前向きに Jazz!

日々進化し続けるJazzとともに歩んできた終わりのない旅

Sort byorgan (第2期)

Category: organ (第2期)  

M(H)YSTERIA / Family Drug

  Giovanni Di Domenico (Hammond organ)
  Laurens Smet (eb)
  Jakob Warmenbol (ds)

  Recorded in Studio Grez, Brussels, in September 2015
  JVT0017 (JVTLANDT) 2016

  1. Road Rage (Composed by Giovanni Di Domenico)
  2. Family Drug (Composed by M(H)YSTERIA)
  3. Crumbs War (Composed by Giovanni Di Domenico)


ローマ出身で、現在はベルギー、ブリュッセル在住のピアニスト、コンポーザー Giovanni Di Domenico のオルガンを核としたグループ
“M(H)YSTERIA”としてのデビュー作。
Giovanni Di Domenico は、Jim O’Rouke や坂田明などとも交流があるらしいが、聴くのは今回が初めて。

シャケットの雰囲気などからも、何となく予想はしていたが、ELPなどの Progressive Rock あたりのテイストもある音楽となっている。
フリーっぽい展開もあるのだが、よく聴いていると、打合せも密に、結構つくりこんでいると思える流れもあり、音楽のテイストとしては、ダークで
張りつめた緊張感もあり、時にはノイジーな音も利用するなどの神経を逆なでしてくるようなプレイもあるのだが、スリル感に乏しいと感じるのは、
そんな表面上のラフで自由な形に反し、綿密な計算といったものがちらつくからなのかもしれない。

雑多なものが混じり合う状況は、いままでなかった新しいものを産み出しやすいという意味でも望む状況でもあるのだが、音楽からイメージされる
のは、遠い昔に耳にしたプログレ、この点では、まだ見ぬ新しい世界を切り拓くというよりは、逆に先祖帰りしてしまっているとも受け取れてしまう。
音楽の内容、それを支える技術面でも高いレベルであることは、感じとれるのだが、単純に奏者の感性の質と、そこから産まれる音楽の性格みたい
なものが、現在の自分との相性の悪さを感じてしまう。

ここ4〜5年の Organ シーンの状況を振り返れば、新しい時代を切り拓いていく立ち位置にいるコンテンポラリー系及びそれより先端寄りにいる
方向性を持った Organist の活動状況が極めて鈍く、大きな不満も持っていたこともあり、かすかな期待とともに手を出した本作ではあったのだが、
新しい時代の Jazz Organ を切り拓いていく存在には、どうもなり得ない感性の質、であれば、もっと先端寄りで、メインストリートを行くコンポラ
系のオルガニスト達に何らかのアイデアを与える存在になり得るかといった先進性に富んだ音楽でもなかった。
人材不足の現在の Organ界には、状況こそ違え、あの Organと言えば、黒いものといった固定観念に縛られて、どうにも動きのとれない状況が長く
続いていた前世紀終盤の閉塞感、停滞感が思い出される。今世紀に入り、コンテンポラリー系オルガンの中心となっていたオルガニストの多くが、ピア
ノでの活動にシフトしたかのような動きも目立ち、オルガニストとしての新作リリースも極端に減っているというコンテンポラリー系オルガンシーンの
現状。マイナーな楽器として、同じ鍵盤楽器のピアノよりも低いものとして見られる傾向もあるオルガン、彼らのよりメジャーな楽器での評価を求めて
の動きなのか、あるいはオルガニストとしての可能性に行き詰まった結果なのかは、わからないが、こっちがダメならあっちでといった甘い姿勢からは、
良い結果はイメージできない。
この停滞した悪い流れを断ち切る感性、革命家の出現を期待したいものだ。

JAZZ-organ 190

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Category: organ (第2期)  

Medeski Scofield Martin & Wood / Out Louder

  John Medeski (keyboards)
  John Scofield (guitars)
  Billy Martin (drums, percussion)
  Chris Wood (basses)

  Recoded January 2006 (disk1) and November 25, 2006 (disc2)
  Indirecto Records (2007)

  discOne
  01. Little Walter Rides Again
  02. Miles Behind
                      03. In Case The World Changers Its Mind
                      04. Tequila and Chocolate
                      05. Tootie Ma is A Big Fine Thing
                      06. Cachaca
                      07. Hanuman
                      08. Telegraph
                      09. What Now
                      10. Julia
                      11. Down the Tube
                      12. Lagalize It

                      discTwo
                      01. A Go Go
                      02. Cachaca
                      03. The Tube
                      04. Amazing Grace
                      05. Deadzy
                      06. What Now

Medeski 集中聴きの流れで聴いた本作だが、MMW+Scofield ということで “MSMW” 名義でリリースされた最初の作になり、後に
“MSMW Live(2011)” “Juice(2014)” と続編もリリースされる長年続くプロジェクト。
当時は、disc1のみのものが先行発売され、後にライブ盤が加わり2枚組として出たのが本作。
彼らのスタイルから、ライブの方に、より魅力を感じるのは自然の流れということで、迷うことなくこちらをゲットしたような記憶がある。

私的には、やはり disc2 のライブの方の内容により魅力を感じるものがあった。彼らの音楽から、何度もテイクを重ねてというのは、ピンとこないものも
あるが、disc1 のスタジオ録音も、やはり一発録りであるらしい。
disc1と2でそのテイストの違いは、聴衆の有無が結果に微妙な違いを出したのだろう。聴衆の生の反応を肌に感じつつの音楽は、いろんな意味で、より
Up - down の幅の激しいものとなる可能性を秘めているのだが、本作においても、disc1の比較的安定した内容と比べると、disc2は、まずいところは
まずいというデコボコ感はあるものの、ピークとなるポイントでは、明らかに高いレベルまで到達しており、彼らの音楽の性質から、望んでいた環境も、
まさにこちらの方なのではないだろうか。
同じ曲 “Cachaca” “What Now” がそれぞれに入っており、聴き比べれば、粗さもでるが、このバンドは、ライブという環境が、彼らの能力をより高い
レベルで引き出す可能性がある場であることを感じる。

