前向きに Jazz!

日々進化し続けるJazzとともに歩んできた終わりのない旅

Category: guitar (第2期)  

Jeff Parker Trio / Bright Light in Winter

  Jeff Parker (eg, Korg MS-20)
  Chris Lopes (ab, flute, Korg MS-20)
  Chad Taylor (ds)

  Recorded November 14 - 16, 2011, Riverside Studio, Chicago
  DE2015 (Delmark) 2012

  1. Mainz
  2. Swept Out to Sea
  3. Change
  4. Freakdelic
  5. The Morning of the 5th
                      6. Occidental Tourist
                      7. Bright Light Black Site
                      8. Istevan
                      9. Good Days

ポストロック系からフリー寄りのJazzまで、幅広い活動も続けるギタリストの Jeff Parker(B1967) は、長年いた活動拠点をシカゴから近年、LA
の方に移したらしい。ギタリストとしての彼には、関心もあったので、機会があれば、まずは聴いてみようと思いつつ、のびのびになってしまっていた。
そこで、ダマシのきかないトリオ作ということもあり、とりあえずチョイスしてみた本作だったが................
dsの Chad Taylor は、以前 Angelica Sanchez をピアニストで迎えたトリオ作 “Circle Down” で記事歴もあるのだが、他2名は今回が初。

全てメンバーのオリジナルとなる全9曲だが、一聴してみれば、いろんな要素が詰まっていて、一言では言えないようなものがある。
雑多なものが集まった感じだが、それでも一枚のアルバムとして、散漫さは無く、全9曲音楽は、一つの方向性も感じられ統一感もあるものとなっており、
一貫して感じられるユルめでクールなビート感に身を委ねていると、一種のアンビエントミュージックといった趣きもあり、あえてそうしたともとれる
強い主張の無いところが、通し聴きすれば、BGMとしてもいけるといったテイストさえある。この「強い主張の無い」ところが強い主張なのかな、とも
受け取れる。ギタープレイにおいても、たどたどしく感じるところもあるのだが、それもあえてのプレイなのか.............読めない。

予備知識も極力入れず初めての顔合わせとなった Jeff Parker だったが、そんなことで、何かつかみどころの無い、実体のはっきりしないモヤモヤ感
みたいなものが残りつつ、同時に漠然ながら何か目指しているものの大きなものも感じられる。それが何かはわからないが、同時に音楽には、垣根の
無い自由、開放感、広がり...........みたいな空気感もある。ただ、それは現在、自分が音楽に求めているものでもないのだが.............心地良いというほど
の前向きなものでもないのだが、少なくとも不快といった負の感覚は無い。

過大評価になるのかもしれないが、何か見えない部分、読めない部分に何か大きなものがあるとも感じられるギタリスト、本作で聴く限り、感性の質と
しては、自分が求める方向とは、逆に向いているようなところもあり、決して心惹かれるというタイプでもなさそうだが、その見えてない部分によっては、
どうなるかわからない。 引き続き要調査ということで、他作にも手を出してみたい。

JAZZ-guitar 188
Jeff Parker

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Category: guitar (第2期)  

Wilfried Wilde / Oscilenscope

 oscilenscope-2.jpg

Wilfried Wilde (g)
Charley Rose (as)
Xan Campos (p)
Damian Cabaud (b)
Lago Fernandez (ds)

Recorded at Cangas Auditorium, Spain, July 27 & 28, 2015
FSNT526 (2017)

1. Feeling Droiden
2. Nerve Vibrations
3. Nasty Introduction
4. Nasty Meditation
5. La Valse a Huit Temps
6. La Houle
7. Ordering
8. Le Cri de I’Oiseau
9. Lynel All music composed and arranged by Wilfried Wilde

今回、初聴きとなるスペイン出身のギタリスト Wilfried Wilde の新作。
メンバー全員、未聴ながら、ジャケットの雰囲気、曲目などから求めるコンテンポラリー系のギタリストとの予測でゲット。
一聴して、大きく見るならば、現在の若手コンテンポラリー系ギタリストに多い Rosenwinkel から派生した流れの真っただ中にいるギタリストと
いうことで、その点では、初対面の若手ギタリストとしては、極平均的な今時のギタリストといった印象も持つのだが......................。
10年程前と比べると、この流れが全く普通になってしまっているということに時の流れを感じるね。

