開のものが多くを占めている。

内容は、D.Liebman曲のM3を除き、全て Robson のオリジナルとなっているが、ギターの Robson をはじめオルガンの Stanley、ドラムスのCalderazzo
にしても巧い。平均レベル以上の感性とそれを支える技を備えており、特にオルガンの Stanley は、前述作の20代半ば当時の状況を考えると、全く別人
と言ってもいいようなコンポラ系オルガニストとしての姿には、驚いてしまう。変われば変わるものだ。本作録音時の32才という年令を考えれば、まだまだ
発展途上、しかもまだその初期段階ということで、今後のいい出会いの中から、自身の感性を少しでも前に進めていってもらいたいものだ。英国で、こんな
若手オルガニストが、育っていたのを確認できたことは、収穫だった。

ギターの Robson は、年令的には中堅からそろそろベテランの域へといったところだが、若いフレッシュな感性を維持しているようだし、ストレートな展開
でのフレーズの刻み方などを聴いていると Pat Martino を思い出すようなところもあり、音数を多く使うタイプだね。
曲により、クリヤートーン、エフェクト処理といろいろ使い分けてのプレイにも、典型的なコンテンポラリー系ギタリストの感性が見える。

アルバム全体の印象として、個性という部分にも大きく関わってくるところだとは思うが、全ての面で平均点をクリヤーしたレベルで、質の高さも感じさせ
る彼らのプレイだが、たとえ弱点はあっても、どこかに突出したストロングポイントでもあれば、それが個性として音楽もより魅力を増すとも思え、その辺
は、今後の課題として残るが、まずまずの好内容に満足できるものだった。

ただ、この内容で、こんなMMWもどきの面をかぶったジャケットにする必要がどこにあるのか、彼らの音楽のイメージが、歪められてしまうと思えるのが
極めて残念。

             
             The Phil Robson Organ Trio. Performing at The Crypt with Gene Calderazzo on Drums,
             Ross Stanley on Hammond Organ and Phil Robson on Guitar. 01.08.14


追記
年末恒例となっている「今年出会った極私的この1枚」のコーナーですが、残念ながら、今年は該当作なしということにしたいと思います。
楽しめた盤ということでは、けっこうヒットしたものはあったんですが、ノリノリで楽しめるというだけでは、本コーナーに選出する意味がなく、
そこに+α、つまりその出会いにより自分の指向の流れが多少なりとも変わり、その後の感性、好みの方向性に変化が生じたというような出会い、
何よりもそこを求めての活動でもあるので、そこまでの出会いが今年は無かったということで、いたしかたありません。
こういった出会いも、漫然とやっていても、あるはずもなく、求める当方としても積極的な動きも必要になりますが、来年は「流れを変える盤」
との出会いから、まだ見ぬ、あらたな世界をぜひ覗いてみたい。期待しましょう。
ということで、本年も、ご訪問いただきありがとうございました。どうぞ良いお年をお迎えください。

JAZZ-guitar 174
Phil Robson
Category: guitar (第2期)  

Rale Micic / 3

  Rale Micic (g)
  Scott Colley (b)
  Gregory Hutchinson (ds)

  Recorded February 23, 2009, NY
  CTA008 (CTA Records) 2010

  01. Dealin’
  02. The World Doesn’t End
  03. I Love You
  04. Serbology
  05. Pannonia
                      06. Naive Art
                      07. Three of aKind
                      08. Thirty Three
                      09. Night Has a Thousand Eyes
                      10. Gybanitza

セルビア出身のギタリスト Rale Micic(レイル・ミシック B1975)の2010年作、入手当時は、未聴のギタリストながら強力なサポートメンバーを
迎えてのギタートリオ作ということで、かなり期待しての入手だったように記憶している。
そんな期待が大きかったこともあり、その反動ということもあったのか、感性面で微妙に反応するところや、引っ掛かるところもあったのだが、その
地味めのサウンドにリピートを繰り返すには至らず、倉庫暮らしの扱いを余儀なくされていたという盤である。
先日、聴いた Micic の新作 “Night Music” において、そのネックにもなっていた「地味」という部分に関して、逆にそこが好印象につながっていた
こともあり、要再チェックということで、久しぶりに表舞台に引っぱり出してみた。