Scofield の Bluesの表現でちょっとというところもある。
Bluesギタリストが多用したフレーズ、その影響がロック系ギタリストにも顕著に感じられたニューロック、アートロックなどと呼ばれた時代から延々と使わ
れてきた、もはやアドリブというより、定番のフレーズの数々。たぶん Scofield もそのあたりのものをいやというほど聴いて育ってきた口なのだろう。
なじみのフレーズが、随所に出てしまい、ちょっと興ざめといった場面もある。コンディションの良い時は、独自性溢れたフレーズの展開も見せるScofield
だが、これが一発勝負のライブというもの、アイデア不足に陥ってしまうこともある。リスクより可能性を求めた結果であり、その姿勢には納得。 だから
こそのLive のおもしろさとも言えるのだが。

形の上では、フロントに立つギターのScofield が引っ張っているようでもあるのだが、大きく見れば、MMWの音楽の中でのScofield だし、それを
コントロールしてるのもMedeski と私的には受け取っている。

ということで、夏場から続けてきた John Medeski 関連作のシリーズ、このまま続けても年内に、切りよく終わる見通しも全くたたず、ちょっと息切れして
きたこともあり、一端、間を置いて、機を見てということにします。

Jazz-organ 190
MSMW

Category: organ (第2期)  

Medeski Martin & Wood / Uninvisible

  John Medeski (Hammond A100 organ, etc)
  Chris Wood (eb)
  Billy Martin (ds, etc)
  etc

  Recoded at Shacklyn Studios, Brooklyn, NY, and The Barn at Bearsville Studios, Bearsville, NY,
       and the Magic Shop, NYC, 2002.
  BlueNote 7243 5 35870 2 4 (2002)

  01. Uninvisible
  02. I Wanna Ride You
                     03. Your Name is Snake Anthony
                     04. Pappy Check
                     05. Take Me Nowwhere
                     06. Retirement Song
                     07. Ten Dollar High
                     08. Where Have You Been?
                     09. Reprise
                     10. Nocturnal Transmission
                     11. Smoke
                     12. First Time Long Time
                     13. The Edge of Night
                     14. Off The Table

夏の Medeski 集中聴きの流れの中で聴いた一枚。Blue Noteでは、4作目になるんでしょうか。
曲により入れ替わり立ち替わりゲストが入り、ブラスが入りサウンドに厚みを増すなどの曲もあったり、スクラッチが入ったり、オルガンもB3タイプ
ではなくA100を使うなど、これまでとは、サウンドに変化もといったところも見える。

冒頭のタイトル曲から、ダーティーなテイスト全開のMedeskiのオルガンが飛ばす。ワルい音がカッコいい。
基本的には、Blue Noteでのデビュー作 “Conbustication(1998)” そして後の “The Dropper(2000)” という流れの延長上にある音楽と
言えるのだが、曲によりいろいろ取り入れたサウンドは、よりパワーアップしたとの印象も受ける内容となっている。そしてそう受け取るのは、もしか
したら自分だけかもしれない微妙なところなのだが、同レーベル初期作と比べると、徐々にこのメジャーレーベルの色に染まりきれないような
どこか窮屈さも感じ取れるような音楽との印象も受ける。今回久しぶりに聴いてみて、よりそう感じる部分である。
一方では、内容的に3作中最も緻密に創り込まれた好内容の一枚という印象もあるのだが...........
そもそも彼らの音楽の魅力ともなっていたのが、形にこだららない自由なアプローチとそこから何が飛び出すかわからない予測不可能性、意外性
といったあたりの彼らの音づくりの作法、先に「窮屈さ」と書いたのは、実際のところはわからないが、そんな伝統の名門レーベル特有の見えない
シバリのようなものが、回を重ねるごとに徐々にきいてきたとの音楽の印象。
なので、よく計算されたつくり込まれた完成度の高い作との反面、予測不可能性という点では、レベルダウンしたという印象もある。

やはり、Blue Noteというレーベルの枠には、収まりきれない感性の質、そして音楽であったと、リリースから十数年経った現在、あらためて聴くと、
そんな風にも思えるのだ。
リリース当時は、そんなことも思わず聴いていたが、ある程度、間をおいて聴くことにより見える景色も違ってくるということなのかな。

             
JAZZ-organ 189
Medeski Martin & Wood

Category: organ (第2期)  

Organik Vibe Trio / Things We Did Last Summer

  Ron Oswanski (Hammond B3 orgam)
  Joel Frahm (ts)
  Marko Marcinko (ds)
  Vic Juris (g)
  Dave Samuels (vib)

  Recorded at Red Rock Recording Studio, Saylorsburg, PA, February 10 & 15, 2015
  CL110115 (Cellar Live) 2016

  01. Ecaroh
  02. On a Misty Night
                     03. Waltz for Dave
                     04. De Molen
                     05. Picture Frame
                     06. Take the Coltrane
                     07. First Song
                     08. Things We Did Last Summer
                     09. What Now
                     10. Minor Blues

Ron Oswanski は、以前 “Sheryl Bailey / A Meeting of Minds(2013)” で初めて出会ったオルガニスト。
その参加作では、典型的なコンテンポラリー系オルガニストとしての感性を見せていた。しかし、そこはあくまで参加作ということで、当然ながら、リーダー
の音楽に合わせていたという部分もあったかもということで、機会があれば自分を出したリーダー作を聴いてみたいと思っていたところ、やっと出会うこと
ができた。
本作は、自身の作としては2枚目になるようだが、ファーストアルバムは、あまりにもマイナーな存在だったこともあり、情報無く見落としていたようだ。
本作では、Joel Frahm や Vic Juris などよく知っている名も入っており、勝負をかけたのかな........?
Vic Juris と Dave Samuels は、ゲスト扱いでちょっとだけのプレイ、他の3人がメインのトリオというつくりになっている。

一番の関心事は、上述の参加作で見せていた Oswanski の典型的なコンテンポラリー系オルガニストとしての感性が、自身の色がより出るリーダー作
において、どっち寄りに出てくるのかといったあたり。
ということで、グループ名とともにメンバーの顔ぶれや曲目、ジャケットの雰囲気などから、一抹の不安も抱きつつ聴いてみると、不安は的中し、望んだ形
とは、逆方向、だいぶ伝統も漂わせたオーソドックスな形のものになっている。Frahm なども自分の知っている Frahm とは別人かと思えるほどの
後ろ寄りのプレイをしており、あえてそういったコンセプトのアルバムとしたのかとも思ってしまうのだが、いずれにしても結果で判断するならば、あまり
私的には納得できるものではなかった。
ただ、このオルガニスト、基本的な巧さは備えており、アドリブ時のフレージングのキレイさなど、センスも感じる部分だ。年令的には、まだまだいける
という感じだし、前に進める開拓意欲をもってすれば道は拓けてくるようにも思うのだが......................このまま埋もれてしまうのは、もったいない。

