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前向きに Jazz!

日々進化し続けるJazzとともに歩んできた終わりのない旅

Sort byguitar (第2期)

Category: guitar (第2期)  

Marnix Busstra / Old School Band

  Marnix Busstra (g)
  Nobert Sollewijn Gelpke (b)
  Eric van de Bovenkamp (org)
  Mark Stoop (ds)

  Recorded 2017, Brooklyn Studio, Breukelen
  BM010 (Buzz) 2017

  1. Medium Rare
  2. Ten Euro Skunk
  3. No Solution
  4. Out of the Incrowd
  5. Little White Lie
  6. Too Hot Tub
  7. A Good Day
                           8. New Canals of the Emperors
                           9. F*cking speedbumps

過去に Mike Mainieri(vib) との共演作なども出していたことで、その個性的な名前もあり、何となく記憶していたオランダのギタリスト Marnix
Busstra のオルガン入りのリーダー作がリリースされたので、手を出してみた。
タイトルとなっている “Old School Band” は、Busstra とベースの Nobert Sollewijn Gelpk が、ハイスクール時代に同級生だったこともあり、
バンドを組んでいたこともあったようで、その辺からのネーミングらしい。

一通り聴いてみて、どうも気になり入り込めなかったのが、全体のサウンドと Marnix のギター。サウンドイメージは、ScofieldとMMWが絡んだ
ジャムバンドあたり、ギターエフェクトとチョーキングなどを含めたギターの歌わせ方は、Scofield を手本にしたとしか思えないほどのブレイ。
本作に限ったことなのかもしれず、他作を聴いてみないと何ともわからないが、Marnix のギターは、普段からこんなに Scofield もどきのプレイをし
てるのか? 技術面では特に気になるようなところも無いが、この「もどき」という部分が何かすごく気になってしまった。
こうして自分が音楽を聴く上で、自分の好みに大きく関係しているのが作者の感性の質、そしてその創り出したものに独自性があるのかといったオリ
ジナリティの面。そのあたりの質が満足されないと、道楽として楽しみにつながらないのだ。
最初に創り出す開拓者がいて、その成果に自分のアイデアを加えて、さらにそれを発展させていくフォロワーの出現、この流れの大事な部分は、ポイ
ントごとに関わる自身のアイデアという部分。これが無いと進化はストップするどころか、時代の流れの中で衰退へと向かう。

Marnix のScofield を手本にする、それをベースにするということ自体は、否定しない。そこに自身のアイデアをプラスして音楽を少しでも前に進め
たのかという部分がどうも見えてこない。この辺の受取、考えなど、全ては程度問題だが、私的には許容範囲をどうも越えてしまったレベルだ。
20年近く前のあの “A Go Go” から音楽は、一歩も前に進んでいない、その間に流れた時の分だけ、むしろ後退してしまっている。
オルガンも、このサウンドだったら、ちょっとだけでもダーティーな味とともに何か一工夫あった方がフィット感が増すと思うのだが....................。

JAZZ-guitar 193     
Marnix Busstra

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Category: guitar (第2期)  

2017年 今年出会った極私的この一枚

Gilles Coronado / Au Pire, Un Bien

 CORONADO-2.jpg

Gilles Coronado (g)
Matthieu Metzger (as, effects)
Antonin Rayon (Hammond B3, clavinet, bass keyboard)
Franck Vaillant (ds, electronic perc.)
Philippe Katerine (voice - 5)

Recorded in March 9-11, 2015 at Studios La Buissonne
RJAL397026 (LA Buissonne) 2015

1. La Traque
2. Des Bas Debits Des Eaux
3. La Fin Justifie Le Debut
4. La Commissure Des Levres
5. Au Pire, Un Bien
6. Wasted & Whirling
7. Presque Joyeuse      All compositions by Gilles Coronado

Antonin Rayon 関連聴きの流れの中で最近再チェックしたという一枚だが、マイナー盤だけに気づくのが遅れ、出会いは本年に入ってからだった。
未聴のフランスのギタリスト Gilles Coronado のリーダー作ながら、Antonin Rayon、Franck Vaillantという先鋭性もある2人の名前を発見し、
何かただならぬものも感じ、手を出してみたという本作だったが、内容的には、当初からかなりインパクトを感じていたことや、高品質ながら正当な扱いを
受けていない不遇のマイナー盤にスポットを当てるという当ブログのコンセプトにもふさわしい一枚ということで、もしかしたら年末のこのコーナーにUP
の可能性も感じていたという作ではあった。

現在、聴けるのは参加作のみという Antonin Rayon だが、他作に関しては、あくまで年上のリーダーの元での参加作という形のものが多く、本作に
関しては、情報不足ではっきりしたことはわからないものの、おそらく近い世代のメンバーと思われ、アルバム製作にあたっては、メンバーのアイデアなど
も結集してのこととも想像している。したがってそういう意味では個としての Rayon 本来の感性もより表面に出やすい環境とも考えており、数少ない
参加作のみという中で判断するしかないという現況で、ちょっと強引だが本来のそして今現在の Rayon が最も出ているのかとも考えている。

リーダーのギタリスト Gilles Coronado については、本作が初めての出会いとなったが、ギタリストとしての能力もさることながら、コンポジション面
での能力にも高いものを感じるところもあり、本作を本年のこのコーナーの一枚にしたのも、そのあたりが大きく作用したものとも考えている。
大きな空間とともに、何か物語の映像でもイメージさせられるような豊かな発想も感じられる、それぞれの楽曲にも、ほとばしるセンスが感じられ、ポリリ
ズミックなテイストも加味されたつくりも極めて緻密。ワイルドな攻めを見せつつも、どこかクールに制御する知的な奥の目、そして空間系の響きも垢抜け
したものが感じられるなど、ギタリストとしても独自性十分なものがあるのだが、単なるギタリストというよりも、音楽する上での広い視野を持っているとい
うあたりが Coronadoの持ち味であり、ギタープレイにも、そんな彼の広い視野が反映されているのが感じられる。

メンバーの質もいずれも高いものが感じられ、本作で初めて聴いたこの Matthieu Metzger のアルトの多彩なワザを適所で繰り出してくるプレイにも
惹かれるし、ポリリズム系も巧みに操る Franck Vaillant のドラミングも光る。
そして時には、近未来を思わせるようなソロも飛び出したりもするが、裏方として本作をベーシックな部分でしっかり支えている感もある Antonin Rayon
のシゴトも見逃せない。
そんな個性派個々の高能力をうまく引き出し、それを全7曲、統一感もある一つの作品として、巧みに編み込んだ Coronado の手腕は、やはり、本コーナ
ーにふさわしい一枚に仕上げている。

