前向きに Jazz!

日々進化し続けるJazzとともに歩んできた終わりのない旅

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Machine Mass / INTI

 Michel Delville (g, Roland GR09, electronics)
 Tony Bianco (ds, loops, perc)
 Dave Liebman (ss,ts, wooden flute)
 Saba Tewelde (vocal-7)
 Recorded at Red Rock Recording Studios, Saylorsburg, PA(USA), October 10, 2012
 MJR060 (Moonjune) 2014
  1. INTI
  2. Centipede
  3. Lloyd
  4. In a Silent Way
  5. A Sight
  6. Utoma
  7. The Secret Place
  8. Elisabeth
  9. Voice

MachineMass-2.jpg

2011年の グループ“Machine Mass”としてのデビュー作”As Real As Thinking”からのメンバーであるドラマーの Tony Bianco とギタリスト
の Michel Delville に 新しくサックスに Dave Liebman 参加という、興味深い面々を揃えての2作目。
M4のおなじみZawinul曲を除いては、メンバーのオリジナルとなっている。

sax系とギターの入ったベースレストリオというつもりで、聴き初めたが、すぐ気がつくのは、けっこう生々しく入っているベースとキーボードのような音。
楽器クレジットには、表記されていないので、これはたぶん Tony Bianco の操作する loops によるものなのか?
彼ら3人のプレイによる生音とPCプログラミングなどを混合したサウンドには、全く違和感は無く、まずその点での高いレベルには、感心するものがある。
この手のものを非人間的なものとして拒否反応が出るという人も多いが、要は、それをいかに使っていくかというソフトの部分がカギであり、あくまで
使う人の問題で、結果もその音創りの姿勢に左右される。

形としては、メンバーからフリーなものもイメージするかもしれないが、完全フリーな部分はなく、至って真っ当な内容だ。コード数も抑えて、基本の
ところはシンプルに、その分ソロパートにより自由を求めたといった印象。

Tony Bianco のLoopsと終始、緊張感を持続させていくかのようなドラミングをベースとして、そこに絡んでいく Liebman のサックスと Delville の
ギターの奔放な動きからは、尽きることのないイマジネーションとともに、その音世界には、鋭利で精緻な構築美も感じられる。
Delville のギターのエフェクトも、曲調に合わせて単に音色に変化をつけるというレベルではなく、音楽表現の手段として自在に使いこなしている感も
あり、この辺は Bianco のLoopsの扱いと同じような感覚を覚え、3者の絡みも極めて高いレベルでの以心伝心が感じられる。

M4 “In a Silent Way” での和あるいはオリエンタルな質感もあるLiebmanの木笛そして一部、琵琶を思わせるようなDelvilleのギター、この緊張感
が持続していくスローな流れにゾクっときた。

M7 “The Secret Place”、vibを思わせるような音でスタート、そこにギターが絡んでいき、続いて中東でも思わせるようなラインの vocal が入り、独
特な美の世界が広がる。

等々、捨て曲なし、全編高密度の一枚になっている。もちろん私的には、星5つ。

JAZZ-other instrument 41
Machine Mass

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Terri Lyne Carrington / Structure

 structure-2.jpg

Terri Lyne Carrington (ds, perc, voc-3)
Adam Rogers (ag, eg)
Jimmy Haslip (b)
Greg Osby (as)

Recorded in November 2003 at Castle Oaks Studio, Calabasas, CA USA
ACT 9427-2 (2004)

01. Mindful Intent
02. Black Halo
03. Ethiopia
04. The Invisible
05. Spiral
06. Facets Squared
07. Solace
08. Fire
09. Omega
10. Columbus, Ohio

先日来、Greg Osby を聴く機会があり、その流れで聴いた一枚。
リーダーの 女性ドラマーTerri Lyne Carrington(B1965) は、参加作では、けっこう購入歴はあるのだが、リーダー作では、唯一の所有盤。
本作は、Adam Rogers と Greg Osby 参加のピアノレスという編成が魅力で手を出したような記憶がある。

内容は、M3のJoni Mitchell曲以外は、メンバーのオリジナルを持ち寄ったという内容で、非4ビート主体のコンテンポラリーテイストに溢れたもの。

終始、多彩なワザを織りまぜてのセンシティブなTerri Lyneのドラミングをバックに、多少ダーク寄りの緊張を伴う空気感を振りまく Osby のアルトと
クリアートーンでクールに疾走する Rogers のギターとの絡みが放出するフレーバーが絶妙のクールサウンドを生み出しており、10年以上前の作だが、
そのカッティングエッジなテイストに経年変化による劣化は、全く感じられない。

M3 “Ethiopia” における、ちょっと鼻にかかった声質とともにスピリットに溢れた Terri Lyne のボーカルもGood。
M7 Terri Lyne のオリジナルバラード“Solace” での Osby の抑えたアルトが超クール。そしてRogersのアコギ。
M8 “Fire” Terri Lyne の乱れ打ちが炸裂し、RogersのギターそしてOsbyのアルトがうねる。Terri Lyneのドラマーとしての能力の高さもよく出た 1曲。
.............などなど、聴きどころ満載。

Terri Lyne Carrington の巧みな煽りで、Osby, Rogers の2トップもベストプレイを見せており、特にRogersファンにとっては、外せない1枚だ。

JAZZ-other instrument 40
Terri Lyne Carrington

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Steve Fidyk / Allied Forces

  Steve Fidyk (ds)
  Brian Charette (org)
  Joseph Henson (as)
  Shawn Purcell (g)
  Doug Webb (ts)