JAZZ-organ 188

Category: organ (第2期)  

Medeski Martin & Wood / The Dropper

  John Medeski (keyboards)
  Chris Wood (basses)
  Billy Martin (ds, perc)
  Marc Ribot (g - 6, 7, 8)
  etc

  Recoded 1999 - 2000
  BlueNote 7243 5 22841 2 2 (2000)

  01. We are Rolling
  02. Big Time
                      03. Felic
                      04. Partido
                      05. Illinization
                      06. Bone Digger
                      07. Note Bleu
                      08. The Dropper
                      09. Philly Cheese Blunt
                      10. Sun Sieigh
                      11. Tsukemono
                      12. Shacklyn Knights
                      13. Norah 6

98年、名門 Blue Note と契約し、 “Conbustication(1998)” をリリース後、アコースティックピアノによるトリオのLive作 “Tonic(2000)”に
続く同レーベルでの3作目。

いろんな要素をぶち込んだ相変わらずのゴッタ煮風サウンドですが、時にはアバンな要素、フリーな動き、モダンなフレーズが飛び出したりの気の抜け
ない柔軟な動きから、豊富なバリエーションのワザを繰り出す彼らの音楽が、散漫な味のゴッタ煮にならないのも、表立って出てくるわけではないのだ
が、根っこのところにある濃いJazzのスピリットが、全体の味をひきしめているのかとも思えるのだが、そんなところが当時、出現した多くのジャムバンド
とは、一味二味違っていたようにも思う。もちろんそれは自分の好みも多分に関係していることとは思うが..........。

彼らの音楽の一つの魅力は、一般的な美の価値観には、ことごとく反するようなことをやりながらも、結果としては魅力ある音としている、そんなアウ
トロー、不良性といったような部分。濁り成分のあるダーティーな音も多用する Medeskiのオルガンにもそんな彼らの言わばワルの作法がよく出て
いる。例えばM6”Note Bleu”、テーマ部での濁ったハモンドが、キレイにスムーズではなく、ひっかかってつまずきそうになるように微妙にタイミング
をずらしたタッチが、いい味を出しており、この辺はもう感性の世界、 Medeski のセンスというしかない。
美しい澄んだそして透明感ある音や声で紡がれる美しく流れるようなライン、一般的に多くの人が認める美の形、これはこれで素直に認めるところだが、
言わばこれを王道、優等生の美の形とするなら、このMMWの音楽には、ワルの美学といったようなものがある。
美の価値観は多様であり、その分、美の形も多様である。

誤解があるといけないので一言、リアルな世界でワルと言っているわけではなく、あくまでも彼らの創り出す音のイメージである。どれだけ豊かなイメージ
を音により創り出せるのか、これこそミュージシャン、クリエーターのシゴトの核となる部分であろう。
この形にこだわらない自由さこそが、移り行く時代の流れの中で、Jazzの生を維持していくための基本であり、これまで無かった新しい美の形を生み
出すきっかけともなる。アーティストに求められるのも、まさにその部分と思うのだが。

JAZZ-organ 187
Medeski Martin & Wood

Category: organ (第2期)  

Medeski Martin & Wood / Friday Afternoon in The Universe

  Medeski Martin & Wood / Friday Afternoon in The Universe

  John Medeski (organ, p, ep, Wurlitzer, Clavinet)
  Chris Wood (ab, harmonica, flute)
  Billy Martin (ds, perc)
  Danny Blume (g - 6)
  Tonino Benson (performer, voc - 6)
  Carl Green (fl - 15)

  Recorded at Sears Sound, NYC, July 24-26, 1994
  GCD 79503 (Gramavision) 1995

                     01. The Lover
                     02. Paper Bass
                     03. House Mop
                     04. Last Chance to Dance Trance (Perhaps)
                     05. Baby Clams
                     06. We’re So Happy
                     07. Shack
                     08. Tea
                     09. Chinoiserie
                     10. Between Two Limbs
                     11. Sequel
                     12. Friday Afternoon in The Universe
                     13. Billy’s Tool Box
                     14. Chubb Sub
                     15. Knob Khun Krub

John Medeski(B1964)は、好きなオルガニスト(キーボード奏者)として、初期からコンスタントに聴いてきてはいるのだが、初期のものを中心に
当ブログ開始以前に関わっていたもののほとんど記事としていない。それは他の盤についても同じなのだが、記事とするか否かは、新旧盤を問わず、
たまたま聴く機会があったもの、そして記事としての存在価値という観点から、その中でも、あまり他でとりあげられないものといった盤が中心になって
しまう。まあ後発ブログとして、言わばスキマ商品を並べて、細々と、そして、かろうじて食いつないているという超マイナーブログである。
また、記事にするために聴くという流れは負担になってしまうこともあり、原則として、しないというのがスタンスであり、今後もそんな自然の流れの中
で続けることになるのかと、現在のところは思ってはいるのだが、気が多く、気まぐれ、優柔不断、意志薄弱..............と、基本が計画性なしの出たとこ勝負
の人生、先のことはあまり読めない。
そんな中で、近年あまり接してなかった Medeski の初期、あらためて確認したく聴いてみたくなったので、まあ全部というのも負担になるし、
気が向いたら、いくつか記事にしておきたいなどと思ったりしてはいるのだが................。

さて本作、MMWとしては “Note from the Underground(1992)”でデビューしてから “It’s a Jungle in Here(1993)”を経て3作目となる作。
久しぶりに聴いてみて、なかなか新鮮に耳に入ってくる。MMWが先駆となり、その後、こういったスタイルのバンドのちょっとしたブームもあり、
同じようなスタイルの出現で、ちょっと食傷気味の時期もあったのだが、ちょっと離れた時期も挟んで、あらためて聴いてみると、これがなかなか良い。
MMW出現以降の当時をオルガンのブームと見る向きもあるが、これはこういったジャムバンドスタイルのブームもあり、その音楽的性格上たまたま
オルガンが加わっていたことが多く、あたかもオルガンがメジャーな存在になってきたかのように錯覚するような状況もあったのだが、ずっと接してきた
自分の感覚では、Jazzの世界の中では、あくまでその他の楽器という位置づけから抜け出せないマイナーな存在という感覚で受け取っており、ブームと
呼べるほどの大きな動きは無かった。