その他の Antonin Rayon 関連記事は → こちらから

JAZZ-guitar 192
Gilles Coronado
Category: guitar (第2期)  

Mike Moreno / 3 for 3

  Mike Moreno (g)
  Doug Weiss (b)
  Kendrick Scott (ds)

  Recorded September 22, 2016 at Systems Two Recording Studios, Brooklyn, N.Y.
  Criss1396 CD (Criss Cross) 2017

  1. The Big Push
  2. For Those Who Do
  3. You Must Believe in Spring
  4. Clube Da Esquina No.1
  5. April in Paris
  6. A Time for Love
  7. Perhaps
  8. Glass Eyes

Mike Moreno の古巣 Criss Cross からの新作。
Moreno のトリオでのプレイについては、CD、ライブも含めてこれまで聴いた記憶が無く、オリジナル無しという内容ながら、ダマシのきかないトリオ作
ということもあり、リリース前から強い関心も持っていた作ではあった。
今では、Moreno もギター界では、ビッグな存在になってしまい、そういう位置にいるギタリストとして語られることも多く、隙間商品を並べて細々とやっ
ているようなマイナー、極小の当ブログには、甚だふさわしくない華のある存在になってしまったということで、また、既に各所でしっかりとした Review
もUpされている状況、あえて当方の駄文記事をUPする予定もなかったのだが、ちょっと気になるジャケットのこともあったので、ここは、曲げて記事とし
ておきます。

旧知の中とも言える2人とトリオを組み、既成曲で固めていることで、ある程度、展開の予想もしてはいたのだが、音楽は思っていた以上にオーソドックスな
展開になっているというのが初期印象。
通常、コンポラ系ミュージシャンのこういったケースでは、後ろを向いた姿勢として、私的には、あまりいい印象も持たないことも多いのだが、音楽からは、そ
ういった負のテイストは感じられなく、一時原点に戻って、あるいは軽くリセットしてといった、あくまで先を見据えた上での本作といった位置づけのものと
して、前を向いた姿勢も感じとれること、そして形としてはオーソドックスながら、現代感覚により今の空気感に溢れたものとなっており、コンポラ系ギタリス
トの一作として高評価せざるを得まいという内容だ。

Moreno のギターは、本作の曲調に合わせたのか、以前より重みと太さも感じられるような気もするが、緩急取り混ぜての表現はさすがで、デリカシーに
富んだスロー、スピード感をもって突っ走るところは鮮やかな走りを見せ、単に勢いで行ってしまわず抑える意志も見えるなど、ギタリストとして一段熟成
されてきた感もある。アルバムとしても、変に片寄ったところもなく、動と静をバランス良く取り混ぜた仕上げになっているのは、リスナーとしては、ただただ
Moreno の鮮やかなギターワークに集中し、気持ち良く聴ける要素になっているのではないだろうか。

フラットな目線で見れば、全てがハイクォリティで、高評価の内容、現代Jazzギターのお手本とも言えるような完成度も感じられる本作だが、方や、ひたすら
楽しみのみを求めるJazz道楽者という目線で見れば全ての判断は単純に好き、嫌いの好みになってしまうのは、しかたない。そこで判断するならば、自分が
Moreno に求めていたものとは、ちょっとだけズレがあったかなというのが私的本作の偽らざる感想。

内容とは関係ないところだが、ジャケットにガッカリだ。近年のCrissCrossのジャケットには、同様のパターンのものも多いが、このアートワークのテイス
トは、同一担当者によるものだろう。ジャケットは、内容を正しく表したもの、あるいは内容に期待を持たせてくれるようなものなど、アートワークのコンセプ
トは、その時々により、考え方もいろいろとあると思うが、少なくともアルバム名義人のイメージを悪くしてしまうものであってはならないといのが鉄則。同じ
パターンで統一していくこと自体はアリだが、いかにも「アルバムジャケット用に写真撮りますよ」ってな感じて毎回同じように処理してるんで、顔の表情もそ
んな感じになってしまっている。ギターケース持たせたり、ベース構えたり...........多少の違いはあるが、基本的なワークの考え方は同じ、色調もコンポラ系
ミュージシャンには、なんだかなあという場違いなトーンだ。
コンテンポラリーギターシーンの重要な位置にいるハイスペックで知的なギタリスト Mike Moreno、そんなリスナーが抱いているイメージをぶち壊して
しまうように毎度同じパターン、色調で安易に作っているかのようなワーク、これでは、Moreno がちょっとかわいそうだ。

JAZZ-guitar 191
Mike Moreno

Category: guitar (第2期)  

Richard Bonnet / Warrior

Warrior2.jpg  Richard Bonnet (g)
  Tony Malaby (ts, ss)
  Antonin Rayon (Hammond organ)
  Tom Rainey (ds)

  Recorded on October 13th 2013  MARGE53 (2014)

  1. Quelque chose d’etrange
  2. Warrior
  3. Kala
  4. Coney Island Line
  5. Bonne resolution
  6. Word of Signs


先日聴いた “Claude Barthelemy/Roxinelle” をきっかけとして Antonin Rayon の過去参加作を引っぱり出しては、聴いているが、自分の変化も
あり、以前出会った時とはまた違った受取り、新たな発見などもあり、こうして時々、自分の通り過ぎてきた道の再チェックも必要ありなどとも感じている。
さて本作、フリー系のフランスのギタリスト Richard Bonnet のリーダー作だが、私的には、高関心度のメンバーばかりということで、重い意味もある作
だった。リーダーの Bonnet と Malaby については、本作以前にも共演歴はあり、アルバムとしてもデュオ作(Haptein 2012)を残しており、その辺の
流れが本作に繋がったというところでしょうか。
この Malaby とは、過去度々共演もあり旧知の仲とも言える Tom Rainey がds担当。
そしてオルガンには、フリー系との共演も多いフランスの Antonin Rayon という曲者ぞろいの布陣、平穏無事におさまるわけがないという米仏混合、
異色・異能の面々になっている。

冒頭1曲目、オルガンが静かに滑り出し、その不穏感もある響きをバックにts、そしてgも入りテーマらしきものが、ぼんやりと見えてきたところで次に
ts → g → org とソロになっていくのだが、いずれもその自由度の高い中でのプレイは、それぞれの持ち味も引き出されており魅力十分、Malabyの
しなやかな柔らかさと強さを併せ持つ木質のテナー、危険なエキスを振りまき、場の空気感にテンションをもたらす Bonnet のギター、多彩なイメージ
を噴き出しては、瞬間の場面をつくり出していく Rayon のオルガン、シーンのキープとともに、息をのむタイミングでのアタックにより、それぞれの
アイデアのきっかけをつくる Rainey のドラムス。
特に前半3曲は、息もつけない程の張りつめた緊迫感溢れた展開が続く。