  Recorded iJanuary 18, 2016 Acoustic Recording Brooklyn, NY
  PR8157 (PosiTone) 2016

  01. Evidence
  02. Good Turns
  03. Gaffe
                      04. Food Court Drifter
                      05. Doin’ the Shake
                      06. Moose the Mooche
                      07. Portrait of Tamela
                      08. High Five
                      09. In My Room
                      10. One for T. J.
                      11. Shiny Stockings

若手ドラマー Steve Fidyk の新作。メンバー、曲目などの状況から現在、自分が求めている方向性から、ちょっとずれたものとの予測もついたのだが、
オルガンに Brian Charette の参加もあり、手を出してみた。
リーダーの Steve Fidyk については、逆に Brian Charette のリーダー作 “Once & Future” に参加したものが記事歴としてある。

Fidyk のオリジナル6曲の他はジャズメン曲を含めた5曲という構成となっているが、内容の方は予想した通りの4ビート主体のストレートアヘッドな
展開となっており、オルガン入りということで、ちょうど Eric Alexander(ts) に Mike Ledonne やら Melvin Rhyne のオルガン入りのコンボを思
い出すようなストレートなドJazz感もあるが、感覚的には、それにほんのちょっと今のフレーバーを加えたようなと言ったらわかりやすだろうか。

リーダーの Fidyk は、前述の Charette 作でもそうだったように、緩急、剛柔取り合わせてのドラミングには、キレもあり有望な若手との印象もあり、
各人のプレイも良く、盛り上がりもある上質の硬派ストレートアヘッドなJazz作に仕上がっている。ただ、保守傾向も感じられる彼の音楽観が自らの
可能性を狭めてしまっているようにも感じるのは、もったいない気もする。

各メンバーのプレイも充実、それなりの盛り上がりも見せているのだが、この定型の枠の中での音の流れには、どこか既聴感もあり、私的には、予想して
いたように、やはりその点で若干の物足りなさがあるのも事実。まあ、この辺は音楽の善し悪しというよりは、受け手である我々各自の、どういった方向性
の音にもっとも価値を見出すかといった好みによるところだろう。なので、私的には評価はするが、好みからは、ちょっと外れるというのが率直な感想。

目当てとしていた Charette だが、Fidyk の直球勝負でストレートに攻める音楽の中で、やはり彼が本来持っている、前述の自身リーダー作で見せる
ようなコンポラテイストある感性は、希薄になってしまっている。参加作でも自分の色をこれでもかと出してくるタイプもいるが、これもミュージシャンと
しての考え、あるいは性格もあるし、また、いろんな状況に対応できる器用さであるとも言えるのだが....................。
私的に、Charette は、前を向いて、新しいものをどんどん取り入れ、自分の感性を開発していくような活動の中で、より輝きを増す感性と見ている。
なので、意外と多いこういった伝統のベースにのった音楽での活動が、足枷になっているのでは、と危惧してしまう。
私が心配してもどうにもならないことだが、こんな状況が、何か Pat Bianchi が辿った状況と似ていることが、気になる。なので、自分の求める方向性
の音楽ではないとの予測の中でも、あえてチェックせずにはいられなかった本作だった。

JAZZ-other instrument 39     
Steve Fidyk

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Matt Brewer / Unspoken

  Matt Brewer (b)
  Ben Wendel (ts)
  Charles Altura (g)
  Aaron Parks (p)
  Tyshawn Sorey (ds)

  Recorded at Systems Two Recording Studios, Brooklyn, N.Y., February 19, 2016
  CRISS1390CD (CRISS CROSS) 2016

  1. Juno
  2. Unspoken
                     3. Twenty Years
                     4. Lunar
                     5. Evil Song
                     6. Cheryl
                     7. Anthem
                     8. Aspiring to Normaicy
                     9. Tesuque

参加作では、度々聴いてきた Matt Brewer ですが、リーダー作の入手は、これが初めてとなる本作。
Frisell(M3)、Parker(M6)曲の他、すべて自身のオリジナルという内容。

初回印象での、全体に、やや内省的で、ダーク寄りという質感は、私的には好みの世界ではあるのだが..................
漂いつつ流れていくような、つかみ所のないような雰囲気もありつつ、繰り返すと、結構ハマるといったところもあるのだが、基本的にけっこう作り込んだ
音の流れは、もちろんそれぞれの自由なスペースは、あるものの、大きく見ればアンサンブルで聴かせるといった印象も残り、あらかじめ敷いたレールの上を
行くという部分が多くを占めることで、スリル感に乏しいといった印象もわずかに残るが、そこを求めた音楽ではないと思うので、しょうがないところなの
でしょう。
全体に策を弄し過ぎた感も残り、その点では、唯一の非オリジナルの Parker 曲 M6 “Cheryl” が最も生き生きとした出来となっているというのが何とも.....。
より自由を求める中から、より可能性をというのが自分の好みの形でもあるので、ちょっとそんな印象も持つところもあるのだが、緻密に作り込んだ音楽
として非常に良い仕上がりとも感じているところもあり、好みの部分、そうでない部分が同居しているような、判断に迷う内容だ。

Aaron Parks のピアノが、内省的、ちょいダークという質感の中によく馴染んでいる。
抑え気味のブロウで漂うように空間の密度に変化を加えていく Ben Wendel のテナーは、どこか Mark Turner とイメージが重なる。
リーダー Brewer が、基本となる土台をしっかりキープする中で、そこに刺激を加えていく Tyshawn Sorey のドラミングも貢献度大。