Medeski は、広くコンテンポラリー系と言える感性だが、Larry Goldings(B1968), Sam Yahel(B1971), Gary Versace(B1968)など他の
オルガニストが本道近辺を行く感性であるのに対し、垣根を超えてあらゆる要素を取り入れ、本道を外れたあたりで勝負をしていく感性は、オーソドックス
な形を好む向きには最も敬遠されるタイプとも言えるのかもしれない。それまで無かった新しいものを生み出そうとすれば、それまで一般的あるいは、
常識となっていた枠を超えなければならないのだが、ひとたびその枠を超える者が出てくれば、逸れ者扱いする者がでてくるのが常であり、先進の感性
を持った者の宿命と言えるのかもしれない。そんな多少の逆風もある中だが、その何が飛び出してくるかわからない意外性、そしてフリーなアプローチも
こなす強い即興性は、音楽に緊張感を生み、その独特の怪しさ、ダーティーなテイストとともに独特の音楽を生み出している。
外見とそのダーティーな味わいもある音楽からラフなものをイメージしてしまうが、この男の創る音楽は極めて繊細な感性から成り立っている。
基本となるハモンドのチューニング、各種キーボードの使い分けによる多彩な音楽の表情、そして各種エフェクトの使い方に至るまで、細かな気遣いも
見えてくる。
また、他の多くのオルガニストと違う点として、専任のベーシストを使うことだろうか。結果重視で考えるなら、当然この形も出てくるのだが、ベースも
こなして一丁前といったヘンなこだわりがあるのかわからないが、なかなかこれをやるオルガニストがいない中で、一般的な考えにこだわらない、そんな
ところが彼独自の音楽となって現れているようにも思う。本作も3者の緊密な絡みからアイデアを得て発展という形も見え、Wood のベースが入って
いることにより音楽は、より豊かなものになっており、もちろん全てのオルガニストにとってこれがベストの形とは言わないが、専任ベーシストを入れる
ことでのプラスとなる部分にも眼を向けてもらいたいものだ。
2000年代にコンテンポラリー系オルガンの中心として活動してきた Goldings, Yahel, Versace といった次の時代につながる感性が、近年、その
オルガニストとしてのリーダー作がめっきり減ってしまっているという現状を考えると、開拓者として彼らコンポラ系オルガニストにアイデア、刺激を
与える存在として John Medeski というオルガニストが貴重な存在に見えてくるのだ。そんな思いもあっての、Medeski 聴きである。

Ellington曲のM9 “Chinoiserie” で飛び出すモダンなフレーズなど、当時のオルガンシーンでは、新鮮な感性として、よく聴いた思い入れのある曲
だった。
この形にこだわらない自由さこそが、移り行く時代の流れの中で、Jazzの生を維持していくための基本とも思える。

その他の John Medeski 関連記事は → こちらから

JAZZ-organ 186
Medeski Martin & Wood

Category: organ (第2期)  

Brian Charette / Once & Future

  Brian Charette (org)
  Will Bernard (g)
  Steve Fidyk (ds)

  Recorded October 7, 2015 acoustic recording, Brooklyn, NY
  PR8153 (Posi-Tone) 2016

  1. Jitterbug Waltz
  2. Tyrone
  3. Latin from Manhattan
  4. Da Bug
  5. At Last
                      6. Hot Barbecue
                      7. Dance of the Infidels
                      8. Zoltan
                      9. The Scorpion
                      10. Falling Fourth
                      11. Ain’t It Funky Now
                      12. Mellow Mood
                      13. Road Song
                      14. Blues for 96

オルガニスト Brian Charette(B1972)のトリオによる新作。
相方は近年、本作とは逆に 彼名義作への参加を含め、何かと共演も多いギターの Will Bernard、そして前トリオ作(Alphabet City)では Rudy Roystonが
担当していたdsが、たぶん新人なのでしょうか今回初となる Steve Fidyk に代わっている。

内容の方は、Charetteのオリジナル3曲の他はJazzメン曲で固めているが、おなじみの曲も多い。
全14曲、程よくファンク調やらバラードなどを織りまぜながら、基本ストレートに、コンポラテイスト溢れるCharetteのオルガンに、時にブルージーなスパ
イスも絡めながら快調に飛ばす Bernardのギター、小気味よいプッシュで煽る今回初となる Fidykのドラムスと、スタートからエンドまで気持ち良く、楽しく
聴ける一枚となっている。
3分台から4分台の曲がほとんどで小品集といった感じの仕上がりだが、そのさばき方にも、全14曲、アルバムとしてトータルに見れば一貫したものもあり、
悪い意味ではなく、その軽くノリのいい仕上がり、繰り出すフレージングの端々には、Charetteのセンスも感じられ、今現在の空気感溢れる現代オルガンJazz
の1つの形を見せてくれる。
この軽さという点では、前作(Alphabet City)では、悪い方にやや出てしまい、取り入れようとしていた多要素が散漫に感じるといった結果を生んだようにも
思えたのだが、その辺は本人も感じていたのか、本作においては、ストレートなものを中心に据え、同じ方向性でまとめつつ、きっちり修正され、音楽としての
クォリティを上げてきた感もあり、印象としては、前作の試作品に対し、細部まで神経の行き届いた完成品といった質の違いも感じられるものとなっており、
その自身で修正できるスベを持っているあたり、さすがと思えるものもある。
ただ、全体としては、あくまで小品集といったもので、もう少し深く突っ込んだところで勝負したものも期待してしまう。
こうして Charette をしつこく追っているのも、何かのきっかけあるいは刺激によっては、一段上のステージにもという部分も十分感じさせるものもあるから
なのだが、そこを意識した活動もぜひ心がけてもらいたいものだ。