初っ端の冒頭1曲目、ソロに入ってからの Micic の感性にやられた。米国系ミュージシャンには、あまり見られないどこか素朴、憂いを含んだような
響きは、独自性もあり惹き付られるものがある。今現在の自分の感性には、どストライク! 当時、聴いた時は、いったい何を聴いとんじゃと、後悔する
ことしきりである。ミスった!
他曲についても、セルビア出身というあたりも多分に関係していると思われる、この独自性ある感性がアルバム通して一貫して、感じられ、統一感も
ある上質の一枚に仕上がっている。Micicのギターには、先日、聴いた新作同様、強い先進性はないものの、程よく漂わせる今の空気感と虚飾の無い
抑えたプレイには、繊細な感性がうかがえる。
地味というよりもハデな太刀回りを嫌うとでもいったらいいのか、そんなプレイだけに、1回サラっと聴いただけでは、見逃すこともあるのかもしれ
ない。何度かリピートしているうちに、少しずつ視界が開けてくるという感じで、それだけに人並み以上の繊細な感性と言えるのかもしれない。
技術面では並ながら感性面では、好相性という評価。普段から技術はあくまで手段、肝心なのは感性などと言っておきながら、その大事な感性面で
見過ごしてしまったのは、我ながら何とも情けない。初めての出会いで、この感性を受け止められなかったことは、痛恨のミスだが、こうして良い再会
ができたことは、何よりである。

陽の当たらない不遇の盤、能力に見合った正当な評価を受けていない不遇のミュージシャンにスポットを当ててやりたいという当ブログの方針にも
誠にふさわしい盤でありながら、初見で見落としていたという、あってはならないミスを犯し、長きに渡る暗い倉庫暮らしを強いてしまったという罪は
重い。反省!
しかし、言い訳でもないが、そこにはもう一つの理由も考えられる。こうした自分とJazzとの関わりも、常に出会ったことのない新しい感性との出会い
を求める中で、自分の感性の変化を求める活動でもある。そんな中で自分の感性の変化から、受取り方やら好みも変化してきており、5年、10年前と
今現在の感性とは、明らかに違う。かつて反応しなかった音に反応したり、逆に反応した音に反応しなくなったりといったことがおこり、これは、新しい
ものを求める者にとっては、正常な変化であり、これがないと、この活動自体が意味の無いものになってしまう。
かつて夢中になった音と再会しても、懐かしいという感情はあっても、昔と同じように夢中にはなれないものだ。自分も変化してきてるし、夢中になった
ものに、いつまでもしがみついていたら前には進めない、Jazzとは、常に細胞分裂を続けることで生を維持している生き物だ(あくまで私的価値観であ
り他を否定するものではない)。
そんなことで、本作と出会った5〜6年前には、反応しなかったが、その後の自分の感性やら好みの変化により反応が変わったとの見方もできるのだ。
言い訳がましくなってしまったが、特にその時代の音、あるいはさらにその先の音を追うタイプのミュージシャンそしてリスナーは、変化(進化)を求める
ものであり、時代の流れとともに生きるJazzも、最も輝きを放つその時代時代の瞬間、その旬の時に受け止めてやりたいという思いでいるのだが.........

             
             Rale Micic - guitar, Mimi Jones - bass, Greg Hutchinson - drums
             live at Cornelia Street Cafe, New York January 14, 2009

JAZZ-guitar 173
Rale Micic

Category: guitar (第2期)  

Rale Micic / Night Music

  Rale Micic (g)
  Danny Grissett (p)
  Corcoran Holt (b)
  Jonathan Blake (ds)

  WCS086 (Whaling City Sound) 2016

  01. Hotel Insomnia
  02. Jano
  03. Melody in a Mist
  04. Late Call
                       05. Blue
                       06. Nocturne
                       07. Night Music
                       08. Nocturne (reprise)
                       09. Afterparty
                       10. Sunrise
                       11. Color of the Sun

セルビア出身のギタリスト Rale Micic(レイル・ミシック B1975)は、過去にも購入歴はあり、地味、堅実といった印象もあったせいか、強いインパクト
の記憶としては残っていないのだが、私的好み外のギタリストとして、悪い印象を持ったというわけでもなく、単に印象が薄かったといったことである。
彼の米国での活動も2000年代前半ぐらいからだったと思うので、かれこれ10数年経っているわけだが、その割に大きなスポットが当たることもなく、
知名度がいまいちという状況も、そのハデさのない堅実なプレイといったあたりが多分に影響しているのかもしれない。

本作は、私的には、ちょうど Micic とは似たような印象もあり、地味ながら、それなりに惹かれるところもあり、過去には2度、生でも聴いてきたという
ピアニスト Danny Grissett の参加とともにJonathan Blake の参加が音楽に良いイメージができたので手を出してみた。

本作も一聴して、やはりキラビやかな光沢感のない裏通りでも思い出すようなマイナー感が漂う。そういう意味では、内容と全く関係ないとも思えるような
ジャケットのアートワークも多い昨今、内容をうまくイメージしたジャケットになっているのかな。
このマイナー感というのは、イコール音楽の魅力に欠けるということではない。二流、マイナー、B級.............といった中に見出す好印象に、何か特別の
ものを感じることがある。この辺は、ことばで説明するのは、むずかしい。己の感性が、直感的、瞬時に受け取る感覚なので..............そもそも、ことばで
表現することの不可の領域があるからこその音楽であり、そういうものだと思っている。
Micic の持つ今を感じさせる空気感は、コンテンポラリー系と言ってよいものだ。ただ、先端の方で先進性ある空気を振りまくといったタイプではなく、
あくまで中庸を行くということで、あの新しい音創りの現場独特の張りつめた空気感みたいなものは、音楽にはなく、安心して身を任していられる音楽
といった感じだろうか。通常、こういったケースで、私的感覚では、魅力に欠けるといった受け取りをすることも多いのだが、そういった方向には、ならす゜
何か惹かれるものも感ずるのは、全ては、このギタリストの持つ感性によるところなのだろう。
ハイテクの力技で押しまくるタイプでもない彼だけに、そこにストロングポイントがあるのは、大きい。
昨今は、逆に感性面の魅力に欠けるが、ハイテクで惑わすというギタリストも多いという中、これが正常な形と言えるのかもしれない。