リーダーの Bonnet には、プレイスタイル、音使い、そして感性の質など、Marc Ducret 直系と言ってもいいほど、その濃い影も見える。同じフランス
ということで何らかの接点もあったことは間違いないだろう。
技術面、アイデア、瞬時の対応力.........など、Malaby 相手に対等にやれるハイスペックのギタリストとも感じてはいるのだが、今後は、この Ducret の
引力圏からどれだけ外れて、独自の世界を創り出せるのか、そういうステップにいると思う。
リーダー作も少なく、本作のような通常編成のものも少ないということで、その点ではモロ好みのギタリストながら、なかなかつき合うのにも難しさが
あるギタリストだが、底知れぬポテンシャルも感じているのも事実で、今後が非常に楽しみなギタリストだ。

リーダー作が無く、参加作でしか聴いたことがないというオルガンの Antonin Rayonだが、バックでの環境づくり、そしてソロにと本作での貢献度は
高いものがある。特にイメージを創り出すという部分で、オルガンの機能を巧みに利用した多彩なプレイは、本作に豊かな場面を提供しており、オルガン
の新しい可能性も感じさせてくれる。こういったエリアで活きる、そして次代の感性を持った数少ないオルガニストだけに、自身のさらなる開発のためにも、
その活動範囲を欧州に限ることなく、米国系の先端の感性とどんどん絡んでほしい。あらためて聴き、こうした独創性に富んだ貴重な感性が、広く知られて
いないという現状が実にもったいないとつくづく感じている。

過去にもBen MonderやらMarc Ducretなどとの共演を通し、Malabyの自分の好みとする部分が出やすいという点で、ギターという楽器との相性
の良さも感じていたところもあるのだが、本作もしかり、音楽の質感は妖しさとともに不穏な空気も流れ、いい感じに仕上がっている。加えてオルガンが
加わったことで、そのコードプレイによる場の空気感、シーンのイメージなどもより明確に打ち出され、Malaby サイドに立ってみても、何か今までと
は違ったものも期待させられる編成だし、Rayon のオルガンは、Malaby の音楽感ともフィットしている。

            Richard Bonnet quartet "Warrior" at Reims Jazz Festival 14/11/14
            Richard (the legs) Bonnet / guitar
            Régis Huby / violin
            Antonin Rayon / Hammond organ
            Sylvain Darrifourcq / Drums

            

            

            ラフ、ダーティーで荒々しさもあるが、同時にデリケートに空間を創り出すキメ細やかな感性も持つこのギターは、
            Ducret の血を引いてるね!

JAZZ-guitar 190
Richard Bonnet
Category: guitar (第2期)  

Claude Barthelemy / Roxinelle

 Roxinelle-2.jpg

Claude Barthelemy (g, oud) Antonin Rayon (org) Philippe Cleizes (ds) Sylvaine Helary (fl, alto fl)

Recorded December 2015
Maxiphone (2016)

1. La Pensee
2. Spring Beat
3. Spring Break
4. Eric Watson
5. Merle Adore
6. Princess Luce
7. Alexandria
8. La Nomenklatura
9. Flamentokyo

私的重要作ながら、迂闊にもそのリリースを見落としてしまい、最近になってやっと気づき、あわててゲットしたという一作。
フランスの強変態性ギタリスト Claude Bartheremy(B1956) にオルガニストでは、数少ない貴重なフリー系の使い手 Antonin Rayon(B1976)
参加のトリオを中心に曲によりゲストにフルートが入るという作だが、何もなく平穏に終わるわけがないというメンバーだけに、テンションもMAX。
この Claude Bartheremy などは、以前からオルガンの絡んだ作 (過去、一度だけEmmanuel Bexとの共演作 “3”がある) の出現を頭の中では、
期待し、待ち望んでもいたのだが、こういった特殊、先端の感性に対応できるオルガニストも少なく、また本人の音楽的方向性もあり、なかなか実現する
こともなかったのだが、フリー系との絡みも多い Antonin Rayon 参加のギター・オルガントリオ作がまさかのリリース済みだったとは、やっちまった!
チェックはマメにしていたつもりだったが、既に1年以上も過ぎていたとは、焼きが回ったようだ。

さて中身の方だが、やはり個性派らしいものとなっており、プロローグやエピローグそしてその間にと、中東やらオリエンタルなイメージも想起されるよう
なoudを使ったと思われる短い曲が仕込んであり、本題と思われる、これまたバラエティに富んだ数曲が配置されたつくりとなっている。
その冒頭のoudの調べの次のM2はギンギンのロックで Barthelemy らしく、ヒートするとアブない人と化す性癖もちらつかせながらのプレイは、
さすがにこれで全て攻められたらJazzファンにはキツイだろうというアウトした曲で、最初にこういうのを咬ましてくる手口も何とも彼らしい。
他曲も個性派らしい展開を見せており
M4 ミディアムハイの4ビート曲、orgをバックにgの変態フレーズも顔を出す。
M5 スローなgテーマからスタート、orgソロも入り、次第に3者入り乱れてヒートしていくカオス。
M6 dsソロからスタート、途中、爆発音らしき音が単発的に入り、ワンコードで刻むorgのベースラインが加わっていきながらのリズムがカッコいい。
M8 若干のハードボイルド感もあるミディアムの4ビート曲、ストレートな展開だが、平凡にしない個性派らしさ。
ざっと、こんな感じの曲が並ぶが、全編に渡り感ずるのは、やはり他の誰でもない彼でしかないギターであり音楽となっていること。やはりオリジナリティ
という部分は大事にしたい、プロとして不可欠の条件だ。彼の持ち味でもあるスピード感ある変態プレイも健在。
そんな Bartheremy だが、大学では数学専攻、その後にフランス国営オーケストラ ONJ の音楽監督も務めるというキャリアとアブノーマルなものも
漂わせるギタリストとしての顔とのギャップに変質性らしきものもイメージさせられ、何とも彼らしいとも思えるのだ。
ちなみに、その ONJ の歴代監督では、最も評判も高く、最近また復帰したとのうわさも聞いている。若い頃のトンガリ感も、やや丸くなった印象もあるが、
なかなかの才人である。