世紀末の頃のオルガンが絡んだJazzというと、いわゆる「黒っぽい」といったものが多く、周囲からもオルガンには、そういったものを求められることも多か
ったように記憶している。その「黒っぽい」ことを特に嫌っているわけではない。昔、ブルースからJazzへなだれ込んできた自分としては、その「黒っぽさ」を、
むしろ積極的に求めていた時期もあった。しかし、あまりにもそれを強く求めていたことへの反動とともに、その固定したイメージを求めている限り、それとは
違った新しい世界への旅立ちは、叶わぬこととの思いから、オルガンの絡んだJazzにもその「黒っぽさ」とは、違う何かを求める気持ちが強くなったように思う。
今、こうしてブルージーなテイストを含んだもの、あるいはブルースナンバーがあったりしても、黒っぽいコッテリ感はなく、あくまでクールなタッチのオル
ガンを聴くにつけ、それが現代オルガンJazzのスタンダードなスタイルとなっていると思えるところに、時代の流れとともに変化(進化)を実感する。

Brian Charette 関連記事は → こちらから

JAZZ-organ 185
Brian Charette

Category: organ (第2期)  

Testifying / Larry Young

  Larry Young (org)
  Thornel Schwartz (g)
  Jimmie Smith (ds)
  Joe Holiday (ts - 3, 7)

  Recorded in Englewood Cliffs, NJ, August 2, 1960.
  OJCCD-1793-2 (Prestige/New Jazz Records)

  1. Testifying
  2. When I Grow too Old to Dream
  3. Exercise for Chihuahuas
  4. Falling Love with Love
                      5. Some Thorny Blues
                      6. Wee Dot
                      7. Flamingo

世紀の変わり目ごろ聴いて以来だから、たぶん15年あまり聴いてなかった Larry Young(B1940〜1978) の初リーダー作を、あらためて聴いてみた。
Young 20才時の録音である。

冒頭のタイトル曲は、ミディアムスローのブルース、御大 Jimmy Smith の影を強く残しており、Smith が手クセのようにしょっちゅう使っていた
キメのフレーズまで、ところどころで聴かれるあたり、まだ二十歳ということで、自身の開発が進んでいないことも感じられる。
その辺は、ギターにSmithとの関わりも深い Thornel Schwartz を起用しているあたりにもデビュー当時のYoungがSmithに傾倒していたこともうかがえ、
この時点で、まだSmith_の引力圏内にいたことが確認できる。
総じて、M1, M5などブルース系の曲にSmithが色濃く残り、M4の軽い歌ものなどに個性芽生えの前兆といったものも感じられるのが興味深くもある
のだが、わずか数年の後にオルガンのColtraneなどと呼ばれるほど、激しく変貌していったその感性は、本作ではまだ感じられず、一言で言うならば
内容としては、「Jimmy Smithの影響を受けた若手オルガニストの溌剌としたプレイによるデビュー作」といったところか。

若干20才の若手オルガニストのデビュー作ということで、当時は新鮮なものとして受け入れられたに違いないと思うのだが、やはり半世紀以上経過して
いる現在、それが色褪せて感じるのはいたしかたない。命あるものの宿命であろう。
Jazzは、時代と密接につながりつつ、日々、細胞分裂を繰り返しながらゆるやかに変化しつつ生きている生き物だ。とどまろうとすれば衰退につながり、
永遠は無い、時代のエキスを吸収しては変化しつつ前に進んでこそ、生が維持できるというものだ。
現在、Youngが後に残した成果は現在、主にコンテンポリー系オルガニストのベースとなり、さらにそこに各自のアイデアがプラスされ、それぞれ変化しつつ
生き続けており、生物同様の命の循環といったものも見られ、今は亡きかつてのYoungの目指したものが、時代のエキスを取り入れつつ形を変えながら
生き続けていることに心動かされるのである。
この後の世代に残せる成果、未来につないでいける成果を生み出すことこそが、今を生きるアーティストにとって最も重要なシゴトとも言える。

時々、立ち止まっては、一歩引いたところで、全体を大きな流れで見てみることも必要だね。あらためて今を確認できるしね。

JAZZ-organ 184
Larry Young

Category: organ (第2期)  

Lewinsky Quartet / Omnipotent

  Rolf Delfos (sax)
  Arno Krijger (Hammond organ + bass pedals)
  Pascal Vermeer (ds)
  Anton Goudsmit (g)

  Recorded August-September 2007 at Tafelberg Studio Tilburg, The Netherlands.
  CR73264 (Challenge Records) 2008

  01. Prestonesque
  02. Omnipotent (Oh Thou Lewinsky)
  03. Jazz and Beyond
                     04. 4.S5
                     05. September
                     06. Evil (All It’s Sin is Still Alive)
                     07. The Sopranos (A Short Bluango)
                     08. Chi Chi
                     09. Caravam
                     10. Rascal Roofplan
                     11. Kournella. Time Will Tell
                     12. Hasjh Conyn

sax - organ - drumsの基本のトリオにゲスト扱いの Anton Goudsmit のギターが加わるという一作。
私的には、露出が少なく、なかなか聴く機会に恵まれないオランダのオルガニスト Arno Krijger (B1972)の参加もありゲットした一枚。

編成から Delfos のsaxが前面に立つといった展開が自然多くなるという展開だが、Delfosのsaxは、今回が初めてで、情報は何も入れてない。
おそらく若手から中堅といったあたりのプレイヤーであろうか、年令の割には、キャリア豊富で、それなりに引き出しも持ち合わせているといった
吹きっぷりで、このグループでは実質的に軸となっているといった印象。
本作だけで決めつけることもできないが、強い個性という点では、ちょっと物足りないところもあるものの、幅広く対応できるオールラウンダー
タイプのプレイヤーか。

ゲスト扱いということもあり、Goudsmitのギターの出番は少なめとなっているが、ギターとオルガンが絡んだサウンドM4 “4.S5”などを聴いていると、
ScofieldとMedeskiが絡んだ初期の “A Go Go” あたりを思わせるような部分もあり、彼らがそのあたりにも目を向けていたであろうことが、
感じられるところが興味深い。
Krijger のオルガンも初期の頃と比べると、ダーティーなティストもわずかに加味され、オルガニストとして、多少なりとも前に進んできていると
感じられるのは、うれしいところである。
清く正しく美しくといった種類の美は、オルガンには相応しくない。多種雑味が入り込み、そこにダーティーな要素も入り、より妖しい美も輝きを増す
といったところがある。
もっとも、それは現時点で自分がオルガンという楽器に求めるイメージで、そんなものを吹き飛ばすような新種の感性を持ったオルガニストの出現を
期待したいところだ。