自分の好みかもしれないが、マイナー系の曲調のものにより魅力が出る感性と感じる。Grissett の端正なピアノも相性が良い。
M4 “Late Call” 、ちょい速めの4ビートの中でのMicicのギター、スムーズな運びのフィンガリングが実に気持ちが良い。

地味ながらなかなかの好盤というのが率直な感想だが、その虚飾、ハッタリのない「地味」という部分に好印象を持つ。

JAZZ-guitar 172
Rale Micic

Category: guitar (第2期)  

Tisziji Munoz & John Medeski / Beauty as Beauty

Beauty as B  Tisziji Munoz (g)
  John ‘Lam-Sobo’ Medeski (p)
  Bob ‘Ra-Kalam’ Moses (ds)
  David Finck (b)
  Airto Moreira (perc & vocal)

  Recorded at Applehead Studios August 12, 2008
  AM024 (Anami Music) 2008

  01. Motherhood
  02. Only If You Love
  03. GratItude
                      04. Impermanen
                      05. Blessings
                      06. Crisis of Attachment
                      07. Happy Sadnes
                      08. It’s Done
                      09. Ways of Love
                      10. Wounds of Love
                      11. Thank You!       All compositions by Tisziji Munoz

相変わらずの Medeski 集中聴きの中で聴いた一枚。
アルバムタイトルから、イメージできるように、 全てオリジナルの Tisziji Munos(B1946) としては、珍しいBallad集。
5人編成だが、雰囲気としては、Munoz のギター と Medeski のピアノによるデュオといった感じで、2人のプレイにスポットをあてた仕上がりに
なっている。 Airto Moreira のボーカルというよりボイスは、ラスト曲にちょっと入っているだけなので、ほぼインストのアルバムと考えてよい。

Coltrane の影も強く感じられる Munoz でもあったので、当時は、Coltrane のあの “Ballads” を意識したものなのかといった思いの中での入手
でもあったのだが、結果的には、ギタリスト Tisziji Munoz の私的評価に迷いが出た一枚でもあった。

あくまで私的なことではあるのだが、ミュージシャン、特にギタリストの場合、速い展開よりもスローな “Ballad” においてその力量が出やすといったこと
もあり。その判断材料とすることも多いのだが、その点では、本作などは格好の材料と言えるのかもしれない。
前にも書いたが、Munoz は、事故による左手首神経損傷の過去があり、実際のところ、それがどの程度、プレイに影響しているかはわからないのだが、
何らかのハンデがあるのはまちがいないようである。
部外者である自分が、本作のプレイに、その辺の影響がどの程度出ているのかは、全く知る由もないのだが、あの彼の形ともなっている勢いあるハードな
プレイの中で見せるクォリティが感じられないのである。
減衰音の楽器であるギターで、しかも彼のようにシングルトーンのみで Ballad をこなすというのは、非常にハードルが高い。スローな展開では、
速い展開より以上に、微妙な歌いまわしなどで、アラが出やすく、Munoz が本来持っている感性が素直に100%出てないんじゃないかとも思える部分
もある。まあ、この辺は推測でしかないのだが、Munoz 自身もわかっていた状況だと思うが、それでもあえてこれを演ったというところに、何かBalladに
対するMunoz の特別な思いもあったのかとも思える(まったくの勝手な解釈だが)。そこを感じられたということでの意味ある一枚だったということ
にしておこう。
ただ、Medeski のピアノに一貫して感じられるピュアで端正な響きだが、Munoz のギターそして音楽には、イージーと受け取ってしまっていいのか、
あるいは、それがピュアであるがための結果なのか、何度繰り返しても判断に迷う感覚が残る...................。

JAZZ-guitar 171
Tisziji Munoz

Category: guitar (第2期)  

Diego Barber / Calima

  Diego Barber (g)
  Mark Turner (ts)
  Larry Grenadier (b)
  Jeff Ballard (ds)

  Recorded April, 2008 at Legacy Recorfing Studios ew York, NY
  SSC1210 (Sunnyside) 2009

  1. Calima
  2. Piru
  3. 190 East
  4. Desierto
  5. Catalpa
  6. Lanzarote
                          7. Richi
                          8. Virginna
                          9. Air