オルガニストとしての Antonin Rayon を初めて知ったのは、このブログを始める以前の参加作 (ピアニストとしては、その後のいくつかの Marc
Ducret作
への参加で出会う) だったが、貴重な才能の持ち主ながら、未だにリーダー作を出していないというのが不思議でもあり、残念でならない。
やはり、自分の色を全面に出したリーダー作を、ぜひとも聴いてみたいオルガニストだ。米国コンテンポラリー系のスタンダードな存在 Goldings,
Yahel, Versace..........などとは、異質の感性でもあり、その立ち位置としても、先端寄りで、フリーもいけるというトンガリ感もある感性は、オルガニスト
としては貴重な存在でもあり、さらに自身の感性の開拓を進めるためにも、欧州に限ることなく、米国系の先端の感性と、どんどん絡んでほしい才能でもある。
この機会に過去参加作もあらためてチェックしてみたい。

            
            Claude Barthelemy (g, oud) Antonin Rayon (org) Philippe Cleizes (ds)

JAZZ-guitar 189
Claude Barthelemy

Category: guitar (第2期)  

Jeff Parker Trio / Bright Light in Winter

  Jeff Parker (eg, Korg MS-20)
  Chris Lopes (ab, flute, Korg MS-20)
  Chad Taylor (ds)

  Recorded November 14 - 16, 2011, Riverside Studio, Chicago
  DE2015 (Delmark) 2012

  1. Mainz
  2. Swept Out to Sea
  3. Change
  4. Freakdelic
  5. The Morning of the 5th
                      6. Occidental Tourist
                      7. Bright Light Black Site
                      8. Istevan
                      9. Good Days

ポストロック系からフリー寄りのJazzまで、幅広い活動も続けるギタリストの Jeff Parker(B1967) は、長年いた活動拠点をシカゴから近年、LA
の方に移したらしい。ギタリストとしての彼には、関心もあったので、機会があれば、まずは聴いてみようと思いつつ、のびのびになってしまっていた。
そこで、ダマシのきかないトリオ作ということもあり、とりあえずチョイスしてみた本作だったが................
dsの Chad Taylor は、以前 Angelica Sanchez をピアニストで迎えたトリオ作 “Circle Down” で記事歴もあるのだが、他2名は今回が初。

全てメンバーのオリジナルとなる全9曲だが、一聴してみれば、いろんな要素が詰まっていて、一言では言えないようなものがある。
雑多なものが集まった感じだが、それでも一枚のアルバムとして、散漫さは無く、全9曲音楽は、一つの方向性も感じられ統一感もあるものとなっており、
一貫して感じられるユルめでクールなビート感に身を委ねていると、一種のアンビエントミュージックといった趣きもあり、あえてそうしたともとれる
強い主張の無いところが、通し聴きすれば、BGMとしてもいけるといったテイストさえある。この「強い主張の無い」ところが強い主張なのかな、とも
受け取れる。ギタープレイにおいても、たどたどしく感じるところもあるのだが、それもあえてのプレイなのか.............読めない。

予備知識も極力入れず初めての顔合わせとなった Jeff Parker だったが、そんなことで、何かつかみどころの無い、実体のはっきりしないモヤモヤ感
みたいなものが残りつつ、同時に漠然ながら何か目指しているものの大きなものも感じられる。それが何かはわからないが、同時に音楽には、垣根の
無い自由、開放感、広がり...........みたいな空気感もある。ただ、それは現在、自分が音楽に求めているものでもないのだが.............心地良いというほど
の前向きなものでもないのだが、少なくとも不快といった負の感覚は無い。

過大評価になるのかもしれないが、何か見えない部分、読めない部分に何か大きなものがあるとも感じられるギタリスト、本作で聴く限り、感性の質と
しては、自分が求める方向とは、逆に向いているようなところもあり、決して心惹かれるというタイプでもなさそうだが、その見えてない部分によっては、
どうなるかわからない。 引き続き要調査ということで、他作にも手を出してみたい。

JAZZ-guitar 188
Jeff Parker

Category: guitar (第2期)  

Wilfried Wilde / Oscilenscope

 oscilenscope-2.jpg

Wilfried Wilde (g)
Charley Rose (as)
Xan Campos (p)
Damian Cabaud (b)
Lago Fernandez (ds)

Recorded at Cangas Auditorium, Spain, July 27 & 28, 2015
FSNT526 (2017)

1. Feeling Droiden
2. Nerve Vibrations
3. Nasty Introduction
4. Nasty Meditation
5. La Valse a Huit Temps
6. La Houle
7. Ordering
8. Le Cri de I’Oiseau
9. Lynel All music composed and arranged by Wilfried Wilde

今回、初聴きとなるスペイン出身のギタリスト Wilfried Wilde の新作。
メンバー全員、未聴ながら、ジャケットの雰囲気、曲目などから求めるコンテンポラリー系のギタリストとの予測でゲット。
一聴して、大きく見るならば、現在の若手コンテンポラリー系ギタリストに多い Rosenwinkel から派生した流れの真っただ中にいるギタリストと
いうことで、その点では、初対面の若手ギタリストとしては、極平均的な今時のギタリストといった印象も持つのだが......................。
10年程前と比べると、この流れが全く普通になってしまっているということに時の流れを感じるね。

さて、内容の方は全曲、自身の手によるオリジナルとなっており、緻密さも感じられるつくりとともにアンサンブルもキレイな仕上がりを見せている。
この Wilde のハデな太刀回りを嫌うかのような地味さには、Rale Micic あたりも思い出してしまうのだが、現在のコンポラギターシーンの流れ
の中での立ち位置なども、流れの先端寄りで、その流れの方向にも大きく関わっていくといった感性ではないという点で、共通するものもあるように
思う。と、こんな書き方をしてしまうと、地味でつまらないとも思われてしまうが、そんなことはない。繊細な感性であるが故の一見地味に感じられる
ことは、インパクトもある見せ場を持たない地味さとは、根本的に違う。繊細なタイプにありがちな、言ってみれば、狭めた表現のレンジの中で
全てをハーフトーンで表現してしまう、それができてしまう繊細さみたいなものなのかもしれない。
ただ、これは広く一般に理解されにくい。表現のレンジを目一杯広げ、ダイナミックな表現ができれば、それだけ多くの人の心も動かせるというもの
だろう。聴いていると、何かそんなことも思わされてしまう繊細さも備えたギタリストとの印象も持つ。