JAZZ-organ 183
Lewinsky Quartet

Category: organ (第2期)  

Dick De Graaf / Out of the Blues-Celebrating The Music of Oliver Nelson

Out0fTheBlues.jpg  Dick De Graaf (ts, ss)
  Arno Krijger (Hammond organ + bass pedals)
  Pascal Vermeer (ds)

  SR04 (SOUNDROOTS) 2012

  01. Blues and the Abstract Truth
  02. March On, March On
  03. Stolen Moments
  04. Teenie’s Blues
                     05. Elegy for a Duck
                     06. Images
                     07. Mama Lou
                     08. Six and Four
                     09. Three Seconds
                     10. Example 78

オランダのsax奏者 Dick De Graaf によるOliver Nelson作品集。
好みのオルガニストながら露出が少なく、なかなか聴ける機会も限られるという状況のオランダの Arno Krijger(B1972) の参加もありゲットした
もの。したがってカテゴリー”オルガン”の記事とします。

リーダーの Graaf は、オランダでは実力派の名の知れたベテランサックス奏者だが、聴くのは今回初。内容の方は、Oliver Nelsonの音楽を今の
空気感も漂うものとしてうまくアレンジし、まとめているといった印象。感性としては、コンテンポラリー系と言ってもいいのだが、決して流れの先頭に
立って舵を切っていくといったタイプではなく、中流から下流で持ち味を出すといったタイプと見る。
したがって本作も、一言で言うならば分かりやすく聴きやすいものとなっているのだが、それでも決してイージーな要素はなく、今のJazzになっている
あたりが、このベテラン Graff のセンスなのだろう。

さてお目当ての Krijger、オランダでは、年令面でギタリストの Jesse Van Ruller と同世代となるんですね。ちょうど40での参加作ということで、
プレイ面にもその脂ののった時期といったものを感じさせる場面が随所にあります。
特別に黒っぽく、ブルージーにするような、オルガンを他楽器とは違う特殊な世界にしてしまっていたあの前世紀を引きずった感覚も無く、典型的な
今の時代を生きるJazzオルガニストの感性だ。
ハデな太刀回りは無く、地味な印象も受けるが、その知的なプレイぶりには、妙に納得させられるものがある。
M2 “March On, March On” でのソロにおける繰り出してくるフレーズの流れなどを聴いているとゾクゾクするようなものもあり、露出が少ないという
現状が非常に残念に思える。

プレイ面での特徴として、通常、Jazzオルガニストの場合、左手でベースラインを刻むのがほとんどで、たとえフットペダルを使う場合でもあくまで補助的
に使うというスタイルが主流。それは左足でラインを刻むという技術的なこともあるのだが、足で弾くことで、どうしてもラインに粘りが無く、ボン、ボン、
ボン..........と単調になりがちで、それを嫌って左手を使うといった側面もあるのだが、そういった状況の中でこの Krijger は、少数派のフットペダルの
使い手でもある。といったことで、やはりベースラインに粘っこさが不足ぎみで、その点での多少の不満は感じるものの、逆に解放された左手による
コードの響きがサウンドに厚みを出すとともに個性にもなっているというプラスの面も引き出している。
このフットペダルの使い手では、ドイツのBarbara Dennerleinあたりが、第一人者と言ってもいいのだろうか。その彼女も使いこなせるようになるまで
は、長い時間を要しており、プロのジャズコンボにおけるベースとしての役割を、それなりに納得できるレベルでフットペダルをこなすのは、難しいものがある。
一方、そういったベースも自身でというオルガニストのこだわりとは、関係なく、John Medeskiのように結果重視で専任のベーシストを使うという
オルガニストもいる。この辺の考え方は、一概にどれがベストとも言えないが、 私的には、やはり目的は最終的に音楽の出来、そのためのベストの手段を
選択すべきだろう。もし、ベースラインもこなしてオルガニストとして一丁前などというヘンなこだわりを持っているとしたら、それは無用のものだ。
目的はあくまで音楽、オルガニストにとってベースもこなすことの負担は大きく、もしそれが結果的に音楽の質を落とすならば、無用のこだわりは捨て、
専任のベーシストを起用すべきだろう。それによりベーシストからのアイデアや刺激により音楽全体の質が大きく変わる可能性も考えられる。
もちろん、これが全てのオルガニストにあてはまることではないが。

その他のArno Krijger 関連記事は → こちらから

JAZZ-organ 182
Dick De Graaf


Category: organ (第2期)  

Jeff Palmer, George Garzone, Richard Poole / Opposite Voltage

  Jeff Palmer (org)
  George Garzone (ts)
  Richard Poole (ds)

  Recorded November 3, 1998
  selfreleased

  1. Backwards and Forwards
  2. De Nyall
  3. Metropolis
  4. Five Fingers
                     5. Wind Tunnel
                     6. Count Sirloin
                     7. A Tear a Minute

3者共同名義らしいジャケット体裁となっている本作ですが、製作面で中心になっているのがdsのRichard Poole。
Jeff Palmer をターゲットとしてゲットしたこともありカテゴリー “organ” の記事とします。

曲の方は、すべてJeff Palmerの手による全7曲。
Jimmy Smith系の流れとは別に、Larry Youngから生まれた流れは、他のJazzとは、ある意味、違った特殊な世界とも言える前世紀のOrgan Jazz本流
とは異なる形で、現在のコンテンポラリー系オルガンの流れの源となっており、これは、特殊分野であったOrganが、他楽器の扱いに、いくらかでも近づ
いたということで、幾分正常になった、前進したとも考えている。
Jeff Palmerは、そのYoungから、現在の流れの主流ともなっているコンテンポラリー系オルガンに至る間の世代のオルガニストとして、地味ながら貴重な
存在でもあった。そんなPalmerは、新しい試みであるフリーなアプローチにも関心を示し、本作はそんな彼の模索の状況がよく出た一枚。
フリーなアプローチをするオルガニストは少なく、現在でもJohn Medeski, Gary Versaceなどがいるが、あくまで活動のごく一部といった感じで、その
Versaceも自身のリーダー作では、そういったアプローチは見せたこともない。他にもJamie Saftなどもいるが、彼もオルガニストとしての活動自体、
彼のごく一部分でしかない。