さて、内容の方は全曲、自身の手によるオリジナルとなっており、緻密さも感じられるつくりとともにアンサンブルもキレイな仕上がりを見せている。
この Wilde のハデな太刀回りを嫌うかのような地味さには、Rale Micic あたりも思い出してしまうのだが、現在のコンポラギターシーンの流れ
の中での立ち位置なども、流れの先端寄りで、その流れの方向にも大きく関わっていくといった感性ではないという点で、共通するものもあるように
思う。と、こんな書き方をしてしまうと、地味でつまらないとも思われてしまうが、そんなことはない。繊細な感性であるが故の一見地味に感じられる
ことは、インパクトもある見せ場を持たない地味さとは、根本的に違う。繊細なタイプにありがちな、言ってみれば、狭めた表現のレンジの中で
全てをハーフトーンで表現してしまう、それができてしまう繊細さみたいなものなのかもしれない。
ただ、これは広く一般に理解されにくい。表現のレンジを目一杯広げ、ダイナミックな表現ができれば、それだけ多くの人の心も動かせるというもの
だろう。聴いていると、何かそんなことも思わされてしまう繊細さも備えたギタリストとの印象も持つ。

そんなことで、全体的に強いインパクトに欠ける、ストロングポイントが見つからないといったところは、一般的な見方をしてしまえば、否定できない
ところでもあるのだが、それは本作においてということで、他作も聴いてみないと何ともわからないことでもあるが、ギタリストとしての個を全面に
押し出すよりもトータルな音楽に重きを置いた本作における彼の姿勢も多分に関係しているとも思える。また、それは全ての面ではないが、繊細な
感性であるが故の裏返しといったこととも言え、そこの開発によっては、逆にそこがストロングポイントにもなりうる、そんな未開発領域の存在も
多分に感じられる若い感性だが、個性として感じられるのが、随所に感じられる「哀愁」の響き。これは、米国系のギターには、あまり感じられない
ものだ。伝統的に優れたギタリストも多い欧州は、スペインという血の成せる技なのか?
その辺の受取りは自分だけなのかもしれないが、M6 “La Houle”やM7 “Orderling”などに、このギタリストの個性が見える。特にas抜きで
ギタリストとしての姿も見えるクァルテットによる M7 での漂う哀愁には、スペインだからこそのギターの響きとも感じるのだが.......................。

内容はともかくとして、未聴の感性に触れることは、何が飛び出すかわからないという、期待感も高まり楽しみも増すというものだ。やはり自分には
博打買いが性に合っているようだ。

JAZZ-guitar 187
Wilfried Wilde

Category: guitar (第2期)  

Pierre Perchaud / Waterfalls

  Pierre Perchaud (g)
  Chris Cheek (sax)
  Nicolas Moreaux (b)
  Seergio Krakowski (pandero)
  Andre Charlier (perc)

  GR1309 (Gemini) 2012

  1. Kora
  2. Le Paradisier
  3. Montreal
  4. Une Apres Midi
                      5. Because
                      6. No Moon at All
                      7. Le Vieux Piano Et La Lampe
                      8. Waterfalls

フランスのギタリスト Pierre Perchaud の Chris Cheek の参加も魅力だった2012年作。
基本は、ドラムレスのトリオで、曲により軽くパーカッション系のものが入るという内容。

メンバーから、コンポラ色の強いテイストの音楽を期待していたのだが、ふたを開けてみれば意外とオーソドックス、ストレートな展開となっている。
しかも、苦手としている、ちょっぴりフォーキーなテイストも一味加わったりして、ちょっと微妙だね。
これほど、全編ノーマル、オーソドックスに、そして何かノスタルジックとでも言ったらいいのか、ひと時代さかのぼったようなテイストで通す Cheek
に出会ったのも、あまり記憶がないのだが、音楽としての内容は決して悪くない。この辺は、あくまでリーダーである Perchaud の求めた質感であろ
うとは思うのだが、後は、聴き手である自分の感性の好みにフィットするかといったところだが、私的には、このノスタルジックでセピアカラーもイメー
ジさせる沈んだ質感とフォーキーな、ある意味、淡いグリーンの陽の光もイメージさせるようなテイストとのフィット感の悪さも感じてしまい、なかなか
楽しませてもらえない。