ちょうど同時期の Tom Harrell の新作(Something Gold, Something Blue)でも、ちょっと気になるプレイをしていた Charles Altura ですが、本作同様、
あくまで他人のコンポジションの中での動き、リーダー作など、自身のやりたいようにやった音楽の中でその感性を確認してみたいし、そう思わせる
ギタリストだ。本作は、あくまで参考物件、限られた出番という中で、見えてこない部分も多いと感じている。リーダー作を期待したい。

好みの部分がありつつ、そうでない部分が、そこを打ち消してしまうようなところもあり、トータルに見れば、好みモードで星4ツまではちょっとといった
ところか。

JAZZ-other instrument 38
Matt Brewer

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Paul Samuels / Speak

  Paul Samuels (ds)
  Greg Osby (as, ss)
  Dan Wall (org)
  Jamey Haddad (perc - Fall and Naima)

  Recorded in April of 2005 by Frank Vale at Metrosync Studios in Cleveland, Ohio.
  LKS Music (2005)

  01.Trinkle Tinkle
  02. Simone
  03. Naima
  04. Speak
                      05. Fall
                      06. The Blessing
                      07. Ruby, My Dear
                      08. ESP
                      09. Naima (Radio Edit)
                      10. Simone (Radio Edit)

先日、John Abercrombie 参加の “Olivier Le Goas / Gravitations” を聴く機会があった関係で、他のAbercrombie も聴いてみたくなり、
いくつか聴いた中に入っていた Dan Wall。そこから Wall つながりで、思い出し、久しぶりに引っぱり出してみたのがこの一枚。
聴いたついでに記事としておきます。

同じM-Base一派として80年代末頃のOsby初期を支えたドラマー Paul Samuels が、十数年の時を経て Osby を迎えてのリーダー作。
この2人に、John Abercrombie作などでおなじみ、オルガンの Dan Wallを加えたトリオを基本として、曲によりperc.参加というスモール編成。
内容は、M4の3者共作曲 “Speak” の他はJazzメンオリジナル曲が主。

参加作ゆえなのか、Samuels と Wall の好サポートを得て、余分な力も抜けストレートに攻める Osby のブロウが全編に渡り光る一枚となっている。
時には、オーソドックスな形の中で、自身、Jazzを楽しむかのようなプレイは、ふだん耳にしてきた Osby らしくないとも言えるのだが、リーダー作で必要
となる作為性あるいは演じるといった部分から解放され、素になっての感性の向くままとも思えるプレイは、逆にこれが本来のOsbyとも言えるのかもしれ
ない。その辺が受け手の自分も余計なことを考えずに受け止められるプレイと感じられ、気持ち良く聴ける盤との印象につながっているのだろう。
誤解があるといけないので、付け加えておくが、作為性は創造性に溢れた音づくりの基本であり、これを否定するものではない。

Dan Wall(B1953) に関して、時期的には、ちょうど Wall がECMでの Abercrombie作に参加していた時期と重なるのだが、本作では、リーダーの
Samuels とともにフロントの Osby のサポートに比重を置いており、抑えぎみのプレイといった印象もあるのだが、元来が地味なタイプでもあり、本作の
Osby のノビノビした気持ち良いブロウを引き出したとも言えるのではないだろうか。
私的には、もう少し Osby から何かを引き出す刺激になりうるようなプレイがあれば、本作の内容も星が1つ増えたかもなどと思うところもあるのだが、
それはゼイタクというものか、これはこれでなかなか楽しめる一枚になっている。
こうして、Wallのオルガンを、あらためて聴いてみると、同じ世代では、こういったクールな感性を持ったオルガニストは少なく、独自性もある感性は貴重な
存在であったことも感じるのだが、もう少し個性に強いものがあれば、その後の流れも違っていたものになっていたのかもしれない。

JAZZ-other instrument 37
Paul Samuels

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Olivier Le Goas / Gravitations

  Olivier Le Goas (ds)
  John Abercrombie (g)
  Ralph Alessi (tp)
  Drew Gress (b)

  Recorded June 6-7, 2005 at Clinton Recording Studio, NY
  AS204 (Altrisuoni) 2007

  01. Gagliarda
  02. Radio-Chaise
  03. Dichterliebe
                     04. Il Est Ne Le Divin Enfant
                     05. Padouana
                     06. Interspace
                     07. Fragment
                     08. Cadre Gravitationnel
                     09. Gigue
                     10. Differents Ciels

フランスのベテランドラマー Olivier Le Goas(B1957) の新作 “Reciprocity(2016)” は、Nir Felder(g), Kevin Hays(p)などが参加していたこともあり、
早速入手して聴いてはみたのだが、決して内容悪しではないものの、いまいちとの印象だった。
そんなこともあり、特に比べるというわけでもないのだが、いい印象もあった2007年の旧作 “Gravitations” を引っぱり出してみた。
このタイミングを逃すと、また当分、聴く機会も.................ということで、ちょうど良い機会、久しぶりに聴いてみた。

内容は、リーダーでドラマーでもある Olivier Le Goas の全曲オリジナル。ドラマーだが、他作でも基本このスタンスで通しており、コンポジションを重視
するドラマーとの印象を持っている。
全体にゆったりめの曲が多く Abercrombie がソロにバッキングに、存在感を際立たせており、その描き出した静寂の空間を基本に音楽は展開されてゆく
イメージだ。
このヒンヤリした空気も流れる空間に Ralph Alessi(B1963) のクールでビターなテイストのペットの相性が良く、空間への自然な溶け込みを見せる。
ゆったりとした流れの中にも、時折、鋭い攻撃性も見せ、ややダークなテイストとともに緊張感をキープしている。