そんなことで、全体的に強いインパクトに欠ける、ストロングポイントが見つからないといったところは、一般的な見方をしてしまえば、否定できない
ところでもあるのだが、それは本作においてということで、他作も聴いてみないと何ともわからないことでもあるが、ギタリストとしての個を全面に
押し出すよりもトータルな音楽に重きを置いた本作における彼の姿勢も多分に関係しているとも思える。また、それは全ての面ではないが、繊細な
感性であるが故の裏返しといったこととも言え、そこの開発によっては、逆にそこがストロングポイントにもなりうる、そんな未開発領域の存在も
多分に感じられる若い感性だが、個性として感じられるのが、随所に感じられる「哀愁」の響き。これは、米国系のギターには、あまり感じられない
ものだ。伝統的に優れたギタリストも多い欧州は、スペインという血の成せる技なのか?
その辺の受取りは自分だけなのかもしれないが、M6 “La Houle”やM7 “Orderling”などに、このギタリストの個性が見える。特にas抜きで
ギタリストとしての姿も見えるクァルテットによる M7 での漂う哀愁には、スペインだからこそのギターの響きとも感じるのだが.......................。

内容はともかくとして、未聴の感性に触れることは、何が飛び出すかわからないという、期待感も高まり楽しみも増すというものだ。やはり自分には
博打買いが性に合っているようだ。

JAZZ-guitar 187
Wilfried Wilde

Category: guitar (第2期)  

Pierre Perchaud / Waterfalls

  Pierre Perchaud (g)
  Chris Cheek (sax)
  Nicolas Moreaux (b)
  Seergio Krakowski (pandero)
  Andre Charlier (perc)

  GR1309 (Gemini) 2012

  1. Kora
  2. Le Paradisier
  3. Montreal
  4. Une Apres Midi
                      5. Because
                      6. No Moon at All
                      7. Le Vieux Piano Et La Lampe
                      8. Waterfalls

フランスのギタリスト Pierre Perchaud の Chris Cheek の参加も魅力だった2012年作。
基本は、ドラムレスのトリオで、曲により軽くパーカッション系のものが入るという内容。

メンバーから、コンポラ色の強いテイストの音楽を期待していたのだが、ふたを開けてみれば意外とオーソドックス、ストレートな展開となっている。
しかも、苦手としている、ちょっぴりフォーキーなテイストも一味加わったりして、ちょっと微妙だね。
これほど、全編ノーマル、オーソドックスに、そして何かノスタルジックとでも言ったらいいのか、ひと時代さかのぼったようなテイストで通す Cheek
に出会ったのも、あまり記憶がないのだが、音楽としての内容は決して悪くない。この辺は、あくまでリーダーである Perchaud の求めた質感であろ
うとは思うのだが、後は、聴き手である自分の感性の好みにフィットするかといったところだが、私的には、このノスタルジックでセピアカラーもイメー
ジさせる沈んだ質感とフォーキーな、ある意味、淡いグリーンの陽の光もイメージさせるようなテイストとのフィット感の悪さも感じてしまい、なかなか
楽しませてもらえない。

Perchaud のギターは、アルバム全体に通じる曲調もあり、曲によりアコギ使用、エフェクトもあまり使わず、ノーマルな音使いで通しており、アルペジオ
も多用するなど、しっとりとしたものが目立つのだが、コード感覚やシングルトーンでのソロにおける音の選択などには、このギタリスト特有のセンスも
感じられる。

ただ、ある方向に片寄ってしまったテイストと思える内容が、好みを分けるのではないだろうか。この片寄ったと受け取るのか、あるいは、統一されたと
受け取るのか、その辺が分かれ目なのだろう。私的には、やっぱり、ちょっと好みを外したかなといった感覚が最後までつきまとい、唯一他とは違い、
普通にJazzな曲調で仕上げたスタンダードの M6 “No Moon at All” に一番親しみを感じるという皮肉な結果となった。

Chris Cheek のテナーに Nicolas Moreaux のベースという私的関心度の高いスタッフを従えての Pierre Perchaud のリーダー作ということで、
それなりに期待もあったのだが、私的には、クラシカル、フォーキー、カントリーといったテイストをJazzに絡めるのは、せっかくのJazzを不味くしてしま
うことに他ならないという、これまでの過去の私的流れを覆すには至らなかった。言ってみれば、アボガドと絡んだ鮨を良しとするか否か.........あくまで
内容の良し悪しではなく、好みの問題ということで、悪しからず。

        

JAZZ-guitar 186
Pierre Perchaud

Category: guitar (第2期)  

John Abercrombie / Wait Till You See Her

WaitTillYou-1.jpg WaitTillYou-2.jpg

John Abercrombie (guitar)
Mark Feldman (violin)
Thomas Morgan (double-bass)
Joey Baron (drums)

Recorded December 2008 Avatar Studios, New York (Eng.:James Farber)
ECM 2102 (2009)

01. Sad Song
02. Line-Up
03. Wait Till You See Her
04. Trio
05. I've Overlooked Before
06. Anniversary Waltz
07. Out of Towner
08. Chic of Araby           
All music by John Abercrombie except Wait Till You See Her by Richard Rogers/Lorenz Hart

一枚じゃあ、おさまりがつかなくなっちまった.................もう一枚いっときます。

Abercrombieにとっては、今世紀初めのMark Feldmanとの出会いから始まったこのクァルテットですが、本作では、それまでのMarc Johnsonの
ベースに替わり若手のThomas Morganになっての4作目となる。
内容も、アルバムタイトル曲の "Wait Till You See Her" を除いて全てAbercrombieのオリジナル、そのコンセプトに共鳴し、4人の静寂な中にも
緊密で緊張感が持続しながらのインタープレイが繰り広げられる。

極めて現代的でクールな装いながらも温もりある歌心を忘れてないAbercrombieの柔らかくセンシティブなギター・ワークが緩やかな流れを創り
だしている。それに寄り添うように流れに淡い彩りを添えていくFeldmanのヴァイオリンもそれに輪をかけたように極めてセンシティブでもあり、
Morganも加わり3者3様の弦の響きが、絡みあい創り出された音世界は独自の世界観をつくりだしている。
このフォーマットでの活動も長く、新しい一つの形を創った感もあるが、ベースがMarc Johnsonから若手のThomas Morganに替わり、新しい変化
のきざしも見えるのだが........................

今回、こんなことになっちまい、他に Copland とのデュオ曲 “Blue in Green” も聴いたのだが、何とも沁みる泣きの一曲となっちまった。
こういうデリカシーに富んだ語り口のできるギタリストも、もうなかなか出てこないんじゃないかなあ................................さらば、アバ爺!