Perchaud のギターは、アルバム全体に通じる曲調もあり、曲によりアコギ使用、エフェクトもあまり使わず、ノーマルな音使いで通しており、アルペジオ
も多用するなど、しっとりとしたものが目立つのだが、コード感覚やシングルトーンでのソロにおける音の選択などには、このギタリスト特有のセンスも
感じられる。

ただ、ある方向に片寄ってしまったテイストと思える内容が、好みを分けるのではないだろうか。この片寄ったと受け取るのか、あるいは、統一されたと
受け取るのか、その辺が分かれ目なのだろう。私的には、やっぱり、ちょっと好みを外したかなといった感覚が最後までつきまとい、唯一他とは違い、
普通にJazzな曲調で仕上げたスタンダードの M6 “No Moon at All” に一番親しみを感じるという皮肉な結果となった。

Chris Cheek のテナーに Nicolas Moreaux のベースという私的関心度の高いスタッフを従えての Pierre Perchaud のリーダー作ということで、
それなりに期待もあったのだが、私的には、クラシカル、フォーキー、カントリーといったテイストをJazzに絡めるのは、せっかくのJazzを不味くしてしま
うことに他ならないという、これまでの過去の私的流れを覆すには至らなかった。言ってみれば、アボガドと絡んだ鮨を良しとするか否か.........あくまで
内容の良し悪しではなく、好みの問題ということで、悪しからず。

        

JAZZ-guitar 186
Pierre Perchaud

Category: Other Instrument  

Stephane Huchard / Panamerican

  Stephane Huchard (ds, perc)
  Jim Beard (p, Rhodes, Hammond B3, keyboards)
  Chris Cheek (ts, ss)
  Nir Felder (eg, ag)
  Matt Penman (b)
  Minino Garay (perc)

  Recorded in January 2012 at Brooklyn Recording Studio, New York City, U.S.A.
  JV570019 (JazzVillage) 2013

  01. Sleepless
  02. Groovy Side
                      03. Just an Herbie Vore
                      04. Boogaloo King
                      05. Bancal Cha-Cha
                      06. El Minino
                      07. Find a New World
                      08. Melodic City
                      09. Happy New York
                      10. Dream Solo All tracks composed by Stephane Huchard

先日来の Emmanuel Bex 関連作聴きの流れの中で、久しぶりにジャケットを見て、思い出したように聴いた一枚。
フランスのドラマー Stephane Huchard(ステファン・ウシャール B1964) は、世紀末の頃、同じフランスのオルガニスト Emmanuel Bexのアルバム “3” で
初めて出会ったのだが、その質の高いプレイが、印象に残っていたこともあり、彼名義のアルバム等をチェックしていた時、その魅力あるメンバーに、即ゲット
してみたというのが本作だった。久しぶりに聴いたので、ついでに記事としておきます。

全曲、ドラマーである Huchard の手による10曲だが、音楽は、あえて狙ったテイストと思われるポップ、ラテンタッチ............など、ライトな 感覚で統一されて
いるとも思える聴きやすいものとなっているのだが、けっこう作り込まれた印象もあり、ライトタッチながら、イージーといった 感覚はない。全体に抑え気味のプレイ
ながら、その多彩でコントロールのきいたドラミングからは、基本となる楽曲とともに、高いセンスも 感じられ、個よりもコンポーザーとしてトータルなサウンドに重き
をおいた姿勢も見える内容となっている。 その辺は、各種キーボード系を、曲調により使い分けバッキングにソロにサウンドに彩りを添える Jim Beard が、リーダー
Huchard の 補佐役としてサウンドメイキングにうまく機能しているといった感じだ。

全体にそんなつくりのサウンドなので、それぞれのソロに大きくスポットが当たるといった場面も、あまりないのだが Cheek, Felderなども この方向性の中で、抑え
気味ながら堅実なシゴトで大いに貢献しており、このサウンドの中にあって、Penman のウッドベースが、いい落ち着き をつくっているようにも思う。

JAZZ-other instrument 43
Stephane Huchard

Category: Other Instrument  

Mathias Levy / Playtime

  Mathias Levy (violin)
  Sebastien Giniaux (g)
  Jeremie Pontier (ds)
  Matyas Szandai (b)
  Emmanuel Bex (org)