アフリカ大陸北西部に位置するカナリア諸島出身の Diego Barber は以前、本デビュー作の次作になる "The Choice(Rec.2010)" で記事歴が
ありますが、先日聴いた “Matt Brewer / Unspoken” で Ben Wendel のテナーを聴いていたら、Mark Turner を思い出し、彼の入った一枚を
何かと思い探していたら、目について、引っぱり出してみた。ついでに記事としておきます。

次作では、ドラムスにAri Hoenig、そしてそこにSeamus Blake (ts)、Johannes Weidenmueller (b)らが加わり、豊かな色彩感も感じられる
音楽となっていたが、本デビュー作では、当時 "FLY" として活動していた3人をメンバーとしている。
デビュー作でこの3人をサポートにというのもすごいが、確かな実力を備えた新人でもあったということなのでしょう。

全編アコギで通す Diego のギターには、感性面、技術面ともに強いクラシック臭が漂い、ある種の由緒正しいといったテイストもあり、普段ダーティー、
ラフといったものを好む傾向にある自分の感性とは衝突する部分もあるのだが、全体として見れば、そこに嫌悪感というほど大げさなものでもなく嫌み
として感じないのは、このギタリストが持つスペインあたりも感じる土着性あるいは素朴といった質感が、その辺をうまく緩和しているのかもしれない。
そんな出自を感じさせる土地の匂いとクラシックを通過してきた痕跡を感性、技術両面で色濃く残すという彼のギターだが、M4、M7あたりでは、Jazz
を感じる響きも感じさせてくれる。パワフルだが抑えたクールなテイストを振りまく Mark Turner のテナーもいつものごとくだ。
とは言え、全体として見れば、いわゆるJazz色希薄で、その部分を求めてしまう人にとってはもの足りないものもあるのかもしれない。
クラシックを本格的に学んできた彼が、FLYのメンバーを選び、デビュー作をJazzとしたこと、そこには当然ながらJazzが好きという並々ならぬ思いも
あったと想像するが、その部分がストレートに伝わってこないのが残念でもあり、いまいち魅力に欠けるといった印象となっている要因でもあるのだろう
か。Jazzサイドから見れば、個性派と言っていいDiegoだが、それだけに好みを分けるタイプなのかもしれない。
個性派大好きの自分で、能力の高いギタリストとは感じているのだが、自分の求める個性とはまた異質であるとも感じている。

JAZZ-guitar 170
Diego Barber

Category: guitar (第2期)  

John Scofield / A Go Go

  John Scofield (eg, ag., whistle)
  John Medeski (org, Wurlitzer, clavinet, p)
  Chris Wood (ab, eb)
  Billy Martin (ds, tambourine)

  Recorded at Avatar Studio, NY, October 30 - November 1, 1997
  539 979-2 (Verve) 1998

  01. A Go Go
  02. Chank
  03. Boozer
                     04. Southern Pacific
                     05. Jeep On 35
                     06. Kubrick
                     07. Green Tea
                     08. Hottentot
                     09. Chicken Dog
                     10. Deadzy         All compositions by John Scofield

夏場から続いているMedeski 集中聴きの流れの中で十数年ぶりぐらいに聴いた一枚。
MMW と John Scofield(B1951) が共演した最初の作であり、この後の “Out Louder(2006)” “MSMW Live(2011)” “Juice(2014)”
と続くきっかけともなった作。
元々、Scofieldが持っていた ラフ、 アバウト、 ルーズ、 ダーティー、 チープ..............といった、ともすると一般目線からは負の要素とも受け取られかね
ない彼独特の持ち味が、これまた不良性もある John Medeski とクロスしたことにより、その相乗効果で持ち味も全開となり、いい意味でのチープ感に溢れた
一作となっている。そのチープ感も、これ以上やるとリアルなものになるというギリギリのところで寸止めしつつ、その危ういライン上、まさに紙一重という
ところで遊んでしまえるという感性は、やはり Scofield ならではというところでしょう。

傍若無人な Medeski(B1964) も、ここは、アニキ Scofield が、これ以上の暴走をして最後の一線を超えないよう監視役として、いつになくコントロール
の利いたプレイで危ういところをキープしており、本作も一応の形で収まったのも彼の貢献度大とも思える。この男、ハチャメチャなようでも、おさえるとこ
ろは、おさえる、意外とちゃんとしたクールガイなのである。
M2 “Chank” でのキレの良いオルガンソロのカッコ良さ。5指を鍵盤に叩き付けるようなMedeski独特の打楽器的奏法も目に浮かぶ。
正しいJazzファンからは、Jazzではないなどとも言われた本作だが、M8 “Hottentot” 、M9 “Chicken Dog” など。垣根を超えたところで遊ぶ楽しさが
ある。
枠を超えて行くアウトローがいてこそ、全体の枠を広げ、前に進めるというものであろう。

JAZZ-guitar 169
John Scofield

Category: guitar (第2期)  