その他の John Abercrombie(1944.12.16〜2017.8.22) 関連作は → こちらから

JAZZ-guittar 185
John Abercrombie
Category: guitar (第2期)  

John Abercrombie / The Third Quartet

ThirdQ-1.jpg ThirdQ-2.jpg

John Abercrombie (eg, ag)
Marc Feldman (violin)
Marc Johnson (b)
Joey Baron (ds)

Recorded June 2006 at Avatar Studios, New York
Engineer:James A. Farber
ECM 1993 (2007)

01. Banshee
02. Number 9
03. Vingt Six
04. Wishing Six
05. Bred
06. Tres
07. Round Trip
08. Epilogue
09. Elvin
10. Fine

ちょっと危なっかしいところもあり、だいじょぶかなあなどと度々思うところもあったこの頃、やっぱり逝ってしまった。
ここは、何か聴かにゃあ、おさまりがつかんだろうなあ...........ということで、振り返りつつ一枚。

ECMにおいて'02年の "Cat'n' Mouse" から始まったこのメンバーでの作品も間に "Class Trip"('04年)を挟んで本作が3作目となり、次作の
"Wait Till You See Her"('09年)では、ベースがMarc Johnsonから若手のThomas Morganに代わるという本シリーズである。

Orneette Colemanの M07"Round Trip", Bill Evansの M08"Epilogue" 以外は全てAbercrombieのオリジナルとなる全10曲という内容となって
おり、音楽の基本的方向性は、初作から変わっておらず、一貫した姿勢で通してきている感もあるのだが、音楽は初作を "動" とするならば、しだいに
"静" の要素を強めてきているとの印象もある。しかし、音楽は、表面上の "静" とは反し、やはり回を重ねた成果であろうか、阿吽の呼吸もあり、より
緊密な絡みもある、静かな中にも緊張感が持続するものとなっている。
空間を漂うAbercrombieのギターとFeldmanのヴァイオリンが寄り添いながら、そして時に絡み合いながら紡ぎ出す世界は、小さなジャンルという
枠にとらわれない彼ら独自の新しい世界を創り出してきており、地道に積み上げてきたこの成果は評価すべきではないだろうか。

60超えの当時、なお旺盛な創り出す心を維持するどころか推進させている感もある Abercrombie がうれしい、.....................そして惜しい。

その他の John Abercrombie(1944.12.16〜2017.8.22) 関連作は → こちらから

JAZZ-guitar 184
John Abercrombie
Category: guitar (第2期)  

Gene Segal / Matter

  Gene Segal (g)
  Jon Irabagon (ts)
  Sam Sadigursky (cl, bc)
  Sean Conly (b)
  Jameo Brown (ds)

  Recorded December 3, 2014
  SCCD33121 (SteepleChase) 2015

  1. Faint Memories of Home
  2. Ordinary Matter
  3. Mood
                      4. Vortex
                      5. Patiently
                      6. Waiting
                      7. Strange Matter
                      8. Morph
                      9. Sun King

ロシア出身、幼少期に米国移住というギタリスト Gene Segal の2015年作。
前作 “Mental Image” とは、同じメンバーながら Irabagon は、asからtsに、そしてtsとcl系を担当していた Sadigursky は、cl系に専念するといった
楽器担当に変更がある。

g と cl のテーマから始まる冒頭曲、中東を思わせるようなライン、そして一瞬だが、あのジャンゴ・ラインハルトを思い出させるような響きも交えての
Segal のギターソロがなかなか良い。いきなり本作中の魅力の一曲が飛び出してしまった感じだが、コンテンポラリー系ギタリストの中心として
Metheny やら Rosenwinkel あたりを通過してきたといった感性のギタリストに関心が集まる中、こういったそれ系とは、異質の個性ある感性は、
貴重な存在だ。
シングルトーンで押しまくるだけのギタリストではない。コードプレイも多用しつつ、時には浮遊感ある表現、そして時にはエフェクトも加えてワイルドに攻める
M8 “Morph” など、加えて曲調もバラエティに富むなど、多彩なものがある。一瞬だが、Scofield を感じる響きには、通り過ぎてきた過去もイメージされる。
細かくチェックしていけば、もちろんそれなりの個性も感じられる多くのコンテンポラリーギタリストだが、一歩引いて大きな目で見れば、大同小異と
いう感じもなくはないという中で、そんな大きなメインの流れとは、どこか異質という感性は、生まれという血の部分も関係しているかは、わからないが、
やっぱり魅力だ。個性派として、大事にキープしておきたい存在だ。うまく伸びていってほしいね。

Irabagon と Sadigursky も良好だが、本作では、cl系に専念したSadigurskyの存在感が目立つ。
Conly - Brown のリズムセクションも良し、今後もリリースがあるかは、わからないが、次作も聴いてみたくなるユニットだ。

JAZZ-guitar 183
Gene Segal
Category: guitar (第2期)  

Nigel Price / Hit The Road

  Nigel Price (g)
  Pete Whitaker (org)
  Matt Home (ds)
  Vasilis Xenopoulos (ts - 9)

  Recorded in London in February of 2013.
  33JAZZ241 (2014)

  1. Hit The Road
  2. Up Jumped Spring
  3. Chelsea Bridge
  4. Lover Man
                      5. Dreamsville
                      6. Go!
                      7. Detour Ahead
                      8. Bizzy Bee
                      9. Hot Seat (Chas’s Chair)

Nigel Priceは、英国の British Jazz Awards でベスト・ギタリストに選出されていたことなどもあり、名前だけは記憶していたのだが、おそらく今、自分
が求めている方向性のギタリストではないとの推測もあり聴いたことはなかった。が、未聴のオルガニストが入っていたこともあり、2人同時にチェック
もでき、知るには、ちょうど良い機会ということで手を出してみた。
毎度のことだが、この知らない人の音を聴くというパターンが、楽しみとなっている。なので、何が飛び出すかわからないという期待感が薄れるということ
もあり、試聴しての購入はしない。博打買いを原則としている。ハズレも多いが、それを含めての楽しみと考えている。