  JMS1062 (JMS) 2013

  01. Birdy
  02. Venus
  03. Rue Myrha
  04. Portrait in Black and White
                      05. Chaloupe
                      06. Canson
                      07. Le Conteur
                      08. Anniversary Blues
                      09. Beyrouth
                      10. Ensoleillement
                      11. Valse Calme

フランスの若手バイオリニスト Mathias Levy のクァルテットに、やはり同じフランスのオルガニスト Emmenuel Bex(B1959)がゲスト参加したもので、
先日来の Emmanuel Bex 関連作聴きの流れで聴いた一枚。 Jazzでは、マイナーな楽器とも言えるバイオリンだが、それでもフランスには、既聴のバイオリニスト
も多く、Stephane Grappelli(B1908 - 1997)、Jean Luc Ponty(B1942)、Didier Lockwood(B1956)、Scott Tixier(B1986 生まれはモントルー)............
......などがいるのだが、本作の Levy に関しては本作が初めてとなる。

冒頭曲 “Birdy” で、いきなり高速4ビートに乗り、Levy のバイオリン、Bex のオルガン、そして Giniaux(ジニオー?)と快調にソロを飛ばすオープニング。
つづくM2 “Venus” では一転、スローな展開で、繊細な Levy のバイオリンがよく歌い、これで掴みはバッチリという感じだが....................
本作でのゲスト Emmqnuel Bex の参加は3曲、高速4ビートのM1、Bex得意のボコーダーを使っての繊細なスローナンバーM4、ミディアム・ハイの
ブルースM8 とバラエティに富んだ3曲で、本作中の魅力のナンバーになっている。
その他の Levy のカルテット曲については、マヌーシュ・ジャズあるいは中東を思わせるようなラインがあったりと、やや曲調が偏ってしまった印象も
なきにしもあらず。
スピード感溢れるキレ味、歌心........とハイレベルのものも感じさせる Levy で、伝統的に良いバイオリニストが存在してきたフランスにおいて、今後も
楽しみな若手とも感じるのだが、あまり狭い範囲の音楽にこだわってしまうと、行き詰まってしまうこともある。
このギタリストも、感性の質からすれば、おそらくそっち系のギタリストではないだろうか?
デビュー作の本作のみで、何とも言えないが、現代的感覚も十分持ち合わせていると思える Levy なので、あまり狭い範囲の音楽にこだわることなく、
また伝統芸の方向に走りすぎることなく、新しい時代にふさわしい Jazzバイオリンの形を求めていってほしい、そこが無いと、この分野も先細りになって
いってしまう。

            

JAZZ-other instrument 42
Mathias Levy
Category: oldies  

Sonny Rollins / A Night at the Village Vanguard

  Sonny Rollins (ts)
  Wilbur Ware (b - 1,2,3,4,6)
  Donald Bailey (b - 5)
  Elvin Jones (ds - 1,2,3,4,6)
  Pete LaRoca (ds - 5)

  Recorded Novvember 3, 1957
  CDP7 46518 2 (Blue Note)

  1. Old Devil Moon
  2. Softly As In A Morning Sunrise
  3. Striver's Row
                      4. Sonnymoon For Two
                      5. A Night In Tunisia
                      6. I Can't Get Started

先日、JD Allenを聴いていて、何となく思い浮かんできた Sonny Rollins のテナー、しかもピアノレスのトリオ、ということで引っぱり出してみた一枚。
昔、LPの時代にはよく聴いた盤だったtが、CDに切り替えてからは、あまり聴いた記憶がない

Sonny Rollins(B1930)が好んだピアノレストリオによる同年録音の “Way Out West” と並ぶ名作、Elvin Jonesの参加も魅力だった Village
Vanguardにおけるライブ。
豪快にドライブする、Rollins も好きだったが、剛柔兼ね備え、デリケートに独特の歌いっぷりを見せる Ballad も好きで、M6 “I Can’t Started”
は、当時好んで聴いていた一曲。
糸を引くように粘る Elvin のブラッシュワークをバックに、太くはっきりしたラインを紡ぎ出してゆく Rollins、こうしてあらためて聴いてみると
濃厚な Jazz Spirit でムンムンとして、むせ返るようだ。まさにJazz だね!