Brad Allen Williams / Lamar

  Brad Allen Williams (eg, electric sitar)
  Pat Biamchi (Hammond organ)
  Tyshawn Sorey (ds)

  Recorded at The Bunker Studio, Brooklyn NYC, 20 August 2012, 17 August 2012 and 28 March 2013
  SR-051 (SOJOURN) 2015

  1. Steppin’ Out
  2. 201 Poplar
  3. Galveston
  4. Betcha by Golly Wow
                      5. Euclid and Lamar
                      6. Stairway to the Stars
                      7. Culver Viaduct Rehabilitation Project

一時期、コンテンポラリー系のオルガニストとして、楽しみな感性を見せていたこともあり、追った時期もあった Pat Biamchi ですが、その後、未聴の
ギタリストと組んだものなどを中心にギタリストのチェックも兼ねて入手したりしてはいたのですが、フタを開けてみれば、いずれも王道色の強い感性の
ギタリストということで、それに合わせた Bianchi のオルガンも期待していた方向性のものは聴くことができず、気がついたらもうそれから6〜7年の時
が流れていた。当時の期待感も無くなり、私的リストからも、すっかり外れた存在になっていたんですが、偶然、知らない盤に出会い、これまた知らない
ギタリストということで、ジャケットの雰囲気とともに、過去の状況から同じような結果も十分予測できたんですが、ただ一点、ドラムスに Tyshawn Sorey
が参加しているという状況が妙にひっかかり、伝統の王道Jazzは、イメージしにくく、もしかしたらコンポラ色も強い先進のJazzが......................などと
妄想もどんどん膨らんでしまい、結局ゲット。

さて、ギターのリーダー氏ですが、やはり求めていた前を向いた感性ではなかったですね。しかも、しっかり伝統も感じさせる筋金入りの王道系というわけ
でもなく、今の感覚を漂わせるコンテンポラリー系と言えるような感性でもなく、かといってその間の程よく混じり合った中間派とはっきり認識できる
ような明確なものもなく、そんなはっきりしないところが印象と言えばそういうことなんですが.............、今、多くの若手ギタリストがそうであるような
ハイテク感もなく、まあ、そこは求めているところでもないんで、いいんですが、肝心の感性面がはっきりしない。実体を掴もうとしても、なかなかフォー
カスしないような、変な感覚がある。
そんなリーダー氏なので、Bianchi のオルガンもはっきりしないプレイに終始している。ただ、本作をとりあえず一応のレベルに落ち着かせているのは、
彼のオルガン。そこだけが救いだ。
Tyshawn Sorey のドラミングも、本来の能力は、全く出ていないという感じ、というよりも、音楽の内容的にそれを必要としていないといった感じだ。

この Pat Bianchi ですが、以前、楽しみな感性を見せていた時の相手というのが、 ギターの Gilad Hekselman だったんですね。
これまでにも何度も書いてきたことではあるんですが、共演者との対話の中から、その互いの刺激により新たなsomethingを生み出そうとするJazz
においては、その共演者の持つ意味は大きく、共演者の感性とその刺激は、自らの未体験ゾーンの扉を開けるきっかけともなることを考えれば、そこを
考慮した活動も必要になってくる。参加作では、なかなか自身の考え通りにいかないことはあるが、リーダー作あるいは普段の活動において、その辺りを
意識した活動をしていないと、なかなか流れは変わらない。
自身の先を行く感性との共演、そこを積極的に求め、より厳しい環境を求めていかないと、新たな世界は見えてこない。
デビュー以来、ここ10年余りの彼の状況を振り返ってみると、その音楽に共演者が持つ感性の影響が、顕著に出るタイプとの印象を持っている。
誰と演っても、我が道を行くといったタイプもおり、一概にどちらが良いというものでもないのだが、彼のように共演者により、音楽の質が変わりやすい
タイプであるだけに、そしてそれだけのポテンシャルも持っていただけに、そこを意識した活動を続けてきていれば、今の状況もだいぶ違っていただろう
にと思えるのが残念だ。
もっとも、彼の目指す方向性がこれであればいたしかたないのだが、私的には、そういう風には受け取っておらず、まだ見えてこない何かを追い、遠くを
見ていた時期があったのを覚えている。

妄想膨らまして楽しませてもらっただけでも、よしとせねばならないのかな。

その他の Pat Bianchi 関連記事は → こちらから

JAZZ-guitar 168
Brad Allen Williams


Category: guitar (第2期)  

Tisziji Munoz / When Coltrane Calls! (Session 1)

  Tisziji Munoz (g)
  Lam Sobo John Medeski (p)
  John Benitez (eb - left & right on track 6)
  George Koller (ab - left on tracks 1,3-5 & 7-9, center on track 2 & 6)
  John Benitez (ab - center on track 2, right on track 3-5)
  Yaka Don Pate (ab - right on tracks 1 & 7-9)
  John Benitez (perc - track 6)
  Vija Mu Adam Benham (perc - track 6)
  Ra Kalam Bob Moses (ds - left)
  Sadhu Bhav Tony Falco (ds - right)