親指の腹で弾き出されるクールながらも温もりある Abercrombie のギターから放出される微量の哀愁が、クールで緊張感がキープされる展開に
温もりある一味をプラスし、独特な魅力を放つ一枚になっているように思う。

欧州の香りを色濃く感じるが、それはリーダーのコンポジションによるところ大ということなのだろう。


Reciprocity.jpg  Olivier Le Goas / Reciprocity

  Olivier Le Goas (ds) Nir Felder (g) Kevin Hays (p) Phil Donkin (b)
  NCD4139 (NEU KLANG) 2016

  
  いまいちとの印象は、プラスされた一味の違いなのか?
  Abercrombie と Felder との深さの差か?
  Alessi と Hays の持つ感性の質と Goas の音楽との相性の差か?


JAZZ-other instrumental 36
Olivier Le Goas

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Boris Kozlov / Conversations at the Well

  Boris Kozlov (b)
  David Gilmore (g)
  Rudy Royston (ds)

  Recorded at Systems Two Recording Studios, Brooklyn, N.Y., February 16, 2016.
  CRISS1389CD (CRISS CROSS) 2016

  1. Five
  2. Conversation
  3. Orbits
  4. Semblance
                     5. Prelude to a Kiss
                     6. Eye of the Hurricane
                     7. Latin Genetics
                     8. Headless Blues
                     9. Pannonica

ベーシスト Boris Kozlpv のリーダー作ながら、キャリア豊富で芸歴も長いにもかかわらずアルバムリリースが少なめで、大きな話題とも縁遠いといった感も
あったが、近年、何かと注目されることも多いギタリスト David Gilmore(B1964) 参加、しかも、かねてよりトリオというフォーマットでの彼もチェックして
みたいと思っていた矢先のリリースだったこともあり、かなり早いタイミングで予約は、入れておいたのだが、リリース日の5月20日を過ぎてもいっこうに発送
の連絡なしということで、もうすっかり予約したことすら忘れていたのだが、そんなある日、突然に届いたというしだい。
しかし、かなり早い段階で予約を入れておいたにもかかわらず、スムーズに入手できないという状況は、一度や二度ではなく度々、もうこんなやり方にも見切り
をつけないといけないのかもしれない。
ということで、すっかり新譜盤という印象も薄れ、何かケチがついてしまった感じだが、気を取り直して聴いてみることにしよう。

Kozlov のリーダー作ということもあり、内容の方も、ある程度ノーマル、ストレート...........といった味わいのものになるであろうことは十分に予測はしていた
のだが、曲の方もM8の3者共作曲を除き、他はすべてJazzメンおなじみの曲という内容になっている。

本作の私的興味の焦点は、リーダーのもと、予想されるストレートな展開の中で、Gilmore がどう動くのか、どう自分をそして個性を表現してくるのかといった
あたり。一聴してみれば、予想していた以上のストレートな4ビート主体の展開が多く、Gilmore のギターもスキのない手堅いプレーに徹し、初回印象では、
今の時代のスタンダードなギタートリオ作として、好内容の一作といった印象のものに仕上がっている。
この形の中でも、ハイレベルの一枚としてきっちり結果を出す、正統派としてもGilmore の能力は素直に認めるところだが、これはこれで良しと感ずるか、
いやGilmoreに求めるものはこんなものじゃないと思うかは、それぞれの感性しだいというところだろう。
私自身どう受け止めたらよいのやら、迷うという内容だ。

そういったハイレベルの技術面や理屈はともかくとして、何度か繰り返したが、単純に、思わず引き込まれるような魅力あるポイントが見つからない。面白みに
欠けるというところからは抜け出せない。全体に山のないフラットなプレイは、盛り上がりに欠ける。まあ、どっちに転ぶか、この辺の微妙なところは、受け手
それぞれの好みが大きく左右するところなのだろう。
Gilmoreにとっては意に添わないプレイということでもないと思うが、シゴトとしてこなしているといった感もあり、その微妙な心の持ちようが最終的な結果に
表れているようにも感ずる。結局、その微妙なところが音楽には極めて重要な部分でもあるのだが。
ミャージシャンには、大きく分けて2つのタイプがいる。環境に合わせるタイプとどんな環境にあっても個を通そうとするタイプ。もちろんそれは状況により
違い、一概にどちらが良いと言えるようなものでもないのだが、本作においては、私的目的が、あくまで David Gilmore と偏ったものだったこともあり、
そして彼に正統派としての巧さなどを求める考えの無い自分にとっては、そのGilmoreらしさ、個性を薄められてしまった結果に満足できるものが見つから
なかったということなのだろう。

Gilmore寄りに考えれば、あくまで参加という立場、結果の内容にそんなところまで求めるのは厳しいのかもしれないが、リーダーのKozlov中心に考えても
結果から判断すれば、David Gilmoreというギタリストを起用した意味に疑問が残るのである。
度々共演歴もあり、レーベルと縁もあるということのみで選んだわけでもないとも思うのだが。

とっ、言葉にすれば、ついつい厳しく感じるものになってしまうが、決して内容悪しという感覚はない。自分のような偏った人間でなく、真っ当な感性を
持った方であれば、良しとするだろう。
私的には、評価と問われれば、フラットな眼で見て星4ツ、道楽目線の好みで判断すれば星3ツといったところか。