Price のオリジナルは4曲、他の曲目の状況などから予想していた通りのストレートに押しまくる見事なほどの王道系ギターだ。
このパターンだと、何か新しい発見という点では、期待薄になってしまうのはやむを得ないのだが、あとはいかにノリ良く、気持ち良く楽しませてくれるの
かといったあたりがポイントになる。
Price のギターは、ベストギタリスト選出歴もあるだけに、なかなか巧みだ。細かなピッキングも寸分の狂いもない。バラード系の曲になってもダレないし、
ブルージーに良く歌っている。元をたどれば Wes あたりにたどりつくといった感性なのかな、間に挟んでくるオクターブもそんな感じだし。
かつて、自分も通ってきた道だが、巡り巡って今、自分が求めている方向は違うものになってしまい、積極的にこの伝統に回帰するということもないのだが、
それは決して伝統を軽視しているというわけでもなく、表面には出てこなくても奥の方にしまい込んでいるような感覚は自覚しているし、さらに前の時代に
のめり込んでいたブルースの感覚はすっかり奥の奥まで染み込んじまって、何をもってしても洗い落とすことは不可という感じだ。
この染みついた特にブルースの感覚が、後のいろいろなJazzとの出会いの中で、当初は、白人系ミュージシャンの感性に拒否反応を出したりの悪さを
はたらくことになるのだが、逆に白人系ミュージシャンの音に関心を持ち始めると、その奥に潜んでいるブルースの感覚が邪魔になり、排除しようとする
心の葛藤があったりと、まあ厄介な代物だ。振り返ってみればJazzに入ってからの10年、15年は、そんな葛藤の繰り返しだったように思う。
まあ、その辺は話が長くなってしまうので、やめときますが、かつてよく聴いていた王道のJazzも、今は自分が求める方向性もだいぶ変わってしまい、聴く
機会も極端に減ってしまっては、いるのだが、それでも聴くことはあるし、強く反応するものもある。ただ、この反応するもの、しないものの違いは何なの
か、自分でもことばでは、うまく説明できないような部分だ。
本作の内容も、あまり書ける要素が無いといった内容ということもあり、話をヘンな方に引っ張ってしまったが、Price のギターは、技術面では何の不満も
無いのだが、音楽には反応できなかった。今回初となるオルガンの Pete Whitaker も同じような印象を持った。ただ、Whitaker については、あくまで
ギタリスト Nigel Price の音楽の中でのプレイなので、これが彼本来の感性であるのかはわからない。
本作も、仮に20年前、30年前に出会ったとしたら、その受取も全く違ったものだったと思うが、自分の感性も多くの新種の感性との出会いから、時の流れ
とともに変化してきており、それが生きるということだろう。

本作も、今現在の自分の求める方向性とは違うが、そこを離れてフラットな目で見れば、Jazzの王道を行くギター・オルガントリオとしては、上質の一枚に
なっているのではないだろうか。

JAZZ-guitar 182
Nigel Price

Category: guitar (第2期)  

Jacopo Ferrazza / Rebirth

  Jacopo Ferrazza (b)
  Stefano Carbonelli (g)
  Valerlo Vantaggio (ds)

  Recorded and mixed in Cavalicco (UD) on 4,5,6 April 2016 at Artesuono Recording Studio
  CAMJ3318-2 (CamJazz) 2017

  1. Indigo Generation
  2. Blind Painter
  3. Living The Bridge
  4. After Wien
                       5. Notturno
                       6. Pirandello Madness
                       7. Lovers in the Gravity
                       8. Il Teatro Del Rami
                       9. Rebirth        
                       All music composed by Jacopo Ferrazza except track 6(by Stefano Carbonelli)

イタリア出身の若手ベーシスト Jacopo Ferrazza(B1989)のリーダー作だが、2016年デビュー作”Ravens Like Desks”で記事歴のある同じイタリア
の物理学の博士号を持つという異色のギタリスト Stefano Carbonelli(B1991)の参加もあり、その後の彼の状況も知りたく手を出してみた。
ということでカテゴリー “guitar” の記事としておきます。

そのデビュー作では、それほど強く感じなかったクラシックのテイスト(感性面というよりも技術面で)が、Carbonelli のギターからは感じられる。
基礎としてクラシックギターをみっちりやってきた過去も伺え、私的にJazzを不味くする要素としてクラシックやフォーク、カントリーの匂いを好み外と
している当方には負の要素にもなるのだが、年令的には録音時で25才という若さ、この辺は、今後のいろいろな出会いや活動を通して変化していくのだろう。
このぐらいの年令のギタリストには、こちらも完成度などは求めていない。基本に魅力ある感性を持っていることは、もちろんだが、要は強い前進意欲と
その先に可能性がどれだけ感じられるかといったあたり。
デビュー作では、この世界では少数派のFender ストラトを使って多少のラフさも気にしないのびのびしたプレイもしていたが、本作では、曲によりアコギ
も使い、アルペジオもあったりのしっとりした場面もあったりと、音楽のテイストは、イメージしていたものとは、だいぶ違うものになっているのだが、
このあたりは、本人の意志というよりは、参加作でもあり、リーダーの音楽に合わせたということなのかもしれない。
そんな感じで、音楽としては、自分がJazzに求めるテイストとは、ちょっと違った世界観もあるもので、いまいちテンションも上がらないのだが、フラット
な目で見るならば、めまぐるしい流れの変化の中で、リーダーの Ferrazza のベースそして Vantaggio のドラムスの多彩なワザも飛び出し、なかなか
高品質の音楽となっているのではないだろうか。
が、道楽でつき合ってる自分としては、己の好みこそがすべての判断基準になってしまうのは、いたしかたない。
やはり、参加作ではなく、自身作のその音楽の中であらためて聴いてみたいギタリストと感じた。本作は参考作と考えておくことにしよう。

ラストのタイトル曲 M9”Rebirth” のエンディングでは、クレジットにないピアノも入るが、音大ではベースとともにピアノも専攻していたというリーダー
Ferrazza がやっているのか?

JAZZ-guitar 181
Jacopo Ferrazza

Category: guitar (第2期)  

Gene Segal / Mental Images

  Gene Segal (g)
  Jon Irabagon (as)
  Sam Sadigursky (ts, ss, cl, bc)
  Sean Conly (b)
  Jameo Brown (ds)

  Recorded September 3, 2013
  SCCD33114 (SteepleChase) 2014

  1. Healing Feeling
  2. Allegory of The Cave
  3. Minds Eye
                      4. Irratinal Drives
                      5. The Bearded Lady
                      6. Trapeze Act
                      7. The Ringmaster
                      8. Elephants

先日、ロシア出身、幼少期に米国移住というギタリスト Gene Segal の新作 “Spiral” を記事としたこともあり、ちょっと前の作だが、ちょっと違った
テイストのギターだった印象もあったので、あらためて聴き直してみた。

本作当時は未聴のギタリストとして初めて聴いた Gene Segal だったが、John Irabagon 参加もあり、おおよそ自分が求める方向のコンテンポラリ
ー系奏者であろうといった予想もあり、手を出した本作だった。
全8曲 Segal のオリジナル、非4ビート主体の内容となっている。