  Recorded at Dorje Drilbu on August 27, 2015
                          AM063 (ANAMI Music) 2015

                          1. Wise One
                          2. Alabama
                          3. Ogunde 1
                          4. Lonnie’s Lament
                          5. Ogunde 2
                          6. Living Native Wisdom
                          7. Straight Thriugh The Heart
                          8. Fearless
                          9. Out of the Body

Medeski集中聴きの中で聴いた1枚だが、本作は過去盤ではなく、最近入手したもの。従って聴くのは、今回が初めて。

ギタリスト Tisziji Munoz(B1946)が、敬愛する John Coltrane 縁の曲なども入れ2日間に渡って行われたセッションの記録。
Session 1〜3のシリーズ中、本作は Session 1。
おなじみのColtrane曲を前半5曲に、後半4曲を Munozオリジナルという内容になっている。
また、Munoz が好んで使う手法として、リズム陣に複数配し、複合化と厚みを増した編成が特徴的だが、参謀的存在として ピアノのJohn Medeski
が重い役所をこなしているのが目につく。

Coltrane曲は、いずれもあの姿がイメージされるほどの濃厚なColtraneのスピリットといったようなものも感じられるのは、それだけMunozの
敬愛するColtraneに対する気持ちの現れでもあるのだろう。
テーマからソロへと進むにつれ、より自由度を増していく展開の中で、リズムセクションも柔軟な対応で流れをつくる。
Munozのギターは、いつもの彼のスタイルのように、いずれも、かなりヒートしていくという展開になるのだが、Medeskiのピアノは、その流れで、
より以上にヒートさせていくというよりは、全体の流れを見ては、抑え、コントロールしているというようにも感じられるところがクール。
Medeskiの叩き付けるようなコードで、グイグイ盛り上げていく様は、あのMcCoyを思い出してしまうのだが、それはマネているということではなく、
本作のコンセプトもあり、Coltraneの魂を引き寄せたいといった意味合いもあるのではないだろうか。普段のオルガンでの Medeski からは、イメージ
できない別人の顔を見せるピアニストとしての Medeski、これもマル、いや二重マルだ。

Munozのギターは、幼少時の事故による左手首神経損傷の影響もあるのか、ミスピックぎみのアラさもあるなど、技術面では、決してトップレベル
のギタリストとは言えないのだが、そのあたりを感じさせない勢いがあり、ためらいなく打ち出してくるシングルノートの洪水には、あのColtraneの
イメージも重なる。

            
            Tisziji Munoz /guitar
            John Medeski (Lam-Sobo) /piano
            
Don Pate (Yaka) /bass

            Tony Falco (Sadhu-Bhav) /drums
            
Adam Benham (Vija-mu) /drums

            Video by Patrick Barter (Shunyananda)
June 1, 2012
Troy, New York

JAZZ-guitar 167
Tisziji Munoz


Category: guitar (第2期)  

Tisziji Munoz / Songs of Soundlessness

 soundlessness-2.jpg

Tisziji Munoz (g)
Lam-Sobo John Medeski (p)
David Finck (b)
Ra-Kalam Bob Moses (ds)

Recording, editing, & mixing engineer - David J Sullivan
AM050 (Anami Music) 2014

1. Damned if You Do or Don’t
2. Good Bye Dear Sweet Mother
3. Venus
4. God-Fire
5. Gracious           All compositions by Tisziji Munoz

Medeski 集中聴きの中で聴いた近作。
近年の John Medeski(B1964) は、このベテランギタリスト Tisziji Munoz (ティシージ・ムニョス B1946)との活動も多く、この Munozのグループへ
参加した作品の数々は、彼のキャリアの中でも外して考えられない内容のものが多い。もちろん今も細胞分裂を繰り返している現在進行形のグループである。

Tisziji Munoz は、70年代に Pharoah Sandees のグループでしばらく活動していた時期もあり、その個性的なプレイは、注目されたのだが、その後、
消息のつかめない期間があったり、個性派らしく、変わった経歴を持つ。また、幼少時に事故で左手首の神経を損傷した過去が関係しているのか、その
シングルトーンのみのプレイスタイルは、彼の個性的な音楽にもつながっているようにも思える。
本作でも、冒頭曲から、歪んだシングルトーンで、押しまくるギターが凄まじい。
M2 “Good Bye Dear Sweet Mother”、アルコとピアノにより、やさしさと気品もある美旋律でスタート、静かな展開から後半に一転、Munozのフリーに
爆発するソロが圧巻。
M4 “God-Fire”、フリーに力技で攻めるMunozに圧倒される。インテンポになってからの Medeski のピアノがキレる。
現在のコンテンポラリーシーンのメインの流れともなっているクールで洗練されたテイストのギターとは、全く別経路から生まれてきた感性。もっとも、
年令から見れば、現在のギターシーンの中心となっている面々の遥か前からJazzに関わってきたわけで、違った経路というのも当然ということなのだが、
この年にしてこの前進意欲を維持しつつ爆発的なエネルギーを発散するというのが凄い。この個性は、あまり似た感性は見つからないのだが、音楽を聴いて
いて感じるのは、かつて McCoy が入っていた頃の John Coltrane Quartet、そのスピリチュアルな感覚がイメージされるのだ。強いてあげればギタリスト
としては、John McLaughlinあたりにプレイスタイルが通じるものも感じるが、むしろギタリストということではなく、音楽の心という部分で Coltrane と
の関わりが強く感じられる。
Saxと違い、減衰音の楽器であるギターに、音の伸びを意識した彼独特のエフェクト処理をした音というのも、うなずける。