JAZZ-other instrument 35
Boris Kozlov


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Konstantin Ionenko / Noema

  Konstantin Ionenko (b)
  Dmitri Bondarev (flh)
  Alex Maksymiw (g)
  Pavel Galitsky (ds)

  Recorded Mask Studio. Kiev, April 2015
  FANCYMUSIC (2015)

  1. Kaleidoscope
  2. Imprinted Acerbity
  3. Far Out
                     4. Glassy
                     5. Four Doors
                     6. Prelude
                     7. Noema
                     8. November

グループ “Deep Tone Project” での活動他で近年のウクライナジャズシーンをリードする存在などとも言われるベーシスト Konstantin Ionenko の
久しぶりのリーダー作に、先日記事とした “Alex Maksymiw / Without A Word” のギタリスト Alex Maksymiw が参加しているということで手を
出してみた。
本作は、日本盤仕様ジャケットで日本先行発売だったのだが、昔から日本仕様のものは、現地、現場の空気感が直に感じられないような気がして、なるべく
避けてきたこともあり、だったらということで、異例だがDLでのゲットだった。

Ionenkoの手による全8曲という内容だが、全編ひんやりとした乾いた空気がゆっくりと流れていくような一種のアンビエント感もある音楽となっている。
現在、どちらかというとダーク、ダーティーといった要素が微量に含まれたものを好む傾向にある自分としては、こういった透明な空気感もある爽やか、
清涼感といった質感の音楽は普段はあまり進んで聴きたいとは思わないのだが、本作にはそこに「明るさ」というテイストが含まれていないことが良かった。
明るく爽やか、ウキウキするようなテイストの音楽を、楽しい音として強く反応しない己の感性にも困ったものだが、それが今現在の自分の感性の求める
ところだからしょうがない。

強い色は極力抑え、使う色数も絞り込んだ淡彩画の世界。繊細なトーンだが筆使いは大きく、大胆でおおらか、淡い色の重なりがまた別の表情を見せたり、
そんな流れが全編に渡りつながってゆく。
浮遊するMaksymiwのギター、空間に放たれるBondarevの柔らかなフリューゲルホーン、Maksymiw のギターは前述のリーダー作あたりと比べると
だいぶセンシティブなプレイぶりだが、この辺は Ionenkoの意向も反映された結果でもあるのだろう。
2人を泳がせ大きくゆったりとした流れを創り出しているのがIonenko のコンポジションであり、個はともかくトータルなグループとしての音、そこの印象
が強く残った一枚でもあった。

             
             Live at Closer, Kiev

JAZZ-other instrument 34
Konstantin Ionenko

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Javier Lopez Jaso & Marcelo Escrich / Pagoda

  Javier Lopez Jaso (accordion)
  Marcelo Escrich (b)
  Luis Gimenez (g)
  Juanma Urriza (ds)

  Recorded February 15, 2013
  ER063 (ERRABAL) 2013

  1. Un paseo con Astor
  2. Vals 20-16
  3. Pagoda
                      4. 5 grados Brix
                      5. Casimiro
                      6. Canbios
                      7. Envero
                      8. Bebe 7-7(Para Javi)
                      9. Hada marina

オルガンと同じ持続音の鍵盤楽器として、アコーディオンやら鍵盤ハーモニカの類いには関心を持っていたこともあり、未聴のスペイン人アコーディオン奏者
ながら、そのアコーディオンに共通する “哀愁” をイメージさせるジャケットにもつられて手を出してみた。

一通り聴いてみて、民族音楽的要素やら、もちろんタンゴを思わせる部分など多種入り交じった音楽はJazz度は薄い。そのこと自体は私的好みから外れたもの
でもなく何ら問題はないのだが、サラッとした表現と、あらかじめレールを敷いてしまっていると思えるような流れが多く、スリル感に乏しいことが音楽の
テンションを落としてしまっているとも感じるのだが、その辺は、彼の目指す音楽の方向性と自分が音楽に求めるものとが単に違うということであり、彼の
ミュージシャンとしての能力とは、あまり関係ないところだろう。

そんなことで、その瞬間、瞬間、そこに創ることでのテンションある空気感みたいなものを音楽に求めてしまう自分にとっては、音楽の形として、こういった
予定調和的傾向の強い音には、いまいち入り込めないものもあり、面と向かって対峙して聴こうとすると物足りなく感じてしまうこともある。逆に、ながら聴
きには好都合、私的にはそんな位置づけの一枚か。
まあ、これも感性、好みの問題だからしょうがない。

             

JAZZ-other instrument 33
Javier Lopez Jaso

Category: Other Instrument  

Manuel Valera / Urban Landscape

  Manuel Valera (Fender rhodes, minimoog voyager, DSI prophet 08, Hammond organ)
  John Ellis (ts, bc)
  Nir Felder (g)
  John Benitez (b)
  E.J. Strickland (ds - 1,3,4, 6,7,8,9)
  Jeff ‘Tain’ Watts (ds - 2, 5, 10)
  Gregoire Maret (harmonica - 3, 6)
  Maurico Herrera (perc - 5)
  Paulo Stagnaro (perc - 4)

  Recorded by George Shalda at Water Music in Hoboken, NJ on February 10-11, 2015
                     DR0006 (DESTINY) 2015

                     01. 121st Street
                     02. Coming Down
                     03. Gliding
                     04. All Around You
                     05. Geometrico
                     06. Five Reasons
                     07. Never Absent
                     08. As I Listen
                     09. Little By Little
                     10. New Ways