トリオという、ミニマルなフォーマットにおいて、全体にElvin のプッシュが音楽に活力と張りをもたらしており、この我々生物の鼓動、呼吸といった
生命の源とも言えるものと、どこか連動してるかのような流動性もある生きたタイム感覚は、天性のものだね。

            

JAZZ-oldies 22
Sonny Rollins

Category: sax (第2期)  

JD Allen / Radio Flyer

  JD Allen (ts)
  Liberty Ellman (g)
  Gregg August (b)
  Rudy Royston (ds)

  Recorded at Tedesco Studios, Paramus, NJ on January 2, 2017
  SCD2162 (SAVANT) 2017

  1. Sitting Bull
  2. Radio Flyer
  3. The Angelus Bell
  4. Sancho Panza
                      5. Heureux
                      6. Daedalus
                      7. Ghost Dance

ここ一週間ほどは、あれもこれもと、引っぱり出しては聴きの、アバクロにどっぷり浸かった日々になってしまったが、それぞれのアルパムに出会った
頃の状況なども思い出しつつ、これまでの流れを振り返っては、頭の中を整理するいい機会にもなったと、残念なことだが、そう考えよう。
しかしながら、これからは彼の新たな考えの詰まった新作にも出会えなくなってしまうというのは、何ともさびしいことだね.......................合掌!

で、アバクロの記事は、いずれまた機を見てということで、気分を変えます。

ここ10年近く続く JD Allen(B1972) のレギュラートリオに、ギターの Liberty Ellman(B1971) が参加するという私的注目の一枚。
Allen は、ピアノや管などを入れる時は、基本的に本作のこのトリオ以外のメンバーで、ユニットを組むことが多く、その点でも、この互いに知り尽く
した3人に新たな感性を迎え入れることの意味を考えると非常に興味深いものがある。また、Allen としては、珍しいギターという楽器、そしてそれが
コンテンボラリーからフリー寄りといった中間のエリアでの活動も多い Ellman という感性が、このトリオに及ぼす影響がどうあらわれるのか............
と、誠に興味の尽きないところだ。

根っこのところで、Rollins やら Coltrane なども感じさせる Allen だが、本作でも、その音楽の端々に微妙に漂うスピリチュアルなテイストやフレー
ジングなどからは、偉大な先人の影も感じることができる。コンテンポラリー系Sax奏者の中でも特に愚直なまでに硬派一直線といった姿勢には、
昔から一貫したものもある Allen だが、本作においてもその変わらないブレない音づくりの作法も感じられる。
本作の一つの関心事でもあった、感性面では、より先端寄りの尖ったものを持つ Ellman が、混入したことにより、Allen の音楽も変わるのかと、
興味もあったところだったのだが、この男、なかなかの頑固者のようで、音楽は、まっすぐ一直線、ブレを見せていない。
どう変化を見せるのかといった部分で、ある程度の期待もしていた自分としては、多少の不満もあったことは確かだが、その提示された音楽のクォリティ
には十分満足できるし、その不器用なまでの、融通もきかないまっすぐな姿勢には、何か共感させられてしまうものもある。
一般的には、融通のきかない、柔軟さもない音づくりの姿勢には、共感できない自分だが、彼の場合は、その先に自分の音楽を前に進めるといった
強い意志も見え、そこに共感できるのだ。
なので、本作の印象としては、その頑固なまでに自分を通す Allen に Ellman が、歩み寄ったといったところだろうか。まあ、Allen のリーダー作
だから、当然のことなのかもしれないが。
なので、普段はもう少し不穏度の強い空気感を振りまく Ellman のギターも、音そのものの印象とともに、多少ノーマルな立ち居振る舞いといった
印象もあり、Ellman サイドに立って見れば、多少の不満も残るのだが、それはあくまで Ellman 中心に見てということなので、このクァルテットの
トータルな音楽として考えれば、誠に魅力の一枚に仕上がっている。

この瞬間の対応と自由な動きも求められる音楽の中で、変幻自在に攻めのプッシュも見せる Rudy Royston のドラミングは、音楽に活力と推進力
を産み、その貢献度も絶大なものがある。

私的には、好みのテイストを持つ一枚として十分満足できるものだったが、欲を言えば、せっかく参加させた Ellman という自身のトリオには、今まで
無かった先進の感性を利用して、自身の新たな世界を打ち出すといったところまで、踏み込む柔軟性を持ち合わせていたなら、まちがいなく星5つ、いや
もう星半分おまけが付く内容だ。
Allen のSaxは、表面上のテイストにおいては、典型的コンテンポラリー系のものを感じさせてはいるのだが、よくよくそのフレージングなど細部を
聴いていると、先人の残した伝統の影を随所に感じ取ることができる。それは、決して悪いことではなく、むしろ好ましいこととも言えるのだが、
全ては程度問題、まっすぐブレない姿勢も大事だが、度を超すと可能性を狭めてしまうことにもなる。結局、その辺の塩梅を判断するのも才能
ということになるのかもしれないが............。