様々なシーンで輝きを見せる Medeski だが、Munoz の音楽の中で見せるピアノにあらためて感心してしまう。感性のレンジの広い男である。
凝縮された気の詰まった一音、強い打鍵による左手のコード、緩急織りまぜてのダイナミズム、ヤワさを感じさせないゴツさ..................このMunoz が
求める音楽にフィットしており、Medeski のピアノを聴いていると、Munoz が好んで彼を起用するのもうなずけるのである。Munoz にとっても
このMedeskiとの出会いは大きな意味があったに違いない。

リリカル、洗練、透明感、オシャレ..................といった類いのテイストとは、遠いところにある土の匂いも感じられるような音楽だが、表面を覆う汚れ感
の奥にピュアなものが垣間見える思いもする。

あまり記事にしていなかったこともあり、夏から John Medeski 集中聴きということで、ついでに、いくつか記事として記録を残しておこうぐらいに考えて
いたのだが、いくつかだとすごく中途半端な状況にもなってきたし、かといって、このままのダラダラとしたペースで続けていったら、今年いっぱいかけて
も終わらない。キリの良いところで、一端切らんといかんとも思うのだが、優柔不断、意志薄弱、と現状の流れを変えるのがめんどい。さて、どうしたもん
かなあ...............

            
            The Tisziji Munoz Quintet featuring John Medeski (keyboards), Don Pate (bass),
            Tony Falco (drums), Adam Benham (drums) and Tisziji Munoz (guitar) performed
            at The Sanctuary for Independent Media in Troy NY on Friday, June 1, 2012.

JAZZ-guitar 166
Tisziji Munoz

Category: guitar (第2期)  

Pierre Perchaud - Nicolas Moreaux - Jorge Rossy / Fox

  Pierre Perchaud (eg, ag and key - 1)
  Nicolas Moreaux (b)
  Jorge Rossy (ds)

  Recorded Feb. 17-18, 2015 at studio des Brueres, Poltiers
  JPCD816001 (Jazz&People) 2016

  01. Paloma
  02. And I Love Her
  03. Fox
  04. Vol de Nuit
                     05. Strange Animal
                     06. Moon Palace
                     07. Pour Henri
                     08. Whisperings
                     09. Ya-Ya
                     10. Paloma Sonando

若手から中堅といった世代(?)のフランス人ギタリスト Pierre Perchaud 参加の共同名義作。このギター・トリオという編成で彼を聴くのは初めてでも
あり、ちょっと楽しみにしていた一枚。
内容は、おなじみのビートルズ曲 M2以外は Perchaud曲6、 Rossy - Moreaux曲3とオリジナルで固めている。

曲は、あるコンセプトで統一したのかな? と思えるぐらい、比較的ゆったりめで、イメージ的にも近いものがあり、それぞれのテーマ部分のみ聴いていると
Jazz度は薄く、おそらくオーソドックスな形を好まれる方には、敬遠される要素が詰まったと、最初からで何だが、そんな印象すら抱く内容だ。
しかし、アドリブパートになると、速い展開から、NYコンテンポラリーを思わせるようなギターのキレキレのフレーズが飛び出してきたりの曲もあったりと
その表情の違いにはちょっと戸惑ってしまうようなところもある。
コード感覚のセンスや鮮やかなシングルトーンでのフレーズなど、またいたずらに無機的なフレーズに走ることもなく、豊かな歌心も備えているあたり、
このギタリストの長所じゃないだろうか。この歌わせ方などでは、フィンランドのギタリスト Teemu Viinikainen(テーム・ヴィーニカイネン?)を思い
出す。
ざっと、全体にそんな印象で、アドリブパートの速い展開に連動してつながるような、テーマ部分からガツンと決めてくれるようなまとめ方が、もっとあると
魅力も増したとも、聴く方としては勝手に思ったりもするのだが、アルバム全体で統一されたものも感じるし、何らかのコンセプト、考えもあったのでしょう。
そんな意味では、あんまり考えをめぐらし作り込んだ要素は少なく、感性の向くままの素のプレイも聴いてみたいギタリストだ。