キューバのピアニスト Manuel Valera(B1980)は、特別に好みで追ってきたというピアノではない、加えてこのジャケット、印象は極めて悪い。それでも関心
あるメンバーが入っていたことや、そのメンバーを起用して、慣れ親しんだピアノではなくムーグ、エレピ、オルガンなどを使いValeraは、どんな音を創ろう
としているのか、その辺にも関心があって手を出してみた。

Valeraも、いつもとは違う何か新しいものも求めてのこんな楽器の選択であったとも思うのだが、一通り聴いてみて、目新しいものは特に見当たらない旧態依然
とも思えるサウンド。ただ、プレイ自体は、やたら巧い。ビシビシとユニゾンで決まるテーマ、 それに続くそれぞれのソロもキレキレ、 キメもバッチリ..........
と申し分の無いプレイなのだが...................
本作全体に感じられるのが、かつて聴き覚えのあるような、ある種の懐かしさもあるサウンド、ハーモニカなども入れての思いっきりメロウな曲調のものや
かつての一時期をイメージさせるチョッパーベースを生かしたものなど、本作の中でけっこうなウェイトを占めている。
新しい何かを狙ってのこの結果と考えるとちょっと?ということにもなってしまうが、一歩譲って良い方に取れば、あえて狙った「レトロ感」と受け取れない
こともない。そう考えれば、両極持ちの John Ellis の起用もなんとなくつじつまは合うのだが................
狙ってそのイメージが創り出せたということであれば、それはそれで一応プロジロェクトは、成功したということにもなるのだろうが、後は狙った結果に満足
できるか否かは、リスナーの感性、好みしだいということだ。

私的に、求めていたものは、何らかの新しく創り出したものや発見など、そこは残念だが叶わなかった。そして自分の現在の感性、好みから、特にこのサウンド
を嫌うということもないが、特別に強く反応するというサウンドでもなかった。Nir FelderやJohn Ellisなど、彼らの先進性もある能力を考えれば、そのいい
部分(あくまで私的いい部分だが)が引き出されていないとも感じる。(自分のこうあってほしいという極めて私的な願望も多分にあるが)特に、この音楽の
持つ質感の中にFelderをあてはめるのは違和感があり、彼らしからぬベタなフレーズが随所に見られるのは、残念な気持ちにもなってしまう。はたして100%
自分の意志によるものなのかは、疑問も残るが、何か折角の才能が、もったいないとも思えるのだ。そんな状況から、後味の悪さのような感覚とともに、その
音創りの過程と結果に関し、考えさせられる一枚でもあった。

JAZZ-other instrument 32
Manuel Valera

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Hironori Momoi / Liquid Knots

  Hironori Momoi (ds)
  Chad Lefkowitz-Brown (ts)
  Nir Felder (g)
  Julian Shore (p)
  Sam Minaie (b)
  Alexa Barchini (voc)

  Recorded at Bunker Studio, Brooklyn, NY
  OCM-001 (ONAKA CUBE MUSIC) 2013

                     1. Impending Launch
                     2. Showers
                     3. Defining You
                     4. Twice
                     5. Waiting
                     6. Not Lemonade
                     7. Wormhole
                     8. This Magnet
                     9. Strangers            All compositions written by Hironori Momoi

上智大学在学中にジャズと出会い、卒業後に渡米し、The City Colledge of New Yorkに入学、2013年までの6年間、NYで活動、2014年より帰国し、
山中千尋トリオなどで活動するドラマー、コンポーザー 桃井 裕範(B1984)のデビュー作。
私的には、リーダー作も少なく、参加作でしかチェックできないというNir Felder(B1982)の参加が後押しとなりゲットしたもの。

内容は全曲、桃井自身の手によるもの。
一通り聴いてみて、ドラマー桃井をリーダーとしたといった感じでもなく、コンポーザー桃井として自身のドラムスを含めグループとしての音で勝負したとも
思える印象の一枚となっている。
若手主体と思われるメンバーで、そこに私的に求め期待していたのは、少々の荒さはどうでも、言ってみれば、表面の仕上げ処理などしないままの素材の肌が
そのまま感じられるような野心溢れた音楽だったが、意外と細部までキレイにまとめられているといった印象も持つ音楽となっており、その丁寧、しっかり
したつくりに喜んでいいのか、あるいは、期待していたものとは違ったテイストにガッカリするのか、何とも微妙なところだ。
自身の リーダー作だからということも多分にあるのかもしれないが、しっかりしたコンポジションを持って、全体を見渡しつつ音楽の創れるドラマーなん
だね。

というわけで、求めた味ではないものの、いろんな面で平均点をクリアーした、それなりのレベルを感じ取れる音楽となっているのだが、反面、強いインパクト
を受けるような場面に乏しいとも感じている。もちろんこれは、あくまで私的感性の受け取り方で、聴く人によっては、全く違った受け取りをするのだろう。
期待していたNir Felderですが、そんな流れの中で、こギレイにまとめたプレイといったイメージ。巧さは十分感じるのだが、そこは音楽の魅力とは別であり、
ガツンとしたインパクトにやや欠けるといった印象も残るものとなっている。彼は、少年時代に Stevie Ray Vaughan に憧れて、現在も使っているストラト
キャスターを手に入れたらしいが、特に本作あたりのブレイを聴くと、Jazzギタリストとしての出発点は、 Kurt Rosenwinkel あたりにあったことも強く感じ
られる。