M5 ”Heureux” あたりでの速めの4ビートの展開における Ellman のソロなどを聴いていると、あらためて Liberty Ellman というギタリストの
独自性もある魅力も感じるという1枚でもあったが、この Ellman の立ち位置とカブるエリアでシゴトのできるところも見せてくれた Rez Abbasi
を、ここにあてはめても、何かまた違ったおもしろいイメージができた。そんな1枚でもあった。

JAZZ-sax 91
JD Allen
Category: guitar (第2期)  

John Abercrombie / Wait Till You See Her

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John Abercrombie (guitar)
Mark Feldman (violin)
Thomas Morgan (double-bass)
Joey Baron (drums)

Recorded December 2008 Avatar Studios, New York (Eng.:James Farber)
ECM 2102 (2009)

01. Sad Song
02. Line-Up
03. Wait Till You See Her
04. Trio
05. I've Overlooked Before
06. Anniversary Waltz
07. Out of Towner
08. Chic of Araby           
All music by John Abercrombie except Wait Till You See Her by Richard Rogers/Lorenz Hart

一枚じゃあ、おさまりがつかなくなっちまった.................もう一枚いっときます。

Abercrombieにとっては、今世紀初めのMark Feldmanとの出会いから始まったこのクァルテットですが、本作では、それまでのMarc Johnsonの
ベースに替わり若手のThomas Morganになっての4作目となる。
内容も、アルバムタイトル曲の "Wait Till You See Her" を除いて全てAbercrombieのオリジナル、そのコンセプトに共鳴し、4人の静寂な中にも
緊密で緊張感が持続しながらのインタープレイが繰り広げられる。

極めて現代的でクールな装いながらも温もりある歌心を忘れてないAbercrombieの柔らかくセンシティブなギター・ワークが緩やかな流れを創り
だしている。それに寄り添うように流れに淡い彩りを添えていくFeldmanのヴァイオリンもそれに輪をかけたように極めてセンシティブでもあり、
Morganも加わり3者3様の弦の響きが、絡みあい創り出された音世界は独自の世界観をつくりだしている。
このフォーマットでの活動も長く、新しい一つの形を創った感もあるが、ベースがMarc Johnsonから若手のThomas Morganに替わり、新しい変化
のきざしも見えるのだが........................

今回、こんなことになっちまい、他に Copland とのデュオ曲 “Blue in Green” も聴いたのだが、何とも沁みる泣きの一曲となっちまった。
こういうデリカシーに富んだ語り口のできるギタリストも、もうなかなか出てこないんじゃないかなあ................................さらば、アバ爺!

その他の John Abercrombie(1944.12.16〜2017.8.22) 関連作は → こちらから

JAZZ-guittar 185
John Abercrombie
Category: guitar (第2期)  

John Abercrombie / The Third Quartet

ThirdQ-1.jpg ThirdQ-2.jpg

John Abercrombie (eg, ag)
Marc Feldman (violin)
Marc Johnson (b)
Joey Baron (ds)

Recorded June 2006 at Avatar Studios, New York
Engineer:James A. Farber
ECM 1993 (2007)

01. Banshee
02. Number 9
03. Vingt Six
04. Wishing Six
05. Bred
06. Tres
07. Round Trip
08. Epilogue
09. Elvin
10. Fine

ちょっと危なっかしいところもあり、だいじょぶかなあなどと度々思うところもあったこの頃、やっぱり逝ってしまった。
ここは、何か聴かにゃあ、おさまりがつかんだろうなあ...........ということで、振り返りつつ一枚。

ECMにおいて'02年の "Cat'n' Mouse" から始まったこのメンバーでの作品も間に "Class Trip"('04年)を挟んで本作が3作目となり、次作の
"Wait Till You See Her"('09年)では、ベースがMarc Johnsonから若手のThomas Morganに代わるという本シリーズである。