M2など、決して悪くはないのだが、この解釈だったら、オリジナルのビートルズの方が心地良く聴けると思ってしまう。JazzギタリストPierre Perchaud
の演る “And I Love Her” を聴きたかった。
全体に Moreaux - Rossy の好サポートも光る。

             

JAZZ-guitar 165
Pierre Perchaud

Category: guitar (第2期)  

Preston - Glasgow - Lowe

 Preston-2.jpg

David Preston (g)
Kevin Glasgow (eb)
Laurie Lowe (ds)

Recorded and engineered by Adam Peters at Concrete Jungle Studios, April - Dec, 2014
WR4686 (Whirlwind) 2016

01. Colour Possesses
02. Elephant and Castle
03. Everything in Everything
04. The Priory
05. Song to the Citadel
06. C/>PU
07. Within You (part 1)
08. Within You (part 2)
09. Within You (part 3)
10. The Anvil

イギリスはロンドンを拠点として活動するギタートリオ “Preston - Glasgow - Lowe” のファーストアルバム。
内容もPreston曲 7、 Glasgow曲 3と全て彼らのオリジナルで固めた全10曲という野心も見えるデビュー作。

一聴したところ、Preston のギターには、浮遊感ある表現やらアルペジオ風の表現も取り入れるあたりはMonderも頭に浮かぶのだが、感性の持つ質
としては全く違い、無理に言えば、 Kurt Rosenwinkel → Nir Felder といった流れの感性に通じるものが見える。
今時の多くのギタリストらしく、備えたテクニックもかなりのハイスペック。今は、もうこれが当たり前になってしまっているんだね。

高い音楽性とそれを支える高い技術も感じる彼らの音楽、若手の初めて出会う感性でもあり、期待もしていたのだが、理屈はともかく、聴いて素直に、
そして単純に「大満足」という感じにはならなかった。
それは、もちろん自分の好みも多分に関係してるのだろうけれど、若手ギタートリオの作としてフラットな眼で見れば、まずまずの内容になっていると思う。
ただ、そこは評価するために聴いているわけでもなく、あくまで楽しみを求めてという立場なので、好み最優先そして自分の現在求めている音か否かという
あたりが判断基準になってしまうのは、いたしかたない。ダブルスタンダードというわけでもないが、大局的視野に立っての評価と自分の好みとは違う。

そんな初期印象を持ったのも全ては彼らの音楽の持つ質感、肌触りといったものが、自分の求めるその部分とのギャップ。
テクニカルな作風もあり、一見複雑そうなつくりだが、つきつめていくと明快で見通しの良さも感じられる彼らの音楽の持つ質感。この辺が、屈折感やら
ヒネリなどを求めてしまう悪癖がある自分には、さっぱり、あっさりしたものとして多少の物足りなさとして感じてしまうのか?
このトリオのスタイルは、ギターがワンマンで引っぱるという感じはなく、ebの Glasgow は、ベースとしての役割以外にもサイドギター的な役もこなし、
3者は同等で密接というほどでもないが、そこそこの絡みを見せながらの展開という基本形。
ROCK、POP........な味付けもしながらというよりは、これまで関わってきた音楽が自然な形となって現れた結果なのだろう。そういった形はともかくとして
Jazzのスピリットが薄めといったあたりのテイストが、大きく好みを分けるところかもしれない。この辺の印象は、ちょうど最近記事としたMMWが、多種
要素を音楽に取り入れ、形としては外れているにもかかわらず、内に濃厚なJazzスピリットが感じられる、その感覚とは大きく違うものがある。
ハイテクニックの持ち主にありがちな、技巧が目立って、音楽のジャマをしてるという感覚がわずかにつきまとうといったこともあるが、この辺のワザを
手段として表に出さないという感覚は、今後の経験から掴んでいくのでしょう。

こんなふうに書いてしまうと、極端に受け取ってしまうかもしれないので書いておきますが、基本、高いレベルにあるギタリストの、極微妙な部分の感覚、
それを受け手がどう受け取るかという、これまた微妙なところ。なのでその受け取りも、ハイレベルにあるギタリストだけに、多様なものがあるだろうし、
あって当然。

ただ、科学の世界と違い答えは1つではないし正解もない、この微妙なところをどう受け取るかというのが音楽なのかもしれない。本作では私的に、こんな
受け取りだったが、まだ若手で途上の感性、この微妙な部分を自身がどう感じていくのか、それによっては、基本がハイスペックだけに、大きな可能性
を秘めている。結局、自身がどう感じ、考え、必要があれば軌道修正していくかということになるのだが、その部分こそが才能、今後の明暗を大きく分ける
ことになるのかもしれない。自身の判断で、まさにどちらにでも転ぶという状況だ。いい判断をしてほしい、大いに期待したい。

             

JAZZ-guitar 164
Preston - Glasgow - Lowe

1
2
3
5
6
8
9
10
11
13
15
16
17
18
20
21
23
24
25
27
28
30
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