そんなことで、オルガンではめずらしいフリー色の強い本作ですが、結果の方は、満足できるレベルには至らなかったというのが率直な感想です。
Palmer目線で見れば、Garzoneのtsもフリーとしては、ちょっと中途半端だし、特に瞬時の反応も要求されるdsでは、Pooleのシゴトもいまいち感がある。
ただ、そういった結果は別として、何かを求めてチャレンジする姿勢は、最終的Outputとしての音によく現れており、彼らの音楽に裏切られたというような
思いはなく、何かを求め、そこに向かおうとする姿勢には、一種の清々しさも感じる。この辺の感覚は、混迷期とも言える終盤のLarry Youngにも、重なる
ものがある。
結果が全てではない、そこに至る過程で何をしてきたか、アーティストとしての存在価値に関わる部分とも考えている、
私的には、音楽の楽しみは、そういった過程を含めたトータルなものとして、とらえており、本作もそういう意味で、記憶に残る一枚となっている。

JAZZ-organ 181
Richard Poole

Category: organ (第2期)  

Lonnie Smith / Evolution

  Dr. Lonnie Smith (org, key)
  Robert Glasper (p-1)
  Joe Dyson (ds-1,2,3,5,7)
  Jonathan Blake (ds-1,2,3,4,5,6,7)
  John Ellis (ts,fl-1,2,3,5,7)
  Joe Lovano (ss, ts-2,3)
  Jonathan Kreisberg (g1,2,3,4,5,6,7)
  Keyon Harrold (tp-1,2)
  Maurice Brown (tp-5)

  (Blue Note) 2016

                    1. Play It Back
                    2. Afrodesia
                    3. For Heaven's Sake
                    4. Straight No Chaser
                    5. Talk About This
                    6. My Favorite Things
                    7. African Suite

Lonnie Smith(B1942)、73才にしての新録ということで、はたして新しい発見ができる内容になっているのだろうかといったところもあり、即、手が
伸びなかったのだが、これまで全作とはいかないが、そこそこ聴いてきたSmithでもあるだけに、70を超えた今の状況も確認しておくべきだろうという
ことで遅まきながらのゲット。
Smithは、本作でもギタリストとして起用しているJonathan Kreisberg以前には、Peter Bernsteinを起用していた時代が5年ほどあり、前世紀の
黒っぽさを色濃く残したオルガンサウンドをやや引きずっていた感もあったのだが、2010年作の “Spiral” で若手の典型的コンテンポラリー系ギタ
リストのこのKreisberg、そしてdsにJamire Williamsを起用したことにより、より今の空気感も漂う音楽へと質を変えてきた感がある。
こういった新しい血を入れては、そのパワーを利用し、またそれを刺激とし自身の音楽を少しでも前に進めようというような姿勢は、継続的にに見られた
Smithだが、本作でもRobert GlasperやJoe Lovanoらをゲストに迎え、またdsにJonathan Blake、 Joe Dysonを起用したツインドラムスという
試みもしており、73才にしてなお衰えぬ前進意欲を見せているのには、感心する。アーティストとしては、当然の姿勢だが、これを保てない人が多いのが
現実だ。

モンクの”Straight No Chaser”など2曲を除く5曲がSmithのオリジナルとなっているが、内容はファンク調、バラード、速い展開の4ビートやスケール
感もあるものなどの他、曲により編成変えも加えるなど一本調子にならずバラエティに富んだものとしており飽きさせない。ファンク調なども古くさく
なることなく現代の味付けをしており、その年令を感じさせない音楽は、リリース時に即、手が伸びなかった心配は無用のものだった。
本作通して感じることだが、一オルガニストとしてという部分よりも、周りを活かしてトータルな音楽として勝負という姿勢が一段と鮮明になってきた
ように思う。戦い方を年令に合わせ、最大の効果を出すべくシフトする。それまで生きてきたこだわりもあり、これができないまま消えていく人も多い
という中、これも一つの才能なのだろう。ミュージシャンには、いろいろなタイプもおり、必ずしもこれがベストな形とは言わないが、ハフォーマンスの質
を維持すべく、自身にアーティストとして適した道、とるべき道を適切に判断できることも、やはりミュージシャンとしての才能なのだろう。
Jazzは生き物、同じことを続けていれば衰退につながる。そこに絶えず向上心があってこそ維持できるというもの。さらにそこに前進を求めるならば
向上心だけではない+αも求められるというものだろう。

その他の Lonnie Smith 関連記事は → こちらから

JAZZ-organ 180
Lonnie Smith

Category: organ (第2期)  

Devin Garramone / Nite Blues

  Jeff Palmer (org)
  Devin Garramone (ts)
  John Abercrombie (g)
  Adam Nusbaum (ds)

  Rank Records (2004)

  1. Bear Hug
  2. Walkin’ Taller
  3. Bird Groove
                     4. Attitudinal
                     5. Wiggie - Waggie
                     6. Bulls Eye
                     7. Maps Blues
                     8. Move It

オルガニストのJeff Palmer(B1951)は、90年代から2000年代前半ぐらいにかけて John Abercrombie(B1944)との活動も多く、私的には、その
あたりも魅力となっているのだが、本作はテナーのDevin Garramone名義ながら、一応オルガンのJeff Palmer目当てのゲットなのでカテゴリー”organ”
の記事とします。

フリーなアプローチなど、結構自由な展開にも手を染めていたPalmerですが、ここはあくまでも参加作ということで、音楽はGarramoneのカラーが強く出た
オーソドックスなものとなっており、Garramoneのブルージーなテイストもあるノーマル過ぎるくらいノーマルなブロウに対して、逆にAbercrombieや
Palmerのちょっとしたソロに強い個性も感じられるといった面もあるのだが、アルバム全体としてみれば、出番の多いGarramoneのイメージが、アルバム
のイメージを支配してしまっており、せっかくの個性に溢れたAbercrombieやPalmerの持ち味を生かしきれてないとの印象も残る一枚になっているのは、
ちょっと残念な気もする。

それでも、こうしてあらためてPalmerのオルガンを聴いてみると、現在のコンテンポラリー系オルガンとその原点とも言えるLarry Young(B1940)との間
の世代にいる地味ながら先進性ある感性を持ったオルガニストとして、貴重な存在であったことをつくづく感ずる。

今世紀に入ってからの Palmer は、話題となるような新作リリースもなく、何かを求めさまよっている感もあり、若くして旅立った Young の人生終盤の
混迷の時期に重なるものもある。