私的感想では、「概ね良好」、そんな言い方がもっとも適切と思える内容だ。

JAZZ-other instrument 31
桃井 裕範

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John Patitucci / Brooklyn

  John Patitucci (b)
  Adam Rogers (g)
  Steve Cardenas (g)
  Brian Blade (ds)

  Three Faces Records 2015

  01. IN9-1881 / The Search (John Patitucci)
  02. Dugu Kamalemba (Oumou Sangare)
  03. Band of Brothers (John Patitucci)
                     04. Trinkle Trinkle (Thelonious Monk)
                     05. Ugly Beauty (Thelonious Monk)
                     06. JLR (John Patitucci)
                     07. Do You? (John Patitucci)
                     08. Bells of Coutance (John Patitucci)
                     09. The Thumb (Wes Montgomery)
                     10. Go Down Moses (John Patitucci)
                     11. Tesori (John Patitucci)

フロントに2本のギターを据え、自身のベースと合わせ3本の弦楽器にドラムスという編成のギタークァルテットによる Patitucci 久しぶりのリーダー作。
メンバーには、競演歴も多い Adam Rogers と Brian Blade の他にツインギターの一翼に充実期にある感もある Steve Cardenas が加わるという豪華な陣容。
マイナーなカラーを基本とする当ブログでは、この種のメジャー臭も漂う盤は、普段あまり記事として取り上げることも少ないのだが、特に方針転換した
ということでもなく、気分転換として、まあ、たまにはよいでしょう。

一聴してみれば、全体の印象として残念だが期待していたようなスリリングな展開は見受けられなかった。
我々リスナーの習性として、好きなミュージシャンであればあるほど、期待もありそこにこうあってほしいというベストのものをイメージしてしまいがちだ。
それが複数の、いや本作のように全員がそうであればなおさらのこと、それぞれのベストパフォーマンスがぶつかるその化学反応からそこに新たに生まれるsomethingといったものまで脳内にイメージしつつのゲットとなるのだが、現実はなかなかそんなうまいことにはならない。
まあ、あくまで極私的な受け取りだが、Jazzの大きな魅力でもある先の読みにくい瞬間の積み重ねといったその瞬間の作り出すテンションにいまいち物足り
なさがつきまとうのだ。当然のことながらその瞬間から予期しなかったsomethingが生まれる状況もなく、総じてユルい流れに終始してしまっているといった
印象。Rogers & Cardenas のツインギターも耳をそばだてて聴けぱどちらかは、ある程度判断できるが、漠然と聴いていると今どっちだったといった感じに
なるのも、裏を返せば両者の個性が十分発揮され、良い部分がそれだけ引き出されていないからといった見方もできるだろう。
M6 “JLR” などは、今現在の彼らなりの表現するブルースであれば納得できるのだが、出てくるのはベタなフレーズばかりだし、であれば本家ブルースマンの
ギターを聴いた方がという気にもなってしまう。今ここでこれをやる意味とは?
特に近年のCardenasなどは、味のあるいいベテランへの道を歩みつつあるなどとも思っていたのだが.............................。
しかし自主制作盤として高能力のメンバーを起用し、リーダーとして全てのコンポーズ面に関わり、この音楽としたのはPatitucciであり、そこはおさえて
おきたい。

一歩ひいて冷静に見れば、決して内容悪しというレベルのものでもないのだが、過去経験から、こういった豪華メンバーを揃えた話題盤は、期待が大きい分、
意外と不満足な結果になってしまうことが多いのだが、本作も私的には、そのパターンに近いものがある。
ウデのいい職人がうまくまとめたといった感じで、アーティストとして創り出した作ではないといった印象。
あくまで、私的に思い入れが強かった分、こんな印象になってしまったと自己分析している、悪しからず。

アルバムクレジットの最後に “This album is dedicated to the loving memory of my grandma, Rena Fenimore(1916-2015). と記してあった。
自主制作でアルバムカラーがこんな風になったのも関係しているのか....................。

             

JAZZ-other instrument 30
John Patitucci

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Ben Allison / Think Free

  Shane Endsley (tp)
  Jenny Scheinman (violin)
  Steve Cardenas (g)
  Ben Allison (b)
  Rudy Royston (ds)

  PM2140 (Palmetto )2009

  1. Fred
  2. Platypus
  3. Broke
                     4. Kramer vs. Kramer vs. Godzilla
                     5. Sleeping giant
                     6. Peace Pipe
                     7. vs. Godzilla
                     8. Green A1

1996年 "Seven Arrows" でデビュー以来、比較的コンスタントにアルバムリリースしている感もあるBen Allison(B1966)の2009年作。

どちらかというと、アレンジ面に力を入れた創り込まれたサウンドといった印象を持っているAllisonの音楽ですが、本作も自由なソロパートは抑えめに
音楽は緻密に創り込んだものに仕上がっている。
全体に淡いカントリーテイストとも言えるようなノスタルジックなものも感じられるのだが、そんなテイストがわかりやすくキャッチーとも言えるような
メロディーとともに、芯のところにあるNYブルックリンの尖った部分をオブラートで包み込むように全体をややマイルド感もあるサウンドにしているとの
印象も持つ。
もちろんAllisonの決めた方向性だろうが、そんな本作のイメージに大きく関わっているのが Jenny Scheinmanのバイオリン、本作のカラーを決定づけ
る重要なアイテムとなっている。

ただ全体に同じような印象の曲が並び、私的には何か変化の一つも欲しかった気もするのだが、その辺は統一されたと受け取るのか、変化に乏しいと受け
とるのかで本作の評価も変わるところかも。