新作では、Brian Charette のオルガンを入れて、奥に秘めたブルースフィーリングものぞかせたり、ファンキーなタッチも見せていた Segal だが、
本作では、コンテンポラリーの本道寄りのテイストを見せており、前述の彼の新作にも、そんな方向性の中で Brian Charette のオルガンがクロス
して、いったいどんな形になるのかといったあたりに期待感もあったのだが、オルガン入りで、素直にファンク路線寄りの結果に、内容的には、決して
まずくはないものの、オルガンを入れればこういう形という、その普通過ぎる回答にやや不満も感じていた。

そんなこともあり、あらためて聴いた本作だが、私的には、やはり、こちらの Segal の方が好みだ。新作でのファンキーに攻める Segal よりも、このやや
ダークな空気を振りまきながら、コンテンポラリーの本道寄りを行くこの方向性の先に可能性というほど、はっきりしたものでもないが、より選択肢が
広がっているようにも思える。うまい言葉が見つからないが、何か変化していける余地といったものが感じられるのだ。
繊細できめ細やかなというタイプではない、むしろそれとは逆のラフで荒々しさも時々感じさせるといったあたりが、Segal の持ち味でもあり個性と
いうことになるのだろうか。そして、やはりその辺は、ロシア出身という血の部分が多分に関係しているのか、微妙に米国系のギタリストとは、違うもの
も感じられ、その辺が、我々リスナーにとっては、新鮮に受け取れる要素としてプラスに作用しているといったこともあるのかもしれない。
若手コンポラ系に多い Metheny やら Rosenwinkel あたりを通過してきたといった感性でもないし.......................もっともこの男、情報不足もあり、
はっきりわからないのだが、見た目は、ややオッサンも入り、もしかしたら、そのあたりを通過してきたという年令でもないのかもしれないが...............?

本作ではアルトを担当している Irabagon がなかなか良い。特にベースソロから入り、ややフリーっぽい流れになっていくM4”Irratinal Drives”
あたりでは、存在感を増してくる。こういう展開の中で、より活きる感性だね。
サックスにクラリネット系とマルチに操る Sam Sadigursky のテナーも安定している。本作中唯一のストレートに4ビートで展開するM7
”The Ringmaster”では、Segalの手による楽曲の良さもあり、魅力のブローが聴ける。

と、あらためてチェックしてみた本作だったが、全曲Segalのオリジナル、個性派とも言って良い独自性も感じられるギタリストとしての感性と
コンポーズ面でのセンスもあらためて確認できた。

             
             Gene Segal (guitar, composition)
             Jon Irabagon (sax)
             Daniel Fabricatore (bass)
             Jeff Davis (drums)

JAZZ-guitar 180
Gene Segal


Category: guitar (第2期)  

Gene Segal / Spiral

  Gene Segal (g)
  Brian Charette (Hammond B3 organ)
  Bruce Cox (ds)

  Recorded December 2015 & May 2016
  SCCD33132 (SteepleChase) 2017

  01. Spiral
  02. Creeper
  03. Two Sides to Every Story
  04. Us
  05. Dharma
                      06. Hidden Place
                      07. Sunken Treasure
                      08. Into Night
                      09. Blues Out
                      10. Soulstice

ロシア出身、幼少期に米国移住というギタリスト Gene Segal の新作。
Segal については、Jon Irabagon 絡みのものを聴いてはいたのだが、今回は特に Brian Charette のオルガン参加とともに、 Segal にとっては、初
めてとなるこのフォーマットでどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、ちょっと気になる一枚だった。

Segal については、Scofieldに通じるようなラフなテイストとともに、ブルーな感覚といっても、ロシア生まれといった血の部分も関係しているのか、米
国系ギタリストのそれとは、微妙な違いも感じていたが、今回、 Charette のオルガンを入れたことで、そのあたりの持ち味が、より表に出てくる形となる
のか、興味深いところ、内容の方は M6 “Hidden Place” を除いて全て Segal の手によるもの。

なるほど、Segal のギターは、管を入れずオルガンを加えたトリオ編成としたことで、以前聴いたものより、ブルージー、ファンキーに攻めている感もあり、
本作に彼が求めたテイストもこれなのかと思う。
ブルージーといっても、昔ながらのベタな語り口ではなく、あくまで今を生きるギタリストの感性での表現なので、納得できるところだ。そして、やはり
本作も聴いていると Scofield の顔が浮かんでくるような場面もあった。 M4 “Us” での軽いタッチのノリで、ちょっとメロウな歌わせ方などに、その影を
感じる部分もあり、本作には無いが、おそらく Ballad系のものをやったら、そのあたりの歌い方のクセも、もっと出てくるのではと思える。
全体にラフでザックリしたテイストが印象の Segal のギターで、そこが持ち味であり個性とも言えるのだが、私的好みで勝手なことを言わせてもらえば、
ここに少しのモダン、インテリジェントな感覚もプラスされれば、音楽はより魅力的になるとも思える。そういう意味では、Irabagon 絡みで聴いた作の
ようにコンポラテイスト溢れる音楽の方向性の中でより光を放ち、また可能性も感じる。

Charette のオルガンは、Segal の音楽に合わせ、ブルージーな味も出してはいるのだが、あくまで抑制をきかせたクールなタッチを維持しており、本作
では、まとめ役として機能しているように思える。ここで Charette までイケイケになってしまったら、本作も単なるファンキーなギター・オルガントリオ作
になっていたことだろう。近年の Charette の自身作、参加作などでは、私的好みで見るなら、一作ごとに評価がUp-Downし、安定しないところもあった
のだが、もともと持っていた、いいものが、やっと開花してきた感もあり、これまでコンテンポラリーオルガンシーンの中心にいた Goldings, Yahel,
Versace..........などのオルガニストとしての活動が極めて鈍い状況を考えると、オルガニストとしてのアルバムリリースもコンスタントに、積極的な姿勢も
見えるこの Charette は、楽しみな存在になってきた感もあり、どちらかと言うとアウトサイダー的傾向のあるギタリストよりも、基本正統派ながら、新感
覚も持ち合わせているといったギタリストとのコラボの中から、より魅力ある音楽のイメージもできるのだが........................。

そんなことで、どちらもそれなりに魅力も感じているギタリストでありオルガニストでもあるのだが、一方が出ようとする、もう一方は抑えようとするという
あたりの動きが、トータルに見ればパワーロスにもつながっているといったヘンな感覚もあり、感性の質という点では決して相性が悪いとも思えない
ご両人だが、噛み合わせが、微妙にうまくいかなかったかな?

             

JAZZ-guitar 179
Gene Segal

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