Jeff Palmerに関するその他の記事は → こちらから

JAZZ-organ 179
Jeff Palmer
John Abercrombie

Category: organ (第2期)  

Simone Gubbiotti / The Hammond Trio

  Simone Gubbiotti (g)
  Joe Bagg (Hammond org)
  Joe La Barbera (ds)

  DT9033 (Dot Time Records) 2014

  1. Mind the Gap
  2. Ana Rita
  3. Simone Blues
  4. It Could Happen to You
  5. J. And J.
                     6. Lidia
                     7. Beautiful Love
                     8. E. N.
                     9. We Will Meet Again

出身国イタリアと米国とを股にかけ活動するギタリスト Simone Gubbiotti のオルガンを加えたトリオ作。
私的には、リーダー作も少なく、参加作ながらJoe Baggのオルガンが聴ける貴重な音源ということでゲット。従ってカテゴリー “organ” の記事とします。

ギターのSimone Gubbiottiを聴くのは、今回初めてとなり、曲目やらジャケ写の雰囲気などから、今現在、自分が求める方向性を持ったギタリストでない
ことは、予想もしていたのだが、それでもゲットしたのは、ひとえに、あまり音源も出回っておらず、聴ける機会に恵まれていない Joe Bagg の参加。
Gubbiottiのギターは予想通り、王道のスタイルを基本としたものだった。しかもJesse Van Rullerのように、王道とは言っても、今の空気感を持ち、
現在のコンテンポラリー系の主流につながるといった類いの感性でもなく、その流れの中でも、かなり後ろ寄りに位置するといった感性と見た。
こうなると焦点は、彼の音楽である定型の枠の中で、いかに楽しませてくれる巧さを見せてくれるのかといったあたりになってしまうのだが..................
決してマズくはない、けれども際立った巧さもといったのが率直な印象。ただし一点、独特の哀愁ある響きを感じさせる瞬間がある。これはイタリア出身と
いう血のなせる技か、米国系ギタリストには無い響きだ。その部分を生かし、それを自身の音楽の魅力につなげていければ、それはギタリストとして生きて
ゆく上で、強力な武器になるのだろう。
とりわけ豊富な人材がひしめき合っているギター界、生半可な個性では苦労する。そこを意識した活動で、難所をクリヤーしてほしいものだ。

さて、そんな王道色も濃い音楽の中で、リーダーのアシスト、そしてソロにと、きっちり巧さも見せ、魅力としているBaggのオルガンには、毎度のことだが、
地味ながらセンスを感じる。さしずめ、昔気質でシゴトは、キッチリやる職人のとっつぁんといったところか。
Baggが入ることにより、音楽が落ち着くというか、リーダーに足りないところがあれば、さりげなく補い、いい雰囲気になってくれば、これまたさりげなく、
さらに盛り上げ、このあくまで目立たず、さりげなくといったあたりが彼らしいところで、この地味なシゴトぶりが、いまいち知名度UPにつながらないのか。
そんなBaggなので、これまでを振り返ってみれば、共演者にもそんな傾向が見える。いつも思うことだが、例えば先進性に溢れた感性のギタリストが相手
だったらどうなのか、その刺激から、Baggのオルガンから、いったいどんな音が飛び出し、そしてどんな対応をしてくるのか、これまでの彼の状況、そして
そこから感じられるオルガニストとしての能力を考えると、ついついそんなことを思ってしまうのである。そんなめぐりあいの機会に恵まれなかったことが
残念に思えるオルガニストでもある。そして、それを自ら掴みにゆく積極性も欲しい。

その他のJoe Bagg関連記事は → こちらから

JAZZ-organ 178
Simone Gubbiotti

Category: organ (第2期)  

Pat Bianchi Trio / A Higher Standard

  Pat Bianchi (Hammond organ)
  Claig Ebner (g)
  Byron Landham (ds)

  自主制作 (21H Records) 2015

  01. With Out A Song
  02. Blue Silver
  03. So Many Stars
  04. Will Of Landham
  05. Some Other Time
                     06. Bohemia After Dark
                     07. Very Early
                     08. Satellite
                     09. Blues Minus One
                     10. From The Bottom of My Heart

Pat Bianchi(B1976)久々のリーダー作。ギターを加えた自身リーダーのトリオ録音としては、Gilad Hekselmanを起用した “Back Home(2009)
以来になる。
このBianchiは以前、モーダルなプレイを見せるなど、新世紀にふさわしいオルガニストとして強い期待を持って見ていた時期がありましたが、その後の
参加作などでは、前世紀臭も漂うようなオルガンに逆戻りしたとも思えるような状況が続いており、そろそろタイムオーバーとの危機感も感じていたところ.........

さて、同じような立ち位置にいるとの印象もあるギターのCraig Ebnerをパートナーに、音楽は王道路線のど真ん中を行くテイストのものとなっている。
自身のやりたいようにもできる自主制作のリーダー作という条件の中でも、やはりこれかと、ちょっと裏切られた感はあったのだが、内容は決して悪くない。
王道路線とは言っても、そこは今のオルガントリオ、前世紀の王道路線をそのまま引きずっているわけではなく、幾分後ろ寄りではあるが、あくまで現在の
オルガンの王道ということで、今の空気感漂うそのオルガンの響きは、師匠 DeFrancesco にもひけをとらないワザとノリの良さも見せている。
この10年程、私的好みから、ある方向に進化をしてほしいといった期待とともに見てきたBianchiではあったが、どうやら彼の選んだ道は、ど真ん中の道、
私的には、王道路線から外れて少し前を向いた方向に舵を切ってもらいたいと思っていたPat Bianchiだったが、まあ、これも彼の感性、ちょっと残念だけど、
それを選んだ彼を尊重するということで、決めたからには、ぜひこの道でがんばっていい結果を出してほしいものだ。

ギターのCraig Ebnerも、地味ながら今の感性としっかりした技術、そしてBianchiの打ち出す音楽の方向性とも違和感無く、今の時代のオルガン-ギター
トリオの王道を行く一枚として、まずまずの内容になっているのではないだろうか。

             
             Pat Bianchi - organ Craig Ebner - guitar Byron Landham - drums

その他のPat Bianchi関連記事は → こちらから

JAZZ-organ 177
Pat Bianchi

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