昔、ブルース小僧だった私にとって、白人をルーツとするカントリー、フォーク系のものは敵性音楽として甚だ相性が悪い音楽だった遠い記憶がある。
その名残ということか野良ジョーンズ、Bill Frisell................等々、いまだに苦手なタイプなのだが、本作にもある微量のカントリーフレイバーに、私的に
は多少の相性の悪さも感じた一枚でもあった。

JAZZ-other instrument 29
Ben Allison

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Chris Lightcap / Lay-Up

  Chris Lightcap (b)
  Tony Malaby (ts)
  Gerald Cleaver (ds)
  Bill McHenry (ts)

  Track 1-7 Recorded September 13 & 14, 1999 at Tedesco Studios, Paramus, NJ
  Track 8  Recorded live September 12th at Cornelia Street Cafe, NYC
  FSNT 074 (2000)

  1. Lay-Up
  2. I Heard It Over the Radio
                     3. Port-Au-Prince
                     4. Guinbre
                     5. All Choked Up
                     6. Las Tijeras
                     7. Sad Morning
                     8. Philly's Blount

前回の記事で Gerald Cleaver参加の "Plymouth" を聴いた関係で、Cleaver の入った作を他にも聴いてみたくなり、いろいろ引っ張り出してはさがし
てみたら2000年作の本作が目につき、聴いてみた。

Tony Malaby、Bill McHenryの2本のテナーを擁したベーシスト Chris Lightcapのクァルテットによる初作。この後グループ "Bigmouth" として
途中メンバーの変更なども経て現在も活動しており、最新作 "Epicenter" も直リリースという予定となっている。
聴くのも久しぶりになるという本作だが、変則ぎみの編成とメンバーの顔ぶれから、ちょっと尖ったテイストのものもイメージしてしまうかもしれないが、
音楽の方は至ってノーマルで、ちょっと味付けを変えたハードバップとも言える味わいのものになっている。

Lightcap と Cleaver の繰り出すどちらかというとあまり動きの無い一定のリズムをバックに Malaby と McHenry の2本のテナーがユニゾンしたり
あるいはハモったりの一糸乱れぬ呼吸を見せたかと思うと、軽くジャブの打ち合いで遊んでみたりといった展開が続く。
緊迫感もあるちょっと尖ったものも期待してしまうと、そのサラっとした展開にちょっと肩すかしを食らった感じも受けるという内容だが、
脱力感とともに余力を残したとも思える2本のテナーには、確かな力も感じられ、変な言い方だが、見せない部分の大きさも何となく伝わってくるような
ところもあり、それは Cleaver のドラミングについても同じような印象を持つ。
そんな本作なので、聴き手によりその受け取り方も大きな違いを見せる一枚と言えるかもしれない。

JAZZ-other instrument 28
Chris Lightcap

Category: Other Instrument  

Sam Most / Organic Flute

  Sam Most (fl)
  Joe Bag (org)
  Mark Ferber (ds)

  Recorded at Multi Media Music, Hollywood, California by Mark Vincent, January 2009
  LiquidJazz 2010

  01. Speak Low
  02. Bluesette
  03. Yesterdays
                    04. The Nearness of You
                    05. Darn That Dream
                    06. So in Love
                    07. Relaxin' at Camarillo
                    08. We'll be Together Again
                    09. Pensativa
                    10. Indiana
                    11. Blue Daniel
                    12. You Stepped Out of a Dream

最近、聴く機会も多かった1枚。
本作でフルートを担当そしてリーダーの Sam Most は、たしか昨年亡くなったなどと思っていたら、新しい年が明けたのでもう一昨年ということになるん
ですね。
本作録音時は、80になろうかという時期ですが、その活き活きしたフルートのプレイには驚く。あらためてフルーティスト Sam Mostを見直した。
Most は、フルート以外にも cl や ts などでのプレイもあるのだが、私的には好きな楽器でもあるし、このフルートとの相性が一番良い。

音楽の方は、小難しい要素は皆無、スタンダードを並べて実に気持ちよく楽しく聴けるという内容に仕上げている。
こういった流れだと、ついついイージーな方向へもという展開にもなりがちだが、小粋、コジャレ感とともにイージーになる一歩手前、紙一重のところに
コントロールしている。これも長年Jazzと良い関わり方をしてきた Most の音楽性、Jazz観といったものの表れなのだろう。
音楽は全編に渡り、ほぼ4ビート主体の定型スタイルながら、その決まった枠の中で職人的技が冴え渡り、実に活き活きとした無になって楽しめるJazzに
仕上げている。職人という言い方はアーティストに対して悪い意味で使われる場合もあるが、ここでは年季の入った経験豊富なツボを心得たといういい
意味での職人だ。

そんな4ビートのグルーヴ感をつくりだしている大きな原動力にもなっているのが、地味ながら確かな職人 Joe Bag の左手、そのベースラインが
Mark Ferber のドラミングとともに音楽に推進力をもたらしている。
Joe Bag については、このブログでは、ボーカリスト Anna Callahan作の "It's Just the Rain" で記事歴もあるが、独自性も備えたコンポラ系の
クールな感性のオルガニストとして、もっと評価されてしかるべき存在だと思っている。本作でも彼の働きは大きく、大ベテラン Most の枯れたフレージ
ングを支えるとともに、そのクールなオルガンワークは、音楽に今の空気感を吹き込みフレッシュなスパイスとなっている。

            
            

JAZZ-other instrument 27
Sam Most

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