Orneette Colemanの M07"Round Trip", Bill Evansの M08"Epilogue" 以外は全てAbercrombieのオリジナルとなる全10曲という内容となって
おり、音楽の基本的方向性は、初作から変わっておらず、一貫した姿勢で通してきている感もあるのだが、音楽は初作を "動" とするならば、しだいに
"静" の要素を強めてきているとの印象もある。しかし、音楽は、表面上の "静" とは反し、やはり回を重ねた成果であろうか、阿吽の呼吸もあり、より
緊密な絡みもある、静かな中にも緊張感が持続するものとなっている。
空間を漂うAbercrombieのギターとFeldmanのヴァイオリンが寄り添いながら、そして時に絡み合いながら紡ぎ出す世界は、小さなジャンルという
枠にとらわれない彼ら独自の新しい世界を創り出してきており、地道に積み上げてきたこの成果は評価すべきではないだろうか。

60超えの当時、なお旺盛な創り出す心を維持するどころか推進させている感もある Abercrombie がうれしい、.....................そして惜しい。

その他の John Abercrombie(1944.12.16〜2017.8.22) 関連作は → こちらから

JAZZ-guitar 184
John Abercrombie
Category: organ (第2期)  

Olivier Ker Ourio / Magic Tree

  Olivier Ker Ourio (chromatic harmonica)
  Emmanuel Bex (Hammond organ)
  Philip Catherine (eg,ag)
  Andre Ceccarelli (ds)

  Recorded in September 2009 at Studio Meudon, France
  PL4531 (Plus Loin Music) 2010

  01. Eva
  02. Magic Tree
  03. Sunday
                       04. Libertalia
                       05. Jenn
                       06. Chaloupe Mwin
                       07. St. Jacques
                       08. Okokalypso
                       09. Mirella
                       10. So Long P
                       11. Achille

先日、フランスのオルガニスト Emmanuel Bex(B1959)の新作 “Chansons” を記事とした流れもあり、しばらくご無沙汰していたBex関連作も
聴いてみたくなり、いくつか引っぱり出してチェックしてみた。記事にしてないものもあったので、ついでに記事としておきます。
リーダーの Olivier Ker Ourio(B1964) は、ゲスト参加した “Charlier - Sourisse / Gemini(2000)” で、記事歴はあるのだが、ゲスト参加の
プレイということもあり、ほとんど記憶していない。本作は、あくまで Bex 目当てのゲットだったこともあり、一応カテゴリー「オルガン」の記事として
おきます。

ハーモニカといえば、この世界ではプレイヤーも少なくマイナーな楽器でもあるのだが、 昨年、惜しくも他界した Toots Thielemans(B1922
- 2016)という大先輩がいるが、この分野での彼の残したものは大きく、この Ourio も、その音楽からは、Thielemans の影も感じられる。
また、幅広い音楽性など方向性にも、つながるところがあるといった印象もある。
全体に哀愁漂うサウンドが点在する。これは、この楽器の持ち味といってもよいのだろうか、空気の送り方に違いはあるが、金属プレートの振動
によって音を発するという点で共通する、アコーデオン、鍵盤ハーモニカ(ピアニカ)といった楽器の音の質感と共通するものがある。
Jazzにおいては、こういった楽器も奏者が少ないだけに、開拓の余地も多分に残していると思えるところもあり、革命家の出現によっては、大きく
前に進むのだろう。Thielemans の後を継いでゆくプレイヤーにも、その音楽を少しでも前に進めてもらいたいものだ。

この音楽の中で、あくまでサポートする立場ながら、フランス人である Bex の持ち味は、発揮されているのではないだろうか。おそらくシャンソン
やらタンゴなどを通して奏者も多いフランスで、アコーデオン、ハーモニカといったものと接する機会もそれなりにあったことで、Ourio の音楽に
馴染んでいる感もある。Ourio が、共演者としてオルガニスト Bex をチョイスしたのも、なんとなくわかるような気もする。黒い空気を振りまく
オルガンは、いくらでもいるけど、こういうフランスのコジャレた質感を持つオルガンは、なかなかいない。

Catherine もアコギでしっとり、エレキでコンポラチックな攻めを見せたり貢献度大。
Ceccarelli もOurioの音楽の中で、ビートを変化させていく曲があったり、好サポートで存在感あり。

その他の Emmanuel Bex 関連作は → こちらから

JAZZ - organ 192
Olivier Ker Ourio
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